16/10/2025
【論文発表のお知らせ】
当医局(感染症内科学講座)の大学院生である山口尚希先生が筆頭著者を務めた論文 "The proportion of coinfections among sexually transmitted infections in Japan: a nation-wide claims database study" が、"Open Forum Infectious Diseases"に掲載されましたのでご報告します。
https://doi.org/10.1093/ofid/ofaf393
【研究の概要と意義】 性感染症(STI)は重複感染が示唆されますが、日本国内におけるその重複感染の具体的な割合については、詳細なデータが不足していました。
本研究は、悉皆性の高い大規模医療保険請求データベース(NDB)を用い、主要な5つのSTI(梅毒、性器クラミジア感染症、淋菌感染症、性器ヘルペス感染症、尖圭コンジローマ)の新規受診者数と重複感染の割合を推定したものです。
本研究の意義は、主に以下の2点にあります。
①疫学的手法としての意義:レセプトデータを用いた感染症の記述疫学研究はまだ先行研究が限られていますが、本研究は日本国内のデータを用い、NDB活用の有用性を示した点に意義があります。今後の感染症疫学研究におけるデータソースの選択肢の一つになるものと考えられます。
②臨床的な意義:実臨床において、あるSTIを診断した際、他のSTIの重複感染をどの程度考慮すべきか、本研究で示された重複感染率のデータが一つの客観的根拠となり得ます。これにより、STIの早期診断・治療の促進に寄与することが期待されます。
なお、本論文の執筆にあたっては、Corresponding authorである公衆衛生学講座の野田龍也先生(現:関西医科大学 メディカルデータサイエンス講座 教授)をはじめとする公衆衛生学講座の先生方にご指導を賜りました。
詳細はぜひ原著論文をご覧ください。
AbstractBackground. The increasing incidence of sexually transmitted infections (STIs) is a global health concern, but research on proportions of sexually