16/10/2024
再開してまだ1年も経たないのにこの夏は暑すぎて3ヶ月もゴルフクラブを握らなかった。10月に入りようやくレッスン再開してどうなるのかと思ったけどもどうも調子がいい感じがある。ベテランの先生は元々褒めるタイプではないので数日前までは「あんなに休んでたのにスイング全然悪くないやん」だったのが昨日はとうとう「スイングは良くなってるからあとは○○だけ」といういわゆる技術の部分の指導になった。良くなった理由は「骨理学」でそれが、からだに落とし込めているのを実感できたので書き残しておこうと思う。
骨理学というのはゴルフの理論ではない。中京大学の廣戸聡一先生の教えてられる分野で、特定のスポーツに限らず全ての土台になる姿勢と動きの基本のお話になる。「滑」は「氵」に「骨」と書くと教わった。これは関節が水のようにサラサラ滑るということが由来だそう。ちなみに、どのくらい滑るのか調べてみたら、実際バナナの皮よりも滑るのだだそう。(北里大学馬渕教授によるイグノーベル賞の発表がある。ご興味がある方は面白いので検索してみていただきたい)
関節の滑りが良くなるというのは、動きが悪くなると部品が錆びついてクレ556したら動く感じだ。からだにクレ556するわけにいかないのでどうするかといえば、その一つの方法に、関節が動くべき位置、場所、方向というのがあって、それを間違えないことが大切である。
例えば、クロールは手をからだの中心に置く。これが前にならえをしたままでもし泳ごうとでもすれば、溺れてしまうということになるのは想像できるだろうか。実は、歩く時も同様に腰の幅で歩くと股関節の動きが悪くなって足が前に出せない。試してみるなら、右足と左足のスタンスをかなり広く取って、その状態で歩いてみると良い。足がまるで前に出ないのが感じられる。少しずつ左右の幅を狭くすると少しずつ前に進めるようになる。つまり、中心から外れると股関節の動きが悪くなるため、ちょこちょことした歩き方になり、膝が曲がり関節に負担をかけるし、ふくらはぎに乳酸が溜まりやすくなってしまうということになるのだ。
歩く時もクロールのての動きと同様に、からだの中心に足を着地させるようにすると途端に股関節の動きが良くなり歩幅は自然に大きくなる。その結果、脚はまるでみぞおちから生えているかのように、洋服のおなかの部分にドレープが入ったように動き、脚長のように見えるのである。これが、関節が滑るように動く場所に足を着地させることにより「バナナの皮よりも滑る」状態で股関節が動いているということになる。
新講座「骨から整えるからだレッスン」では、からだのフレームとしての骨格を整え体幹ができた状態、関節を滑らせて動きを良くするためのコツを掴むために色々な動きをする。
この日は「光る君」がテーマになった。ドラマの中で、天皇が衣装を広げて座る姿がなんとも美しいのだそう。参加した方の半数が毎週観てらっしゃって大いに盛り上がり、その皆さんが再現しようとしてくれるのだがうまくできない。「本当はこうじゃないんですよ。もっとねー」と言って顔を見合わせていた。
私も試しにみなさんの動きからイメージして真似てみようと、からだの中心から手を大きく広げ(これはおそらく権力の象徴のあるお衣装を見せるように座るのだな)関節を滑らせるように滑らかに座り、そしてそこからすーっと立ち上がってみる。どうもこれで良さそうだ。私にできたので、皆さんもやってみてと言わなくてももうやりはじめている。意欲というのはすごい。しかし床に座ろうと、まもなくお尻が床に近づいた最後お尻がドスンとなってしまう。立ち上がるときは、膝を立てるまではなんとかできるけどそこから立ち上がれない。ついには「やっぱり筋肉が足りないのよね」と言い出すので「違う違う、筋肉じゃなくてそこは体幹がですよ」あれだけ筋肉じゃなくて骨だというレッスンをしていてもこうなのだから、それほどに新しいものを自身の中に取り込むには少し時間がかかってしまうのだろうと思う。「頭の位置がズレているからこれだと関節が滑りません」と、頭の位置はここだと指示を出し、修正してあと一歩のところまでできてきたよう。
そりゃ今日一日のレッスンで仕上がらないけれども、確実に次回ものすごくスムーズにできるだろう。これを3回講座を終えた方の発表にするのもいいなと「光る君」をチェックしておこうと思う。
ちなみに筋肉主導で立ち上がってしまったら勢いがついてしまうので、天皇の優雅な動きにはほど遠くなってしまう。筋トレをしないでいいのが嬉しいはずなのに、私たちの頭には筋肉がないからできないという刷り込みがあるようだ。それでも今回、レッスンを初めて受けた方が「手を使わずに床から立つこと座ることがスムーズにできたらそれでいいと思うのです」と私がお話ししたことが印象的でご自身の未来が明るくなってきたとお話しくださった。
トレーニングをサボれば筋肉は裏切るけれども、骨格というフレームから姿勢を整えて出来上がった体幹を土台にして、関節を滑らせるように動かせばからだは裏切らないのではないかと思っている。