医療法人永朋会 カウンセリングルーム和光本厚木店

医療法人永朋会が運営するカウンセリングルームです。子どもから大人まであらゆる年齢を対象としています。

[02/24/20]   今回は成人期の注意欠如多動性障害(attention-deficit/hyperactivity disorder;ADHD)の治
療についてです。発達障害に関しては個人的には一つ前の診断基準である、アメリカ精神
医学会の診断統計マニュアル第 4 版(DSM-Ⅳ-TR)(American Psychiatric Association,
2000)の方が分かりやすいと思っているので、今回はこちらを使って解説します。
・心理・社会的治療
現時点で使用可能な薬物によって,個人差はあるものの不注意や衝動性を中心とした症
状や,二次的に生じている抑うつなどの症状が多少なりとも改善することにより,日常生
活に対して間接的に良好な影響がある可能性は考えられます。しかし,PDD も同様ですが、、
ADHD に対しても薬物療法だけで治療することはなく,心理・社会的治療を併用すること
が重要です。
AD/HD への心理・社会的治療も基本的には PDD と同じであり,まず必要なことは本人,
家族に対して病態に関する正確な知識を伝えることです。成人 AD/HD の患者は,幼少期か
らの AD/HD の症状により失敗体験を繰り返しており自己評価が著しく低い状態で受診す
ることが多いです。本人と家族から生育歴を振り返る作業を通じて「育ち」を理解した上
で AD/HD と診断することで,これまでの失敗体験の多くが AD/HD 症状により引き起こさ
れていたことを本人と家族が理解することができます。さらに,目の前でおきている問題
を, 現在と過去の両方の側面からアプローチすることで自分の状態をより明確に理解する
ことができ,その後の解決法を自らみつけることを強化することができます。
そしてその上で,患者の生活場面で必要とされるスキル(もの忘れへの対処,片付けの方
法,スケジュール管理,優先順位の付け方,苛立つ場面での怒りの転化方法,集中力の持
続のための工夫など)の獲得に対する援助が必要となります。
ADHD の方が成人期に至り医療機関を受診する場合には,症状の多様性のみならず,職
場,対人関係,家族などさまざまな事態が複雑に絡みあっており,対応に苦慮することも
少なくありません。成人期の発達障害者への対応としてもっとも重要なことは,まず彼ら
の持つ発達障害自体の適切な診断ですが,同時に患者の背景に存在する「育ち」を理解す
る必要があります。成人の発達障害の「育ち」には特徴があり,PDD には PDD なりの,
ADHD には ADHD なりの「育ち」があります。今目の前で起きている問題に対してアプロ
ーチしていくためには,今までどのように生きてきたのかを知ることが必要であり,その
「育ち」を知ることでこれからどのように生きていくのかを予測でき今後の対応へつなげ
ていくことができると思います。

[02/13/20]   <まとめ>
・思春期における自殺企図の再企図防止のためには,精神障害の診断と治療を適切に行うことが重要です。

・親子に対する治療的介入により親子が相互に変化し,自殺の危険因子である家族が保護因子となりえたとき,自殺の再企図を防止できる可能性のある一群があります。

途中で書いたようにこれらのアプローチにも限界があり、すべてのケースに適応することはできませんが、このような発想をすることができれば、これまで企図を防ぐことができなかったケースの一部に対し有効な介入ができるのであれば、意味のあることだと思います。

大学病院の救命救急センターには多くの自殺企図の方が搬送されてきていましたが、通常診療にも自殺企図リスクのある方は少なからず含まれていると思います。
このような考え方は、治療者側だけでなく、自身が自殺企図という問題解決手段に至りやすいと思っている方が自己分析をするためにも有効だと思いますので、このような形で記載させていただきました。

どちら側の方に対しても少しでもヒントになればいいなと思っています。

[02/09/20]   <思春期の自殺に対するアプローチ①>
思春期における自殺企図の再企図防止に対して有効な方法は示されていない
自殺は精神症状の1つと考えられる
自殺準備因子*(精神障害,心理・社会的準備因子)に対する認識と介入の重要性
精神障害の有無を慎重に判断し適切に対処
心理・社会的準備因子に積極的に介入

介入の仕方としては大きくわけると①合併する精神障害に応じた介入、②心理・社会的因子に対する介入の二つになります。

①<精神障害に応じた介入>
精神病性障害 
気分障害                  
不安障害    
境界性人格障害
広汎性発達障害
適応障害    
診断なし     

②<心理・社会的準備因子に対する介入>
家族が自殺企図の危険因子から保護因子に変化したとき,
自殺の再企図は防止できるのではないか  

まず①に関してはそれぞれの疾患を適切に診断し、その治療自体を早期に治療していくことになります。②に関しては具体的には以下のようなアプローチになるのではないかと思います。

<家族の問題に対するアプローチ>
・親子からの詳細な生育歴の聴取
・親子のみならず治療者も現在や過去の単一エピソードにこだわらない。点としてではなく過去から現在に至る連続した線として理解する
・親の受容能力を判断する。負担をかけすぎることで返って不安定になり,子どもも不安定になる
・誰が悪いかという問題ではない。親や子どもの責任として問題を扱わない。治療の目的は犯人探しをすることではなく,なぜそのような関係になったのかを治療者とともに真摯に考察する

[02/02/20]   今回は、「思春期自殺企図における家族の役割について」です。

私は大学病院勤務時代に、救命救急センターリエゾンという仕事をしていました。児童精神科医でありつつ、救命救急センターに搬送されてくる外来、入院患者さんの中で、精神科的治療が必要な方に救命救急科の先生と一緒に治療に参加していました。その中でも自殺企図で搬送されてくる方は多く、多くの時間を治療につかっていました。その中で自殺再企図を防ぐためにはどうしたらいいのか、ということが私の臨床の中で大きなテーマになりました。自殺をテーマに臨床研究をいくつか行い、論文も発表してきました。
今回は思春期の自殺企図、ないしは自殺再企図を防止するための、家族の役割について考察しました。

<自殺の原因>
Bio-Psycho-Socialモデルで考えると以下のようにまとめることができる。

・Bio
身体疾患
精神疾患
家族歴 (精神疾患、自殺)
年齢、性別、人種等
・Psycho
性格
コーピング能力・対処方法
・ Social
経済問題
家庭問題

今回はこの中で家族の問題についてフォーカスします。

<家族の問題>
幼少期に何らかの原因により家族(主に養育者:通常は母親であることが多い)に見てもらいたい,甘えたいとうい気持ちを不自然に抑え込む

親子の間での情緒交流の障害
↓                  
家族内で依存する経験が少ない
(適切な二者関係を築く経験に乏しい)

言葉による問題解決や他人とのコミュニケーションが不得手

思春期に至り否定的なライフイベントに遭遇した際
社会的孤立感にさいなまれ自傷行為を選択する

上記のような構図ができあがっているケースは非常に多く。それはどの精神疾患だからというわけではなく、生育歴上に共通点があるなという印象は臨床をしていて感じていました。自殺企図に至る思春期例において共通する生育歴を以下にあげてみました。

[01/30/20]   5.まとめ
児童精神科外来を受診しているBPD患者と健常者を対象として生育歴の比較を行っており,BPDの生育歴を検討した最初のpilot studyである。その結果,「25. 一次反抗期がない」と「26. 入園時の分離不安がない」の2項目はBPD群において有意に高かった。また,「6. 家族(主に母親)がいなくても平気でいる」と「7. 親の後追いをしない」に関しては有意差は認められないものの高い傾向にあった。これらの生育歴の特徴は,Linehanのいう不認証環境の結果出現するものと考えられ,これらの特徴から浮き彫りになる母親と本人との2者関係の問題が,現在認められる自傷行為や自殺企図などの問題につながっているのだと考えられる。BPDの生育歴の特徴を理解することで,横断的だけでなく生育歴から現在につながる縦断的な診断を行うことができ,またその特徴から導き出される母子関係の問題を本人,特に母親に理解させることで不認証環境を変化させることができる可能性があると考えられる。このように,診断,治療の二つの側面からも治療者側がBPDの生育歴の特徴を理解しておくことは非常に重要であると考えられる。BPDに限らず生育歴を聴取することで,診察室の目の前にいる患児がいままでどうやって生きてきてのかを知り,その上でいまなぜ症状がでているのか,そして治療を行うことでこれからどうなっていくのかを予測することができるのである。今後BPDの生育歴の特徴を抽出するためにはさらなる症例の蓄積や,評価スケールの作成が必要であると考えられる。

[01/27/20]   まずLinehanはDBT理論を構築するにあたって,invalidating environment (不認証環境) をひとつの要因として重視している。この特徴は,養育者がその子どもの個人的体験(信念,思考,感覚,感性)に対して一貫性のない不適切な対応をとり続けることである。こうした不認証環境の中では,子どもの個人的な経験や感情表現は妥当な反応としてみなされることはないとLinehanは述べている。このLinehanの言うところの不認証環境は母親から生育歴を聴取することであきからにすることができる。本研究の結果から,「25. 一次反抗期がない」と「26. 入園時の分離不安がない」は有意差があり,「6. 家族(主に母親)がいなくても平気でいる」と「7. 親の後追いをしない」はBPD群では高い傾向にあった。当院での先行報告では,BPD患者は小さい時から母親に甘えることができず,自分から要求することが少なく育ってきていた。すなわち,自分から何かを要求したり,泣いたり,ぐずったりすると母親は怒ったり不機嫌になった。そのため本人は母親の顔色を窺い母親が不安あるいは不機嫌にならないように先回りして行動していた。つまり,幼少期より母親の感情に合わせて自己の感情の表出を行っており,これまで患者ががまんしている間はあまり気にされず,極端な感情表出をした時だけにしか反応しない環境であり,患者にとっては情緒を抑えるか,または極端に反応するか,両極端になるように育っている背景があった。そのため,本来親の承認の下で自己の感情を表出するプロセスが獲得できておらず,したがって第3者との関係で適切に感情を表出する基盤を欠いていた。そのために現在に至って初めて自殺企図という手段を使って他者,特に母親への要求が出ていた。このような生育歴の経過があるため,本研究の結果のように「一次反抗期」や「入園時の分離不安」が乏しくなるのだと考えられる。つまり,「一次反抗期」や「入園時の分離不安」が強くでると母親により負担がかかり,母親自身の不安が強くなるために本人はがまんして要求をださないのである。「家族(主に母親)がいなくても平気でいる」と「親の後追いをしない」も同じ理由からBPD群において高い傾向にあると考えられる。また,本研究から抽出された生育歴の特徴は不認証環境が存在するために出現してきていると考えられる。つまり,臨床において母親から生育歴を確認する作業を行う中で,BPDに特徴的な生育歴を認めた場合にはそこに不認証環境が存在していた可能性を考えなくてはいけないのである。

[01/20/20]   今回は、「思春期境界性パーソナリティ障害の生育歴の特徴について」です。
私の論文から一部抜粋しております。
境界性パーソナリティ障害(borderline personality disorder: BPD)の有病率は約 1%であり
頻度の低くない疾患である。精神科外来患者の約 11%,精神科入院患者の約 19%に BPD
の診断がついたと報告されている。BPD の症状は Diagnostic and Statistical Manual of
Mental Disorders, Fourth Edition, Text Revision (DSM-Ⅳ-TR) 6)では,「対人関係,自己像,
感情の不安定および著しい衝動性の広範な様式で,成人期早期までに始まり,種々の状況で
明らかになる」と定義されている。さらに DSM-Ⅳ-TR には,「自殺の行動,そぶり,脅し,
または自傷行為の繰り返し」の項目が診断基準の中に入っており,実際の臨床でも BPD は
高率に自殺を繰り返すことが多く治療に難渋する。BPD の自殺率は 9-36%であり,BPD と
診断されている外来患者の 75%が少なくとも 1 回の自殺企図歴があると報告されている。
そのため BPD に対する早期の適切な診断,そして自殺再企図防止を含めた治療的アプロー
チが非常に重要である。BPD は思春期頃に症状が顕在化してくることが多く,思春期の自
殺企図患者の中にも BPD は含まれている。このような現状に鑑みると,思春期 BPD の自
殺再企図防止は思春期臨床の重要なテーマの 1 つと考えられるが,思春期 BPD の自殺企図
の特徴や自殺再企図防止を試みた報告は少ない。
そのため,当院では自殺企図で救命救急センターに搬送された患者の治療を通して,思春期
BPD の自殺企図の特徴と自殺再企図防止の治療的アプローチについての報告を行った。思
春期 BPD における自殺企図の再企図防止のためには,合併する精神障害の治療,BPD に
対する患者本人への力動的精神療法と家族(特に母親)に対するアプローチ,それに加えて認
知行動療法的アプローチが不可欠であると思われた。力動的精神療法では,本人と共に生育
歴を振り返る作業を通じて不適切な親子,特に母子関係を浮き彫りにした上で治療者との
間で要求,交渉,そして折り合いをつける作業を行い,2 者関係を築くことが出来るように
していった。また家族へのアプローチでは,生育歴を振り返る作業を通じて,母親に次第に
自殺企図の要因を現在や過去の単一のエピソードではなく,幼少期からの連続性がある問
題としてとらえさせ,親子の情緒交流の再構築を通じて家族による患者への支持機能を強
化し,自殺の再企図防止を行うことを治療の目標とした。さらに,認知行動療法的アプロー
チに関しては,筆者らは Linehan の弁証法的認知行動療法 (dialectic behavior therapy:
DBT)の中の苦悩耐性スキルを改変し,希死念慮出現時の危機介入方法として認知行動療法
的アプローチを行い治療効果を認めた。

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