23/02/2023
塗り絵で脳がイキイキ!(公明新聞、1/15日付より抜粋)
塗り絵は頭を使いながら指先を動かすので、脳が活性化され認知症の予防につながると言われています。種類や難易度も豊富で、だれでも手軽に始められますよ。そこで塗り絵による脳の活性化について脳科学者で公立諏訪東京理科大学の篠原菊紀教授に聞きました。
「前頭前野」を活性化、認知症リスクの低下も
塗り絵をしているときの脳の状態を見ると、特に知的活動を担う中枢部位である「前頭前野」が活性化していることが分かります。「前頭前野」は加齢とともに衰えやすい「ワーキングメモリ」(作業記憶)の働きにも影響を及ぼしていますが、塗り絵の工程を工夫し、考えながら作業するjことで、前頭前野が刺激されます。同様に空間の認知に関わる「頭頂連合野」、細かい模様を塗る作用に関係する「運動関連野」等も活性化されます。
塗り絵等頭を使う趣味のある人は、認知症や軽度認知障害(MCI)の発生が少なくなることが知られています。具体的には認知症全体のリスクを23%、アルツハイマー病では43%低下させたという研究もあります。頭を使う趣味を複数持つと、認知症リスクの低下などに、より効果があると報告されているので、ぜひ実践してみて下さい。
「脳トレ」「リラックス」難易度は目的に合わせて
塗り絵の本などを選ぶ際は、難易度が幅広く用意されているものがお勧めです。塗り絵にまだ慣れていなかったり、難しいと感じたりするときは、前頭前野が活発に働き、いわゆる「脳トレ」になります。その後、手慣れてくると脳が沈静化し、リラックス効果が得られます。「脳トレ」と「リラックス」、いずれの効果も大切ですが、ご自身の目的に合わせて難易度を決めると、メリハリがつくでしょう。また、自分の好きな景色など「最後まで完成させたい」と思える塗り絵を選ぶことが、楽しむコツになります。やる気に関わる脳の「線条体」が活性化され、記憶力のアップやスキルの早期習得に繋がります。
【実践のポイント】
・難易度が幅広く用意されている本がお薦め
・「最後まで完成させたい」と思えるものを選ぶ。記憶力の苦情が期待。
・「心を籠める」「スピードアップ」で脳トレ効果がさらに高まる。
・「立体化を出す」など課題にも挑戦
塗り絵をする際にトレーニングを目的として負荷をかけたい場合は、課題の難易度に加えて、より心を込めて作業してみたり、スピードアップを意識したりすると効果が高まります。さらには「立体感等の空間や色彩の細やかな違いを意識して表現する」「枠をはみ出さないで塗る」といった課題を課してみても、効果は大きいです。
視力が低下している場合は、見づらいものを無理の見ようとしても脳トレの効果は関係ないので、老眼鏡をかけるなどしてから始めてみましょう。指先を使うこと自体がトレーニングになります。簡単なものから気軽に始めてみて下さい。認知症を予防し健康を維持するためには、日々の生活習慣や運動が基本になります。その上でぜひ塗り絵にも挑戦してもらえればと思います。