
14/03/2025
📙鍼灸師が栄養精神医学を学ぶことの重要性📙
鍼灸は、身体のエネルギーバランスを整えるだけでなく、精神的な安定にも貢献する治療法です。
一方で、精神的な健康には「栄養」が大きな役割を果たすことが近年の研究で明らかになってきました。
#栄養精神医学(Nutritional Psychiatry) は、食事や栄養素が精神的健康に与える影響を研究する分野であり、鍼灸と組み合わせることで、より包括的な治療が可能になります。
⸻
1. 栄養と精神の関係:気血水の視点
東洋医学では「気・血・水(き・けつ・すい)」のバランスが健康の鍵とされ、精神的な不調もこのバランスの乱れと関連づけられます。栄養精神医学の視点を取り入れることで、栄養不足が「気の巡りの悪さ」「血の不足」「水滞」などにどのように影響を与えるのかを深く理解し、より的確な治療ができるようになります。
例えば:
• 気虚(エネルギー不足) → 鉄・ビタミンB群不足(ATP産生低下)
• 血虚(血の不足) → 鉄・葉酸・ビタミンB12不足(赤血球減少・貧血)
• 水滞(むくみ・鬱滞) → 低タンパクなど
これらの栄養医的要因を補うことで、 #鍼灸 の効果をさらに高めることができます。
⸻
2. 自律神経と栄養の関係:鍼灸との相乗効果
鍼灸は副交感神経を優位にし、ストレスの軽減に役立ちます。しかし、自律神経のバランスを整えるには、脳と腸をつなぐ「腸脳相関(gut-brain axis)」が重要であり、ここに栄養が深く関わっています。
• 腸内環境が悪化するとセロトニン・ドーパミンの分泌が低下(気分の落ち込み・不安)
• 血糖値の急変動が交感神経を過剰に刺激(イライラ・不眠)
• オメガ3脂肪酸不足が炎症を引き起こし、うつ病のリスクを高める
このように、精神的な不調には栄養の影響が大きいため、鍼灸治療と並行して適切な栄養指導を行うことで、より効果的なアプローチが可能になります。
⸻
3. メンタル疾患に対する統合的アプローチ
精神科の治療では、抗うつ薬や抗不安薬が使われることが一般的ですが、これらの薬は根本原因を解決するものではなく、副作用のリスクもあります。栄養精神医学を取り入れた鍼灸治療では、以下のようなアプローチが可能です。
① うつ病・不安障害
• セロトニンの前駆体であるトリプトファン(アミノ酸)を摂取
• 鉄・亜鉛・マグネシウム不足を補い、神経伝達を正常化
• 鍼灸で自律神経を整え、ストレス耐性を向上
② パニック障害・不眠症
• 例、GABA(リラックスホルモン)を増やすビタミンB6などのB群の補給
• 血糖値の急変動を抑える食事指導(低GI食品の摂取)
• 安眠のツボ(神門・百会・失眠など)への鍼治療
③ ADHD・自閉症スペクトラム(ASD)
• 例、オメガ3脂肪酸(EPA・DHA)を摂取し、脳の炎症を抑制(青魚・ナッツ)。鉄欠乏の改善、水銀対策など。
• 人工添加物・グルテン・カゼインの除去で腸内環境を改善
• 鍼灸で過敏な神経系を調整し、集中力を向上
⸻
4. 鍼灸師としての強みを活かす
医師が栄養精神医学を取り入れる場合、血液検査やサプリメントの処方が主流になりますが、鍼灸師は「体質」や「気血水のバランス」を見極めながら栄養指導を行うことができます。
例えば、同じ「うつ状態」の患者でも、
• 「気虚タイプ」なら、消化を助けるツボ(足三里・中脘)を刺激しながら栄養吸収を促進
• 「血虚タイプ」なら、補血作用のある食材(レバー・黒ゴマ)を提案
このように、「個々の体質に合わせた栄養療法+鍼灸」という統合的なアプローチ を取ることで、より効果的な治療が可能になります。
⸻
まとめ:鍼灸×栄養精神医学の可能性
• 精神的な不調には栄養の影響が大きく、栄養状態の改善で鍼灸の効果を高められる
• 自律神経・腸脳相関・ホルモンバランスを考慮し、統合的な治療が可能になる
• 体質(気血水)を見極めながら、個別化された栄養指導を行えるのが鍼灸師の強み
現代では、ストレスや不安障害を抱える人が増えています。「心身の両面からアプローチできる鍼灸師」が、栄養精神医学を学ぶことで、より多くの患者の助けとなることができるでしょう。
#鍼灸 #鍼灸師 #栄養精神医学 #日本栄養精神医学研究会 #メンタルヘルス #メンタルヘルスは食事から #奥平智之 #食事療法 #栄養療法 #食事栄養療法倶楽部
日本栄養精神医学研究会