27/11/2019
『メマイ』この厄介なるもの
①グルグル回る回転性めまい。
②フワフワするめまい。
③なんだか歩行時に不安定。
うまく表現できない方ですと、全部『めまい』っていう訴えになってしまいます。
②フワフワの場合は血圧変動によるものが多くを占めそうです。一過性の血圧低下で立ちくらみ様のメマイが出ることがありますし、血圧上昇でホワホワすることもあるようです。
③歩行時の不安定ですと頚椎や腰椎病変、糖尿病性神経障害による感覚障害に起因するものがありえます。シビレてないから自分は違う?いやいや、感覚ってのは幾つかあり、足裏の圧力を感じる圧覚、目で見なくても足の位置がわかる位置覚などが侵されると歩行が不安定になります。人によってはこれをメマイと表現するんです。
①回転性めまい
もっともメマイらしい症状ですね。天井が回っていたとか、壁が傾いてきた、自分が回っている感じなどの訴えになります。嘔吐を伴うこともしばしばです。
とっても驚きますし辛い症状ですので患者さんは『脳の病気になってしまった』と感じる事が多いのではないかと思います。しかしながら、救急車で搬送されたメマイ患者さんで脳疾患が原因である率は5%程度という報告が多いです。残り95%は主に三半規管の不調によるメマイということになりましょう。
a. 頭の位置を変えたときに発生し、じっとしていれば1分未満で治まるものであれば、耳石によるメマイ。両性発作性頭位変換めまいが一番に考えられます。エプリー法などの耳石置換法が有効なことが多いです。乱暴にいえば薬よりも頭を動かすことで治っていきます。MSDマニュアルでは薬物は長期使用すると悪化することもあると記載されていますね。
b.メニエール病。やたらと有名ですがほとんど居ません。音を聴く蝸牛と平衡感覚を感じる三半規管は発生学的に双子の兄弟みたいなものです。リンパ液が音で震えるのを検知するのか、リンパ液と身体の動きの差を回転運動として検知するか、の違いで同じリンパ液を利用しています。神経もほぼ伴走しています。この両方が同時に不調になるのがこの疾患です。耳閉感や低音難聴が前兆で起こり、激しい回転性めまいがやってくるものです。数年ごとに繰り返し起こる方がパターンを認識するようになって診断がつくこともあります。
c.前庭神経炎。メニエールと言われている方で音の症状がない方は実はこちらかもしれません。三半規管のみの不調ということになります。ウイルスの活性化などが、聴覚と平衡感覚をどれだけ巻き込むかという違いなのかも知れません。
b.c.どちらも一晩程度ひどい回転性メマイがおこり、少しずつ回復してノソノソ動けるようになり1週間以内には回復することが多いでしょう。
d.脳卒中。5%というと100人中95人は大丈夫です。逆に20人に1人と考えると多く感じるかもしれません(数学的には同じことなんですけどね)。正直いうと、b.c.と急性期に見分けるのは困難です。不安なときは脳の検査しておいて間違いはないってことは言えるでしょう。
e. そのほか慢性メマイ。常時メマイがして困るという方。症状は本人が困るという割には食事もでき普通に歩いて外来にみえます。だいたいどこかで『メマイ薬』が処方されていて何年も内服されたりしています。メマイがあるため日常の活動性は低いです。
中にはPPPDというサブタイプで、鬱に効く薬(SSRIかSNRI)が有効な一群がいます。これはスコアリング法があって該当者に試しに処方すると効く方は著効しますんですぐわかります。
そうでない方にどうするか。
そう今回のテーマはここからが本番です。今までのは前書きです。忘れて構いません(いや、折角書いたのでちょっとは覚えて欲しい)。
大体、2年も3年も『メマイ薬』飲んでて治ってないのならば、効いてないってことですよね。いい加減その薬やめたらどうですか?と言うと、この群の患者さんからはモーレツな抵抗に遭います。依存症みたいになってないか心配になりますが、ま、好きにして下さいって話になります。そこは仕方ないとして…
慢性メマイ患者さんは、とにかく不活発。安静にした方がいいという耳優しい言葉を期待しています。我々はできる範囲で動いていってください。前庭リバビリテーションが有効なんですよ、という話をしますと、それはもう、激しい拒絶反応を示す方も居ます。
最近、BMJという一流医学誌に運動療法の高い有効性を示す論文が掲載されました。今までの長〜い前書きはその紹介だったのです(笑)ここでガックシとメマイを覚えた方、頑張って続きをお読みになって鍛えましょう。
慢性メマイを有する50歳以上の患者322例を対象に、インターネットベースの前庭リハビリテーション(VR)群と理学療法単独群、両方併用群の効果を無作為化3群並行群間比較試験で検討しました。
結果は理学療法単独群よりもVR単独群および併用群の方が6カ月時のめまいスコア(VSS-SF)が良かった(調整後平均差:−4.1点、−3.5点)。3カ月時点での評価も同様であった。VR単独および併用群の方が3カ月および6カ月時の浮動性めまい関連症状や不安が少なく、メマイの自覚的改善度が高かった。VR関連の不具合はなかった。
というものでした。英語読める方はご覧下さい。無料公開されてます。BMJはインターネット黎明期から無料公開論文を結構出してましたというか、最初は全文無料だったような気もします。やっていけるのか不安でしたが現在は部分公開という他誌と同じ方法ですね。
VRの自己練習法についても論文途中でリンクがあります。まずはSUBMITしないといけませんが、登録途中に脳卒中じゃないよね、脊髄症状じゃないよね、みたいに上記の鑑別をしていくチェックリストがあります。晴れて(?)ホンモノの慢性メマイ症の方だけがそこに到達すると運動療法がみられます。まあ、要は頭を動かせって話なんですがね。継続できるかってところも大事そうです。全く外来で言ってることと同じで笑えましたが、これからはBMJでも高い有効性が報告されてされている、と胸をはって言えます。もちろん理学療法の有効性ってのは以前から言われてて、今回はインターネットでの自己トレを加えると尚良いって内容なんですけどね。
Objective To investigate the clinical effectiveness and safety of stand alone and blended internet based vestibular rehabilitation (VR) in the management of chronic vestibular syndromes in general practice. Design Pragmatic, three armed, parallel group, individually randomised controlled trial. Sett...