18/11/2025
【「見守ってください」という言葉の落とし穴】
最近よく耳にする「見守ります」「見守ってください」という言葉。聞こえは優しいけれど、依存症の家族支援の場面では、実は注意が必要な言葉だと思っています。
なぜなら、この言葉には“具体性”がないからです。
「どう見守ればいいの?」
そこが誰も説明してくれないまま、家族だけが不安を抱え続けてしまうことがよくあります。
特に依存症の家族は、本人の言動にどうしても目が向きやすく、気づけば“ずっと観察してしまう”状態に陥ります。
断酒が続いている家族でさえ、無意識に「今日の様子は大丈夫かな」と目で追ってしまう…そんなケースは本当に多いんです。
でも本来、家族に必要なのは「依存症者を見張ること」ではなく、
●家族自身の感情を整理すること
●正しい情報を得ること
●自分たちの生活と安全を守ること
●仲間とつながること
など、“自分にできること”に集中することのはず。
だからこそ、「見守ってください」という言葉に頼りすぎると、家族が本当に向き合うべき自分自身から目をそらしてしまう危険があるのです。
そもそも「見守ります」という言葉は、支援者側から生まれたフレーズで、教科書的で抽象的なアドバイスになりがち。
家族は支援者に遠慮して聞き返せず、そのまま従ってしまうことも多いものです。
けれど実際に必要なのは、もっと個別・具体的なサポート。
家族の状況は一つとして同じではありません。
だからこそ私は、
“耳障りのいい言葉ほど、少し立ち止まって考えたほうがいい”
と強く感じています。
家族にもできることはたくさんあります。
そして支援者もまた、家族に寄り添いながらアップデートしていく必要があるのだと思います。
★本日の「LOOK奈良」の勉強会は、12人の参加者があり、遠方からの参加者もいらっしゃいました。また支援者の方の参加もありました。
★LOOKは、家族が主体的に語れる場所を提供しています。今、問題に悩んでいる方、どうぞご参加ください。