18/01/2026
「がん治療後の人生は、霧の中を泳いでいるように感じる。向こう岸も、その先に何が待っているのかも見えない。」
この表現は、これまで多くの患者さんから耳にしてきましたが、とても的確な例えだと思います。がんは、他の経験とは比べものにならないほどの不確実性をもたらします。そして、その不確実性をそのままにしておくと、やがて圧倒されるような不安や混乱へとつながってしまうことがあります。
ここで、ひとつ優しい視点の転換を提案させてください。
不快感は避けられません。けれど、圧倒されるかどうかは選ぶことができます。
これは、物事が楽だという意味ではありません。未来が見えなくても、自分でコントロールできることは、今この瞬間にも確かに存在している、ということです。
不快感に少しずつ慣れていく回復やしなやかさを支える基本は、私たちの多くがすでに知っています。休息、栄養、動くこと、つながり。
難しいのは「知っているかどうか」ではなく、やる気が出ないときや、先が見えないときに行動を選べるかどうかです。
確実さを待ち続けると、立ち止まったままになってしまうことがあります。進歩は、多くの場合、見通しが立たない中でも一歩踏み出すことから生まれます。
不確実な中でも前に進むための、シンプルな方法
1.不快感を認める
評価せず、そのまま言葉にしてみてください。
「先が見えなくて不安」「これはつらい」
気づくことが、不快感が圧倒感へ変わるのを防いでくれます。
2.基本に立ち戻る
何もかもが不確かに感じるときこそ、「助けになると分かっていること」に戻ります。
🥗 栄養を意識して、できるだけ規則正しく食べる
🛌 眠れるときに、しっかり休む
🚶♀️ 無理のない範囲で、体を動かす
🤝 外に出る、あるいは誰かとつながる
これらは小さなことではありません。心と体を安定させる「土台」です。
3.次の一歩を選ぶ
完璧な計画は必要ありません。
「今できる、次の妥当な一歩」だけで十分です。
一度の散歩。ひとつの食事。医療チームへの質問。ひとつの予約。
そして、また繰り返します。
自信や落ち着きは、未来がはっきり見えることから生まれるのではありません。
見えなくても進める、という経験を自分に重ねていくことで育っていきます。
介護やサポートをされている方へ。
すべての答えや解決策を持っている必要はありません。つらさの中にいるときこそ、安定して、変わらず、そばにいること。その存在が、思っている以上に大きな支えになります。
もし今、霧の中にいると感じているなら、思い出してください。
道のすべてを見る必要はありません。
今日、心と体を支える「次の一歩」を踏み出せばいいのです。
進歩は、静かに、不完全なまま、そして多くの場合、霧が晴れる前に始まっています。
東京キャンサークリニックでは、個別化した免疫細胞療法とエビデンスに基づくライフスタイル医療を統合し、がんのその先の人生を支えています。
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