一般社団法人信州上田みらい塾

一般社団法人信州上田みらい塾 宮坂昌之(大阪大学免疫学フロンティア研究センター・招へい教授、大阪大学名誉教授)が代表理事です。医学健康情報の発信を行います。

反復して運動をすると、使った筋肉は量的に増加するとともに持久力が増してきますが、使わない筋肉に関しては量的に変わらず、持久力も増しません。これは運動をしたという記録がその使った筋肉に残されているからですが、それ以外にも、運動したという記録が...
15/02/2026

反復して運動をすると、使った筋肉は量的に増加するとともに持久力が増してきますが、使わない筋肉に関しては量的に変わらず、持久力も増しません。これは運動をしたという記録がその使った筋肉に残されているからですが、それ以外にも、運動したという記録が脳に残されていて、この記録が筋肉の持久力増加に大事なのだという報告が出ています(https://www.cell.com/neuron/fulltext/S0896-6273(25)00989-4?rss=yes)。

これはマウスを使っての実験結果ですが、マウスをトレッドミルに乗せて運動させると、運動したということが筋肉だけでなくて脳にもインプットされ、その結果、脳の特定の領域(VMH領域;満腹中枢として機能する領域)の特定のニューロン(SF1ニューロン)が刺激、活性化され、それが再び筋肉への刺激となって筋肉の持久力が増す、ということが観察されました。つまり、筋肉と脳の間には機能的なフィードバックループがあり、それを介して筋肉の持久力増加・維持がなされている、ということです。

これを支持することに、① 実験的にSF1ニューロンの働きを止めると、そのマウスにおいて運動による効果が上がらなくなる(=筋持久力が増加しなくなる)、② 実験的にSF1ニューロンを刺激すると、運動による効果が増強する、ということが観察されています。

以上のことから、筋持久力の増強・維持には脳が関与していて、運動したという「記録」が脳に残されるようです。具体的には、運動によって視床下部のVMH領域のSF1ニューロンが活性化され、それが筋持久力の増強・維持に必須の役割をする、ということです。これはマウスを使っての実験結果ですが、ヒトでもこのようなことが起きている可能性があります。高齢化や寝たきりで筋力が次第に低下してきますが、脳の特定の部位の活性化が筋持久力の向上・維持に重要だとすると、その部位をうまく活性化させることが運動療法の効果を上げるために大事なのかもしれません。あるいはスポーツ選手のパフォーマンス向上にも何かヒントとなるようなことが含まれているのかもしれません。

樹状細胞は「免疫の司令塔」とも呼ばれる細胞で、免疫反応を「攻撃」のほうに動かすか、それとも「回避」(=免疫寛容)のほうに動かすか、を決めてくれます。この細胞はロックフェラー大学のラルフ・スタインマン博士の研究グループが発見し(京大から留学し...
14/02/2026

樹状細胞は「免疫の司令塔」とも呼ばれる細胞で、免疫反応を「攻撃」のほうに動かすか、それとも「回避」(=免疫寛容)のほうに動かすか、を決めてくれます。この細胞はロックフェラー大学のラルフ・スタインマン博士の研究グループが発見し(京大から留学した稲葉カヨさんが重要な貢献をした)、スタインマン氏はこの発見で2011年にノーベル生理学・医学賞を受賞しています。

樹状細胞は、異物に出会うと、細胞内に取込み、分解して異物の断片を細胞表面に提示し、T細胞に対して「これが抗原ですよ」と知らせます(すなわち抗原提示をします)。その結果、特定のT細胞が活性化され、その抗原に対する獲得免疫反応が始まります。これがウイルスの場合であれば、ウイルスに対する免疫反応が起きて、やがてウイルスがからだから排除されるようになります。一方、一部の抗原(ex. 食物抗原)に対しては樹状細胞が取込んでT細胞を刺激するのですが、免疫を抑制する制御性T細胞を選択的に刺激して、その結果、その抗原に対する免疫にブレーキがかかり、その抗原を受け入れ、共存できるようになることがあります。これが「免疫寛容」という現象です。

樹状細胞はいくつかのサブセットから成り、そのうちの一部のものが制御性T細胞を活性化する「免疫寛容導入型」のものであることが分かっていますが、どのような分子機序でそのような樹状細胞が出来てくるのか、よく分かっていませんでした。

今回、アメリカのシカゴ大学の研究グループが、樹状細胞を免疫寛容誘導型にすると思われる転写因子を同定し、この因子の働きをマウスで止めると、SLE様の自己免疫の病態が始まることを明らかにしました。

彼らは、Etv3とよばれる樹状細胞に発現する転写因子がSLE患者では低く、その場合には樹状細胞の異常な活性化が起きていることから、マウス使って研究を進めました。その結果、
1.Etv3は、NF-kB経路と協調して樹状細胞の成熟をもたらし、樹状細胞表面にCCR7(ケモカインレセプター)の発現を誘導して、樹状細胞を局所からリンパ節内へと移動させる。
2.このEtv3を発現する樹状細胞は、制御性T細胞に働いて、通常のT細胞にブレーキをかけ、このために「免疫寛容」が成立する。
3.Etv3を人工的に欠損させると、NF-kB経路だけが働くようになり、制御性T細胞を誘導能力が消え、このためにT細胞が異常に活性化されて、自己に対する攻撃が始まる(=自己免疫)。
などのことがわかりました。

以上のことから、Etv3は免疫寛容誘導に必要な樹状細胞の機能維持に必須の転写分子であると考えられます。これは主にマウスの研究からわかったことですが、ヒトのSLE患者でもEtv3発現低下が認められることから、果たしてこの分子がヒトでの自己免疫疾患発症に関わる制御因子の一つであるのか、新たな治療の標的になるのか?今後さらなる解析が進められていくでしょう。免疫学にはまだまだわからないことがありますが、少しずつ謎が解けつつあります。

イギリスで作られたアデノベクターワクチンは、一時期、新型コロナワクチンとして世界中で使われました(日本では約10万人に接種され、その後ほとんど使われなくなりました)。その結果、きわめて稀ではあったのですが、接種後に血小板減少と血栓症という重...
13/02/2026

イギリスで作られたアデノベクターワクチンは、一時期、新型コロナワクチンとして世界中で使われました(日本では約10万人に接種され、その後ほとんど使われなくなりました)。その結果、きわめて稀ではあったのですが、接種後に血小板減少と血栓症という重篤な副反応が起きることが分かりました。ただし、アデノウイルスに感染した後にも、同様のことが見られることがあり、おそらく、アデノウイルスに対する免疫反応が少数の人たちにおいて悪いことをしているのであろう、と推測されていました。

その後の調査結果は、血小板減少や血栓症を起こした患者では、血小板から放出される凝固因子PF4に対する抗体(=自己抗体)が体内で出来ていて、これが血小板減少と血栓症を引き起こすことが明らかになりました。
https://www.facebook.com/masayuki.miyasaka.9/posts/pfbid0sMzfs68nceX2CT232YjgtthwvyArbxBF8hCA8qWD27cTc1kxAzkoP6k1DTgL2Ai6l
しかし、どうして一部の人だけでこのような自己抗体産生が誘導されるのか?これについては不明のままでした。

今回、カナダの研究グループがこの問題に取り組み、自己抗体の抗原であるPF4というタンパク質とアデノウイルスの特定の部分(コアタンパク質VII)の配列が非常によく似ていて、一部の人ではアデノウイルスに対する抗体が間違ってPF4に働き、血小板減少や血栓症を起こす、ということを明らかにしました。以下、かなり専門的な話になります。

この一部の人というのは、特定の免疫グロブリン対立遺伝子(IGLV3-21*02または*03)を持っている人で、その遺伝子上では特定の突然変異が起きやすく、そのために当初、アデノウイルスに対して出来た抗体が交叉反応的にPF4に反応するようになる、ということが今回分かりました。

以上、短くまとめると、免疫グロブリン軽鎖アレルIGLV3-21*02または*03を持つ人においてはその遺伝子上で特異的な体細胞高変異が発生し、その結果、アデノウイルスコアタンパク質pVII上の特定のエピトープに対して作られたはずの抗体が間違ってPF4に結合し、これがVITT(ワクチン起因性免疫性血小板減少症/血栓症)を起こす、ということです。

もっと簡単に言うと、遺伝子変異の結果、いわゆるmolecular mimicry(分子擬態:本来無関係である微生物の抗原とヒトのタンパク質が似ていて、そのために間違った反応が起きる)という現象が起きてその結果、自己に対する攻撃が起きた、ということです。でも、こういうことがあると、特に新型コロナワクチンのような接種回数が多いものに関しては、アデノベクターを今のまま使うのはちょっと難しいですね。

現在の新型コロナワクチンは、重症化を抑制する力は強いのですが、感染を未然に防ぐ力はあまり高くありません。その理由は、血中には高いウイルス中和能を持つ抗体やT細胞が出来てくるのですが、鼻粘膜には一部の抗体やT細胞しか移動せず、鼻腔局所での抗ウ...
12/02/2026

現在の新型コロナワクチンは、重症化を抑制する力は強いのですが、感染を未然に防ぐ力はあまり高くありません。その理由は、血中には高いウイルス中和能を持つ抗体やT細胞が出来てくるのですが、鼻粘膜には一部の抗体やT細胞しか移動せず、鼻腔局所での抗ウイルス免疫が十分にならないからです。

この点を改善すべく、中国では鼻腔からのワクチン投与の試みが行われていて、アデノベクターにスパイクタンパク質を組み込んだワクチンが鼻腔投与用として開発されて試験的な使用が行われています。予備的な結果としては、感染予防にかなり役立つということのようで、今回、どのようなメカニズムで強い免疫を誘導できるのか解析が進められ、その結果が専門誌JCI Insightに発表されています。中国・広州の研究グループによる仕事です。以下、かなり専門的な部分があるので、興味がおありの方だけご覧ください。

この調査では、既に新型コロナワクチン接種2回とさらに新型コロナ感染歴のある人42名に対して、スパイクタンパク質を抗原にしたアデノベクター型粘膜ワクチンを鼻から投与し、血中と鼻腔における免疫反応を調べています。

その結果、
1.鼻腔のIgA抗体は、血中の抗体と比べて、新型コロナウイルスに対して非常に強い中和能を示していました。
2.鼻腔局所から得られたモノクローナルIgA抗体は、血中のIgGよりずっと高い中和活性を示していました。
このことから、鼻腔局所では中和活性が非常に高いIgA抗体が作られていて、鼻腔からの免疫は非常に効果的で強い抗ウイルス免疫を誘導していたことが確認されました。
次に、
3.血中のIgA産生B細胞を調べると、鼻からの追加接種後にはその細胞表面に粘膜に移動するために必要な接着分子とケモカイン受容体の発現が増加していました(つまり、粘膜に移動しやすいIgA産生B細胞が増えていたということです)。
4.鼻腔粘膜には粘膜指向性B細胞を呼び込むために必要な誘引物質(ケモカイン)が多量に産生されていました(つまり、鼻腔局所にはIgA産生細胞を引き寄せやすい環境ができていたということです)。

以上のことをまとめると、
「新型コロナに対する免疫をもっている人に対して鼻腔から追加接種をすると、スパイクタンパク質に対するIgG産生B細胞が増えてIgA産生B細胞に変化するとともに、鼻腔に移動しやすい性質を獲得し、一方、鼻腔側ではそれらを呼び込みやすい環境ができ、このために鼻腔での強い抗ウイルス免疫が成立するようになる」ということが分かりました。

まあなるほど、という結果ですが、鼻腔は距離的に脳と近いために、鼻腔からワクチン投与をするというのは副作用がやや心配です。また、すでに普通の新型コロナワクチンで明らかになっていることですが、アデノベクターベースのワクチンは、mRNAベースのものと比べて、血栓を起こしたり心筋炎を起こしたりするリスクがやや高めで、その点でも少し心配です。ただし、鼻腔からの追加免疫はうまく行けば、新型コロナに対して強い免疫を誘導できることは確かで、粘膜ワクチンはおそらく感染予防効果もかなりあるのではないかと思われます。あとは副反応の問題がどうかということでしょうね。まあ、反ワクチンの方々はこんなに弱いウイルスにはワクチンは不要というでしょうが…。でも、後遺症になってから「しまった」と言っても遅いですよ。

デング熱は、熱帯や亜熱帯で流行するウイルス疾患です。通常1週間ぐらいで回復しますが、時に重篤なデング出血熱になることがあります。ネッタイシマカ(Aedes aegypti)などの蚊が媒介する病気で、人から人へは感染しませんが、よく効くワクチ...
12/02/2026

デング熱は、熱帯や亜熱帯で流行するウイルス疾患です。通常1週間ぐらいで回復しますが、時に重篤なデング出血熱になることがあります。ネッタイシマカ(Aedes aegypti)などの蚊が媒介する病気で、人から人へは感染しませんが、よく効くワクチンや治療薬がありません。
最近、このデング熱を減らす目的で、病気を媒介するネッタイシマカに対してある操作を行い、個体数を減らすことが試みられています。具体的には、ネッタイシマカのオスに放射線をかけておき(生殖能力のあるメスの混入を防ぐため)、別の蚊(ヒトスジシマカ)に自然に感染している共生細菌であるWolbachia pipientisのwAlB株を感染させた後に自然界に離します。このようなオスは、野生のメスの蚊と交尾しても、生きた子孫ができなくなります(胚性致死)。従って、このようなオスを野生に戻してやれば、やがて生きたネッタイシマカの数が減ってくるであろう、という「賢い」話です。その結果が最新号のNew England Journal of Medicineに載っています(https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2503304...)。
シンガポールでこの実験が行われたところ、開始3ヶ月後から24ヶ月までの間に、感染したオスの蚊を野生に戻した地域では、対照地域(そのような操作をしなかった地域)と比べて、野生ネッタイシマカの数が約4分の1以下に減り、デング熱になった人も約3分の1以下に減っていたという結果が得られました。
つまり、子孫を作れないようにしたオスのネッタイシマカを野生に戻すという単純な方策によって、野生ネッタイシマカの個体数が大きく減り、デング熱発症者も大きく減った、という結果でした。
今のところ、このような処理をした蚊が何か悪いことをする可能性はほぼなく、世界で年間700万人もが感染するデング熱(そのうち約2割が重症化)を減らすためには、これはなかなか「賢い」方法かもしれません。

レプリコンワクチンがペンギンで効いているようです😊。高病原性鳥インフルエンザウイルスは、多種類の野鳥に感染し、世界中に広がりつつあります。フランスの研究グループが絶滅危惧種の一つであるキングペンギンの絶滅を防ぐためにワクチン接種をしていて、...
11/02/2026

レプリコンワクチンがペンギンで効いているようです😊。

高病原性鳥インフルエンザウイルスは、多種類の野鳥に感染し、世界中に広がりつつあります。フランスの研究グループが絶滅危惧種の一つであるキングペンギンの絶滅を防ぐためにワクチン接種をしていて、その効果を調べた論文がNature Communicationsに載っています(ペンギンにワクチンを打つというのも面白いですが、その結果がNature Communicationsの様な一流誌に掲載されるというのもニヤっとしてしまいます)。

使ったのは、すでにアヒルやガチョウで効果が示されている自己増殖型のレプリコンワクチンで、H5抗原性鳥インフルエンザウイルスのクレード2.3.4.4bタンパク質を抗原としています。ワクチン接種済みの雛(初回接種および37日目に追加接種)30羽とワクチン未接種の対照群20羽について250日間モニタリングをしたところ、ワクチン接種済ヒナでは、巣立ちまでの間に、ウイルスに対して強力な中和能を示す抗体が持続的に出来ていましたが、一方で、接種済みの雛は正常に成長し副反応は見られませんでした。また、試験期間全体を通して、自然感染は発生しなかったとのことです。

こんな論文の紹介をすると、またレプリコンワクチンでシェディングが起きて困るぞ、などという根拠の無い書き込みが来るのかもしれませんが、私個人としては、ワクチン2回だけの接種で中和能の高い抗体が200日以上も持続的に作ることができた、というポジティブなほうに目を向けたいと思います。

このような試みがうまく行けば、絶滅危惧種を救う可能性があるだけでなく、ウイルス流行のたびに何万羽あるいは何十万羽もニワトリを処分するという可哀想なことをせずに済むようになるかもしれません(卵の値段も鶏肉の値段も安定化するはずです)。

High pathogenicity avian influenza (HPAI) may endanger not only domestic poultry but also wild birds. Here authors show that upon immunisation of king penguin chicks with a self-amplifying mRNA vaccine against a H5 HPAI clade 2.3.4.4b protein, the birds mount a lasting neutralising antibody response...

新型コロナワクチンが危険だという人たちの言い分は、「新型コロナ感染と同時に超過死亡が著しく増えた。これはワクチンのせいだ」というものです。確かに新型コロナワクチン接種者だけに限ってみると、接種が始まってから死者数が大きく増えているのですが、...
11/02/2026

新型コロナワクチンが危険だという人たちの言い分は、「新型コロナ感染と同時に超過死亡が著しく増えた。これはワクチンのせいだ」というものです。確かに新型コロナワクチン接種者だけに限ってみると、接種が始まってから死者数が大きく増えているのですが、このような数字は、本来は、ワクチン非接種者を対照群に置いた上で比較検討しないといけません。既に実際にこのような解析が海外では行われていて、フランスでの結果について、私が先にフェイスブック上で紹介しています。その結果、「ワクチン接種から半年以内でもそれから4年間経った後でも、どちらの時点においても、mRNAワクチン接種者は、非接種者に比べて、死因に関わらず(新型コロナであろうがそれ以外の病気であろうが)、一貫して死亡リスクが低く、ワクチン接種後6ヶ月以内の死亡率は、非接種の場合と比べて、29%低下していた」ことが分かりました。
https://www.facebook.com/masayuki.miyasaka.9/posts/pfbid0FzNaC4mLkAq44wTTn8LFEbkQt24Knnk2DXQJjhFXzuNBQ4W8Dpm2hUYkw2p8kFRnl)。
今度は、新たにノルウェーの結果が専門誌BMJ Public Healthのオンライン版に載っています。これはずっと以前に一度、プレプリントとしてネット上に出たのですが、その後、その論文が専門誌上に発表されておらず、今回、やっと専門誌に発表されました(https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/41658231/....)。
これは、ノルウェーで2021-2023年の3年間、18歳以上の成人についてワクチン接種の有無により全死因死亡を調査し、それぞれの群の全死因死亡の発生比を算出したものです。
結果は非常にシンプルで、調査したすべての年度において、ワクチン接種群のほうが非接種群と比べて全死因死亡の発生比が低い、というものでした。そして、この傾向は3年間を平均しても、個々の年を見ても、いずれも同様の結果であり、1-2回接種群よりも3回接種群のほうが全死因死亡の発生比が低い、というものでした。
つまり、「ワクチンが死亡率を高めている」という結果ではなく、実際はその逆で、むしろ「ワクチンが全死因死亡率を低めていた」というものでした。新型コロナワクチン接種によって死亡者がこれまでに出た事は事実ですが、このように、接種者と非接種者、接種者の場合に接種回数まで調べてしっかりと統計をとってみると、新型コロナワクチンが予想される以上には死者数を増やしていないどころか、むしろ死者数を減らしていることがはっきりと確認できます。以上は国に登録されている電子データを解析したものなので、データを操作することができません。科学的なエビデンスといっていいと思います。

先に帯状疱疹ワクチンをすると認知症リスクが下がることを示した論文について以前に紹介しましたが(https://www.facebook.com/masayuki.miyasaka.9/posts/pfbid02AK6v8ZhaSTqv9KG...
10/02/2026

先に帯状疱疹ワクチンをすると認知症リスクが下がることを示した論文について以前に紹介しましたが(https://www.facebook.com/masayuki.miyasaka.9/posts/pfbid02AK6v8ZhaSTqv9KGUo3v9qtB8k2wBYqx61GrV7j25aUgD2uves9YkUm6xcMeboeFbl)、今回、このことを再確認する論文がNature Communicationsに掲載されています(https://www.nature.com/articles/s41467-026-69289-0 )。

2018年4月1日から2020年12月31日までの間にアメリカで4週間~6か月間隔で2回のリコンビナント帯状疱疹ワクチン接種を受けた65歳以上の人たちを対象にした後ろ向きマッチドコホート研究の結果です。対象者はリコンビナント帯状疱疹ワクチン接種を受けた65,800人と、未接種のマッチドコホート263,200人です。

その結果、帯状疱疹ワクチンを2回接種すると、それ以降に認知症と診断されるリスクが半減していました(調整後ハザード比:0.49)。年齢、人種、民族間でリスクの下がり方は同程度でしたが、男性よりも女性の方に低減効果が大きい傾向がありました。帯状疱疹ワクチン接種者では、三種(百日咳、ジフテリア、破傷風)混合ワクチン接種者と比べて認知症リスクが約3割減少していました(三種混合ワクチンを受けるのは原則として健康人のみ)。つまり、健康な人はワクチンをする傾向があるといういわゆる「接種者の健康バイアス」を考慮した後でも、帯状疱疹ワクチンの認知症リスクの低減効果が認められたということになります。

65歳以上の人たちの帯状疱疹ワクチン接種は認知症リスクを下げるために有効です。

また例のケネディ厚生長官が「ワクチンに含まれているアルミニウム塩は毒だ、子どものワクチン接種数を減らせ」と言い出しています(でも、実際は、アルミニウム塩は、ワクチンの抗原性を高めるために1926年以来ずっと免疫補助剤として使われていて、一方...
10/02/2026

また例のケネディ厚生長官が「ワクチンに含まれているアルミニウム塩は毒だ、子どものワクチン接種数を減らせ」と言い出しています(でも、実際は、アルミニウム塩は、ワクチンの抗原性を高めるために1926年以来ずっと免疫補助剤として使われていて、一方、食物アレルギーが増えてきたのは1990年代後半なので、ケネディの主張はそもそもこの点で間違っています)。一方、デンマークからはすでに「ワクチン中に含まれるアルミニウム塩が子供たちにおいてアレルギーや自己免疫疾患のリスクを上げることはない」ことを示すしっかりした論文が出ているのですが(https://www.acpjournals.org/doi/10.7326/ANNALS-25-00997)、頑迷なケネディ長官はこれに納得せずに雑誌社にこの論文を撤回するよう申し入れて拒否されたという経緯があります。

この問題について、JAMAオンライン2月9日号に、ワクチン由来のアルミニウム塩が食事由来のアルミニウム塩と比べてどのぐらいの量なのか量的比較を行うとともに、これまでに発表されたアルミニウム塩の安全性についても子細に検討をした論文が出ています(https://jamanetwork.com/journals/jama/article-abstract/2844763)。

その大事な部分を図に示しますが、その結果を見ると、子供たちには生後6か月の間に、すでに母乳由来だけで~5 mg、粉ミルク由来で19 mg、大豆粉ミルク由来だと127 mgものアルミニウム塩が与えられています。しかし、このような量は子供たちの健康に影響を与える量ではありません。一方、ワクチン由来のアルミニウム塩の量は10 mgのオーダーです。

そんなことから、結論としては「ワクチンに含まれるアルミニウム量は、食事由来のものに比べて非常に低く、からだへの吸収量を考慮しても、非常に少なく、健康上、問題になる量ではない」と判断されます。

今回もケネディ長官は「AとBのタイミングが一致する」という単なる時間的相関に基づいて発言していますが(これはサイエンスの知識がある方であれば自明のことですが)、相関関係と因果関係は異なります。いくらハーバード大学を出ていても、科学的な推論がしっかりとできない人が医療健康関係のトップになるというのはだめ、まったく不適当ですね。

コーヒーや紅茶を飲むことで認知症リスクがどの程度、どのように変わるのでしょうか?これは誰でも知りたいことですよね。専門誌JAMAの最新号にそのことを示す論文が出ています(https://jamanetwork.com/journals/ja...
10/02/2026

コーヒーや紅茶を飲むことで認知症リスクがどの程度、どのように変わるのでしょうか?これは誰でも知りたいことですよね。専門誌JAMAの最新号にそのことを示す論文が出ています(https://jamanetwork.com/journals/jama/fullarticle/2844764)。

アメリカでの研究で、がん、パーキンソン病、認知症の病歴がない、女性看護師約8万7千人(平均46.2歳、1980-2023年)、男性医療従事者約4万5千人(53.8歳、1986-2023年)を対象として、2年に1回アンケート調査を行い、最長43年間調査が行われました。

その結果、カフェイン入りコーヒーの摂取量が多いと認知症リスクが低下し、主観的認知機能が低下する頻度も低下していました。女性群の調査ではカフェイン入りコーヒーの摂取量が多いと客観的な認知機能の向上する傾向が見られました。紅茶でも、摂取量が多いことと主観的、客観的認知能に関する結果が良くなることは相関していましたが、カフェイン抜きコーヒーではそのような傾向は見られませんでした。

用量との関係を調べたところ、カフェイン入りコーヒーおよび紅茶の摂取量と認知症リスクおよび主観的認知機能低下の間には非線形の逆相関関係が認められ、最も顕著な差はカフェイン入りコーヒーを1日約2~3杯(カフェイン量にして1日300mgぐらい)、または紅茶を1日約1~2杯摂取した場合に認められました(それ以上増やしても効果なし)。

以上、カフェイン入りコーヒーと紅茶に関しては、摂取量がある程度多いと認知症リスクの低下と認知機能の若干の向上が見られていて、中程度の摂取量で最もはっきりとした関連性が認められました。ただし、リスクの低下の程度は、グラフから見るとそれほど大きくはなく、確かに下がってはいるが…という感じではありますが...。まあ、飲まないよりは飲んだほうが...ぐらいの感じですかね。

ちなみに私は午前と午後にコーヒーを一杯ずつ、朝食時と寝る前に紅茶を一杯ずつマグで飲んでいます(寝る前の紅茶はウィスキー入りですが😅)。

われわれの身体には、いわゆる体内時計によって駆動されている概日リズムというものがあり、免疫反応を含むさまざまなからだの活動を支配しています。たとえば、白血球の殺菌能力は日中に高く、怪我は午前中にするほうが午後にするより治りが早いとされます。...
10/02/2026

われわれの身体には、いわゆる体内時計によって駆動されている概日リズムというものがあり、免疫反応を含むさまざまなからだの活動を支配しています。たとえば、白血球の殺菌能力は日中に高く、怪我は午前中にするほうが午後にするより治りが早いとされます。また、ワクチン接種も午前中に受けるほうが午後になってから受けるより良い反応が得られます。先に、がんに対する治療法として現在よく使われている免疫チェックポイント療法に関して、治療の開始時間を早くしたほうが良い結果が出ることを私のポストで紹介しました。
https://www.facebook.com/masayuki.miyasaka.9/posts/pfbid027Hvt7V75LML91CmkxY21LAAwUFMX6LjmwAtxt7QgN8y97LN5uXNND1A7zrCMt4DNl

最近、白血病や悪性リンパ腫の治療にCAR-T細胞療法がよく使われています。これは患者自身のT細胞に遺伝子改変を行い、自己のがん細胞への攻撃能力を高めて体内に戻すという方法です。しばしば非常に高い治療効果が見られるのですが、治療に伴う有害事象(特に神経毒性に関するもの)が少なからずあり、専門的な管理下での治療が求められています。今回、このCAR-T細胞療法も、開始時間を早くするほうが高い治療効果が得られ、一方、有害事象は減ることが報告されています。専門誌JCI Insightに掲載された論文です。

アメリカのミズーリ州とオレゴン州の2つの大きな病院で行われたCAR-T療法の患者715名について、治療を開始する時間を変えた時に、治療効果や副反応(有害事象)にどのような影響があったのか、詳細な解析が行われました。その結果、患者の全生存期間(患者がどのぐらい生存したかという期間)と無イベント生存期間(患者が病勢進行や再発などのイベントなしに生存した期間)のどちらにおいても、CAR-T細胞の投与を15時以前に開始したほうが、15時以降に開始した場合に比べて結果が良く、一方、有害事象(特に神経毒性に関する副作用)は低かったことがわかりました。さらに15時前の場合においては、治療開始時間を早めにするほうがこの傾向がより強くみられていました。

つまり、CAR-T細胞療法に関しても、日中の治療開始時間の早いほうが高い治療効果が得られ、逆に有害事象(特に神経毒性)が少なかったという結果でした。まだこれは観察研究なので、断定はできませんが、この結果にはわれわれの概日リズム(体内時計)が関与している可能性があり、治療を行う際にはそれを考慮して行う(=体内時計に合わせてがんの治療を行う)ことが大事であるのかもしれません。

マンモグラフィーとは乳房専用のX線検査です。乳がん検診に不可欠な検査とされていますが、一方で、結果の読解(読影)が容易でないことがあります。たとえば「異常がないのに精査が必要と判定される偽陽性)」や、「がんなのに異常なしと判定される偽陰性」...
09/02/2026

マンモグラフィーとは乳房専用のX線検査です。乳がん検診に不可欠な検査とされていますが、一方で、結果の読解(読影)が容易でないことがあります。たとえば「異常がないのに精査が必要と判定される偽陽性)」や、「がんなのに異常なしと判定される偽陰性」の問題があります。さらに「高濃度乳房(デンスブレスト;乳腺組織が発達していると乳房もがんも白く写るので見分けが難しい)による見落とし」や「過剰診断」の問題もあることから、マンモグラフィーの正確な読影には高い専門性が求められています。

この点、AIをうまく利用するとX線写真の読影に有用であることがわかっていて、マンモグラフィーの読影にもAIが利用されるようになってきています。

専門誌Lancetのオンライン版1月31日号に、AIの診断能力がどこまで進んでいるかを示す論文が掲載されています。オランダ、スウェーデン、ノルウェー、デンマークなどの研究者による共同研究の結果です。

2021年4月12日から2022年12月7日までの間にマンモグラフィー検査を受けた約1万人の女性が登録され、AI介入群(AI補助を利用したマンモグラフィー読影群)または対照群(従来の方法によるマンモグラフィー読影群)に無作為に割り付けられました(年齢の中央値は、介入群で53.8歳、対照群で53.7歳)。その結果、AIを活用したマンモグラフィーのスクリーン読影手順は、AIを使用しない標準的な二重読影と比べて、スクリーニングの性能を向上させ、スクリーン読影の作業負荷を軽減できることが明らかになりました。特にAIは中間期がん(interval cancer)と呼ばれる特定の乳がん(マンモグラフィーなどで一度「異常なし」と判定された後に次回の定期検診までの間にしこりなどが出現して見つかる乳がんのこと)を検出するための能力が高く、偽陽性を増加させることなく、がん検出率が増加したとのことです。

つまり、ランダム化試験によって、AIを利用したマンモグラフィー画像診断の優秀性が客観的に示されたということになります。医療の分野では正確な画像診断が必須です。今後はさまざまな画像診断の分野で同様の方法が用いられていくことになるでしょう。

AI-supported mammography screening showed consistently favourable outcomes compared with standard double reading, with a non-inferior interval cancer rate, fewer interval cancers with unfavourable characteristics, higher sensitivity, and the same specificity, while also reducing screen reading workl...

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