
25/09/2025
SNSでは、日本では急激にがんの発生数が増えている、これは新型コロナワクチンのせいだ、と言い廻っている医師が居ますが、これまで出されている統計を見ても、がんが急激に増えていることはありません。少しずつは増えているのですが、これは高齢者の割合が増えているためであり、社会全体ががんになりやすくなっているようなことはまったくありません。
実は、これは先進国ではどこでも同じような状況です。最新号のLancetにアメリカの研究グループが、世界各国でのがんの発生状況を子細に調べていますが、その結論も同じで、がんは少しずつ増えてはいるものの、これらの増加の大部分は人口動態の変化によるもので、年齢標準化死亡率を見ると、最近はむしろ減少の傾向があるとのことです。
こういう情報を示すと、上記のような誤情報を流している人たちは「Lancet、New England Journal of MedicineやJAMAのようないわゆる一流誌は企業からお金が出ていて中立ではない」というのですが、学問・研究の世界でずっと過ごしてきた私が見る限り、これらの雑誌はきわめて中立であり、内容的にもレベルが非常に高く、信頼性には高いものがあります。彼らは、自分に都合の悪い知見が出てくると、すぐに「どこかからお金が出ている」、とか、「お金で買収されている」とか「言論統制がなされている」などと言うのですが、科学の世界ではほぼそのようなことはありません。科学的エビデンスを軽視して、いい加減な情報を流して貰っては困ります。
Cancer is a major contributor to global disease burden, with increasing numbers of cases and deaths forecasted up to 2050 and a disproportionate growth in burden in countries with scarce resources. The decline in age-standardised mortality rates from cancer is encouraging but insufficient to meet th...