07/05/2025
「何かを得れば、何かが重くなる。──人間関係とお金と健康の話」
人間の悩みは、たった3つだけ。
お金、健康、そして人間関係。
この3つが、人生のあらゆる悩みを形づくっている。
たとえば、どれも等しく大切だと思っていたときには、
「三分の一ずつ」のように、バランスを取る感覚で向き合っていたかもしれない。
お金を稼ぎ、ようやく経済的に安定したとき、
「さあ、あとは健康と人間関係だ」と、心に余裕が生まれる。
けれど、面白いもので
そのとき、健康と人間関係はもう”33%“ではいられなくなる。
気がつけば、それぞれが“50%”の重さを持ち、
それまで以上にシビアに、深く、あなたの心にのしかかってくる。
そうして、健康に投資し、
ようやく身体が整い、日々のリズムが調ってくると、
最後に残されるのは「人間関係」という名の、大きな課題。
このステージに到達すると、多くの人が口をそろえてこう言う。
「人間関係が一番しんどい」と。
不思議なものだ。
最初はあんなに“外の世界”を求めていたのに、
最後に苦しめるのは、“誰かとの関係”という目に見えない距離感だったりする。
一方で、反対のルートを歩んでいる人たちもいる。
つまり、「お金がない」状態が、人生のほとんどを占めている人たち。
この場合、悩みの重さのほとんどが「お金」に偏る。
生きるための支払い、家賃、食費、仕事。
生存に関わる不安が心を埋め尽くして、
健康や人間関係に気を配る余裕などない。
その結果、
身体を壊して命を削ってしまうこともあるけれど、
逆に言えば、「人間関係の悩みを感じる暇すらない」という状態でもある。
矛盾しているようで、すべてはひとつながり。
人生とは、いつだってこの3つのバランスの中で揺れ動いている。
何かを手に入れると、何かが浮かび上がり、
何かを失うと、何かに鈍感になれる。
この不思議な構造に気づいたとき、
私たちはようやく「悩み」を俯瞰し、
自分の現在地を少しだけ優しく見つめ直すことができるのかもしれない。
学長の岡田は、こうした矛盾や逆説を好んで拾い上げ、禅問答のように問いを編み直すのが性分です。
答えを急がず、問いの中にある美しさや痛みを味わいながら、人間とは何かを、静かに、深く、考え続けています。