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お食い初めの儀式についてこの写真は東京大神宮で執り行われた孫のお食い初めの時のお膳の写真である。鯛や煮付け 赤飯 漬物 汁物等々の多彩な伝統食が並んでいる。 ここでお膳の右側の赤い塗りの皿の上に置いてある黒い物体に注目してほしい。これは東京...
03/08/2025

お食い初めの儀式について
この写真は東京大神宮で執り行われた孫のお食い初めの時のお膳の写真である。鯛や煮付け 赤飯 漬物 汁物等々の多彩な伝統食が並んでいる。
 ここでお膳の右側の赤い塗りの皿の上に置いてある黒い物体に注目してほしい。これは東京大神宮の庭に転がっている石ころを1個消毒してお膳に載せてきたものである。当然だが、このお食い初め儀式は神職によって執り行われ、この石っころも神職がお膳に載せるものとして決めたものである。
これらの食事は当然だが生後100日の児が食べるものではなく、一生の間食事に困らないように初めての食事のお膳としてお膳立てされたものである。なかでもこの黒い石ころは、この石のように歯が硬くそしてむしばにならないようにと、食べるものではなく食べる道具の永久なる健康を祈ってお膳に置かれたものである。
歯がための石は、食べるためのものでも咬む訓練のためでもなく一生を通じて歯が健康であることを願って行われるものであった。
これを勘違いして、歯がためのために子どもに硬いスルメを齧らせたりすることが良いことであるかのように喧伝しているのが散見されるが、我田引水で硬いもの食事が健康の元であることを証明しようとしているが、それは余りに児の健康には逆に害するものであると認識して貰いたい。昔のアルバム見ていたら発見した『歯がための儀式』『お食い初め』の儀式で思ったことである。

20日から医療機関申込開始しています。既に100名越えています。有難いことです。一般申込みは8月1日から開始します。宜しくお願い致します。講演タイトルが変更になりましたが内容は同じです。
22/07/2025

20日から医療機関申込開始しています。既に100名越えています。有難いことです。
一般申込みは8月1日から開始します。宜しくお願い致します。
講演タイトルが変更になりましたが内容は同じです。

秋の公開講演会の会場等決定しました。実際の受講希望にはFBで丸茂と友達申請して受講したい旨をメッセにお書き下さい。実際の講演会申込開始は8月です。。
16/04/2025

秋の公開講演会の会場等決定しました。
実際の受講希望にはFBで丸茂と友達申請して受講したい旨をメッセにお書き下さい。実際の講演会申込開始は8月です。。

発達障害も認知症的老化の何れも脳機能のBusyが引き起こしている現象です。脳Busyの原因を追及した結果は体幹の働きが低いと言うことでした。体幹とは脊柱に直角に近い走行をする諸筋群のことです。 BBはこの体幹を無意識に鍛えることの出来る装置...
22/12/2024

発達障害も認知症的老化の何れも脳機能のBusyが引き起こしている現象です。脳Busyの原因を追及した結果は体幹の働きが低いと言うことでした。体幹とは脊柱に直角に近い走行をする諸筋群のことです。
 BBはこの体幹を無意識に鍛えることの出来る装置、即ち発達障害や認知機能を劇的に改善させる口腔内装置なのです。脳Busyという概念と、口腔構造の改善の意味、そして治癒を阻害する硬いモノ喰わせる育児の有害性など講演する予定です。詳細は未定ですが、日程を空けておいて下さい。

 講演の聴講希望の方はその旨を記載した友達申請を丸茂義二までお願いします。すでに友達関係の方々は募集開始したら申込のメッセンジャーをお願いします。

06/12/2024

丸研の口腔内装置BBについて(2024年12月6日告知)
 丸茂が考案して、丸研の多くの先生方の検証などを経てBBと言う名称で実用化に至っています。BBは最終形態とは言え日々進化をしています。
 装置は非常に精密に設計され製作されています。またBBを製作するための専用キット器具があり、この器具なしに装置を製作することは出来ません。
 BB装置は構造的には複雑で、一見似たような形態であっても僅かでも製作法が間違うと効果が出ないばかりか悪化してしまいます。これについては製作器具を持ったのみが所属できる研修生のFBの組があり、失敗の方向や難症例への対処方法が掲示されています。最新情報について絶えず丸茂からの告知があり、知識と技術のメンテナンスに努めています。製作の器具もバージョンアップを重ね、古い器具も追補や交換しています。装置は多くの効果の検証を通じて精度を高める指示と研修が継続的に行われています。
 医療目的としてBBは製作されているので安全性にも配慮しています。万が一でもクラスプのない装置など誤嚥性のリスクがあって絶対に許されていません。過去に見聞きした丸研の古い装置を模倣したものが一部の情報が出ていますが、次元の低い粗雑な模倣にしか過ぎません。最新の研修を受けずに製作しても効果が期待できません。装置は万一効果が疑わしいような症例の時は丸茂自身がその症例を担当し装置の製作を効果が出るまで行って責任の所在を明確にしています。
 歯科技工士に技工指示書で製作を依頼しても、義歯の製作指示と同様に設計は歯科医がしなくてはなりません。また現在日本国内の歯科技工士でBBを製作出来る歯者はBB製作キットを持った数名しかおりません。装置は数を作れば慣れてきて作れるようになるものではなく、症例によっては三日以上の製作検討修正を必要とするものがあり、クラスプの屈曲の精緻なことや、形態の絶対性と研磨の最高な艶が装置の精密性を表しています。
 発達障害を出発点とした治療ツールとして丸茂が機能的総義歯の経験をベースに10年以上前から研究開発を進めてきて1万個以上の装置の製作と改良によって生み出されたBBは丸茂研修会の知的財産に他なりません。大切に育てたいと思っています。

12/11/2024

身体の緊張が強い子への対応ですが、そもそも口腔内環境が悪くて、舌骨が逃げている体制では身体は絶対に柔軟にはなりません。
大人の肩こりもおなじようなものですが、舌骨は肩甲骨と肩甲舌骨筋で繋がっているので、舌骨を様々な退避位置から開放しない限り身体の緊張が取れることはありません。
歯科界で考えても舌骨が位置異常になっていることは反射的に行われた結果なので、どんなに口腔内から訓練してもマッサージしても位置異常を直すことは出来ません。
丸研で製作したBB装置は、この口腔内環境を変えて舌骨が逃げなくても良い環境を作ります。一万例以上の症例を経験して完成した装置は、舌骨の位置異常が作り出すあらゆる障害に効果が認められます。
BBは舌骨が逃げないことで生ずる真の体幹を作り出します。体幹の回復によって脳はbusyから開放され、本来の機能を発揮出来るでしょう。
装着して6秒間の静寂の後にやってくる全身に漲る力と全身の緊張からの解放はおそらく初体験となるでしょう。生体の反射を利用した治療法です。

治した者だけが知る真実がここにあります。

15/10/2024

口腔の発育 その7
2024年10月15日
縦抱きは頸椎が未完成な状態で行われるので頸椎には有害だと思っています。
 縦抱きだけではなく『おひなまき』とかバンボのように、可動性を抑制されて、代償として上半身や首だけしか動かせないような育児の弊害を頸椎のレントゲン画像で沢山見てきました。
股関節の安定なしに腰椎の安定なし。
腰椎の安定なしに胸椎の安定なし。
胸椎の安定なしに頸椎の安定なし。

このように下方から構築される体幹の基礎は股関節です。
縦抱きはそもそも股関節に対してどうあるべきかという概念が示されておらず、月齢によって股関節のあるべき姿の理解の方が先になるのです。ですから『縦抱きはどうですか』みたいなご質問にはお答えは難しいとお考え下さい。
 月齢によって股関節がどうあるべきかを全く無視した『おひなまき』とかスワドル、バンボ、スリング等々の育児法や育児具は本当に有害で取り返しのつかないものです。多くのこういう不良育児は、往々にして自己顕示欲の強い人が広めようとする方法で、その被害者は沢山います。そして、出産は正常であったとしても、育児性の発達障害となって、ついには歯科医のもとまでやってくるようになるのです。
 拙著にも書いたように私は顎関節症の専門家ですが、頸椎の専門家と言っても過言ではなく、頸椎保護の重要さを臨床上知っています。ほとんどの症例の頸椎レントゲンを撮影し、顎関節症だけではなく発達障害児の頸椎診断も沢山の症例を持っています。
 発達障害という診断は心理学的ではなく、肉体的な意味での感覚統合ができなかったり協調運動に問題がある児らの頸椎は間違いなく不安定頸椎とも言える状態になっています。特に歯突起の形成不全が著しく、歯突起の発育状態をみれば発達障害であるかどうかの判断が出来るくらいです。そしてこの歯突起の障害とは頭の過剰な動きの影響で発生し、体幹が未発育で表層筋の過剰運動が引き起こす所見なのです。体幹が出来ていない児は頭を支えるだけの頸椎の発育がありません。それは頸椎を発育させるのは頸椎の体幹筋肉だからです。これは何も縦抱きをしなくても、体幹の形成不全は通常の動きだけでも、頸椎には外傷性に働きます。外傷性という意味が通じ無いかもしれませんが、レントゲンを撮ってみると頸椎の一つ一つの形が作られていない、潰れたパンのような状態なのです。
 そもそも頸椎が作られるのは頭位を支える筋肉が充分に働いてできあがります。二歳までの頸椎は未完成そのもので、二歳まではなぜ運動が充分に出来ないかというと頸椎が未完成だからなのです。頸椎が完成することは体幹の完成であり、体幹が完成することは歯突起の完成終了まで時間がかかることなのです。歯突起は、生まれた状態の時はコンニャクのようになっています。骨格がコンニャクとはどういうことかと言うと、頭を支える骨格が未完成だと言うことです。そのコンニャクが2年かかって2㎝くらい伸びていって初めて頭を支える骨格として役立ちます。特に最初の1年が重要で、ここで縦抱きをするような外力が加わると歯突起は成長を止めてしまうのです。 発達障害のような様々な障害を持っている児らは、この歯突起の成長が阻害されているのです。歯突起形成障害と呼びますが、歯突起の乳児期における研究は数少ないので知らない人が多いのです。
 なぜ歯突起の形成に2年もかかるかというと、2年間は骨じゃないから首には外力かけちゃいけないという意味があるのです。だから生後2年間は殆ど歯を使ってはいけないと言われるのです。二才までにパン食や肉食、生野菜等の硬いものを噛んで育った児のレントゲンは悲惨です。そして硬いものを齧った児らは頸椎が育ちません。前に述べた短頸という状態が維持されて、口腔内で舌が動き始めることも出来なくなります。
 硬い食品で育った児の特徴として、歩行時に手を振らないというものがあります。手を振らないだけではなく、食事の時もスプーンをちゃんと持てないとか、口を開けたまま咬むとか、口ポカになります。当然ですが、呼吸も口呼吸で生きています。硬いものは前回も述べたように、口唇閉鎖が出来ない食べ方を学習するのですから口唇閉鎖出来ないのは当然です。

 頸椎は適正な股関節の育成から、腰椎胸椎頸椎と順番を追って発育させることが重要なのは言う迄もありませんが、これらの椎骨の発育とは回旋運動によって発育が促進されます。即ち、頸椎で言えば舌を左右に振ることが頸椎に対する最大の回旋運動で、軟食でなくては舌を左右に振ることは出来ません。硬いものを噛む時は舌は縦にしか動かないし、食物によって後方に下がってしまいます。あるいは舌を咬んでしまわないように反射的に舌を後退位にさせ、この舌を後方に下げる時に、舌骨舌筋を経由して舌骨を下方に引くのが胸骨舌骨筋です。解剖学の本を見て下さいね。この胸骨舌骨筋を使って舌骨を後方に引くためにはいくつかの方法があります。
①頭を前に突き出す 
②肩を後方にSwaybackさせる
③巻き肩にして胸郭を絞る
④猫背にする
⑤骨盤を後方に倒す
等々の不良姿勢を作ります。この不良姿勢は舌骨を適正に動かす骨格が出来ない時に、代償性の体幹を壊した姿勢までして骨格不良の形態を作るのです。呼吸を優先するために不良姿勢にするのです。犬食いもそうですが、生きるために代償性に行う姿勢を、一方的な意見で修正すると本来の機能が阻害されます。口呼吸のの口唇をテープで留めると呼吸機能が低いままで広い気道を閉鎖された結果として血中酸素飽和度は低下するので簡単にわかります。口唇が自然閉鎖しない子は絶対に胸式呼吸ができないのです。無理矢理呼吸訓練すればそっくり返ったりして上体を前後に動かして呼吸をしようと試みるのです。そしてこの動作がまた体幹を壊すことになるのです。

 本来体幹を作る時期は舌をつかってレロレロするしか体幹を育てる方法はないのです。体幹とは繰り返しますが『短回旋筋群』の事です。100歩譲って硬いものを噛んで良いとしたら体幹が完成した後です。それは12才以降なのです。なぜかというと、頸椎の骨格的完成は一応12才なのですから。それまでは硬いものを噛む習慣は絶対に有害なのです。指シャブリとかタオルを齧るとかはまだしも、食物を齧ることさえパンや肉などでは頸椎に障害が出てしまいます。発達障害児もしくはなんか動作がおかしいとか、運動能力が低いとかお箸がちゃんと持てないという児が相談症例で来ますが、レントゲン撮影をしてみると、硬いものを噛んでいる児は頸椎の3番と4番の皮質骨が菲薄化しています。一口量が多い児は頸椎2番の椎骨前縁の皮質骨が菲薄化していて、それだけならまだしも、『おひなまき』で育ったような児の頸椎は6番7番の形成不全があります。頸椎の彎曲をみても、硬いものを食べて口腔内が育っていない児は頸椎下方が逆彎曲になっています。頸椎レントゲンを診ることによって、どんな育児をしてきたか、どんな有害なものを食べてきたかは一目瞭然なのです。だから体幹が作られない内に咬むことは有害だとご説明しているのです。
 口腔内を診れば、また別の意味で発育不良がわかります。そしてこういう頸椎の発育不良や口腔内の発育不良の児らは頸椎全体の発育障害があり、それは短頸状態で年齢を重ねるということなのです。短頸という状態は吸啜期では必須の正常構造ですが、これを卒業するために軟食でレロレロが必要なのです。 舌を左右に動かすレロレロ運動は、口蓋の左右にある傍歯槽堤の辺りを舌でレロレロするという回旋運動が頸椎の短頸からの卒業を促し、それが舌骨を口蓋から引き離す役割を持っているのです。
 この正常頸椎でない児が硬いもので作られる場合は頸椎のみが障害を受けて発育しませんが、生後すぐに股関節を閉じて抱き上げてしまうような体幹形成不全を伴っている児らは全身の椎骨が回旋運動出来ないために、椎骨全体の発育が低下します。
 椎骨が月齢や年齢より遅れて発育が低いということは手足のみが長くて胴体が短い『短頸短躯』という児になります。身長が低くて成長ホルモンを投与されていたりしますが、本質は回旋筋の未発育によるものです。

 話を戻しますが、短頸になる最大の理由は体幹の無さで舌をも左右に振らない生活にありますが、いつまでも口蓋に舌が貼り付いていて平舌になったままでは舌の正常な動きが出来ません。呼吸の話をしますが、この舌と口蓋の関係は呼吸では大変に重要な意味を持っています。拙著にも書いてありますが、『舌口蓋反射』という反射運動があります。これは舌根部が軟口蓋に触れると舌根を挙上し舌骨が舌骨科筋群を引き上げます。咬筋によって下顎の動きを抑え込んだ状態で舌骨下筋群が収縮すると胸骨が反射で挙上されるようになります。そして胸骨の先には筋紡錘を大量にもっている『外肋間筋』に信号が伝わり、外肋間筋が一斉に収縮します。これが胸式呼吸の基本的な信号経路です。
 即ち舌根と口蓋が触れて咬筋が緊張し舌骨挙上胸骨挙上外肋間筋発火という一連の流れは口腔内が正常構造でないと発生しないのです。これを解明したのが解剖学者の三木成夫です。そしてこの一連の反射を『直筋系』と名付けて脊髄反射の重要な呼吸作用なのです。

 口腔内が未熟で短頸な吸啜期は、この直筋系の反射は絶対に起こりません。それは吸啜期は体幹が出来ていないことと短頸であるが故に舌骨の運動性が著しく抑制されています。ご存知のように嚥下という動きは舌骨の上下前後運動によって成り立ちますが、吸啜期は舌骨高位によって舌骨の動きは著しく抑制されています。もちろんこの舌骨高位は短頸が主導した舌骨機能の抑制なのです。嚥下で舌骨を動かせない乳児は蠕動運動で吸啜を開始するのもそれが理由です。短頸から育って舌骨が少しづつ低位になってくることで舌骨の可動性が出て来ると少しずつ嚥下運動が出来るようになります。吸啜期は腹式呼吸しかできないのは、腹式呼吸は脊椎に外力を与えないからです。吸啜期は平らな床に寝かせられて脊椎が床の形に真っ平らになって、脊椎彎曲がありません。それは脊椎彎曲は短回旋筋らが作る構造ですから、体幹のない時代は絶対に床の形に合わせて真っ平らの必要があります。

 この床に寝かせて真っ平らにすべき時期に『まるまるだっこ』とかされちゃうと、児らはこの丸い脊柱を無理矢理作るような抱かれかたに猛烈に反発します。だから思いっきり反ってしまい、そこで泣きわめきます。
 生後半年までは真っ平らに寝かせ、まるまる育児は絶対にやらない方が良いと理解しているお母さんの児らは、そっくり返ったりしません。お腹がすいたら泣くけどそっくり返ったりしません。反るのは丸めたことへの反撃動作なのです。
 反った児を抱きかかえた母親はなだめようと思って丸く抱いてますます反撃を食らうのです。大人だって丸い背中になるようなソファーとか長時間のドライブをしたら思いっきり伸びをしたくなるのと同じなのです。そもそも吸啜期には絶対に丸めてはいけないのです。
 この吸啜期に丸めることは脊柱の発育を阻害し体幹の形成を壊します。そしてそのような児は成長しても短頸のまま口呼吸になってしまうのです。

 正常な発育では、舌口蓋反射で直筋系が働いて胸式呼吸になって胸板が厚くなって育ちます。これは舌口蓋反射が起きる時に舌が口蓋と接触して起こる呼吸なので、舌は口蓋に押し付けられます。この口蓋に押し付けるという筋力にたいする拮抗筋が口輪筋なのです。
 即ち直筋系がちゃんと働けるような口腔内では、舌が口蓋に押し付けることが呼吸のたびに行われることで口唇閉鎖が自動的に行われています。これらの正常な呼吸に使用される筋肉を吸気筋と呼びます。この吸気の時には吸気筋と共に働く随伴筋というものが存在しています。これらが協働して協調して働くのは脊椎が正常になってくるに従って働く脊髄反射なのです。だから呼吸だけではなく一見呼吸とは関係ないような筋肉も一緒に働くのです。こういった多くの筋肉が働くなかで表情筋が重要な意味をもっています。
 それはこの呼吸の時に表情筋の活動性が高まり、これが顔面骨の発育を促すのです。だから口を閉じるのは反射であった意識ではありません。口唇閉鎖は舌口蓋反射の結果おこることで、口唇の力が弱くておこるのではありません。ここに大きな誤解があります。
 口呼吸の子が、口唇開いて呼吸するとよくないとばかり口唇をテープで塞いでしまう愚挙が行われますが、これは結果的に経鼻呼吸になりますが、胸郭はまったく動きません。だから腹式呼吸のままですね。こういうテープ閉鎖経鼻呼吸は決して鼻呼吸とは呼ばないのです。
 このような経鼻呼吸は苦しいし、胸郭が動かないので胸式呼吸ができませんし、胸郭は発育しません。結果として猫背になってひどい場合には漏斗胸とか鳩胸になってしまう異常骨格が生まれてきます。この腹式呼吸では苦しいので子らは吸気に使う筋肉ではなく、呼吸生理学では吸気補助筋を使って吸気をしようとします。
 人は正常な吸気筋が随伴筋と共に働かない時に吸気補助筋を使うようになってしまいます。これは拙著にも書いてあることですが、詳しくは参考文献の大坂先生の論文を読んで下さい。
 この吸気補助筋が表情筋に大きな影響を与えるのです。それは吸気時に背中を反らせてしまう僧帽筋という筋肉は、頭を後方に引いて胸郭を拡げることに寄与しようとするのです。この僧帽筋が収縮すると、僧帽筋は後頭筋に繋がっていますので、後頭筋を後方に引っ張り、前頭後頭腱膜を経由して前頭筋を後に引き上げるのです。そしてこの前頭筋の前方に上唇鼻翼鋸筋が繋がっています。即ち正常な呼吸ができない時に、僧帽筋までもが頭の上をぐるり廻って鼻翼を持ち上げようとします。
 解剖学とは誰が決めたか知りませんが、この筋肉は名前の通りに鼻翼を持ち上げるだけではなく、上唇を持ち上げるのです。この上唇を持ち上げることで『富士山唇』ができあがります。即ち富士山唇の人は、深呼吸させると頭が後方に引かれ背中を反らします。意識で口唇を閉じているかもしれませんが、気を緩めると上唇鼻翼挙筋が働き富士山唇が発生します。 口唇を構成する筋肉は深層と中層と表層に分かれ、本当の口輪筋は深層にあります。それより上の筋肉は各種の表情筋と繋がっていますが、最表層にある切歯筋という口輪筋の一部にこの上唇鼻翼鋸筋が接続しているのです。鼻翼の両脇を通って一部は鼻翼に、そして残りは切歯筋に繋がったこの筋肉は呼吸が正常でない時に緊急出動します。
このように上唇鼻翼挙筋が働く時は正常な口腔内構造が作られていない時であって、口唇の力が緩いとかいう問題とは全く違うことなのです。口唇の筋肉をどんなに鍛えようが、呼吸筋が正常に働かなければ絶対に富士山唇が発生します。この富士山唇のことを世間では『口ポカ』とか『お口ポカン』と呼んでいます。
口ポカが発生する原理はこのように解剖学的生理学的にちゃんと経路があります。口ポカは正常な口腔内を発育によって構造的に作っていけば絶対に治る現象なのです。
どうしても口腔内構造がダメな時には補助具の装着によって自然に口唇閉鎖いやいや、口唇閉鎖よりも大切な直筋系のスイッチが入って胸式呼吸になるのです。
 大切なことは口唇を閉じることより、直筋系のスイッチで胸郭を外肋間筋で動かして呼吸することなのです。 直筋系のスイッチが入れば口唇は自然に閉鎖するのです。勘違いしてはならないことは、口唇閉鎖をしたからと言って直筋系のスイッチは入りません。直筋系のスイッチは無意識によって構造的に満たされた場合に入るもので、訓練とかいつも舌をここに置きましょうなどという意識訓練では入らないのです。

 外肋間筋という肋骨を拡げる吸気筋は不随筋です。どんなに呼吸の訓練しても絶対に鍛えることが出来ません。また気道を広げると呼吸が楽になると巷間言われていますが、気道がどんなに拡張しても鼻孔が小さいままだとか、胸郭を動かす吸気筋が働かなければ意味がありません。アデノイドによって気道閉塞するような子のみ気道拡張の意味があります。

口呼吸の訓練や、口ポカ閉じていようなど訓練では絶対に出来ないことを押し付ければ子は反発するし、苦しんでいくだけです。
ということで、重要な鍵は頸椎の正常発育であります。でもお行儀が悪く寝っ転がったり、ちゃんと座らない子らは呼吸もできないので口ポカになりやすいですね。お行儀の悪さと口ポカが同居していることが多いので、口ポカはだらしなさの一環として捉えられやすいのです。全く違いますけどね。
 
 口ポカを閉じるには頸椎を正常な発育にもっていくしかないのです。レロレロして頸椎を育てるしかないのです。何歳になってもレロレロということは、高齢者でも同じことが言えます。硬いものを咬むのは本当に健康な身体が余力でちょいとすることであって、発育途上や高齢者ではするべきことではありませんね。

拙著ですが既に2刷りが出ており、初刷りの時に理解しにくい表現を170カ所書き改めてありますので2刷りをお読み頂けると関連項目が記載してありますが、出版では書けなかった重要な事は今回の投稿で記載しています。
【田中宏尚先生のご指摘で誤植ありました。頬骨→胸骨ですね。4カ所訂正しました。ご指摘有難うございました。】

15/10/2024

『口腔の発育』と『口腔を育てる』は同義ですね。ナンバリングが不順だったので訂正しました。

14/10/2024

口腔の発育 その6
口腔の発育 その5に対する真摯な御返事も頂戴しましたので、更に丸茂は深い解説で御返事をしました。

2024年10月15日
正しい体を作るということは、無意識で脊髄反射によって体の成長を促す必要があります。神経活動で言えば三叉神経は意識活動であり、顔面神経活動は無意識であると言えます。だから顔や口を育てるのは歯が萌出する前の吸啜期が出発点なのです。そうやって無意識で口腔内も育つことによって舌骨が正しい位置にいけるだけの拾い口腔内を獲得します。口腔内の発育が悪いと舌骨は必要な位置まで出て来ません。この舌骨の正しい位置を維持するための必要条件が無意識の舌の位置なのです。無意識に舌の位置を獲得出来る原点は乳首であり、次には離乳食なのです。固形物ではない流動的な離乳食は深く味わう必要があります。乳児が美味しいと思われる離乳食は出汁のような深い味わいのあるものが理想であって、母親が食べてマズイような離乳食は失敗食なのです。
生後から三歳前までは硬口蓋にも味蕾があります。それは軟食によって舌が口蓋を離れることなく使うために、舌を口蓋に着けなければ味わうことが浅くなるんだという神様の指令かもしれません。 そして口蓋の味蕾は離乳食の終わる三歳頃には消えて行きます。だから三歳までは舌を硬口蓋に強くあてて『レロレロ』させる条件が与えられているのです。これは、それまでは蠕動運動で食物を取り入れてきた身体が、頸椎が成長発育して頸椎の体幹が作られて初めて舌を左右に動かすことが出来るようになります。レロレロという舌の口蓋を左右に舐めるちょうど車のワイパーのような動きが頸椎に対する回旋力となって、頸椎の短回旋筋群を育てます。舌を前後に動かすような運動ではこの短回旋筋群は働きません。舌を横に繰り返し動かすような横方向の動きは、離乳食を口蓋に押し当ててレロレロするしかないのです。ここに固形物が入ってきたら、舌は後方に退避してしまうのです。従来の歯がためは昆布のような味のするものですが、これは硬いけど歯で対応するのではなく、
舌で対応して噛むのではなく硬いものさえも舌で味わう方が良いのだと先人はきっと思って、味気ないものではなく乾燥食品のきれはしを歯がための材料につかったのでしょう。単に噛むだけで良いならタオルのはしっこでも良い訳です。
離乳食の時期は味わいを感じるもので舌の位置を誘導し、誘導された舌は口蓋をつかって味わうばかりでなく、口蓋を拡げる効果があります。だから離乳食を沢山食べた児は特に上顎の幅が育ち、鼻根部分の幅ができてきます。この鼻根部分の幅が出来ることが鼻呼吸のための吸気の入口を広くするのです。
肉食の獣たちはいつも硬いものを齧って頸椎に負荷がかかるようなちぎる食べ方をしています。舌は使いませんので、彼らは決して鼻孔の幅が育ちません。いつも口でハーハーしています。硬いものを齧る児も口でハーハーしてしまうのと同じ原理です。
鼻呼吸をさせたかったら口蓋の幅を増やし、吸気に伴って活動する鼻孔開大筋を働かせる必要があります。この鼻孔開大筋は顔面神経によって働かされ、それは吸気にともなく舌骨の挙上と外肋間筋による胸郭の拡張と連携して脊髄反射で実行されます。即ち鼻呼吸とは舌骨が前に出て口蓋に押し付ける離乳食によってのみ発達する脊髄反射の一連の動きで養われるのです。 鼻呼吸は決して訓練ではなく正しい呼吸ができる要素が口腔内と胸郭に両方で育てられた正しい舌骨の位置が司令塔となった場合のみ実現できるのです。
硬いもの齧ると舌骨は低位になり噛んでいる間は口呼吸を促進します。
口唇を閉じてちゃんと噛みなさいと親は子に指導しますが、これも正しい姿勢があってのことです。昔なら正座して真っ直ぐ前を見て食べなさいと言われる『お行儀』と言われる指導の一環です。これは正座をすることによって骨盤や股関節がしっかりと固定源になって背骨を支えるからです。肘をはってお茶碗と箸を使うのも上半身を起こす為ですね。この姿勢があって始めて頸椎が真っ直ぐに起きて、舌がレロレロ出来る正しい頸椎の形が作られます。頭を起こせば舌は自然に前方に出ます。前歯でものを齧ろうとする姿勢の時は舌骨を後退位にさせて頭を前に突き出す姿勢にします。そのとき前歯で齧ることを邪魔しないように口角を左右に引いてしまう動作は舌骨も後退位にさせ、胸郭も内肋間筋が働いて呼吸さえも抑制しながら噛みついています。
このように頭を突き出している姿勢で舌骨を後退位にさせていないと前歯ではモノを噛めないのです。離乳食は柔らかいしドロドロしていますから、口唇閉鎖しないと食べられません。この口唇閉鎖は舌を口蓋に当てていないと出来ないことです。そして、舌を口蓋に接触させるためには頭を起こしていなくてはなりません。
勘違いしやすいことは、舌骨の位置と舌の位置を決めるものは頭の位置なのです。頭が前に出ないと舌骨は後方に下げられません。舌骨を前に出そうとおもったら頭を後方に下げるしかないのです。すなわち頭と舌は逆の動きをして実現出来るのです。舌を前に出した位置を学習するということは、頭をいつも起こしていることであり、口唇を閉じていることなのです。犬やライオンに頭を起こして口唇閉じて鼻呼吸しなさいと強制しても絶対に前歯『肉食動物の歯の形は全部前歯の形』でしか噛めないし、顔の幅を育てる筋肉が全く働かないので、肉食動物の前歯は非常に小さくなっています。子供たちが将来的に永久歯になって前歯が叢生といわれる乱れた配列になるのも、離乳食時代からアゴの幅を育てるような食育を受けていないからだと考えられます。だから、前歯を使うほどアゴは肉食動物のように幅の狭いものになるのです。
日本人の顔の幅の広さはこの離乳食時代からの軟食による舌の受動的動きが作り出したものです。現代の子等が顔の幅が狭くなって『イケメン』のような西洋化した顔は、その子らの離乳食や今の食べ物が口蓋に舌を押し当てる必要のないものばかり喰っているからだと思っています。小学生に『何たべたーいの? オジサンがどこでも連れていって上げるよ』と言えば、回答は間違いなく『焼き肉~』となるのですが、オジサンはこれを聞いて『あーこの子等も肉食獣のハーハーと口呼吸する奴らに育つんだな』と深くため息をついてしまいます。
更に追加すると、肉食獣は走るのが得意で歩きません。というより骨盤が水平に寝ているので、股関節の腸骨大腿靱帯がほとんど伸張されません。専門的な解説をすると、口腔内を垂直方向に拡げる最大の原因は下顎枝と関節突起の発育によるのです。そしてこの下顎枝の垂直の長さを増加させる最大の因子が腸骨大腿靱帯の活動性にあります。だから沢山歩行する子はアゴが育つのです。
顎を育てない限り口腔内は育ちませんが、この顎を育てる話はまたまた長くなるので後日にしましょぅ。

14/10/2024

口腔の発育 その5
口腔の発育に興味のある大変に勉強熱心な方からメッセを頂きました。そのメッセには『歯がため』を使って正しい舌の位置をまなび口腔を育てないと言う真摯なものでした。大変な実行力と熱意のあるかたで拙著『ファイナルアンサー』も熟読していらっしゃいます。その熱意に答えるべく丸茂は長文の回答をし続けています。ご質問も長文ですがそれは省略し丸茂の回答のみここに掲載します。その回答の中からご質問の内容を汲み取って下さい。
では→

歯がためで口腔を育てようというご意見に対する解説①
2024年10月14日
歯がためとは、なぜそれを使うかは諸説ありますが、肝心なことは、歯がための対称は芋のシッポの硬いところや根昆布などの、絶対に咬みきれないけど味のするものだったわけです。歯科医的に考えると、これは歯で噛むことよりも噛みついて口唇と舌でしゃぶることによって唾液を出すことの訓練になるのです。

唾液を出すことは、一つには顔面神経支配の筋肉を使う状況を作ることにあります。
だから咬んでも無味の物体を咬んでも顔面神経は動きません。『咬む』ということに視点を置くと、何かを咬むことが歯がためと思いがちですが、本当の歯がための目的は唾液を出すと言うことなのです。
唾液は顔面神経支配の唾液腺活動ですから、確かに硬いもの咬んでも唾液が出ない訳ではありません。それよりも、硬いものを咬むことで味が出てくるのでそれによって唾液が分泌すると言っても過言ではないのです。ではここで重要なことは唾液なのかということです。

拙著を読んで頂き有難うございます。その中にも記載してありますが、子どもが顔を育てる場合には顔面神経支配の筋活動が表情筋を動かし、表情筋が骨を横方向に拡張する方向で働いていくことと舌骨の働きで顔面を前方に発育させることで骨格的に育つことがわかっています。従って顔面神経を如何に使わせるかが顔面の発育に関わるのです。
従って唾液を出すと言いながら、実は顔面神経を使わせること、即ち表情筋(口唇と舌でナメナメ)が活動することが顔の発育に直接関わることなのです。
重要なことは、顔面神経が顔を育てるということが拙著にも書いてありますが、余りに現在の歯科医には知られていないことなのです。

咬むということは2種類の漢字を使います。それは前歯と小臼歯をつかい縦方向に咬むことと、大臼歯を使って横方向に噛むことの異なった使い方に応じた2種類です。
解剖学的生理学的に示すと、前歯と小臼歯のような縦に咬む場合は三叉神経支配の『いわゆる咀嚼筋』であります。これに比べ大臼歯では噛むと言っても縦には動きませんので『Grinding』と呼ばれる横方向の動きの筋肉を顔面神経支配で動かします。

顔を育てるには、顔面の骨の中でも特に上顎骨と下顎骨そして蝶形骨が成長発育の中心となりますが、これらの骨を育てる基本は顔面神経の活動です。
吸啜期では歯が生えていませんので咬む力は必要ありません。しかし、乳歯が生えてくると、歯の構造と機能上は歯がすり減ることを前提として乳歯が存在します。それは乳歯がしっかり咬んでしまうとアゴの骨は育たないのです。 乳歯をすり減らすような筋肉は表情筋が主体です。 そして表情筋は顔面神経支配の筋肉ですから、上顎と下顎は別々の構造体として発育をしてき行きます。乳歯が咬まずに別々の発育をするとその後に生えてくる永久歯がきれいに噛み合わせを作ります。だから、乳歯がすり減るような場合にのみ永久歯がきれいに並ぶという原則があります。従って歯をすり減らすことは正しい生理的な作用と言えますが、これも乳児期には顔面神経が活動して表情筋によって乳歯が減るという正しい使い方をされるからです。
昨今の子どもたちのように、顔面神経を使わないような咀嚼をすると、乳歯がすり減らないことでアゴも発育せず、その結果永久歯の歯並びが悪いということや、前歯が深く咬んでしまって下顎の前歯が見えないような『過蓋咬合』となってしまいます。

これらの三叉神経支配と顔面神経支配の両者を比較すると、乳児(半年から六歳)までは顔面神経支配を優位にすることによって、歯はすり減りそして顔は発育するのです。これは解剖学的生理学的には常識なのです。最近の学者はこれを知らない人もいますので。
だから乳児期に三叉神経を使うような訓練や食品では、考えていることと逆に顔が発育しないということになります。
端的な例を挙げると、アフリカの子どもたちは貧困の中で育ち、硬いものは一切食べるような食生活をしておりません。そして歯並びはきれいであります。都会化しないかぎり歯並びがきれいだと言うのが定説となっています。1920年代に米国のWeston A. Price 博士は彼の著書『食生活と身体の退化』の中で、食事が原住民伝統食から近代食に変わると歯並びが悪くなり健康も失われると書いてあります。これは原住民が今までの食生活の中で伝統的に硬い食品を避けていくことによって健康を維持してきたということが侵入者によって西洋化した食品と大量生産的保存食によって文化の破壊と共に健康が破壊されたことの結果であると喝破しています。
日本でも、明治維新はや敗戦の後に、西洋文化が入ってきて伝統食や生活習慣家具等の変化によって西洋化が正しいと思わされる教育と共に健康も損なわれるようになってきたことと同じであります。

現代でもエチオピアのコンソという村では液体食という酒(どぶろくみたいな)ものだけでほぼ栄養をまかない、固形物を食べない文化があります。そして、この村の子ども達はきれいな歯並びを持っています。 
日本の子どもたちで、小さいころからパン食や肉食を好むもしくは親の押し付けによって育った子等は本当に歯並びが悪いだけではなく、諸々の事情で発達障害となってしまいます。発達障害の子等は、口の中の高さが著しく低くなってしまうという現象のために、舌が薄いまま育ちます。こういう薄い舌を平舌と呼んで発達障害の特徴となっています。
この発達障害の子等は、口の中の狭さが『高さが低い』ことで舌が拡がって歯並びを内側から外に押し出してしまって、歯並びは拡がったままになります。この拡がりすぎた歯並びは素人目にはきれいな歯並びと受け取られて大きな誤解を受けています。

顔を育てるというのは、本当の正しい成長発育の一部分でしかありません。
顔が育っても、人としての正しい脳の活動性を担保することにはならないのです。顔が育つという基礎は、脊椎が正しく育つということです。脊椎の正しい発育とは難しい表現ですが、脊椎の正しい彎曲が作られるという成長発育で12才頃までの発育が大きな意味を持っています。
脊柱が正しく発育することは、脊柱の最深部にある短回旋筋を中心とした体幹が発育しないと無理なのです。この短回旋筋 長回旋筋 多裂筋のような体幹の中心となるような諸筋が活動することで脊柱の一つ一つの椎骨を育てます。この椎骨の育成がちゃんと出来ると脊椎は正しく配列し、体幹がしっかりすることが出来ます。
この体幹を作るために育児にとって重要な時期が生後から2ヶ月までなのです。この2ヶ月の間に、体幹をしっかり作らないと、体幹のない子どもとなって、それは末梢巧緻運動の不備となります。体幹がしっかり出来ると、大人で言えば前屈が深く出来るとか、頸の回旋がぐるりと廻るとか、吸気時の外肋間筋がしっかり働くような末梢の動きが出来ます。
これが出来ない子は『身体ガチガチの子』になります。昨今の子等が身体ガチガチなのは、この体幹の発育が出来ていないからなのです。
では身体の体幹はどのように育つかという鍵が生後2ヶ月までの育児法にあります。
生まれてすぐに平らな所に寝かされて、まだ筋肉も脊柱も育っていない状況で脚だけバタバタすることが出来ます。この時に大腿骨の未完成なことと、股関節臼蓋が未完成な時期ですがこれには重要な意味があります。身体長軸に対して脚がほぼ直角に出すことが可能な解剖学的発育未完了な状態があります。この身体に直角で脚だけバタバタさせることによって腰椎の深層筋である深部体幹筋が育つのです。脚を閉じてしまったら、この腰椎に対する回旋力がなくなって深部体幹筋は育たないのです。 ですから昔から生まれたすぐの子は股関節が閉じないような育児が重要で、布オムツで絶対に脚が閉じない育児が重要だとされています。 そして頸も据わっていないことから抱き上げることも本当は良くないことだし、乳児を移動させることもよくないと日本では言われていました。これが生後直後の伝統的な乳児の取扱いです。
即ちこの伝統的な育児方法こそ腰椎の体幹を作る重要な方法だったのです。これを守らずに、SNS等で言われている『おひなまき』とか海外で行われるスワドリングなどの股関節閉鎖方法を育児でおこなってしまう母親が増加し、そのような誤ったい育児法の結果、乳児から小児にかけて極めて重症な発達障害児がうまれています。これは小生は拙著には詳しく書くことが出来ない重要な社会問題なのです。
股関節から腰椎を中心とした体幹を育てることによって脊柱がちゃんと発育して、口の中は舌が動き回れる程の空間を得ます。 その舌の動きを主導するのが顔面神経なのですが、この大切な時期に舌が動かないような食品の代表がパンや肉のような硬い三叉神経支配の筋肉で咬ませる育児法なのです。
折角舌が動けるような環境を最大限に活かす時期が『離乳食期』であって、この離乳食の時期に味わい深い出汁を中心とした離乳食を舌で食べさせることによって顔面神経の活動性が高まってきます。それと共に顔面が発育し、乳歯が萌出後も離乳食の延長のような軟食をすることで、アゴだけは横に動き咬むではなく噛むという運動で咀嚼するようになります。この動きが顔面神経支配の真横運動で歯がすり減るような使い方なのです。
昨今の子等の歯がすり減らないのは、この顔面神経を使っていないことによります。だから歯のすり減らない子等は縦にばっかり咬むような食品を与えられ、ましてBLWという自分で食物を掴んで自らの意志で咬むという愚行を押し付けられてしまい、ますます舌が働けない状況に押しやられるのです。
顔を育てるという本質の出発点は股関節の正しい使い方をさせるという想像も付かないような出産直後に鍵があるのです。だから見た目だけの硬いものを咬ませよう的な考え方は逆に肉食獣のようなアゴの細い子を作ると言っても過言ではないと考えています。

ご連絡を頂き誠にありがとうございます。予想外の返事をしなくてならなくて私自身も〇〇さんをがっかりさせてしまうことで申し訳なく思っています。他人の意見ではなく自分自身の目で見て、硬いものを食べた子の口の中や顔の発育がどうなっているか、身体ガチガチの子等がどういう育児を受けて来たかを調査してみて下さい。また逆に『この子は硬いもの食べるのが嫌いで・・・』というような子が成長してどんなに顔面が発育し、鼻孔も拡がって胸郭の厚みも出ているかという実態調査をなさって下さい。
硬いものを咬むと顔が育つという流説をそのまま信じるべきかどうかは、その調査をすればすぐにわかると思います。
拙著にはこれらのことは『顎関節症』の内容とは相当にかけ離れていますので詳細を書いてはいませんが、実はこのような発育とか発達の事を沢山書きたいのですが、それはまた別の著書を記すチャンスがきてからですね。がっかりな御返事で申し訳ありませんでした。長文ですみません

口ポカンについては、また超長文になりますので、後日回答を致します。
ちなみにちょっとだけお話しすると、軟食をしている時は鼻呼吸で、硬いものを咬んでいる時は獣のように口呼吸になることを一言申し上げておきます。

14/08/2024

口腔を育てる その4
顎位を決めるものは何か
顎関節は構造的には滑走関節である。人体にある関節円板は4組8枚であるが、その内の二枚が顎関節に存在する関節円板である。他に関節円板の介在する関節は橈尺関節・肩鎖関節・胸鎖関節である。多くの人が関節円板というと膝にもあると御回答なさる。残念ながら膝は関節円板のちぎれた半月板しか残っていない。骨と骨の関節の間にある関節円板の役目は『骨の滑走』による作業領域の長さを示している。すなわち関節円板の介在する関節とは、スライドレールのように滑りながら働く関節という特徴がある。だから滑走する範囲の中であればどこの位置でも関節としての働きが出来るということである。
話がちょっとそれるが、筆者は顎関節症の専門医である。顎関節症とは開口時疼痛・開口障害・関節雑音の三徴候を特徴とする疾患であるが、中でも関節円板が関係するのは関節雑音である。顎関節症で関節雑音は開閉口するたびに『ポキッ』と顎関節から音がする状態を示す。この音を専門用語では『クリック音』と呼ぶ。この関節雑音の原因は、上記滑走関節である顎関節が、滑走の範囲を超えて下顎の位置がずれて、介在する関節円板が下顎頭から一部外れてしまった結果発生するのである。下顎の位置がずれる原因は通常は猫背によって発生する。脊柱的形態分析で猫背と呼称するが、 別の言い方ではForwardHeadPosture【FHP】とも言う。頭が前に突き出た姿勢という意味である。その3で出てきたForwardHeadPosture姿勢である。成人で顎関節症になる場合は、顎関節症の発症前には姿勢がよくて、運動不足や怠惰生活、長寝等の不良生活習慣から全身の筋力が低下して呼吸の低下を伴って不良姿勢とし発症することが多い。成人の場合は、まずは正常生活があって、関節円板がある程度成熟した軟骨のような硬くなったというペンだこ【ペン胼胝】のような状態になることが重要である。このペンだこのような軟骨状態が完成した後に、不良姿勢になって関節円板がずれてしまうので、その硬さ故に、ポキという音がするようになるのだ。 だから子どもの顎関節症は、関節円板がペンだこのように【タコ】化する前にずれてしまうので、クリック音がしないのである。いずれにせよ、顎関節の滑走の範囲の構造的限界を超えて下顎の位置が後方にずれてしまう状態で関節雑音が発生するのである。
むかし、下顎の正しい位置はどこかという解剖学的特徴を無視した論議が行われていて、下顎の最後退位が最適な下顎位と伝承されて、その位置を滑走範囲の端っこなのに『中心位』と称していたのだから笑える。英語表現のTerminalHingeの方がまだ状態を正しく表現している。が、しかし、滑走の範囲のもっとも端の部分だから、関節にとっては相当に無理がかかる顎位であったことは歴史が証明している。いつのまにか最も端っこと称された中心位は端っこではなく前方に移動してきた。節操もなく正しい位置が変化したのである。
かつて、中心位の位置を記録しようとして、蝶番運動をさせて下顎頭の回転中心の位置を皮膚上に刺青をして記録しようとした人達がいて、実際に皮膚上に青い点を打たれた医局員が何人もいたのである。その位置が永遠であると思い込んでいた先輩は、何年か経過してもう一度蝶番運動させてみたらかつての刺青の位置よりも後方で回転中心が記録されることを発見した。ここに滑走関節である下顎頭の位置は絶対的に正しい位置という呼び方から、今はここにありますという流動的な状態になり、どんどん下顎が後退位になっていくことと同時に観察されるようになった。
蝶番運動の記録は、蝶番弓という装置を用いて下顎を後方に押して測定記録を行ったのであるが、器用な医局員は下顎を自ら後退位にもっていくことによって先輩が押す顎への外力を逃れることを発見した。 その自ら蝶番運動をする顎位は、本来の咬頭嵌合位よりも後方の位置であり、舌を思いっきり喉の奥に引っ込めるか、極端なForwardHeadPosture姿勢を取ることであった。
即ち、下顎を後方に下げようとしたら、舌骨を後方に下げれば良いと学習したのである。舌を後方に下げるには大変な努力が必要であったが、ある若い医局員は、肺の中の空気を全部吐ききってしまえば、下顎は最後退位になるという天才的な発見をしたのである。
これらの経験を通じて、下顎の位置は舌骨の位置によって大きな影響を受けることなどがわかってきたのである。
閑話休題
咀嚼時の顎位について考えてみたことがあるだろうか。上下の歯でものを噛むという行為はもちろん咀嚼そのものであるが、軟らかくて美味しい食べ物を舌で潰して味わうという行為も広義の咀嚼と言えるかもしれない。歯でものを噛むという行為は正確には咬むという表現をするべきで、咬むは前歯、噛むは臼歯で食物を処理する行為を表現することにする。噛むでも咬むでも実際にある程度の硬い食品を歯で処理しようとすると、舌を一緒に咬んでしまっては痛いので、舌を後退させて咬むことになる。これに比べ軟らかい歯の必要としない出汁の効いた美味しいものを口の中で処理するのは舌の役目であるから、舌は口蓋や歯に押し付けられて働くということになる。もちろんこれらの舌の位置は舌骨が舌という筋肉の塊の台車となって位置決めをして咀嚼時に働いていることになる。
硬いものを咬む時には舌骨は低位になって舌を保護し、その舌骨の位置では舌と口蓋が離れている。従って硬いものを咬む時には『舌咽頭封鎖』が行われないので、口呼吸になってしまう。肉食動物がハーハー言いいながら敵に咬みつこうとする態度である。口呼吸は口が開くような舌骨の位置をとるという姿勢がつくりだした呼吸法である。単純に口唇閉鎖が出来ない呼吸不全の状態でも口呼吸が行われる。呼吸の話になると無限に話が拡がるのでこのくらいにするが、口呼吸の時は下顎が後退位になるとだけ言っておくことにする。
舌は機能する時に、前に出そうとすると横舌筋が収縮し垂直舌筋が弛緩する状態で行われる。そしてこの前に出したり口蓋に着けようとする舌を支えるのが舌骨である。舌を意識によって特定の動きをさせたり、特定の姿勢を強要する場合には舌骨は支持の役目を果たすために動きを止められる。舌骨上筋群も下筋群も過緊張を強いられる体制である。
もともと舌骨を無意識に呼吸に用いることの出来る人は舌に意識を集中したら呼吸ができないことを知っている。これが正しい呼吸法の基礎である。舌を特定の位置に抑えて同時に呼吸するのは意識下では出来るが不十分な呼吸量である。正しい呼吸のスイッチを入れることが出来る人は、口腔内も舌も一切意識をせずに可能である。それは正常な呼吸の環境を整えれば可能である。これが三木成夫の示す『直筋系』である。それは無意識の姿勢において舌根が口蓋に接触するような骨格的姿勢を取ることが出来る人にのみ可能なスイッチなのである。
歯列の形態ではなく、口蓋の形態が不良なことによって、舌骨は後退位を取ることがわかっている。もともと口蓋の形態を整えるのは離乳食の正しい摂取時期の目的だったので、離乳食を適正に準備されなかった児は口腔内環境を正しく作ることが出来ない。離乳食から始まる咀嚼の出発点は、絶えず口蓋から舌が離れないような食品を摂取させることが重要なことであることはご理解戴けるであろう。即ち、舌を無意識に口蓋に押し付けるようなリズミカルな咀嚼習慣と、舌が口蓋に接触しながら呼吸をするという直筋系の実現は同時に行われ得るものであることに気がつかねばならない。
その3では短頸によって舌が口蓋に接触していることを述べたが、その短頸からの卒業で口腔内の高さが育ってきても、軟食を続ける限りは舌が口蓋に貼り付いたままで口唇閉鎖が行われ続けることが出来るのである。
硬いものを齧って、舌を咬まないように舌骨後退にすることが口唇閉鎖を防ぎ、口呼吸を行わせる最大の契機であり、その舌を咬まない姿勢こそForwardHeadPostureそのものであることに気がつかねばならない。食事中にお喋りをして、舌が口蓋から離れるような食べ方では口が育たないという理由は簡単に判るであろう。日本人は食事中は正しい姿勢のまま、食器を口許に運び頭位が崩れないように配慮し、食事中は一切喋ってはならないというお行儀こそ、歯列を育て鼻呼吸を促し、顔を育てる基本であることを示し日本文化の意味を考えてみる契機としたい。

今日はここまでです。皆さんシェアお願いします。
令和6年8月14日(水) 午後9時34分
文責:丸茂研修会 丸茂義二

13/08/2024

口腔の発育 その3
口腔を育てるという意味不明の用語が闊歩してますね 笑

口腔を育てるのは筋力の強化ではありません。口腔の容積を増やすことが口腔を育てるの本当の意味です。それは、口腔が狭いと舌の活動する空間が足りなくなると言うことです。舌は筋肉の塊ですから、使えば使うほど体積が増加します。この舌が活動するために、口腔の発育を評価する基準は①咬合高径という高さ ②口蓋突起という幅 ③智歯が生える余裕のある奥行きという立体的思考が重要です。口腔を育てるとは、この①~③のそれぞれがどのような機能によって発育するかを知っていることが重要です。

①咬合高径を育てるとは、その2に書いたように、短頸からの卒業の過程で発生することです。本来の短頸の目的は吸啜期には舌が動かせない環境を作ることです。吸啜期初期には閉口する力がありません。それは三叉神経の発達が弱く、下顎を閉じる力がまだ発揮出来ない環境があるからです。頸椎に咽頭筋で接続する舌骨は、吸啜期初期に短頸であるが故に喉頭と咽頭の位置関係が逆転して、喉頭が軟口蓋よりも上にあります。わかりやすく言えば鼻腔の後方に喉頭が存在するので吸啜期では当然の鼻呼吸が出来て吸啜作業と同時に呼吸ができる環境を作ります。この吸啜期の乳児の舌の位置は舌骨が喉頭の位置によって決まるので、舌骨は高い位置にあります。それは舌が口蓋に密着することを意味しています。舌は舌骨が高い位置にあるから口蓋に貼り付いたまま降りることが出来ないのです。この時期は舌骨が高い位置にあるために、下顎運動が出来ません。従って吸啜のために開口する時は上顎を開けるしかないのです。生後にまるまる育児姿勢を強要すると、脊柱を直線化しようとする反りが発生するので、まるまる育児環境から脱却しようとした児らは全身で反ってしまい吸啜の為の閉口する環境を自ら壊します。まるまる育児をされた児らが正常な吸啜姿勢をとれないのはまるまる育児の反作用なのでしょう。
閑話休題

短頸は吸啜のための環境作りという重要な意味があります。三叉神経の発達してない時期に閉口させる力を舌骨の高位によって作り出すということなのです。だから吸啜期には絶対に乳児は頸が短い必要があるのです。もし吸啜期に体を丸めたり反らしたりするような姿勢維持筋が働いたらどうなるか。折角短頸という舌を口蓋に押し付けているという舌骨高位の吸啜環境が変わってしまうことを意味します。吸啜の時期は舌骨は動かない方が良いのです。舌骨が動かないということは嚥下作業が出来ないことを示しますが、安心してください。吸啜期は舌が蠕動運動をして食道に接続して母乳を消化管に送り込みます。これは機能的に見れば、乳首に消化管が接続して乳首から食道まで蠕動運動で栄養の取り込みをしているので、嚥下という舌骨の動きを要求していません。この蠕動運動と呼吸は別の作業なので、吸啜と同時に鼻呼吸が出来るのです。
 この吸啜期は脊柱は反ったり丸まったり出来ないで直線を維持します。胎内から出産しても一切脊柱を運動させることが出来ない児が正常であって、脊柱弯曲もできていないのが正常な新生児の姿です。脊柱の姿勢維持筋等がゼロの時期だからこそ、畳の上に寝かされて直線状の脊柱になっている時期が、この後の脊柱の周囲の筋肉が育つ重要な時期なのです。胎内で丸いのは環境的に、発生学的に当然の結果ですが、脊柱の正常な発育を行うためには、出産後は脊柱が直性である必要があります。胎内での丸まった姿勢から出産後に脊柱が真っ直ぐになることが脊柱周囲筋肉の発育の出発点です。
 脊柱を支える筋肉しは深層から浅層まで沢山存在します。これは姿勢や体幹という用語を適切に知るために重要な知識ですね。丸研で学習したり、丸茂の講演を聴いた方々は丸茂テキストで図がありますので、この講演テキストの図を見ながら読むとわかりやすいですね。

 脊柱周囲の筋肉を分類すると、深層から順番に回旋に関わる筋肉として短背筋群の
1,短回旋筋
2,長回旋筋
3,多裂筋
4,半棘筋 があります。
これらの1~4の筋肉の短回旋筋は脊柱にほぼ直角から斜めに走行して回旋運動に関わりますが、数字が大きくなるに従って脊柱の縦方向への走行になります。体幹があるとか無いとか言われる体幹とはこの数字の順番に機能していることを示します。
即ち体幹があるというのは最も短い筋肉の短回旋筋がちゃんと働くことを意味しています。短回旋筋がまず発達し、この最深層筋が働かないと長回旋筋が発達発育出来ないという解剖学的な特徴があります。脊柱周囲の背筋群の発達は短回旋筋に始まり長回旋筋・多裂筋・半棘筋の順番で発育するように出来ています。これは脊柱が直線状の時期に限局された発育なのです。 まるまる育児がよくないという理由は、まるまるの姿勢にするとこれらの短背筋群が発育しないのです。
短背筋群が発育することが体幹があるという意味なのです。
この短背筋群が発育しない状態でグローバル筋である表層筋が過剰に機能してしまうのが発達障害児や脳性麻痺児の特徴であることに注意しなくてはなりません。即ち出産直後に平らに寝かせておくべき時期に、まるまる育児や、布巻で身体固定をするような体幹の筋肉の発育を阻害するような状態に置くことは、人工的に障害児を生み出す原因となるのです。

 時々受ける質問として、児が反ってしまうのでどうしたら良いかというのがありますが、反る前は必ずまるまる育児姿勢があったという事実の確認をします。平らに寝かせた児は反ることをしないことに気がつかなくてはなりません。丸めた反作用の恐ろしさですね。
この短背筋群の発育は深層から順番に行われるのですが、それは全て平らに寝かせた時期からスタートすることに気がつかなくてはなりません。
筋肉には等張性収縮と等尺性収縮と等速性収縮の3種類がありますが、体幹の筋肉の機能が発揮されるのは等尺性収縮です。即ち体幹として中心に近い短回旋筋などのローカル筋と呼ばれる脊柱周囲の筋肉が動かずに支えることが体幹の筋肉に要求されるもっとも大切な働きなのです。
出産後に重力下で平らな場所に寝かされて、股関節が真横に開いたままで、脚をバタバタさせることによってこの深層筋が育ちます。この股関節が開いていることが重要な時期に閉じてしまった育児歴をもった児を調査すると、脊柱が育たない、即ち短頸のまま脊柱の発育が阻害されて短頸を終わりにして喉頭が低下しないで舌骨が高いままの子が多いことが判明しています。すなわち、股関節の育児期間の重要な初期に適正な股関節運動をさせないことが、最終的には脊柱の発育を遅らせ、口腔内では舌骨高位による平たい舌の登場とか、平たい口蓋の出現になると考えられるのです。これこそ口腔内の垂直的な発育を阻害している重要な要因なのではと考えています。

最終的にはまだ証明されてはいないのですが、短背筋群の適正な発育が脊柱の垂直的発育を作るのではないかと思われるのです。研究者としては有難いのですが、口腔内の高さである咬合高径の低い児らの調査をしてみると、生後の育児の時期にまるまる育児や〇巻き育児、すっぽり椅子などの不良育児歴を持った児が多いという事実を多くの相談症例で発見するのです。
乳児期では当然の短頸で舌骨高位が、吸啜期が終了しても舌骨高位の時期が続いてしまって口腔を育てられなかった児らが短頸が継続してしまい、摂食も発音も嚥下も舌骨の位置異常があるために、あたかも機能異常であるかのように見えてしまうのです。吸啜期では必須であり正常な短頸も、吸啜期が終わったら卒業しなくてはならないのです。この短頸が吸啜期以降も残存してしまうのが口腔発育の阻害の最大要因ではないかと思われるのです。
口腔機能発達不全という呼称も、舌骨の位置が不良なために、そのような評価を得てしまうとしたら、舌骨高位を直してしまえば口腔機能の発達は正常化するし、舌骨高位状態を放置したら、いつまでも舌骨高位が原因となった機能異常は消えないのです。
児らは、舌骨高位の時には舌骨を引き下げないと嚥下機能が正常に行われないので、頭を前に突き出すようなForwardHeadPostureという姿勢をして、犬食い姿勢で嚥下します。これは舌骨高位に対する適応症的姿勢だと評価することが出来ます。従って犬食いやめろと正常姿勢を強要すると適正嚥下が出来ないために食欲の異常低下などが発生します。またForwardHeadPostureは相対的に舌骨を下方に引き下げようという姿勢なので、この姿勢を維持することが不良な形であるにしても口腔内を拡げようとする姿勢の一つでもあります。

 口腔内の発育を解析することによって、発達障害の本質に迫ることが可能となり、その原因の一つである異常育児の異常性を今回は解説しました。難しいのは当然ですが、まるまる育児をやった児とそうでない児を比較検討すれば明々白々です。

今日はここまでです。皆さんシェアお願いします。
令和6年8月13日(火) 午前10時59分
文責:丸茂研修会丸茂義二

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