07/02/2026
先日にジャパンEAPシステムズの松本桂樹先生をお迎えし、「ハラスメント防止対策とメンタルヘルス問題」のセミナーを開催しました。松本先生とは私が学部生の頃からのお付き合いで、当時はホームページの掲示板やメーリングリストで交流させてもらっていました。それから四半世紀が経ち、こうして私のオフィスで松本先生のセミナーを開催できたことは感慨深い思いがあります。
さて、本セミナーでは、法律的枠組みと現場実務の双方から解説が行われました。まず、パワーハラスメント、セクシュアルハラスメント、マタニティ・ケアハラスメントなど、事業主に防止措置が義務づけられている各種ハラスメントの定義と、近年の法改正の動向が整理されました。とくにパワハラについては、優越的な関係を背景とした言動、業務上必要かつ相当な範囲を超えるかどうか、就業環境が害されるかという三要件に基づく判断の枠組みが示され、具体例を用いて、指導とハラスメントの線引きが丁寧に説明されました。また、企業における対応フローや、一元的な相談体制の重要性、早期発見の視点として勤怠や業務能率などの変化に着目することの意義も共有されました。
後半では、実際の相談事例をもとにしたケーススタディが行われ、被害を訴える側への支援と同時に、行為者側への対応や教育プログラムの位置づけについても議論が深められました。参加者は少人数のグループに分かれ、ケースへの対応をめぐって意見交換を行い、支援者としてどの時点で、どのように企業や関係部署と連携するかという実務的な論点を検討しました。さらに、メンタル疾患の労災認定の現状や、企業リスクとの関連にも触れられ、ハラスメント対応が個人の問題にとどまらず、組織全体の安全配慮義務と直結することが強調されました。
全体を通して、ハラスメント対応は感情論や個別の善意だけではなく、法的定義と手続きに裏打ちされた枠組みの中で進める必要があることを、あらためて確認する機会となりました。と同時に、早期発見や初期対応の質が、当事者のメンタルヘルスの悪化や組織全体のリスクを左右することも、具体的な事例を通して実感されました。心理職・対人支援職にとって、臨床的な配慮と制度・組織の論理をどのようにつなぐかが重要な課題であることを再認識させられる、実践的で示唆に富むセミナーでした。
このセミナーは現在はオンデマンドで視聴が可能となっています。視聴をご希望の方は以下のページからお申し込みください。
「ハラスメント防止対策とメンタルヘルス問題」
講師:松本桂樹 先生(株式会社ジャパンEAPシステムズ、臨床心理士、公認心理師)
参加費:2,200円
オンデマンド視聴期間:無期限
視聴時間:約2時間00分
厚労省の最新データを踏まえ、職場で増加するハラスメント問題に心理職がどのように関わるべきかを考えるオンラインセミナーです。関連法規や企業の防止対策を理解し、支援現場での実践的な対応と倫理的判断を専門家...