のだ眼科・血管内科クリニック

のだ眼科・血管内科クリニック のだ眼科・血管内科クリニック院長の野田 浩です。弘前市北部で眼科と血管内科を開設しています。眼科は眼科専門医である副院長 野田 康子が担当し、私は血管内科を担当しています。今後ともよろしくお願いします。 眼と足と血管の健康のためのクリニックです。

12/09/2025

日本人の女性に特有かもしれませんが、臀部から下肢にかけて皮下脂肪が偏在する体型があります。30代後半から目立ち始め、下半身には厚い脂肪が速やかに形成される一方で、上半身やお腹には2~3cm程度の薄い皮下脂肪しかつきません。下肢の脂肪は5cmを超えることもあり、そのために「なぜ下半身だけ太るのか」「自分の浮腫の原因は何か」と疑問を抱いて受診される方が少なくありません。特徴的なのは、こうした患者さんが痛みや圧痛を訴えることはほとんどない、という点です。
海外の文献ではこの病態は「lipedema(脂肪浮腫)」として紹介されることが多く、日本の成書にも同様の記載が見られます。しかし欧米で報告される lipedema の典型例は、痛みや圧痛、あざを伴うことが多く、日本人症例とは大きく異なります。むしろ日本の臨床現場で見られるのは、痛みを欠き、下肢に無症候性の脂肪が集積するタイプであり、これは「lipohypertrophy(脂肪性肥大症)」として理解するのが適切ではないかと考えています。
発症の背景には、思春期・妊娠・更年期といったホルモン変動期が関与することが報告されており、家族内に同様の体型を示す人がいることも少なくありません。つまり生活習慣だけでは説明できず、体質や遺伝的素因、ホルモンの影響が深く関わっている可能性があります。診察の際には、左右対称に下肢が肥厚しているかどうか、足の甲の脂肪は保たれているか、そして何よりも痛みや圧痛を伴わないかを見極めることが重要です。こうした特徴はリンパ浮腫や lipedema との鑑別に役立ちます。
治療については、現状では脂肪そのものを根治的に取り除く方法はありません。しかし、圧迫ストッキングを用いて下肢の形態を保ち、だるさや夕方のむくみを予防することは効果的です。また、水中運動やウォーキングといった運動は下肢の循環改善に役立ちますし、全身の肥満を防ぐための体重管理も欠かせません。こうした保存的な対応によって、患者さんの不安を軽減し、生活の質を向上させることができます。
この「下半身に偏在する脂肪性肥大(lipohypertrophy)」は、日本ではまだ十分に知られていない病態です。「生活習慣の問題」ではなく、体質やホルモン、遺伝に由来する体型であることを理解していただくことが、患者さんの安心につながります。欧米の lipedema と同列に語るのではなく、日本人の臨床に即した病態概念として lipohypertrophy を重視することが、診断と治療の新しい指針になるのではないかと考えています。今後も症例を重ね、日本人女性に特徴的な病態として広く発信していきたいと思います。

#脂肪性肥大症

#日本人女性の体型特徴
#下半身だけ太る理由
#体質とホルモン
#遺伝と脂肪分布

23/05/2025

なぜ、のだ眼科・血管内科クリニックは「食の専門家」管理栄養士と共に歩むのか ~人生100年時代、いつまでも自分の足で歩き続けるために~

 早いもので、医師として患者さんと向き合い40年近くの歳月が流れました。63歳となった今、私が日々痛感しているのは、「いつまでも自分の足でしっかりと歩き、豊かな人生を送り続けること」の素晴らしさと、そのための健康管理の重要性です。特に、忍び寄る生活習慣病にいかに本気で立ち向かうか。これが、私たちの大きなテーマです。

 さて、当クリニックには、開院当初から「管理栄養士」が常勤しています。他のクリニックではあまり馴染みがないかもしれません。「なぜ、街のクリニックに管理栄養士が?」と疑問に思われる方もいらっしゃることでしょう。本日は、その理由について、私の経験も交えながらお話しさせていただきたいと思います。

 まず、「管理栄養士」と「栄養士」、この二つの資格には明確な違いがあります。栄養士が主に健康な方々への栄養指導や給食運営を担うのに対し、管理栄養士は厚生労働大臣の免許を受けた国家資格であり、より専門性の高い知識と技術を有します。病気を患っていらっしゃる方、ご高齢で食事が摂りにくくなっている方、そしてもちろん健康な方一人ひとりに対しても、その方の状態に合わせたオーダーメイドの栄養指導や食事管理を行うことができる、まさに「食のプロフェッショナル」なのです。

 私がなぜ、この「食のプロ」の力をかくも重視するのか。それは、医師としての長い経験の中で、ある種の「もどかしさ」を感じてきたからに他なりません。

 以前、私が大学病院で血管外科医として動脈硬化の患者さんを担当していた頃の話です。ある患者さんの手術が無事成功し、退院を翌日に控えた朝のことでした。

「先生、おかげさまで良くなりました。本当にありがとうございます。つきましては、退院したら、どんな食事に気を付ければよろしいでしょうか?」

その真摯な問いに、私はこう答えるのが精一杯でした。

「そうですね、塩辛いものや脂っこいものは控えて、バランスの良い食事を心がけてください。もちろん、タバコはもうお辞めくださいね」

…内心では、「また月並みなことしか言えなかったな。患者さんは、もっと具体的な、日々の生活に活かせるアドバイスを求めているはずなのに」と歯がゆい思いでした。患者さんも、「やはり、そうですよね…」と納得されたご様子でしたが、その表情の奥には、もう少し踏み込んだ答えを期待されていたのではないかと、今でも思うことがあります。

「医食同源」という言葉があります。患者さんご自身が、日々の食事がご自身の身体、そして病状と深く結びついていることを、誰よりも実感されているのです。だからこそ、病気の専門家である医師に、「何を食べ、何に気をつければ、この辛い病と縁遠くいられるのか」と切実に問われる。これは当然のことでしょう。

しかしながら、大変お恥ずかしい話ですが、私たち医師が受ける医学教育の中で、「栄養学」に割かれる時間は、決して多くはありません(少なくとも私の時代はそうでした)。病気のメカニズムや治療法については深く学びますが、個々の患者さんの生活背景や嗜好まで踏まえた具体的な食事指導となると、専門的な知識が追い付かない場面も多々あったのです。例えるならば、魚の目利きはできても、その魚を最高に美味しくする調理法までは語れない、といったところでしょうか。

私が専門とする動脈硬化をはじめとする血管の病は、その根底に高血圧、糖尿病、脂質異常症、高尿酸血症といった生活習慣病が潜んでいることがほとんどです。これらの生活習慣病をいかに的確に診断し、治療し、そしてコントロールしていくか。これが、患者さんが「いつまでも自分の足で歩く」ための、そして健康寿命を延伸するための鍵となります。そして、これらの病気の治療において、薬物療法と並んで、いや、時としてそれ以上に重要となるのが、「食事療法」と「運動療法」なのです。

特に食事療法は、日々の積み重ねが何よりも大切です。しかし、ただ「あれはダメ、これもダメ」と制限するばかりでは、長続きしません。美味しく、楽しく、そして無理なく続けられる工夫があってこそ、真の治療となり得ます。ここに、管理栄養士の専門性が活きてくるのです。

管理栄養士は、患者さん一人ひとりの病状、生活スタイル、食の好み、さらには経済的な背景までを丁寧に聞き取り、その方に最適な食事プランを一緒に考え、実践をサポートしてくれます。医師が病状を診断し治療方針の大枠を示すならば、管理栄養士はその方針に基づき、日々の食卓という具体的な形で治療を支える、まさに「二人三脚のパートナー」と言えるでしょう。

生活習慣病に本気で取り組むということは、薬だけに頼るのではなく、患者さん自身の生活そのものを見つめ直し、改善していくお手伝いをすることだと、私は考えています。そのためには、医師の力だけでは不十分であり、栄養学の深い知識と温かい心を持った管理栄養士の存在が不可欠なのです。

当クリニックの管理栄養士は、皆さまの「食べることの楽しみ」を奪うことなく、いかに健康的な食生活を実現できるかを常に考えています。時には厳しいことも申し上げるかもしれませんが、それは皆さまの未来の健康を心から願ってのこと。どうぞ、安心してご相談いただければ幸いです。

「いつまでも自分の足で歩き、笑顔で過ごせる毎日を」。そのために、のだクリニックは医師と管理栄養士、そしてスタッフ一同、これからも皆さまの健康づくりを全力でサポートしてまいります。

長文になりましたが、これが当クリニックに管理栄養士がいる、大切な理由なのです。

#のだクリニック #管理栄養士 #生活習慣病 #健康寿命 #医食同源

12/05/2025

「見える」から安心へ。放射線科医の目で診る内科診療

「CT検査や超音波検査って、先生が見て患者は報告書を聞くだけ・・・」

そう思っていませんか? 放射線科診断専門医でありながら、内科の診療もしている私にとって、画像はただの検査結果ではありません。それは、患者さんの体の状態を直接「見る」ための、大切な「目」なのです。

一般的に、放射線科医は読影業務に従事していることがほとんどであり、患者さんを直接診察する機会はあまりありません。
ですから、患者さんからみると「見えない医者」となっています。しかし私は、内科医という側面を併せ持っており、画像を通して患者さんと向き合い、画像から何がわかるか?何が起きているのか?を一緒に確認しながら、治療の計画を立てています。

画像は、病気の姿を映し出す「鏡」

画像診断のすごいところは、目に見えない病気のサインを「見える」形にしてくれることです。

例えば、健康診断で「脂肪肝の疑い」と言われた患者さんに、CT画像をお見せしながら「肝臓に脂肪がたまると肝臓が黒く写るんですね。これは危険な徴候です。」と説明すると、皆さん驚かれます。画像を見せながらが説得すると、食事や運動に気をつけようという気持ちになるようです。

首の動脈に動脈硬化が起きて血管の内腔が詰まり掛けている患者さん、さらには、足の血管がボコボコと浮き出る下肢静脈瘤の患者さんでは、超音波検査で、血流の状態が非常によくわかります。「ここが血管が狭くなっている部分です」とから、「ここが血液の逆流を起こしている部分ですよ」と説明します。すると、治療法についても、より深く理解していただけます。

画像は、診断をつけるための道具であると同時に、患者さんと一緒に病気の姿を確認し、理解を深めるための「言葉」にもなるのです。

体の声と画像の声、二つを聞く

内科医として患者さんの話を聞き、体に触れて診察する時と、放射線科医として画像を見る時。この二つの視点を持つことで、私は様々な発見をします。

例えば、患者さんが「ここが痛い」と訴えているのに、レントゲンでは特に異常が見当たらないことがあります。そんな時、「もしかしたら、筋肉や神経の炎症かもしれませんね」と、さらに詳しく調べる必要があると考えられます。

逆に、呼吸の音は普通なのに、CT画像には軽い肺炎の影が映っていることもあります。特に高齢の方の場合、肺炎の症状がはっきり出にくいことがあるため、画像が重要な手がかりになるのです。

また、血液検査では正常であっても、CTでみると肝臓に腫瘤が見つかったり、腎臓が萎縮していたりなど・・・まだ数値に現れていないだけで、生活習慣の改善や治療を早く始めるきっかけになったりします。

このように、体の診察と画像診断、二つの視点を持つことで、より深く病気を理解し、適切な診断につなげることができるのです。

AIにはできない、「この人にとってどうか」という視点

最近では、AIがレントゲンやCT画像を読んで、異常を見つける手助けをする技術も進んでいます。AIはたくさんのデータからパターンを見つけるのは得意ですが、「この画像が、目の前の患者さんの状態をどう意味するのか」「これからどうすれば、この患者さんにとって一番良いのか」を判断することはできません。

だからこそ、画像を「見る」だけでなく、「この患者さんにとってどうか?どういった意味があるのか?」という視点で考える私たち放射線科医の役割は、これからもますます重要になると感じています。

「見える」安心が、信頼につながる

自分の体の状態が「見える」ということは、患者さんにとって、医師の説明を信頼する大きなきっかけになります。「先生は、私の体をしっかり見てくれている」「私の病気のことを、ちゃんと分かってくれた」と感じていただけることが多いようです。

病気の診断をするだけでなく、患者さんの不安な気持ちに寄り添い、安心してもらうこと。それこそが、医療の大切な本質だと私は思っています。

おわりに

画像を通して患者さんを診るという私の診療スタイルは、放射線科医としての専門知識と、内科医として患者さんと直接向き合ってきた経験が合わさって生まれました。

これは、私にとって医療の基礎となる考え方であり、AIが進化しても決して失われることのない、人間ならではの温かい視点と関わり方だと信じています。
#視る診療 #放射線科医 #内科医 #弘前 #地域医療、

「処方箋発行機にならないために──糖尿病と“こころ”を診る医者の話」日々の診療の中で、血糖値だけでは見えない「こころの問題」が、糖尿病の背景にあることを、改めて考えさせられる研究に出会いました。台湾の35万人以上の大規模データを分析した報告...
20/04/2025

「処方箋発行機にならないために──糖尿病と“こころ”を診る医者の話」

日々の診療の中で、血糖値だけでは見えない「こころの問題」が、糖尿病の背景にあることを、改めて考えさせられる研究に出会いました。
台湾の35万人以上の大規模データを分析した報告によれば、糖尿病治療に使われる薬の種類によって、「抑うつ」のリスクに差があるというのです。
結果を簡単にまとめると…
• GLP-1受容体作動薬やDPP-4阻害薬では、「抑うつ」の発症リスクが高い
• 一方で、SGLT2阻害薬やメトホルミンは、比較的リスクが安定していた

下の図は、Chen I-C氏らによる「血糖降下薬と抑うつリスク」の比較図です。

さらに、「抑うつ」を伴う糖尿病の方は、合併症のリスクが約1.6倍に高まることも報告されています。

私はこれまで血管の病気に長く関わってきましたが、糖尿病の患者さんと接する中で、この病気の持つ複雑さや、「こころの健康」がいかに治療成績に影響するかを、日々実感しています。

HbA1cや食事指導などの数値管理はもちろん大切ですが、「落ち込み」や「気力の低下」など、心のサインにも目を向けることが、患者さんの人生全体を支える医療につながると考えています。

外来では、明るく前向きな方もいれば、明らかに抑うつ傾向のある方もいます。また、同じ患者さんでも、その日の心の状態は毎回異なります。

抑うつの兆しを感じたときには、たとえ血糖が悪化していても、私は決して責めないようにしています。強く言ってしまうと、患者さんは萎縮し、自責の念を強め、場合によっては通院そのものをやめてしまうこともあるからです。

だからこそ、「責めずに、そっと寄り添う」。これが何より大切だと感じています。

ただし、「寄り添ってるだけ」の医師なんてのは、全く意味がありませんよね。それだけではただの処方箋発行機です。患者にとって都合の良いのが良い医師とは限りません。むしろ、血糖管理が改善しないばかりで、逆に「治療する」ということに対する患者・医師間の信頼性を損ねることになります。(※)

そこで、患者さんの表情や言動から「今日は少し前向きそうだな」と感じたときには、「少しだけ積極的な治療、試してみましょうか?」と、肘で軽く背中を押すようにやさしく促す──そうした**“ナッジ”**が重要だと思います。

アメリカでは、年に1回以上「こころのチェック(心理スクリーニング)」が推奨されており、日本のガイドラインでも、「患者さんを一人の人間として尊重すること」が明記されています。

医師の役割は、糖尿病を抱える方に「病気と闘わせる」のではなく、「人生を大切に生きていく」 ための伴走者であるべき・・・・・と私は思っています。

この記事が、どなたかの気づきや支えにつながれば、良いのだけれど・・・。

※出典:Chen I-Cら、Diabetes Res Clin Pract誌(2025年4月9日公開)
#糖尿病とこころ #抑うつと糖尿病 #メンタルヘルス #地域医療 #生活を支える医療

(※)余談ですが、「患者目線のクリニック」 というのが実在します。最初は冗談かと思いましたが、いったいどんなクリニックなんだろう・・・

03/04/2025

🔸 「郵便局で診察を?」──へき地医療の新たな挑戦に思うこと 🔸

最近、厚生労働省のこんな資料を読みました。
👉 「郵便局におけるオンライン診療について」
https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/001314399.pdf

目を引いたのはこの部分です。

「へき地医療の拠点に、郵便局を活用する」

えっ、なぜ薬局じゃなくて、郵便局?
医師と患者をオンラインでつなぐなら、薬剤師が常駐している薬局のほうが自然では?──
正直、私も最初はそう思いました。

でも調べてみると、「郵便局を使う理由」も確かにあるんです。

💡郵便局が注目される2つの理由
① 全国どこにでもある──山奥や離島にも。
② 公的支援が入りやすい──赤字でも維持されやすい。

薬局が撤退した“医療の空白地帯”において、郵便局だけが残ることも多い。
だから、**「何もない地域」の“最後の砦”**として活用できるというのが国の考え方です。

🩺でも本当にそれで足りるのか?
医師の診察後に必要な
✔️ 処方箋の発行
✔️ 薬の受け取り
✔️ 服薬指導や副作用のフォロー
…これは本来、薬局の領域です。

薬局が存在しない地域ではどうするのか?
郵便局が“ハブ”になり、医師や薬剤師と連携する新たなモデルが必要です。

👩‍⚕️結論:どちらが「正解」ではない
・薬局が活用できる地域では、それが理想。
・でも、薬局すら存在しない場所では、郵便局という手段が“現実的な希望”。

へき地に暮らす方々に、医療の手をどう差し伸べるか。
これは単なる制度設計ではなく、「いま目の前で困っている人たちのために何ができるか」という問いです。

📣 あなたはどう思いますか?
「オンライン診療の拠点として、薬局?郵便局?」
ぜひ、考えやご意見をコメントで聞かせてください。

※ちなみに、私は最初「郵便局!?」と驚いた派です。でも調べるほどに、正解は一つじゃないのだと実感しています。
医療が届きにくい地域に、少しでも光が届くような仕組みを──柔軟に模索していく必要がありそうです。

#オンライン診療 #へき地医療 #なぜ郵便局
#医療を届けるということ #医師不足 #地域医療

23/03/2025

🟦 糖尿病治療の“常識”が、変わろうとしている──
みなさん、「マンジャロ」という新しい糖尿病治療薬をご存じですか?

先日、この話題の薬に関する講演会に参加し、とても刺激を受けました。

🟨 週1回の注射で、血糖コントロールと減量まで⁉
マンジャロは、インスリンの分泌を助け、胃の動きをゆっくりにし、食欲も抑える──
そんな働きがある新しい注射薬です(週に1回でOK)。

最近では、「HbA1cを6%未満に保つこと」を目指す専門医の先生も多く、
**“低血糖のリスクを抑えながら、よりよいコントロール”**という新しい治療方針が見えてきています。

🩺 地域の開業医として、足を守る医療を届けたい
わたし自身は、長年カテーテル治療や放射線診断に関わりながら、
「患者さんが元気に、自分の足で歩き続けられる」ことを大切に診療してきました。

糖尿病に取り組む上で、血糖だけでなく、筋肉・骨・血流・神経までを総合的に見ることが不可欠と考えています。

📊 当院の現状とこれから
令和7年2月時点で、HbA1cが6%以下の方は全体の約11%。
平均は6.8%、中央値は6.7%。まだまだ改善の余地があります。

マンジャロのような新しい選択肢が、患者さんの人生を変える力を持つのではないか──
そんな手応えも感じました。

💬 ある先生の言葉が印象的でした

「複数の経口薬を使うより、週1回の注射だけのほうが、患者さんにも医師にもシンプルで良いのでは?」

確かに、治療の選択肢がどんどん進化していることを実感します。
Cペプチドや間食との関係、副作用の注意点など、臨床で役立つ学びも満載でした。

🌱 学びを臨床へ、そして患者さんの未来へ
「医療の新しい波」に触れながら、
わたし自身の診療スタイルも少しずつアップデートしていきたいと思います。

「最後まで自分らしく歩くことをサポートする」
そんな医療を届けたいと思っています。

#マンジャロ #糖尿病治療 #血糖コントロール
#開業医の学び #歩いて暮らす医療 #フットケア
#低血糖リスクを減らす #週1回の注射

22/03/2025

🔴 “たかが火傷”が命を奪う──知ってほしい、糖尿病と低温火傷の怖さ
藤川晋之助さん(前東京都知事選の石丸伸二さんの参謀)が亡くなられたというニュース、皆さんも目にされたかもしれません。

実はその背後には、糖尿病と低温火傷という、見逃されがちな危険の存在がありました。

📉 「たかが火傷」が命取りになることがある?

藤川さんは、右足に低温火傷を負い、そこから細菌感染が全身に広がったと報じられています。
心疾患の持病も重なり、最終的には命を落とされました。

これは糖尿病に関わる医師として、決して他人事ではない“リアルな危険”です。

💥 糖尿病患者が低温火傷に弱い3つの理由

① 感覚の鈍さ
神経障害によって熱さに気づかず、長時間加熱 → 重度の火傷に

② 感染リスクの高さ
血糖値が高いと免疫が落ち、わずかな傷でも細菌が全身に拡がる危険が

③ 治りにくい体質
血行不良・組織の弱さ → 傷が治らず、皮膚潰瘍・壊疽・切断に至ることも…

🩺 “火傷ごときで切断?”と思っていませんか?
「まさか火傷で足を切るなんて」と思う方が多いのですが、
切断をためらっているうちに感染が進み、命を落とす…
そんなケースは、実は少なくありません。

⚠️ 今日からできる、低温火傷の予防7つのポイント

✔️ 湯たんぽ・電気毛布・カイロなどは、直接肌に触れさせない
✔️ 厚手の布や衣類越しに使用
✔️ 就寝中は暖房器具を切る(特に注意!)
✔️ 入浴前は湯温チェック
✔️ 足の裏・指の間は毎日観察を
✔️ 血糖コントロールを意識
✔️ 火傷をしたらすぐに受診(自己判断NG!)

🧠 藤川晋之助さんの訃報は、私たちへの警鐘です
この投稿が、あなたや大切な人を守る**「きっかけ」**になればと思います。

糖尿病とともに生きるすべての方へ。
「たかが火傷」で済まない現実を、ぜひ知ってください。

📣 ご家族やご友人に糖尿病の方がいたら、ぜひシェアを
正しい知識は、命を守ります。

#糖尿病 #低温火傷 #火傷に注意
#糖尿病合併症 #藤川晋之助#石丸伸二
#命を守る知識 #フットケア #下肢切断予防

12/03/2025

🔷 「すべては守れない」そのとき、あなたは何を選びますか?

日本の医療は、「アクセスの良さ」「質の高さ」「費用の安さ」──
世界でも稀に見る、三拍子そろった制度です。

でも今、それを支える医療現場は、確実に疲弊しています。
この三つは、“医療の三角形”と呼ばれ、どれかを守れば、別のどこかが崩れる──そんなバランスの上に成り立っているのです。

📉 アクセス・質・コスト──「医療のトリレンマ」とは?

この構造は、実は経済学の「国際金融のトリレンマ」に似ています。

・為替の安定
・金融政策の独立
・資本移動の自由
→ 同時に守れるのは2つまで

医療もまた同じです。
すべてを守るのは不可能で、どこかで“線を引く”選択が求められています。

🌍 他国の“選択”の失敗から学べること

🇬🇧イギリス:アクセス最優先 → 診療待ちは数ヶ月
🇺🇸アメリカ:質と自由優先 → 高額な医療費と格差拡大

日本の今の医療制度も、“どこかで何かを失う岐路”に立たされています。
そのとき、誰が「何を守るか」を決めるのでしょうか?

🩺 現場から見える「静かな崩壊」

私は血管治療、糖尿病フットケアなどを診ている開業医です。
足の潰瘍、壊疽、感染症……。
これらは**「人材」「時間」「設備」**がなければ対応できません。

しかし今、診療報酬の抑制、人手不足、制度改革の名のもとで、
「もうこれ以上できない」
「どこまで頑張ればいいのか」
そんな声が、医療者の中で増えています。

⚖️ 現実を見つめ、「どこで線を引くか」を考える時

アクセス・質・費用。
どれも守りたいけれど、すべては無理。

だったら、何を優先すべきか、どこまで譲れるのか──
その議論を、もう現場任せにせず、私たち全員が考える時期に来ています。

🔚 「当たり前の医療」が当たり前でなくなる前に

医療の現場では、毎日「小さな選択」が繰り返されています。
でも、今はもう「個人の努力」だけでは支えきれません。

どんな医療を未来に残すのか?
その選択は、私たち一人ひとりの手の中にあります。

🗣️ あなたは、
アクセス・質・費用──
どこに線を引きますか?
よければ、あなたの考えをコメント欄で聞かせてください。

#医療の三角形 #医療のトリレンマ
#医療制度改革 #アクセスと質と費用
#当たり前の医療を守るために
#冷静に現実的に考える

「1年前から徐々に右拇趾の爪が変形してきた」として受診されました。これは、巻き爪ではありません。これは拇趾末節骨に発生した骨腫瘍が爪を押し上げてできたもので「爪甲下外骨腫」といいます。矯正してはいけません。 以下は参考文献から「爪下外骨腫 ...
26/01/2025

「1年前から徐々に右拇趾の爪が変形してきた」として受診されました。これは、巻き爪ではありません。これは拇趾末節骨に発生した骨腫瘍が爪を押し上げてできたもので「爪甲下外骨腫」といいます。矯正してはいけません。

 以下は参考文献から「爪下外骨腫 爪下外骨腫は若年者の第1趾先端部に好発する骨軟部 腫瘍であり,爪の変形を伴うことも多い。初期には赤 色の結節として出現するが,時間が経つと角化がみられる.部位によって圧迫時の疼痛を訴える場合もあれば, 痛みを伴わない場合もある.診断はX線画像で末節骨と 連続した骨と同輝度の結節を認めることで確定できるが,発症初期には所見が得られにくい場合もある.治療は外科的切除.」
加藤裕史; 「爪と指尖の皮膚腫瘍」日本フットケア・足病学会誌3(3):122-127,2022

19/01/2025

難治性陥入爪に対する新たな知見? ~甘味類、フルーツ、お酒の摂取と炎症反応~

陥入爪と漢方診療に関して興味深い知見を得たので紹介します。ある書籍で報告された症例や考察から、甘味類やフルーツ、お酒が体に与える影響について述べられていました。

甘味類の摂取と胃腸の機能低下
若年患者を対象とした症例検討会で、ある先生が次のように述べていました。
「甘味類の摂りすぎや過食、不規則な食事は胃腸の機能を低下させ、気血の巡りを妨げる。その結果、アレルギー性疾患や便秘、瘀血(血液の滞り)などの症状が起こりやすくなる。」さらに、「甘味類を制限することが炎症反応(inflammatory response)のコントロールに効果的である」という事例を報告していました。
具体的な例として、ある高校生女子の陥入爪(巻き爪)症例では、爪周囲の不良肉芽(炎症による異常な肉芽組織)が著しかったそうです。漢方薬をさまざまに工夫しても効果が得られなかったものの、甘味料の摂取を2週間制限したところ、不良肉芽がたちどころに治癒したといいます。その医師は日常的に軽微な外科手術(minor surgery)を行っている方ですが、こうした経験から術後の患者に甘味類、フルーツ、お酒など湿熱傾向を引き起こす食品を1週間ほど控えるよう指導したところ、傷の治りが早く、跡もきれいに治癒することが確認されたそうです。

その他にも、若年男性の喘息患者では、甘味類やフルーツの摂取が多いことが判明しました。これを控えた結果、薬を使わずに症状をコントロールできたとの報告もされていました。この事例は、甘味類の過剰摂取が炎症や交感神経の緊張を助長する可能性を示唆しています。

漢方的視点からの考察 ~湿熱食品の過剰摂取と交感神経亢進~
湿熱とは漢方用語ですが、湿熱傾向を助長する食品(甘味類、フルーツ、酒)の過剰摂取は、さまざまな疾患の原因となると考えられています。漢方医学では、「湿熱(しつねつ)」は体内に余分な水分(湿)が停滞し、それが熱化して炎症や過剰な興奮状態(熱)を引き起こす病態とされています。湿熱が体内に停滞すると、気の流れ(気機)が阻害され、ストレスや緊張状態が高まり、交感神経が過剰に活性化します。その結果、高血圧、不眠、肩こり、筋痛、さらには過敏性腸症候群などの症状を悪化させるとされています。このことから、湿熱を助長する食品の制限が、炎症や治療の難しい症例に対して有効とされています。特に術後や慢性疾患の治療では、これらを一時的に制限することで、治癒促進や症状改善が期待できるでしょう。

難治性陥入爪に関して
陥入爪の治療については、私も数多くの症例を経験してきましたが、このような視点には気づいていませんでした。中には、治療しても改善の得られにくい患者さんも複数いらっしゃいます。今回得たことをもとに、今後の診療に活かしたいと考えています。

まとめ
甘味類、フルーツ、お酒などは一見無害に思える食品ですが、過剰摂取は胃腸の機能を低下させ、炎症反応を助長する可能性があります。漢方医学の視点では、湿熱傾向を抑えることが重要であり、特に術後や治療の難しいケースでは、その効果が期待されています。食事指導の重要性を改めて感じる内容でした。

参考文献:
大野修嗣. 漢方学舎 実践編1. 東京: 源草社; 2016年.

02/01/2025

ポリファーマシーとその影響について

最近、印象的な患者さんがいらっしゃいました。83歳の男性で、「80歳を過ぎてから、労作時に心臓が止まりそうな感じがする」「息切れがある」を主な症状として受診されました。この患者さんは複数の診療科で治療を受けており、多くの薬を服用していました。当院で行った検査結果では、以下の問題が見つかりました

腎機能の低下と電解質異常
高尿酸血症、慢性腎臓病、高カリウム血症
狭心症と心不全の合併
心臓関連の指標(高感度TnT、NT-proBNP)の異常
動脈硬化と肺疾患の合併
CT検査で、大動脈壁の不整や右肺中葉の影

この患者さんの内服薬を「お薬手帳」で確認すると、各診療科で以下の薬が処方されていました:
• A診療科:リマプロスト(血管拡張薬、腰部脊柱管狭窄症治療薬)、フロセミド(利尿剤)、エンレスト(降圧剤、心不全治療薬)、ジソピラミド(抗不整脈薬)、フランドルテープ(狭心症治療薬)、エンシュアH(栄養補助剤)
• B診療科:シロドシン(前立腺肥大治療薬)、プロピベリン(神経因性膀胱治療薬)、スピロノラクトン(利尿薬)、アゾセミド(利尿薬)、ケトプロフェンテープ(消炎鎮痛用貼付剤)
• C診療科:プラリア(骨粗鬆症治療用注射製剤)

すべてを合わせると10種類以上の薬が投与されていることになります。心臓と腎臓に問題のある患者さんではこのように、多くの薬が処方されている場合、薬の組み合わせや投与目的を見直す必要があります。
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ポリファーマシーとは
ポリファーマシーとは、複数の薬を服用することによる問題を指します。特に高齢者や慢性疾患の患者さんに多く見られます。一般の方々の中には、「薬をたくさん飲むのは体に悪い」「薬が多いほど危険」という固定観念を持っている人もいます。ただし、薬が多いからといって必ずしも悪いわけではありません。適切な管理のもとで処方された薬であれば、多剤併用がむしろ患者さんの健康を支えることもあります。その観点からいうとポリファーマシーにも「良い=適切な」と「悪い=不適切な」が存在します。

「適切なポリファーマシー」
すべての薬が明確な目的を持ち、患者さんの病状に合っている場合は問題ありません。例えば、心不全や腎不全を同時に治療するために、複数の薬が必要になることもあります。

「不適切なポリファーマシー」
不適切なポリファーマシー:診療科同士の連携が不十分で、薬の重複や相互作用が起きている場合、患者さんに副作用や体調悪化を招く可能性があります。
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患者さんの場合
今回の患者さんでは、腎機能や心肺機能に配慮しつつ、処方薬を整理することが重要です。具体的には:
1. 腎機能を保護するための利尿剤の調整
2. 腎機能保護のための高尿酸血症の是正
3. 各診療科での処方薬を確認し、重複や矛盾を解消
今回の患者さんは、「労作時の胸部不快感」「息切れ」の精査と、治療薬の適正化のために、循環器疾患を精査できる病院への紹介となりました。
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今後の課題
適切なポリファーマシーを維持し、不適切なポリファーマシーを防ぐためには、次のことが必要です:

• 患者さんの健康状態や治療効果を継続的にモニタリングし、薬の適正使用を定期的に見直すこと
• 診療科間での情報共有を徹底すること
• 患者さんやご家族と治療方針をしっかり共有すること

日本の医療制度では、患者さんは自由に医療機関を選んで受診することができます(フリーアクセスの原則)。各医療機関の医師はそれぞれ高い専門性を持ち、最善を尽くして患者さんに医療を提供しています。
その一方で、複数の医療機関を受診する場合、部分的には最適化されていても、それが全体の最適化につながらないことがあります。
いわゆる「船頭多くして船山に上る・・・・」というやつですね。

現状では、患者さんの希望を考慮しながら、「丁寧な問診」と「お薬手帳」、そしていくつかの検査を通じて、情報を収集し、さらに患者さんの希望を受け入れつつ、「ややマシな治療方針(選択)」を考えていくことしかないとも考えていたのですが、実はその状況は少し変わりつつあります。
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生成AIの進歩と今後の可能性
最近では人工知能(生成AI)の進歩が目覚ましいものがあります。生成AIは知ったかぶりの嘘を平気でつく(いわゆる“ハルシネーション”)ことがあります。しかし、熟練者が正しい使い方をすれば、かなり有益な結果をもたらすことがあります。

今後は、ポリファーマシー問題や治療方針の検討において、医師の責任のもとで生成AIが治療計画の策定を支援する時代が来るかもしれません。生成AIを活用することで、患者さん一人ひとりに合わせたより適切な治療が提供される未来が期待されています。

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