26/09/2025
🧠「前頭前野」ってどんなところ? 〜スマホと脳疲労の深い関係〜 こんにちは。 いのうえ内科脳神経クリニック院長、脳神経内科専門医の井上です。 最近こんなことはありませんか? スマホを見ているだけなのに、なんだかどっと疲れる 気づけば何時間もSNSを見ていて、頭がぼーっとする 前より物忘れが増えた気がする 気持ちのコントロールが難しい これらの原因の一つとして、「前頭前野(ぜんとうぜんや)」という脳の司令塔が疲れている可能性があります。 今回は、スマホの使いすぎと「前頭前野」の関係について、医学的にわかりやすくお話しします。 🔍 前頭前野とは? 脳の一番前、左右のおでこの裏側にある領域が「前頭前野(prefrontal cortex)」です。 この場所は、人間を人間らしくしている、とても重要な部分です。 【前頭前野の主な働き】 判断力・計画力 注意や集中力のコントロール 感情のコントロール 記憶や思考の整理 他人への共感や社会的行動の調整 つまり、「よく考えて行動する」ための中枢です。 📱 スマホと前頭前野の関係 スマホを使うこと自体は悪いことではありません。 でも、「何となく」「とりあえず」操作し続けることで、前頭前野が過剰に働き、脳が疲れてしまうのです。 たとえば… SNSを次々に開く YouTubeやTikTokを自動再生で流し続ける メッセージの通知に何度も反応する これらは一見「休憩」のようでいて、実は脳の実行機能(前頭前野の働き)をフル稼働させています。 🌀 「脳疲労」が起こるとどうなる? 前頭前野が疲れると、こんな症状が出てきます: 症状 原因 物忘れが増える 注意の集中ができず記憶が定着しない イライラしやすい 感情のコントロールが難しくなる やる気が出ない 行動を起こすエネルギーが出ない 眠れない 自律神経のバランスが乱れる つまり、「スマホで休んだつもりが、脳は休めていない」状態になります。 🌙 睡眠との深い関係 以前のブログでもお伝えしましたが、スマホから出るブルーライトやグリーンライトは、**眠りのホルモン「メラトニン」**の分泌を妨げ、体内時計を狂わせます。 加えて、前頭前野の疲労は眠りの質を下げ、脳の回復を妨げるため、悪循環に陥りやすくなります。 ✅ 前頭前野を守るために、今すぐできること スマホを見る時間を決める →「寝る1時間前はスマホOFF」が理想です。 “何もしない時間”をあえて作る →散歩やお風呂など、考えずにボーッとする時間を確保しましょう。 深呼吸や瞑想で“前頭前野のクールダウン” →たった1分でも、脳の回復力は上がります。 スマホ通知を減らす →集中を妨げる「割り込み作業」を防ぎます。 🗒 最後に スマホは便利な道具ですが、使い方次第で私たちの「脳の司令塔」に大きな負担をかけます。 とくに前頭前野は、現代人が一番酷使している脳の部位かもしれません。 疲れた脳には、休息が必要です。 しっかり休ませてあげれば、また本来の力を取り戻してくれます。 ご自身やご家族の「脳の健康」のために、ちょっとした工夫を今日から始めてみませんか?