いのうえ内科脳神経クリニック

いのうえ内科脳神経クリニック 専門は頭痛・めまい・しびれの脳神経内科です。頭痛は日本頭痛学会から?

片頭痛の人がやってはいけない10の習慣いのうえ内科脳神経クリニックの井上です。 片頭痛は多くの方が経験する頭痛の一つで、日本ではおよそ10人に1人が悩んでいるとも言われています。ズキズキする痛みや吐き気、光や音がつらくなるなど、日常生活に大...
10/03/2026

片頭痛の人がやってはいけない10の習慣

いのうえ内科脳神経クリニックの井上です。 片頭痛は多くの方が経験する頭痛の一つで、日本ではおよそ10人に1人が悩んでいるとも言われています。ズキズキする痛みや吐き気、光や音がつらくなるなど、日常生活に大きな影響を与えることも少なくありません。 片頭痛は体質による部分もありますが、実は日常生活の習慣が発作の引き金になっていることもあります。睡眠や食事、ストレス、生活リズムなど、普段の生活の中に頭痛を悪化させてしまう要因が隠れていることがあります。 そこで今回は、「片頭痛の人がやってはいけない10の習慣 ― 頭痛を悪化させる生活習慣とは ―」というテーマで、片頭痛の患者さんが日常生活で注意したいポイントについて整理してみたいと思います。 生活習慣を少し見直すことで、頭痛の回数や強さが改善することもあります。片頭痛で悩んでいる方の参考になれば幸いです。 片頭痛の人がやってはいけない10の習慣 ― 頭痛を悪化させる生活習慣とは ― いのうえ内科脳神経クリニック脳神経内科医 井上健 はじめに 片頭痛は日本で非常に多い病気で、成人のおよそ 8〜10% が経験すると言われています。 片頭痛は ズキズキする痛み 吐き気 光や音がつらい といった症状を伴うことが多く、日常生活に大きな影響を与えることがあります。 片頭痛の発作には 体質だけでなく生活習慣も深く関係しています。実際、日常生活のちょっとした習慣が頭痛を引き起こしていることも少なくありません。 今回は、片頭痛の患者さんができるだけ避けた方がよい生活習慣についてまとめてみたいと思います。 片頭痛の人がやってはいけない10の習慣 1 睡眠不足 睡眠不足は片頭痛の大きな誘因になります。 特に 夜更かし 不規則な生活 は頭痛を起こしやすくします。 規則正しい睡眠がとても大切です。 2 寝すぎ 意外ですが 寝すぎも片頭痛の原因 になります。 休日に長く寝すぎると「週末頭痛」が起こることがあります。 3 食事を抜く 空腹も片頭痛の誘因です。 朝食を抜くと頭痛が起こりやすくなる人もいます。 食事はできるだけ規則的にとることが大切です。 4 水分不足 脱水は頭痛を悪化させます。 特に 暑い日 運動後...

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インフルエンザのあとに肝臓の数値が上がることがあります― インフルエンザ関連肝炎の一例 ―インフルエンザは高熱や頭痛、全身のだるさを引き起こす病気として知られています。 頭痛専門医として診療していると、インフルエンザに伴う強い頭痛で受診され...
10/03/2026

インフルエンザのあとに肝臓の数値が上がることがあります― インフルエンザ関連肝炎の一例 ―

インフルエンザは高熱や頭痛、全身のだるさを引き起こす病気として知られています。 頭痛専門医として診療していると、インフルエンザに伴う強い頭痛で受診される患者さんを多く経験します。 しかし実は、インフルエンザは脳や神経だけでなく、体のさまざまな臓器に影響することがあります。 その一つが「肝臓」です。 今回は、インフルエンザのあとに一時的に肝臓の数値が上昇した症例を通して、インフルエンザと肝機能の関係について解説します。 インフルエンザのあとに肝臓の数値が上がることがあります ― インフルエンザ関連肝炎の一例 ― いのうえ内科脳神経クリニック脳神経内科医 井上健 冬になるとインフルエンザの患者さんが増えます。インフルエンザは 高熱 頭痛 筋肉痛 などの症状がよく知られていますが、実は体のさまざまな臓器に影響することがあります。 今回は、インフルエンザのあとに肝臓の数値が上昇した患者さんの例をご紹介します。 ※個人が特定されないように一部内容を変更しています。 症例 30代男性 発熱と強い頭痛があり受診され、検査で インフルエンザB型と診断されました。 その後 強い倦怠感 食欲低下 が続いたため血液検査を行いました。 検査結果 血液検査では肝臓の数値が AST 約300台 ALT 約500台 と上昇していました。 ただし 黄疸 重い肝機能低下 などは認めませんでした。 その後の経過 数日後の検査では AST 約80 ALT 約200 まで改善し、 さらに1週間後には AST 約50 ALT 約100 まで低下しました。 特別な治療は必要なく、自然に回復しました。 インフルエンザで肝臓の数値が上がる理由 インフルエンザは体全体に炎症を起こすため、 肝臓の数値(AST・ALT)が一時的に上昇することがあります。 多くの場合は 一時的な変化 数週間以内に自然回復 します。 ただし注意が必要な症状 次のような症状がある場合は早めに医療機関を受診してください。 皮膚や白目が黄色くなる 強いだるさ 食事がとれない 意識がぼんやりする これらは肝臓の働きが低下しているサインのことがあります。 まとめ インフルエンザでは 発熱 頭痛 筋肉痛 だけでなく、肝臓の数値が上昇することがあります。 しかし多くの場合は 一時的な変化で自然に回復します。 体調が長くすぐれない場合は、無理をせず医療機関に相談してください。

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危険な頭痛の10のサイン― すぐに医療機関を受診すべき頭痛とは ―危険な頭痛の10のサイン ― すぐに医療機関を受診すべき頭痛とは ― いのうえ内科脳神経クリニックの井上です。 頭痛は非常に多くの人が経験する症状で、外来でも最もよく相談を受...
08/03/2026

危険な頭痛の10のサイン― すぐに医療機関を受診すべき頭痛とは ―

危険な頭痛の10のサイン ― すぐに医療機関を受診すべき頭痛とは ― いのうえ内科脳神経クリニックの井上です。 頭痛は非常に多くの人が経験する症状で、外来でも最もよく相談を受ける症状の一つです。多くの場合、頭痛は片頭痛や緊張型頭痛など命に関わらないものですが、まれに脳の重大な病気が隠れていることがあります。 例えば、くも膜下出血や脳出血、髄膜炎などは、早期に診断と治療が必要な病気です。しかし最初の症状が「頭痛だけ」であることも少なくありません。 そのため医療の現場では、見逃してはいけない頭痛の特徴を知っておくことがとても重要になります。 今回は、「危険な頭痛の10のサイン ― すぐに医療機関を受診すべき頭痛とは ―」というテーマで、受診を急いだ方がよい頭痛の特徴について整理してみたいと思います。 頭痛を経験することは誰にでもありますが、その中に潜む危険なサインを知っておくことが、ご自身やご家族の健康を守ることにつながります。 いのうえ内科脳神経クリニック脳神経内科医 井上健 はじめに 頭痛は非常に多くの人が経験する症状です。 日本では、およそ 4人に1人 が慢性的な頭痛を持つとも言われています。多くの場合、頭痛は片頭痛や緊張型頭痛などの比較的良性のものです。 しかしまれに、頭痛の背後に 脳出血 くも膜下出血 脳腫瘍 髄膜炎 などの 命に関わる病気 が隠れていることがあります。 そのため医療の現場では 「危険な頭痛のサイン」 を見逃さないことがとても重要です。 今回は、受診を急いだ方がよい頭痛の特徴についてまとめてみたいと思います。 危険な頭痛の10のサイン 1 突然起こった激しい頭痛 「今まで経験したことがない頭痛」「突然バットで殴られたような痛み」 このような頭痛は くも膜下出血 の可能性があります。 突然発症する激しい頭痛は、すぐに医療機関を受診する必要があります。 2 今までと性質が違う頭痛 いつもある片頭痛とは 痛みの場所 強さ 持続時間 が明らかに違う場合は注意が必要です。 3 発熱を伴う頭痛 頭痛とともに...

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信仰は認知症患者を支えるのか― 宗教と健康の研究 ―いのうえ内科脳神経クリニックの井上です。 これまでのブログでは、認知症と宗教の関わりや、祈りが脳に与える影響、また認知症の方にネガティブな知らせを伝えることの問題などについてお話ししてきま...
08/03/2026

信仰は認知症患者を支えるのか― 宗教と健康の研究 ―

いのうえ内科脳神経クリニックの井上です。 これまでのブログでは、認知症と宗教の関わりや、祈りが脳に与える影響、また認知症の方にネガティブな知らせを伝えることの問題などについてお話ししてきました。 今回は少し視点を広げて、信仰や宗教が健康にどのような影響を与えるのかというテーマについて考えてみたいと思います。 宗教や信仰というと、医学とはあまり関係のないもののように感じられるかもしれません。しかし近年の研究では、祈りや礼拝、宗教的なコミュニティとのつながりが、精神的な安定や健康に影響を与える可能性があることが報告されています。 特に認知症の患者さんでは、記憶が失われていく中でも、長年続けてきた祈りや信仰が心の支えとなることがあります。 今回は、 「信仰は認知症患者を支えるのか― 宗教と健康の研究 ―」 というテーマで、医学研究の視点から、信仰と健康の関係について少し整理してみたいと思います。 信仰が人の心や生活にどのような意味を持つのか、認知症医療の現場から考えてみたいと思います。 信仰は認知症患者を支えるのか ― 宗教と健康の研究 ― いのうえ内科脳神経クリニック脳神経内科医 井上健 はじめに これまでのブログでは、認知症と宗教の関係や、祈りが脳に与える影響についてお話ししてきました。 今回はもう少し視点を広げて、宗教や信仰が健康にどのような影響を与えるのかというテーマについて考えてみたいと思います。 宗教というと医学とは別の領域のように感じられるかもしれません。しかし近年、医学や公衆衛生の分野では、宗教や信仰が人の健康や生活にどのような影響を与えるのかについて多くの研究が行われています。 その中には、興味深い結果も報告されています。 宗教と健康の研究 アメリカを中心に、宗教と健康の関係について多くの疫学研究が行われてきました。 その中で比較的一貫して報告されているのは、宗教的な活動を持つ人では うつ症状が少ない 社会的孤立が少ない ストレスへの耐性が高い といった傾向が見られるということです。 またいくつかの研究では、礼拝などの宗教的活動に定期的に参加する人の方が、長期的な死亡率が低いという報告もあります。 もちろん宗教が直接寿命を延ばすわけではありません。しかし宗教がもたらす生活習慣や社会的つながりが、健康に影響している可能性が指摘されています。 宗教が健康に影響する理由 宗教が健康に影響する理由として、いくつかの要因が考えられています。 社会的つながり 宗教コミュニティは、人と人とのつながりを生みます。 礼拝や集まりを通して、人は孤立せず、互いに支え合う関係を築くことができます。 ストレスの軽減 祈りや瞑想は、心を落ち着かせる働きがあります。 これまでの研究でも、祈りや瞑想がストレスを軽減し、自律神経のバランスを整える可能性が指摘されています。 人生の意味 信仰は、人が困難な状況に直面したときに「意味」を見出す助けになることがあります。 病気や老いに直面したとき、信仰が心の支えになる人も少なくありません。 認知症と信仰 認知症の患者さんを診療していると、記憶が失われていく中でも、祈りや宗教的習慣が残っていることがあります。 例えば 食前の祈りを覚えている 賛美歌や念仏を唱える 仏壇や十字架に手を合わせる といった場面です。 認知症では新しい記憶は失われやすいのですが、長年繰り返してきた習慣や感情を伴う記憶は残りやすいと考えられています。 そのため信仰が、患者さんにとって安心感や落ち着きをもたらすことがあります。 医療者としての視点 医療者は宗教を評価したり否定したりする立場ではありません。 しかし患者さんの人生を理解するためには、その人の価値観や信仰を尊重することが大切です。 特に認知症の患者さんでは、信仰が 心の支え 安心感 人生の意味 として残っていることがあります。 そのため医療者や家族が、その人の信仰を理解し尊重することは、患者さんの生活の質を保つ上で重要なことかもしれません。 最後に 宗教と医学は、まったく異なる領域のように見えるかもしれません。 しかし人の健康は、身体だけでなく、心や社会とのつながりによっても支えられています。 認知症の患者さんにとって、信仰が安心感や希望につながることもあります。 医学は病気を治療する学問ですが、同時に人の人生に寄り添う学問でもあります。 信仰という側面から患者さんの人生を理解することも、認知症医療の大切な視点の一つではないかと思います。

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08/03/2026

認知症患者に真実をどこまで伝えるべきか― 優しい嘘と医学倫理 ―

認知症患者に真実をどこまで伝えるべきか ― 優しい嘘と医学倫理 ― いのうえ内科脳神経クリニック脳神経内科医 井上健 はじめに 認知症の患者さんを診療していると、ご家族からよく次のような相談を受けます。 「母が父のことを何度も聞きます。亡くなったことを毎回説明するべきでしょうか。」「本当のことを伝えないといけないのでしょうか。」 医療では、患者さんに正確な情報を伝えることが基本です。しかし認知症のケアでは、必ずしもすべての真実をそのまま伝えることが患者さんの幸せにつながるとは限りません。 今回は、認知症医療の中でしばしば議論される「優しい嘘(therapeutic fibbing)」という考え方について、神経内科医の視点から少し整理してみたいと思います。 認知症では同じ悲しみを何度も経験する 認知症では、新しい記憶を保つことが難しくなります。 例えば家族が亡くなった場合、患者さんにその事実を伝えると、そのときは深い悲しみを感じます。しかしその記憶が保てないため、しばらくするとまた同じ質問をします。 「主人はどこですか?」 そのたびに「亡くなりました」と説明すると、患者さんは毎回初めて聞いたように悲しみます。 つまり 同じ悲しみを何度も繰り返す ことになるのです。 これは患者さんにとって非常につらい体験になります。 優しい嘘という考え方 そのため認知症ケアでは、場合によっては 「今日は外出していますよ」「またあとで会えますよ」 といった答え方をすることがあります。 これは患者さんをだますことが目的ではありません。 目的は 患者さんの心を守ること です。 このような対応は therapeutic fibbing(治療的虚偽) と呼ばれることがあります。 真実よりも大切なもの 認知症ケアでは、しばしば次の問いが生まれます。 「真実を伝えること」と「患者さんの安心」 どちらが大切でしょうか。 もちろん嘘を勧めているわけではありません。しかし認知症では、真実を繰り返し伝えることが患者さんに苦痛を与える場合があります。 そのため医療者は 患者さんの理解力 不安の程度 状況 を考えながら対応する必要があります。 感情は残る 前回のブログでも書きましたが、認知症では 感情の記憶 が残ります。 そのため患者さんは 怒られた 悲しかった 不安だった という感情を覚えています。 逆に言えば 優しく接してもらった 安心した 穏やかだった という感情も残ります。 医療者と家族にできること 認知症ケアで最も大切なのは 安心できる環境 です。 患者さんにとって大切なのは 正確な情報よりも 安心して過ごせること である場合があります。 そのため 穏やかな声で話す 否定しない 不安を和らげる といった対応がとても重要になります。 最後に 認知症の患者さんは、多くの記憶を失っていきます。 しかし 優しさや安心感 は感じ取ることができます。 真実を伝えることが必ずしも最善とは限らない場面もあります。 患者さんが穏やかに過ごせるように、その人にとって何が一番良いのかを考えることが、認知症医療の大切な姿勢だと思います。

認知症の方にネガティブな知らせを伝えることの誤り― 感情が伝わる脳のしくみ(ミラーニューロンと情動感染)―いのうえ内科脳神経クリニックの井上です。 これまでのブログでは、認知症の患者さんと宗教の関係や、祈りが脳に与える影響についてお話しして...
07/03/2026

認知症の方にネガティブな知らせを伝えることの誤り― 感情が伝わる脳のしくみ(ミラーニューロンと情動感染)―

いのうえ内科脳神経クリニックの井上です。 これまでのブログでは、認知症の患者さんと宗教の関係や、祈りが脳に与える影響についてお話ししてきました。今回は少し視点を変えて、認知症の方にどのように言葉を伝えるべきかというテーマについて考えてみたいと思います。 認知症の患者さんに接していると、ご家族や介護者の方から次のような相談を受けることがあります。 「本当のことをきちんと伝えた方がいいのでしょうか。」「家族が亡くなったことを何度も説明するべきでしょうか。」「家族の喧嘩は患者さんに影響するのでしょうか。」 医療の世界では、患者さんに正確な情報を伝えることが基本です。しかし認知症のケアでは、必ずしもすべての事実をそのまま伝えることが患者さんにとって良いとは限らない場合があります。 その背景には、認知症の方の脳の働き、特に感情の感じ方や伝わり方が関係しています。近年の神経科学では、人の感情が周囲に伝わる仕組みとして「ミラーニューロン」や「情動感染」と呼ばれる現象が知られるようになってきました。 今回は、「認知症の方にネガティブな知らせを伝えることの誤り ― 感情が伝わる脳のしくみ(ミラーニューロンと情動感染)―」というテーマで、認知症の方が感じている世界について、神経内科医の視点から少し整理してみたいと思います。 ご家族や介護に関わる方にとって、患者さんとの関わり方を考える一つのヒントになれば幸いです。 認知症では「感情」が強く残る 認知症の方は、出来事の記憶は弱くなります。 しかし不思議なことに 感情は残りやすい のです。 つまり 何を言われたか 何が起きたか は忘れても 怖かった 悲しかった 怒られた という感情は残ります。 そのため認知症の方にとって周囲の雰囲気はとても大きな影響を持ちます。 なぜ周囲の感情が伝わるのか ミラーニューロン 1990年代にイタリアで興味深い神経細胞が発見されました。 それが ミラーニューロン です。 この神経細胞は 自分が行動するときだけでなく 他人が同じ行動をしているのを見るだけで活動する という特徴があります。 例えば 誰かが 痛がる 泣く 笑う と、それを見ている人の脳も同じように反応します。 つまり人間は 他人の感情を脳の中で再現する 仕組みを持っているのです。 情動感染(Emotional contagion) この現象は心理学では...

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07/03/2026

祈りは脳にどのような影響を与えるか

いのうえ内科脳神経クリニックの井上です。 前回は、認知症の患者さんと宗教との関わりについて、医療者としてどのように向き合うべきかという視点からお話ししました。 今回は少し視点を変えて、祈りと脳の関係について考えてみたいと思います。 祈りという行為は、宗教的な営みとして古くから人間の生活の中に存在してきました。キリスト教の祈り、仏教の念仏や読経、神道の祈願など、形は異なっても、人が祈るという行為は世界中の文化に見られます。 一見すると、祈りは医学や神経科学とはあまり関係のないことのように思えるかもしれません。しかし近年の研究では、祈りや瞑想のような精神的な活動が脳の働きや心の安定に影響を与える可能性があることが少しずつ分かってきています。 そこで今回は 「祈りは脳にどのような影響を与えるか― 神経科学から見た『祈り』と心の安定 ―」 というテーマで、神経内科医の視点から少し整理してみたいと思います。 医学と信仰は別の領域のように見えますが、人の心を理解するという点では、互いに重なり合う部分もあるのかもしれません。 祈りは人類に普遍的な行為 世界のほぼすべての文化で、人は祈ります。 キリスト教では祈り 仏教では念仏や読経 イスラム教では礼拝 神道では祝詞 形は違っても、人は古代から祈ってきました。 医学や神経科学の研究が進むにつれて、祈りが単なる宗教行為だけではなく 脳や身体に影響を与える可能性 が分かってきています。 祈りで活動する脳の領域 祈っているとき、脳のいくつかの領域が活動することが脳画像研究(fMRIなど)で分かっています。 主に関係するのは次の領域です。 前頭葉 前頭葉は 思考 判断 意志 を司る部分です。 祈りのときには前頭葉の活動が増える ことが知られています。 これは 自己反省や道徳的思考 が関係していると考えられています。 前帯状皮質 前帯状皮質は 感情の調整 共感 集中 に関わります。 祈りや瞑想のときにこの領域の活動が増えることが報告されています。 その結果 心が落ち着く 注意が集中する と考えられています。 辺縁系 辺縁系は 感情の中枢...

07/03/2026

認知症の方が宗教を信じているとき― 社会のルールを守れないとき医療者はどう対応するか ―

いのうえ内科脳神経クリニックの井上です。 啓蟄の候、少しずつ暖かくなり、春の気配を感じる季節となってきました。 今回は、脳神経科学とは少し離れた内容のように聞こえるかもしれませんが、認知症の患者さんと宗教との関わりについてブログを書いてみたいと思います。 認知症の診療をしていると、患者さんが祈りを続けていたり、神様や仏様の話をされたりする場面に出会うことがあります。また一方で、社会のルールを守ることが難しくなり、ご家族や周囲の方が戸惑われることも少なくありません。 医療者として、信仰を尊重しながらどのように対応すべきなのか。また、患者さんが安心して生活できる環境をどのように整えるべきなのか。 今回はそのような視点から、「認知症の方が宗教を信じているとき ― 社会のルールを守れないとき医療者はどう対応するか ―」というテーマで少し考えてみたいと思います。 ご家族の方や介護に関わる方にも、何か参考になれば幸いです。 認知症と宗教はしばしば関係します 認知症の患者さんを診ていると、 神様の話をよくする 毎日祈りを続ける 宗教団体に行こうとする 神様の声が聞こえると言う このようなことがあります。 家族の方はよくこう相談されます。 「止めた方がいいのでしょうか?」「妄想ではないでしょうか?」 しかし実際には、宗教と認知症はとても微妙な関係にあります。 まず理解すべきことがあります。 それは 信仰そのものは病気ではない ということです。 認知症で変わる脳の働き 認知症では特に次の機能が低下します。 前頭葉機能 前頭葉は 社会ルール 判断 衝動抑制 を担当しています。 このため認知症では 思ったことをそのまま言う ルールを守れない 社会的配慮ができない ということが起こります。 宗教心が強くなる理由 認知症になると宗教心が強くなる人がいます。 理由の一つは 長期記憶は最後まで残る という特徴です。 人間の記憶は大きく二つあります。 ① 新しい記憶(短期記憶) 最初に失われる ② 古い記憶(長期記憶) 最後まで残る 宗教は多くの場合 子どもの頃...

🌿 毎日の頭痛と上手につきあうために ~お薬に頼りすぎない「新しい頭痛の治し方」~ こんにちは。いのうえ内科脳神経クリニック 院長、脳神経内科専門医の井上です。 「毎日、頭が痛い…」「痛み止めが手放せない…」「飲めば少し楽になるけど、また痛...
14/11/2025

🌿 毎日の頭痛と上手につきあうために ~お薬に頼りすぎない「新しい頭痛の治し方」~ こんにちは。いのうえ内科脳神経クリニック 院長、脳神経内科専門医の井上です。 「毎日、頭が痛い…」「痛み止めが手放せない…」「飲めば少し楽になるけど、また痛くなる…」 そんなお悩みを抱えている方は、少なくありません。 今回は、「薬に頼りすぎない頭痛とのつきあい方」についてお話します。 ◆ なぜ、毎日頭が痛くなるのでしょう? 頭痛が毎日のように続く場合、「昔からの片頭痛」に加えて、鎮痛薬の使いすぎによる「薬剤の使用過多による頭痛(MOH)」が関係していることがあります。 以下のような方は要注意です: ☑ 毎日、頭が重い・痛い☑ 痛み止めを飲むと少し良くなるけど、また痛くなる☑ お薬を飲まないと1日が始められない これは「頭痛の悪循環」に入っているサインかもしれません。 ◆ これからの治療のポイント ① 「予防薬」と「注射薬」で、痛くなりにくい体へ これまでは「痛くなったらすぐ痛み止め」でしたが、これからは「痛くなりにくい体づくり」を目指します。 💉 注射薬(エムガルディ)月1回の注射で、片頭痛そのものの体質を和らげます。 💊 予防薬(内服薬)毎日飲むことで、頭痛を起こしやすい脳の過敏さを調整します。 ② 痛み止めは月10回以内に 痛み止めを使いすぎると、かえって頭痛が悪化することがあります。「本当に必要なときだけ」使うようにしましょう。 ◆ 毎日の生活でできること 🛌 十分な睡眠をとる寝不足は頭痛の大きな原因になります。できれば毎日、同じ時間に寝て、同じ時間に起きましょう。 🚶‍♀️ 軽く身体を動かす散歩やストレッチなどで血流をよくすると、頭痛の予防につながります。 📖 頭痛日記をつける「いつ」「どんなとき」に頭が痛くなるかを記録することで、自分に合った対策が見つかりやすくなります。 😌 ストレスをためこまない深呼吸をする、音楽を聴く、趣味の時間を持つなど、リラックスできる時間を意識してつくりましょう。 ◆ 最後に 「毎日の頭痛」はとてもつらいものです。ですが、薬だけに頼るのではなく、生活の工夫や治療の見直しによって、“頭痛のない毎日”を目指すことは十分に可能です。 一歩ずつ、できることから始めていきましょう。 つらいとき、迷ったときは、どうか一人で悩まず、私たちにご相談くださいね。 あなたに合った「新しい頭痛とのつきあい方」を、一緒に探していきましょう。

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二度寝の功罪と上手な付き合い方 〜夕方うっかり寝てしまうあなたへ〜 ■ はじめに 「仕事や学校から帰ってきたら、ついソファで寝てしまう」「気づいたら1〜2時間たっていて、夜眠れない…」そんな“二度寝スパイラル”に悩む方は少なくありません。疲...
25/10/2025

二度寝の功罪と上手な付き合い方 〜夕方うっかり寝てしまうあなたへ〜 ■ はじめに 「仕事や学校から帰ってきたら、ついソファで寝てしまう」「気づいたら1〜2時間たっていて、夜眠れない…」そんな“二度寝スパイラル”に悩む方は少なくありません。疲れをとるつもりが、かえって生活リズムを崩してしまう。今回は、二度寝の功罪と上手な対処法を、医学的視点からお伝えします。 🩺 クリニックからのコメント当院でも「夕方眠くて動けない」「寝すぎて夜眠れない」というご相談をよく伺います。実は少しの工夫で、この悪循環を断ち切ることができます。 ■ 二度寝の「功」〜良い面〜 二度寝には実はメリットもあります。 短時間なら疲労回復に役立つ 20〜30分程度の昼寝は「パワーナップ」と呼ばれ、脳のリフレッシュに有効です。 注意力・記憶力・気分を一時的に改善する効果があります。 副交感神経が優位になりリラックスできる 一日の緊張がほぐれ、ストレス軽減につながる場合もあります。 ■ 二度寝の「罪」〜悪い面〜 しかし、夕方〜夜にかけての長時間の二度寝は要注意です。 体内時計のリズムが崩れる 夕方以降に長く眠ると、夜の睡眠ホルモン(メラトニン)の分泌が遅れ、 入眠時間が後ろにずれます。 深夜の寝付きが悪くなる 「寝たいのに眠れない」「朝起きられない」という悪循環の原因になります。 睡眠の質が低下する 夜間の眠りが浅くなり、翌朝のだるさ・頭の重さを感じる人も少なくありません。 ■ 二度寝を減らすための具体的な対策 ① 夕方の「眠気の波」を予防する 夕方の眠気は、血糖値の変動と体温のリズムによって起こります。以下を意識してみましょう: 帰宅直後に軽いストレッチや深呼吸 夕食前にコップ1杯の水を飲む(脱水による眠気防止) お風呂は寝る直前ではなく、夕食後1〜2時間後に ② 「仮眠」を上手にコントロール どうしても眠いときは、15〜20分だけ目を閉じる「パワーナップ」がおすすめ。 アラームをセットして寝過ぎを防ぐ ベッドではなく、ソファや椅子など「浅い眠り」になりやすい場所で 眠る前にカフェイン(コーヒーなど)を少量飲むと、起きる頃にちょうど効いてスッキリします ③ 朝の目覚めを整える 朝はカーテンを開けて日光を浴びる(体内時計リセット) 起きたら軽く体を動かす(交感神経を刺激) 朝食をとることで体内リズムを「朝型」に戻します ④ 眠気の背景に病気がある場合も 睡眠時無呼吸症候群や甲状腺機能低下症、うつ病などでも日中の強い眠気が見られます。「日中どうしても眠い」「寝ても疲れが取れない」といった場合は、一度医療機関にご相談ください。 ■ おわりに 二度寝は「悪」ではありません。しかし、時間・タイミング・長さを間違えると、体内時計のバランスを乱し、心身の不調につながります。 大切なのは、「眠気を敵視せず、味方につける工夫をすること」。 毎日が少し楽に、心も体も整うように、“自分に合ったリズム”を見つけていきましょう。

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18/10/2025

高血圧の治療基準が変わった?──実は「診断基準」は変わっていません 最近、「高血圧の基準がゆるくなった」「薬を飲む基準が変わった」という話題を耳にされた方が多いかもしれません。しかし実際には、高血圧の診断基準そのものは変わっていません。 ただし、2025年に改訂された「日本高血圧学会ガイドライン(JSH2025)」では、治療の目標値や考え方が新しくなっています。この記事では、どこがどう変わったのかを、やさしく解説します。 「160/100mmHgで受診」と聞いて驚いた方へ 「血圧160/100mmHg以上で医療機関を受診しましょう」という数字がニュースなどで取り上げられ、「基準が変わった」と誤解された方も多いようです。しかしこれは、特定健診(いわゆるメタボ健診)での“受診勧奨基準”であって、高血圧の診断基準そのものではありません。 診断基準はこれまで通り、 診察室血圧:140/90mmHg以上 家庭血圧:135/85mmHg以上 が高血圧とされます。つまり、「160/100mmHg」は“受診を強くすすめる目安”であって、“高血圧の定義”ではないのです。 2025年版ガイドラインの新しい考え方 では、新ガイドライン(JSH2025)では何が変わったのでしょうか。一番大きなポイントは、「目標とする血圧値」が少し厳しくなったことです。 測定の場所 これまで 新しい目標(JSH2025) 診察室血圧 140/90mmHg未満 130/80mmHg未満 家庭血圧 135/85mmHg未満 125/75mmHg未満 つまり、「治療を始める基準」は変わらないものの、「どこまで下げればよいか」という目標値が引き下げられたのです。 特に、糖尿病や慢性腎臓病、脳・心臓の病気がある方は、より厳密な血圧コントロールが推奨されています。 なぜ厳しくなったのか? 近年の研究で、「血圧を少し厳しく下げたグループ」の方が、脳卒中や心筋梗塞、腎不全などのリスクを明らかに減らせることがわかってきました。 また、日本人は欧米人よりも脳卒中のリスクが高いため、少し厳しめのコントロールが推奨されています。 さらに最近では「朝の血圧の高さ(朝高血圧)」や「診察室では正常だが家では高い(仮面高血圧)」など、家庭血圧を重視する考え方が広がっています。そのため、家庭での血圧目標も「125/75mmHg未満」と明確に示されました。 血圧を下げる方法は薬だけではありません 血圧の治療というと「薬を飲むこと」と思われがちですが、生活習慣の改善こそが基本です。ガイドラインでも、まず以下のような取り組みが重要とされています。 塩分を減らす(1日6g未満を目標) 体重を適正に保つ(BMI 25未満) 有酸素運動を習慣化(週4回以上、30分程度のウォーキングなど) 禁煙・節酒 野菜・果物を多く摂る ストレスを溜めない これらを心がけるだけでも、血圧は数mmHg下がることがあります。それが脳卒中や心疾患のリスクを大きく減らすことにつながります。 無理に下げすぎないことも大切です 一方で、高齢の方や腎臓・心臓に負担がある方では、下げすぎによるふらつきや腎機能低下も問題になります。JSH2025では、「あくまで個々の体調に合わせて目標を設定する」ことが強調されています。 つまり、「130/80mmHg未満」を目指しながらも、安全に・無理なくが大切です。自己判断で薬をやめたり増やしたりせず、必ず主治医と相談して調整していきましょう。 院長からのメッセージ 血圧は、静かなサインです。症状がなくても、血管や臓器には少しずつダメージが進んでいきます。定期的に家庭で血圧を測り、記録しておくことが、最も確実な健康管理の第一歩です。 いのうえ内科脳神経クリニックでは、家庭血圧の測定方法の指導や、生活習慣の見直し相談も行っています。「薬を増やしたくない」「どこまで下げるべきかわからない」など、お気軽にご相談ください。 まとめ 「高血圧の診断基準(140/90mmHg)」は変わっていません 「治療目標」はより厳格に(130/80mmHg未満を目指す) 家庭血圧は「125/75mmHg未満」が目標 無理せず、安全に、医師と相談しながら治療を進めましょう

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🧠脳出血後に続く耳鳴りと「頭のもやもや」への対策 ~ツボ押しで脳と心を落ち着かせる~ 脳出血のあと、耳鳴りが続くことがあります。 「キーン」「ジー」といった音が止まらず、静かな場所ほど気になります。 また、「耳鳴りのせいで頭がもやもやする」...
08/10/2025

🧠脳出血後に続く耳鳴りと「頭のもやもや」への対策 ~ツボ押しで脳と心を落ち着かせる~ 脳出血のあと、耳鳴りが続くことがあります。 「キーン」「ジー」といった音が止まらず、静かな場所ほど気になります。 また、「耳鳴りのせいで頭がもやもやする」「集中できない」と感じる方も多いです。 この耳鳴りは、単に耳の問題ではなく、脳の聴覚神経や自律神経のバランスが乱れて起こることがあります。 つまり「脳の誤作動」による耳鳴りとも言えます。 🔍耳鳴りの主な原因 脳出血による聴覚経路や脳幹の血流変化 ストレスや不安による自律神経の乱れ 聴力低下や加齢による音の感度変化 睡眠不足や疲労による脳の過敏状態 耳鳴りを「消す」ことは難しいですが、 脳と体を落ち着かせることで“気にならなくする”ことは可能です。 🌿ツボ押しでできるセルフケア 前回のブログでは「合谷(ごうこく)」というツボをご紹介しました。 手の親指と人差し指の間を押すことで、自律神経のバランスを整える方法でしたね。 今回はさらに、耳鳴りや頭のもやもやを和らげる5つのツボをご紹介します。 👂① 聴宮(ちょうきゅう)・聴会(ちょうえ)・翳風(えいふう) 場所: 耳の前後のくぼみ(口を開けると動く部分の前後) 効果: 耳鳴り、耳閉感、頭の重さを和らげます。 押し方: 指先でやさしく5秒押して5秒休むを5回。 お風呂あがりやテレビを見ながらでもOKです。 💆② 風池(ふうち)・完骨(かんこつ) 場所: 後頭部の下、首の後ろ側。耳の後ろをたどると自然にくぼむ場所です。 効果: 頭痛、めまい、首こり、耳鳴りに。 脳の血流を良くして「もやもや感」を改善します。 押し方: 親指で後頭部を少し上に押し上げるように10秒×3セット。 ゆっくり深呼吸しながら行いましょう。 🧘③ 百会(ひゃくえ) 場所: 頭のてっぺん。両耳を結んだ線と眉間の線が交わるところ。 効果: 頭重感、不眠、イライラ、自律神経の乱れに。 押し方: 中指で軽くリズムをつけて5秒押して5秒離すを5回。 「気持ちいい」と感じる程度が最適です。 ✋④ 合谷(ごうこく)※前回の復習!...

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