
20/05/2024
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不妊症及び不育症検査である着床前診断(PGT-A)を知っていますか?
PGT-AとはPreimplantation genetic testing for aneuploidyの頭文字をとってつけた名前です。
そしてそれぞれの単語を訳すると
Preimplantationは着床前
geneticは遺伝的
testingはテスト
for aneuploidy異数性のための
となり、それらを合わせて
『着床前胚染色体異数性検査』
という正式名称になりますが、一般的には
着床前診断もしくは略称のPGT-Aという言い方で広く知られています。
この着床前診断(PGT-A)の検査を簡単に説明すると
体外受精もしくは顕微授精を行い、受精卵を胚盤胞まで育てて(❇胚盤胞の細胞数は200〜300個と言われています)、その胚盤胞の中の栄養外胚葉細胞5〜10個程度採取し、それを検査機関に送り、この受精卵(胚盤胞)の染色体の数の異常を調べるものです。
染色体異常は不妊症、不育症どちらの原因となり得るものです。
そして年齢の上昇に伴って染色体異常も増加し、高齢不妊治療を受けられる位の年齢になると不妊症、不育症を引き起こす最も多い原因と考えられているのです。
染色体異常を起こた受精卵の染色体異常を元に戻すことはできませんが、事前に受精卵(胚盤胞)の染色体異常を調べる事で、染色体異常が原因となっている不妊症や不育症を未然に防ぐことができるというのがこの検査の目的です。
ただし、着床前診断(PGT-A)をすれば全ての問題が解決するわけではありません。
そこでこの着床前診断(PGT-A)の検査に関して、メリットとデメリット、留意点を整理したいと思います。
Aメリット
①染色体異常が原因となる流産を回避することができる
②胚移植による妊娠の確率を上げることができる
(妊娠するまでの胚移植の回数を減らす事ができる)
③出産まで至ることができない胚移植をしなくて済む分だけ、トータルとして体外受精(不妊治療)の費用を抑えることができる可能性がある
Bデメリット
①着床前診断では検査のため、胚盤胞の200個〜300個の内の5〜10個程度細胞を採取します。この程度細胞を採取したとしてもその影響は無いというのが一般的な考え方ですが、少ないとはいえ細胞の採取は胚盤胞に負担になる可能性がある
②着床前診断(PGT-A)を行うために胚盤胞1個当たり5万円〜10万円の費用が発生する
❇費用は病院毎に異なります
③着床前診断(PGT-A)の結果、全ての胚が染色体異常で移植できる胚が1つも無かったという結果になる可能性もある
④43歳未満で保険適応の対象で、治療回数が限度(治療開始年齢によって保険適応となる体外受精の治療回数は異なります)まで到達していなくても着床前診断(PGT-A)を行なった場合、保険適応から外れます(体外受精もすべて自費になってしまうということです)
※2024年5月時点での話です
C留意点
①着床前診断は原則胚盤胞になった受精卵を用いて行う。そのため受精卵が胚盤胞まで育たなくなっている人には行えない
②染色体異常が無い胚を移植したからといって必ず妊娠する訳でも、流産しない訳でもない
③誤判定率が5〜15%あるといわれています。そのため、正常胚を異常胚として廃棄するリスクもあります。同様に異常胚を正常胚として移植する可能性も多少はあるという事です
④着床前診断(PGT-A)で染色体異常が見つかった場合、移植は行えない。そのため、胚盤胞が1個〜2個と少数の方は躊躇される方が多い
⑤染色体異常が原因でない不妊·不育の場合、染色体異常が無い以上の事は分からない
着床前診断(PGT-A)は上記したような、留意点やデメリットがありますが、不妊症や不育症の本当の原因を調べていく上でとても重要な検査だと思います。
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