12/06/2025
日本の保険制度は子どもの精神科外来治療を増やすか?
全国請求データベースからのオープンデータを用いた後方視的研究 2016年から2022年まで
Background(背景):
日本では小中学生の不登校や18歳未満の自殺、発達障害の診断件数が年々増加しており、精神科医療へのアクセスの向上が課題。2012年以降、20歳未満を対象にした精神療法への加算制度を導入したが、専門医不足や初診待機期間の長さが問題視されていた。
Methods(方法):
2016~2022年度の国民健康保険レセプト(NDBオープンデータ)を使用し、年齢・性別・都道府県別に追加加算制度下での外来精神療法請求件数を分析。線形回帰モデルで傾向を評価し、都道府県間の格差は最大・最小比で評価された。
Results(結果):
・2015年度〜2022年度の間で、0–19歳の請求件数は260万件から437万件へと約68%増加
・特に15–19歳女性は+85%、10–14歳女性は+140%の増加
・都道府県の実施率は2016年度の64%から2022年度には93.6%に上昇
・地域格差(最大/最小比)は4.03から3.92とわずかに改善したが、依然大きい
Discussion(考察):
制度改革により外来精神療法の利用が明確に増加し、特に思春期女性が顕著。しかし、NDBデータは医療内容や医師資格を反映しておらず、質の保証は不明。また、都道府県の医療資源や自治体の補助制度も影響していると考えられる。
日本の保険制度は子どもの精神科外来治療を増やすか? 全国請求データベースからのオープンデータを用いた後方視的研究 2016年から2022年まで Background(背景): 日本では小中学生の不登校や18歳未満の自殺、発達障害の診.....