
27/07/2025
【お知らせ】いじめ問題の本を出版します
ご縁があって、いじめ問題に関する書籍の執筆メンバーに加えていただきました。
このたび、『「いじめ防止対策」から学校をつくりなおす』(かもがわ出版)という書籍ができました。
お盆の前後に、全国の書店の教育関連コーナーに並ぶ予定です。
『「いじめ防止対策」から学校をつくりなおす』
鈴木庸裕/住友剛 編著
船越裕和/高橋直紹/松本潤子/渡邊充佳/古豊慶彦 著
かもがわ出版
ISBN 978-4-7803-1389-5
定価1900円+税
https://www.kamogawa.co.jp/kensaku/syoseki/a/1389.html
当相談室代表は、兵庫県川西市にある常設型の公的第三者人権救済機関「川西市子どもの人権オンブズパーソン」のスタッフとして働いていた13年前、市内の高校生が2学期の始まりとともに自ら命を絶った事案で、生前にいじめを受けていた疑いがあるということで、重大事態の調査に携わりました。当時、この事件はマスメディアでも全国的に取り上げられました。
今回は、そのときの実務担当者としての経験を、調査報告書等で公表している範囲内での、守秘義務に反しないレベルで、これからのいじめ防止対策への参考にしていただく趣旨でまとめました。
ご遺族にも草稿段階で目を通していただき、「若い教職員さんはまったく知らない先生も多いと聞きました。13年経った今も世間さまに伝えていただけることに感謝です」とのメッセージをいただきました。
現在は「いじめ防止対策推進法」に基づいて、学校内でいじめ重大事態が起こると、教育委員会や学校内に調査委員会が設置されて、いじめの事実関係を調査し、再発防止のための提言を行うことが定められています。
しかし、調査委員会は調査結果をまとめると解散してしまいますし、そこでまとめられた提言が、実際にそれからの学校の教育活動や、教育施策の改善にどの程度活かされているのかについては、残念ながら世間一般にもあまり関心が持たれていません。
「事件」としてのいじめ問題はセンセーショナルに取り上げられますが、「いじめが起こりにくい学校づくり」「いじめが起こったとしても早期に対応して関係修復に取り組める学級運営」や、それを支える教育条件整備の課題にどう取り組むのかという、地道で目立たない、きわめて実務的な試みの積み重ねが、子どもの学校生活を成り立たせています。
そして、一歩引いて子どもの生活環境を見直してみると、子どもたちの生活の場は家庭と学校で占められていて、「地域社会のなかの子ども」として生きられる時間も空間も、仲間関係も、非常に制約されてしまっていることがわかります。
いじめによって追い詰められる子どもたち、いじめ加害に及ぶ子どもたち、そして、目の前でいじめが起こっていても止められない子どもたち。子どもたちは、学校という狭い枠の中でのサバイバルを余儀なくされています。
先日の報道では、58人に1人の割合で、子どもたちが学校貸与のタブレット端末に悩みごとのキーワード検索をしており、その中で最も多い検索ワードは「死にたい」だったとのことです。
「【データ】最も検索された言葉は「死にたい」「いじめ」「自殺」。1人1台端末から見えてくる、子どもたちの“心の悩み”」
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000017.000136965.html
生まれてきたときに、「死にたい」と思っている子どもなど、一人もいません。
おとなは子どもに「生きる力」を身につけさせようと言いますが、実態はむしろ逆で、子どもからもともと持っているはずの「生きる力」を奪い、少なからぬ子どもに「死にたい」と思わせる社会をつくりあげてしまっているのです。
「いじめ防止対策」とは、いじめ"だけ”をなんとかすればいいということではありません。
子どもが生まれてきたこの世界を、子どもが生きていくのにふさわしい世界にどう変えていくのか。
子どもの声をおとなはどのように、どんな価値観で聴くことができるのか。
問われているのは、いつでも、おとなです。
子育て、教育に関心を寄せる多くの方に、読んでいただきたい本です。
ぜひ、お近くの書店にご注文ください。また、地元の図書館もリクエストいただけるとありがたいです。
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