太田西ノ内病院内科(総合診療、感染症、内分泌)

太田西ノ内病院内科(総合診療、感染症、内分泌) 太田西ノ内病院 内科(総合診療科、感染症)の活動ページです!

当院は、福島県郡山市にある3次医療機関です。非常に多彩な症例が集まる病院です。カバーするエリアは広大であり、コモンな疾患からレアな疾患まで経験することができます。
当科では、市中感染症から院内感染症を勉強でき、多数のプロブレムを抱えた患者さんのマネージメント、症候診断も学びます。1~2次医療を中心に基本的な臨床能力を培っていきます。また、成田雅先生を中心に毎朝教育的なカンファレンスを行っております。
月曜日 症例カンファレンス 
火曜日 抄読会  文献を持ち寄る
水曜日 症例カンファレンス 臨床推論
木曜日 ドーナツカンファレンス 研修医が救急外来などで教育的な症例をプレゼン
金曜日 MKSAP勉強会
まだまだこれからですけど、院内で参加したい方、当科への見学希望者は気軽に気兼ねなく連絡ください

臨床現場での「違和感」高齢男性が自宅で倒れているとのことで搬送されました。病院に行くのが嫌で、知人に処方薬を受け取りにいってもらっていたとのこと。入院中にコアグラーゼ陰性ぶどう球菌による菌血症に引き続き、Candida albicansの真...
18/02/2023

臨床現場での「違和感」

高齢男性が自宅で倒れているとのことで搬送されました。病院に行くのが嫌で、知人に処方薬を受け取りにいってもらっていたとのこと。入院中にコアグラーゼ陰性ぶどう球菌による菌血症に引き続き、Candida albicansの真菌血症を来しました。

この方の「病院嫌い」は、何から生じたのでしょうか? もしかしたら過去の医療体験、あるいは家族のある出来事がそうさせたかもしれません。沖縄には「医者半分、ユタ(霊媒師)半分」という言葉もありますが、そもそも医療への信頼が薄い方かもしれません。その割には内服薬は処方されています。実はそれも内服していなかったかもしれません。

臨床上の「何か変だ」という違和感を感じる場合、その問題の核心が存在し、眼に見える疾患や病態はその周辺にあります。その核心に触れることなく、患者は退院し、時にはそのまま亡くなることもあります。
本人と家族の背景を知るために、病状説明の際に行うことが2つあります。
1) 患者のLife review(一編の映画を観るように患者の人生を振り返る)を行う
2) 家系図を描く。この時家族間の関係や、Key personが誰かを意識しながら行う

病歴聴取を通じて、患者が自分の一部と思える瞬間があります。言い換えると、患者情報と自分の内なる何かが共鳴し、共有出来た瞬間。疾患の全体像と、臨床医としての内なる「臨床像」の一部が重なった場合です。その瞬間、核心に触れた実感が自分の中に蓄積され、次の患者を診るときの力になります。その経験の積み重ねが、ある1つの臨床像をより奥行きのある味わい深いものにしていきます。共鳴と共有は、患者自身と医療者が「同化」することになります。「患者が悪寒戦慄していたら、一緒にShakingしろ」とは私の師匠の言葉ですが、患者と同化するための傾聴法を紹介します。

同化的傾聴法 Assimilate listening “QUALE”*  
Be Quiet  沈黙を利用せよ
Let his emotional issues Uncork 思いを吐き出させろ
Animate our interaction with open-mind 心を開いて会話を活気づけよう
Listen to understand 考えるために(意識的に)聞け
Keep Eye-contact to your patient アイコンタクトを保て 眼でも聞け
*Qualia(クオリア)の単数形 主体的に体験される「感じ」や印象。

研修医の皆さんは、まだ患者さんとの関わりを始めたばかりです。良い臨床経験を積むために、医学的側面のみならず、患者さんそのものの人生から何かを学びましょう。きっと多くの学びがあるはずです。
(医学書院 総合診療 Vol.30 No.10 参照)

核心にふれる所見と、それを隠すもの高血圧、糖尿病の既往のある高齢女性が悪寒戦慄と高熱(40℃)で救急室を受診しました。身体所見にて腹部膨満があり、腹腔内病変が疑われつつも血液培養が陽性(Streptococcus anginosus gro...
24/12/2022

核心にふれる所見と、それを隠すもの

高血圧、糖尿病の既往のある高齢女性が悪寒戦慄と高熱(40℃)で救急室を受診しました。身体所見にて腹部膨満があり、腹腔内病変が疑われつつも血液培養が陽性(Streptococcus anginosus group)となり膿瘍が疑われました。追加の身体所見として行った直腸診にて、直腸に硬い腫瘤が触れ、周囲の浸潤と膿瘍が考えられた症例でした。

高齢者の診察の困難な点は、患者自身が症状や所見を認識出来ないところにあります。糖尿病を合併すれば尚更です。その分注意深い情報収集が必要となります。本人の病歴があてにならないことが多いので、同居の家族らに詳細を確認することが必要となります。身体所見もあてにならず、必然的に画像を含めた検査に頼りがちになりますが、これから上級医になる皆さんにとって、初診医が忘れがちな所見を探しに行きましょう。その代表が直腸診です。「コンサルタントの主な仕事は直腸診をすることである」とはウィリアム・オスラー先生の言葉ですが、後から診察する医師にとっても同様です。私が初期研修を行った病院では、すべての入院患者に直腸診を行うことが必須でした。患者の同意を得ることは必須で、患者への敬意を忘れずに、丹念に行う直腸診は多くの情報を与えてくれます。確認するポイントはGAP SHOTと覚えます(Genitalia, A**s, Prostate、Sphincter tonus, Hemorrhoid, Occult blood, Tumor/tenderness)。なぜ直腸診を行うのか? そこに隠された何かがあるからです。
外来での直腸診のタイミングは何時でしょうか? HIV患者の初診では全ての症例に行うべきでしょう。外来の度に行うのは大変ですので、患者さん自身に肛門を日常触っていただき、自覚する所見があれば行うようにしますが、HIV陽性者では年一回とのことです(Hillman et al, J Low Genit Tract Dis 2019 Table 1 参照)。所見を自覚出来ない高齢者では、便通や排尿の異常があれば積極的に行うべきでしょう。
https://journals.lww.com/jlgtd/fulltext/2019/04000/international_anal_neoplasia_society_guidelines.8.aspx
核心のある所見がある場所を敢えて探しにいくことが肝心です。それが隠されやすい状況を覚えておきましょう。

常に鑑別診断を考えながら診察する Clinical Reasoning Physical Diagnosisの手法について敢えて正解を求めすぎない あらゆる可能性を排除せず尊重する実際に患者さんを診察しているつもりで常に鑑別診断を考える有意...
29/10/2022

常に鑑別診断を考えながら診察する Clinical Reasoning Physical Diagnosisの手法について

敢えて正解を求めすぎない あらゆる可能性を排除せず尊重する
実際に患者さんを診察しているつもりで常に鑑別診断を考える
有意な所見を探しに行く(Hunt)
追加の病歴OK 行ったり来たりも大丈夫
最終(鑑別)診断を挙げ(本命、対抗、穴馬の最低3つ)、可能性(from ”Definitive” to “Less likely”) に言及する 
具体的なプランを立てて指示する

診療録の上では整理されたものであっても、実際の医療現場では行き来戻りつすることもあるでしょう。最初からうまく行かなくても、何度も症例を繰り返し経験することによってより洗練されていくものです。

意識した鑑別診断と、注目すべき所見は、その所見があってもなくても、それをPertinent positive /negative findings として記録し観察を継続しましょう。

次回また貴重な症例に出会えることを楽しみにしております。

住所

西ノ内2-5-20
Koriyama-shi, Fukushima
963-8558

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