10/11/2025
健スポ通信No171
澁澤院長からあなたへ!
今回は「強剛母指」についてです。
強剛母指(きょうごうぼし)は、主に乳幼児の親指の第一関節(指先に一番近い関節)が曲がったまま伸びない状態を指します。
1. 症状
• 親指の第一関節が曲がったまま伸びない:自分でも伸ばせず、他の人が伸ばそうとしても抵抗があって伸びません。
• 乳幼児の場合、この状態自体を痛がることはほとんどありません。
2. 原因と病態
• 先天性のようですが、原因ははっきりとは分かっていません。
• 親指の付け根にしこりを触れます。親指を曲げる屈筋腱が通るトンネルである腱鞘の入口あたりでしこりを作るように太くなっており、トンネルを通り抜けられなくなることで起こります。
3. 診断
• 生後3ヶ月以降になって、親御さんが親指を伸ばさないことに気づくのが一般的です。
• 親指を伸ばそうとしても伸びないこと、しこりを超音波検査で確認して診断できます。
4. 治療
• 軽度の場合には自然治癒することがあるため、しばらく経過観察することがあります。
• 親指を可能な範囲で伸ばした状態に保つ装具を当てて治療することもよい手段です。これは太くなった腱を靱帯部に少しでも入れようとすることで、成長と共に比較的硬い靱帯性腱鞘が伸びて広がる効果があるためです。
• ある程度の年齢(就学時前)になっても改善しない場合は手術を検討します。あまり放置しておくと腱が短めに成長してしまい、体が大きくなってからの手術ではひっかかりが取れても指が伸びにくい状態が残る可能性があります。手術は狭くなった腱鞘を切開して腱がスムーズに動けるようにします。