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健スポ通信No168澁澤院長からあなたへ!今回は「肘内障」についてです。乳幼児に特有の肘の怪我で、「肘が抜けた」とも言われます。肘関節を構成する骨の一部である橈骨頭が、これを囲む輪状靭帯からずれてしまう(亜脱臼)ことによって起こります。5歳...
11/08/2025

健スポ通信No168

澁澤院長からあなたへ!

今回は「肘内障」についてです。
乳幼児に特有の肘の怪我で、「肘が抜けた」とも言われます。
肘関節を構成する骨の一部である橈骨頭が、これを囲む輪状靭帯からずれてしまう(亜脱臼)ことによって起こります。
5歳くらいまでの子供は、この輪状靭帯がまだ発達途中のため、大人に比べてずれやすい状態にあります。成長とともに靭帯がしっかりしてくるため、6歳以降では起こりにくくなります。

典型的な受傷パターンは以下の動作です。
・大人が子どもの手をつないでいるときに、急に引っ張った。
・転びそうになった子どもを、とっさに手で引っ張って支えた。
・子どもの両手を持ってぶら下げたり、振り回したりした。
・服を着せる際や、寝返りを打った際に腕がひねられた。

症状としては、手を引っ張られた直後などに、急に痛がって泣き出します。痛みのために腕をだらんと下げたまま動かさなくなります。特に肘を曲げたり、腕を上に上げたりするのを嫌がります。腫れや変形はほとんど見られません。
診断は受傷時の状況(手を引っ張った程度で大きな怪我はないこと)と、肘を動かそうとしないことから判断できます。転んだり、手肘を打ったなどの怪我があれば、必要に応じてレントゲン検査で骨折の鑑別を行うこともあります。

治療はすぐに徒手整復を行います。回外屈曲法や回内法があります。回内法で整復されることが多い印象があります。多くの場合、整復されたときに「コクッ」というような音が感じられます。整復されればすぐに痛みがなくなり、腕を動かせるようになります。一度肘内障になるとしばらくの間は再発しやすいため、手を強く引っ張るなどの行為は避けるように注意が必要です。
時間が経ってしまうと整復が難しくなってしまうこともありますので、肘内障と疑われる場合は、早めに整形外科を受診しましょう。

健スポ通信NO167澁澤院長からあなたへ!今回は「グロムス腫瘍」についてです。グロムス腫瘍は、体温調節や血圧調整に関わる「グロムス器官」という特殊な血管構造から発生する、比較的珍しい良性の腫瘍です。主に手足の指先、特に爪の下に発生することが...
08/07/2025

健スポ通信NO167

澁澤院長からあなたへ!

今回は「グロムス腫瘍」についてです。
グロムス腫瘍は、体温調節や血圧調整に関わる「グロムス器官」という特殊な血管構造から発生する、比較的珍しい良性の腫瘍です。主に手足の指先、特に爪の下に発生することが多いです(右写真)。30~50歳代の女性に多く見られる傾向があります。

グロムス腫瘍は以下の症状があり、最大の特徴は強い痛みです。
・圧痛:腫瘍部を押すと激痛が走ります。
・寒冷時の痛み: 冷たい水に触れたり、寒い環境にいると痛みが悪化します。
・爪の変形: 爪の下にできた場合、爪が変形したり、暗赤色、青紫色、白色、ピンク色などの小さな斑点が透けて見えることがあります。腫瘍が小さい場合や指の腹にできた場合は色の変化が確認できないことが多いです。

これらの症状はグロムス腫瘍の診断に役立ちます。痛みのメカニズムとしては、腫瘍内に疼痛物質である「サブスタンスP」を含む神経線維が存在することが関連すると考えられています。

<画像診断>腫瘍が小さい場合や肉眼で確認できない場合は、MRIや超音波検査が有効です。
レントゲン検査で、腫瘍による骨の圧迫や陥没が認められることもあります。
<最終診断> 切除された腫瘍の病理組織検査によって確定診断となります。
<治療>グロムス腫瘍の唯一の根治的治療は、手術での切除です。

手術は指神経ブロック麻酔下で行い、腫瘍を完全に摘出します。適切に摘出されれば、術後すぐに痛みは消失することが多いです。術後の再発は稀で通常は経過良好です。
グロムス腫瘍は自然に治癒することはありません。小さいものだと診断が難しく、グロムス腫瘍ではないかと疑ってとりかからないと、いつまでも診断されず見過ごされてしまします。
グロムス腫瘍は比較的稀なため、診療経験の多い手外科医に受診することをお勧めします。

健スポ院長通信NO166澁澤院長からあなたへ!今回は「橈骨(とうこつ)神経麻痺」についてです。ある朝、目覚めたら急に左右どちらかの手首が上がらない、力が入らない…そんな症状があれば、それは「橈骨神経麻痺」かもしれません。腕枕で寝てしまった後...
10/06/2025

健スポ院長通信NO166

澁澤院長からあなたへ!

今回は「橈骨(とうこつ)神経麻痺」についてです。
ある朝、目覚めたら急に左右どちらかの手首が上がらない、力が入らない…そんな症状があれば、それは「橈骨神経麻痺」かもしれません。腕枕で寝てしまった後などに起こることがあり、誰にでも起こりうる身近な神経の麻痺です。脳梗塞とは異なります!

橈骨神経は首のあたりから腕を通り、指先までつながっている神経です。この神経は主に手首や指を伸ばす筋肉や、前腕を外側にひねる筋肉の動きをコントロールし、手の甲側の親指・人差し指・中指の感覚も司っています。橈骨神経麻痺はこの神経が何らかの原因で圧迫されたり損傷したりすることで、うまく機能しなくなった状態です。
特徴的な症状は「下垂手(かすいしゅ)」で、手首を自分の力で反らせない(伸ばせない)、指の付け根の関節が伸びず、指をまっすぐに伸ばせない状態となります。ただし、指を曲げたり、手首を手のひら側に曲げたりすることはできます。
橈骨神経麻痺の原因は、神経が圧迫されることによるものがほとんどです。神経の走行が上腕部では後方で骨溝を走っており、外部からの圧迫されると骨に押し付けられやすい構造しています。

•睡眠中の圧迫:自分の腕を枕代わりにして寝る「腕枕」や、パートナーの腕枕で寝る(ハネムーン麻痺)、お酒に酔って不自然な姿勢で長時間眠ってしまう(サタデーナイト麻痺)などが代表的な原因です。
痺れなどの異変に気づければすぐに改善して未然に防げますが、泥酔している場合には気づかずに長時間圧迫を受けることが多い印象があります。
診断は問診と神経学的な所見で橈骨神経のみに障害が起きていればほぼ確定できます。
神経圧迫されたことで生じた場合には多くは自然に回復しますので、治療は適切な対処をしながら待つことが基本です。神経は1日に約1mmという非常にゆっくりとしたスピードで再生するため、根気強く回復を待つことが大切です。腕枕などによる圧迫が原因の比較的軽いものでは、数週間から2〜3ヶ月で自然に回復することが多いですが、泥酔して圧迫時間が長くて神経の損傷が強い場合は、回復に半年から1年、あるいはそれ以上かかることもあります。
回復するまで長くなりそうであれば、リハビリを行いつつ、手首を持ち上げて固定する「コックアップスプリント」を装着するのもよい方法です。
肘部の少し手側で橈骨神経から枝分かれする部位で発生する後骨間神経麻痺というものもあり、原因も異なるので鑑別が必要です。正確な診断を受けるため手外科専門医に相談しましょう。

健スポ通信NO165澁澤院長からあなたへ!今回は「母指CM関節症の手術」についてです。  母指CM関節症は長期的には痛みが改善することも多く、最終的に手術が必要になる割合は10-20%程度という事実を踏まえて、まずはサポーター装着等の保存的...
13/05/2025

健スポ通信NO165

澁澤院長からあなたへ!

今回は「母指CM関節症の手術」についてです。  
母指CM関節症は長期的には痛みが改善することも多く、最終的に手術が必要になる割合は10-20%程度という事実を踏まえて、まずはサポーター装着等の保存的治療を行いますが、長期にわたり痛みに悩まされている方には痛みを改善させる手術が勧められます。
変形が進んだ状態に対する術式には関節形成術/関節固定術があります。これらは関節自体に直接処置を加えて痛みの改善を図る方法です。
<関節形成術>
関節の土台部分である大菱形骨を完全切除または部分切除して、隙間を作成して刺激を減らす方法です。親指側の中手骨が沈み込んで隙間がなくならないように、自分の腱(通常は長母指外転筋腱の一部を使用)を用いて吊り上げる方法(Thompson法)や最近では自己腱の代わりに人工靱帯を用いて吊り上げる方法(Suture Botton Suspensionplasty)などがあります。
(※黄色い線は人工靱帯で実際には見えません)

<関節固定術>
変形した関節の軟骨を切除し、骨同士を癒合させて痛みを完全に消失させる方法です。
当院ではロッキングプレートを用いて固定しています。

※どちらの手技も一長一短ありますが、どちらも同等に
概ね成績は良好です。生活スタイルなどを考慮して術式
を相談することになります。

健スポ通信NO164澁澤院長からあなたへ!今回は「母指CM関節症」についてです。 母指のCM関節は親指の付け根の関節で手首に近いところにあります。キャップやふたを開けたり、何かをつまんだりする動作で痛くなるのがこの関節症です。CM関節はその...
08/04/2025

健スポ通信NO164

澁澤院長からあなたへ!

今回は「母指CM関節症」についてです。 
母指のCM関節は親指の付け根の関節で手首に近いところにあります。キャップやふたを開けたり、何かをつまんだりする動作で痛くなるのがこの関節症です。
CM関節はその形状から母指の自由な動きを可能としており、大きく動く分、逆に強い負荷がかかりやすく、変形に至りやすい関節です。
<発症機序>その始まりは掌側の靱帯が緩むことから始まると言われています。

1. 靭帯がゆるむと関節が不安定になり、関節に炎症が起きます。
2. 進行すると関節のズレが発生します(亜脱臼)。
3. 炎症の持続により軟骨のすり減りや変形が進行してきます。

<発症リスク>40歳以上の女性・元々の関節の緩さ・ケガ・母指への繰り返し負荷が加わる状況(仕事・スポーツ・趣味)などと言われています。
最近では女性ホルモンであるエストロゲンの低下で靱帯が緩みやすいと言われており、メノポハンド(手の更年期障害)の一つです。
<診断>痛み部位とレントゲンで可能です。レントゲンでは関節症の進行具合が評価できます。

<治療>変形程度と痛みが必ずしも相関しないこと、長期的には痛みが改善することが多いこと、最終的に手術が必要になる割合は10-20%程度という事実を踏まえて、まずは保存的治療を検討します。発症初期で炎症が主体の場合には安静のためにサポーターを装着して外用剤や内服剤を使用したりします。効果は持続しませんが、痛みを和らげるためにステロイドの関節注射を行うこともあります。ハンドセラピィ(リハビリ)も一定の改善効果があります。長期にわたり痛みに悩まされている方には痛みが改善される手術が勧められます。

健スポ院長通信NO163澁澤院長からあなたへ!今回は「指の伸筋腱脱臼」についてです。指を伸ばす腱を伸筋腱と言いますが、手の甲にあり各指の腱が一本ずつ確認できます。正常では、伸筋腱は腱を支持する両側のバンド(矢状索)により引っ張られてバランス...
11/03/2025

健スポ院長通信NO163

澁澤院長からあなたへ!

今回は「指の伸筋腱脱臼」についてです。
指を伸ばす腱を伸筋腱と言いますが、手の甲にあり各指の腱が一本ずつ確認できます。正常では、伸筋腱は腱を支持する両側のバンド(矢状索)により引っ張られてバランスをとり、骨の中央に位置しています。
何らかの外傷により小指側にずれ落ちてしまう状態を伸筋腱脱臼と言います。グーをすると伸筋腱がズレ(左図)、落ちるたびに音がしたり痛みが生じたりします。パーをすると腱は戻ります。ほとんどは中指に起こりやすく、稀に他の指でもおこります。典型的な発生はいわゆる「デコピン」をする動作で指を曲げた状態で急に伸ばして弾くと親指側のバンドが断裂して緩んで、小指側に腱が脱臼してしまいます。何かを直接殴って生じる場合もあります。
ケガ以外では生まれつき指の関節が柔らかい場合の先天性、リウマチも原因となります。

<伸筋腱脱臼の治療>
先天性やリウマチでは無症状のことが多く、その場合には治療の必要はありません。外傷例では指を伸ばした状態で装具やギプス等の外固定を5-6週間行うことで改善を図れますが、小指側への偏位がやや残ることもあります。早期の改善を目指したい時・時間経って改善ない時・脱臼が戻る際の引っかかりが強い場合には、手術治療がよいでしょう。発症間もなければ断裂したバンドの縫合術を行います(下写真)。受傷から長期間経過した場合には伸筋腱の一部を利用して矢状索を作り直す再建術を行います。

健スポ通信No162今回は「ばね指(腱鞘炎)の注射」についてです。  指に痛みが出てカクンとなるばね指は腱鞘炎が原因です。指を動かす屈筋腱とトンネル(腱鞘)が腫れ、すべりが悪くなるため、指のひっかかりや痛みが出ます。 診断は触診だけでもある...
10/02/2025

健スポ通信No162

今回は「ばね指(腱鞘炎)の注射」についてです。
指に痛みが出てカクンとなるばね指は腱鞘炎が原因です。指を動かす屈筋腱とトンネル(腱鞘)が腫れ、すべりが悪くなるため、指のひっかかりや痛みが出ます。
診断は触診だけでもある程度可能ですが、炎症の程度や腱の状態を詳細に知るにはエコー検査が有用です。
指を動かしながら検査できるのでリアルタイムに画像で確認することができます。  

ステロイド注射は手術以外の治療の中では最も有効な方法です。エコーを見ながら注射すると腱鞘の中にしっかりと注入できるのでさらに有効です。手のひら側から針を刺すとかなり痛いので、最近ではエコーを見ながら指の側面から腱鞘内に注射する方法もあります。

1度目の注射にて高確率で改善して有効ですが、再発して注射を繰り返すごとに効きにくくなります。半年以内で約50%、1 年以内で 70-80%の方が再発する傾向にあります。
注射は3回までと説明されるドクターが多く、ここでは注射による腱断裂のリスクを心配してのことでしょうが、回数に関しての明確な決まりはありません。重要なことは腱が切れない配慮を
する注射間隔と 1 回の量です。トリアムシノロンというステロイド注射が著効するわけですが、1 回の注射の効果持続は2ヶ月程度あります。この間にステロイドが腱のまわりに付着し続け、炎症を改善させますが、短期間で注射を繰り返すと、腱にステロイドが蓄積して腱がもろくなります。あるときに力を入れた際に腱が切れて、指が曲がらなくなってしまします。量に関しては研究によると5mgと10mgとではほぼ同効果ということから、5>10mgと少なめが望ましいのです。

以上から注射間隔は最低3ヶ月開けること、注射量は5mg+α程度なのですが、この根底にあたり重要なのは、①1回の注射でいったんは完治した(腱の腫脹が取れた!)あとに再度発症したのか、②改善しきらない状態で注射効果が切れて再燃したのか、なのです。①の場合には本人がよければ複数回注射しても問題なく、おそらく半年以上はよい状態が続いた場合でしょう。②は注射で治りきらないということであり、このケースにおいて短期間で繰り返し注射をすると腱断裂リスクが高いわけです。エコー評価で注射を再度行ってもよいか、手術で根治すべきなのかを判別します。

健スポ院長通信NO161澁澤院長からあなたへ!今回は「粘液嚢腫(ミューカスシスト)」についてです。 粘液嚢腫は、手や足の指の関節にできる膨らみで、ゼリー状の粘液で満たされた嚢腫(袋)でありガングリオンの一種です。指の変形した第1関節(DIP...
14/01/2025

健スポ院長通信NO161

澁澤院長からあなたへ!

今回は「粘液嚢腫(ミューカスシスト)」についてです。 
粘液嚢腫は、手や足の指の関節にできる膨らみで、ゼリー状の粘液で満たされた嚢腫(袋)でありガングリオンの一種です。指の変形した第1関節(DIP関節)(へバーデン結節)から発生することが多く、個人差もありますが女性に多く、更年期以降に増加することから女性ホルモンとの関係もあるかもしれません。

粘液嚢腫には以下の特徴があります。
• 指の爪中枢に水ぶくれのような膨らみが生じる(右写真)。
• 痛みや炎症がないことが多く、自然に消えることもある。
• 爪を作る爪母を圧迫する場合は、爪の陥凹変形が生じる(右写真)。
• 嚢腫がある部分の皮膚は薄いため、自然に破けてしまい難治性の化膿性関節炎をおこす危険性がある。

粘液嚢腫の治療法には、次のようなものがあります。
• 基本、痛みを伴わずに支障なければそのままにしておいても構いません。
• エクオール(サプリメント)の摂取で関節炎が改善して、嚢腫が改善する場合もあります。
• 注射器で粘液を吸引したあと、第一関節と一緒にテーピング圧迫をする(3ヶ月程度継続すると成功率が高まります)。
• 改善がなくて支障があれば手術を行います。指1本に麻酔をかけて嚢腫と関節が連絡した茎と骨のトゲ(骨棘)を切除します。この処置のみだけで残った嚢腫の表面は自然にはがれて正常な皮膚に代わり、嚢腫自体は消失します。爪の変形があった場合も手術後から正常な爪が生えてきますので、最終的にはきれいな爪に生え替わります。

皮膚の消毒もせずに膨らんだ半透明の嚢腫を自ら針などで突っついて内容液を絞り出したりすると、そこから細菌が入り関節まで広がると化膿性関節炎となり関節が破壊されてしまいます。自分で処置するのはやめましょう。また嚢腫が自然と破れた場合はよく消毒をして早めに受診してください

健スポ通信No160澁澤院長からあなたへ!今回は「頚椎症性筋萎縮症」についてです。首の骨(頚椎)が変形することで生じうる神経障害の代表的なものは頚椎症神経根症と頚椎症性脊髄症の2つがあります。【頚椎症性神経根症】頚椎の神経孔から出てくる枝分...
10/12/2024

健スポ通信No160

澁澤院長からあなたへ!

今回は「頚椎症性筋萎縮症」についてです。
首の骨(頚椎)が変形することで生じうる神経障害の代表的なものは頚椎症神経根症と頚椎症性脊髄症の2つがあります。
【頚椎症性神経根症】頚椎の神経孔から出てくる枝分かれしたあとの神経が圧迫を受けたり、炎症を来したりして起きる上肢メインの症状です。頚部痛やその神経領域の感覚障害で痛みやしびれが生じ、稀に重症となれば麻痺などの運動障害を来します。
【頚椎症性脊髄症】は頚部の骨内の脊柱管内を通る脊髄(脳中枢から下に垂れ下がる神経)自体が圧迫を受けて、四肢を司る神経の中枢自体が障害を受けます。筋力低下などの運動障害や四肢しびれなどの感覚障害の他にバランス能力低下で手先の器用な動作ができなかったり、下半身のバランスが取れずにふらふらしたりなどもします。排尿排便障害を来すこともあります。
★これらに含まれず、比較的稀ですが痛みやしびれがほとんどなく、麻痺が生じて腕または指が動かなくなる頚椎症性筋萎縮症という特殊な病態があります。脳梗塞などと間違えられて頭部MRIを撮影される状況が多いかもしれません。
これは神経根でもさらに細かい部分である前根もしくは脊髄前角という運動神経だけを司る部分が選択的に圧迫される、もしくは循環障害による虚血が起こることで障害される機序が考えられています(左図)。障害される部位から、大きく近位型(Keegan型:肩周囲の麻痺)と遠位型(下垂指:指伸展の麻痺)に分類されます。
検査ではMRI画像でもはっきりと同定できる病変を認める場合は半数以下とされており、必ずしも画像で診断することが出来ません。
頚椎の変形が強いことと発症しやすさは必ずしも関連するわけではないようです。診断は症状と神経学的な評価で行うことがまず重要となります。
治療は神経回復の予後がよいため、まずは保存的療法を行います。回復するまでの間に肩または手指の機能低下を来さないようにリハビリを行うことは重要です。数ヶ月経過を見た後で、それでも症状の改善がない場合には手術療法を考慮することになります。

健スポ通信 No159澁澤院長からあなたへ!今回は「鳥肌」についてです。「寒さ」を感じた時、「身の毛がよだつ」怖い思いをしたとき、などに鳥肌が立ちます。どんな仕組みで起こるのでしょうか? 寒いときの鳥肌は、保温機能のためです!人の皮膚には少...
26/11/2024

健スポ通信 No159

澁澤院長からあなたへ!

今回は「鳥肌」についてです。
「寒さ」を感じた時、「身の毛がよだつ」怖い思いをしたとき、などに鳥肌が立ちます。
どんな仕組みで起こるのでしょうか?

寒いときの鳥肌は、保温機能のためです!
人の皮膚には少なからず体毛が生えていますが、この体毛の根元には立毛筋という筋肉があります。寒さを感じると立毛筋が収縮して、毛穴や汗腺の穴が塞がって体の熱が外に逃げるのを防ぎつつ、立毛筋と連なる体毛も引っ張られて逆立ち、毛穴の周囲が盛り上がります。これが「鳥肌」といわれる皮膚のぶつぶつなのです。
動物は毛を逆立てて毛と毛の間に空気を含ませて、温かさを保とうとします。人間も鳥肌を立てて体熱を逃さないようにするわけですが、肝心の体毛がかなり退化していますからいくら剛毛の方でも動物のような効果はなく、鳥肌の保温効果は微々たるものです。

一方で怒りや恐怖、嫌悪を感じたときにも鳥肌が立ちます。これは立毛筋が自律神経の交感神経に支配されているからです。状況的に緊張・興奮状態だと交感神経が緊張し、反射的に立毛筋も収縮して鳥肌が立つというわけです。
鳥肌は本来、自身でコントロールすることができない生理的反応ですが、これまでの研究で、意図的に鳥肌を立てられる人が人口の約0.5%存在するそうです!ちなみに、顔も鳥肌は立つようですが、立毛筋が退化していて体毛もあまり激しく逆立たないため、実際に鳥肌が立っていてもほとんど目立ちません。もし怒りや恐怖、嫌悪を感じるたびに顔に鳥肌が立っているのが目に見えて分かったら、人間関係に支障がでることがあるかもしれませんね

健スポ通信NO158澁澤院長からあなたへ!今回は「頚部神経根症」についてです。頚部~肩~腕に痛み・しびれがあり、“肩が痛い”という訴えで受診されることが多い神経由来の痛みですが原因は首にあります。首は7つの骨(頚椎)から構成されています。頚...
12/11/2024

健スポ通信NO158

澁澤院長からあなたへ!

今回は「頚部神経根症」についてです。
頚部~肩~腕に痛み・しびれがあり、“肩が痛い”という訴えで受診されることが多い神経由来の痛みですが原因は首にあります。
首は7つの骨(頚椎)から構成されています。頚椎の間にはクッションの役割を果たす椎間板や骨を連結する靱帯があり、これらは加齢や長年の負担などで傷んで硬く肥厚したり、膨隆したりします。
頚椎の神経孔という骨性トンネルを左右の腕に向かう神経根が通りますが、この部位で変性した椎間板や靱帯が神経根を圧迫刺激することで炎症が起きて、頚部~背中/肩/腕/手指にしびれや痛みが生じるものです(右上)。刺激される神経根の部位により痛み部位が異なります(右図)。逆に痛み部位から原因部位を推測することができます。とはいえ、変形があるから必ず症状が出るものではなく、神経の炎症が治まり、異常に興奮した状態が治まれば症状は緩和するものです。

神経根を刺激する原因は以下に挙げられます。
好発年齢は50-60歳台、男性に多い傾向です。
神経圧迫要因は変形68%・ヘルニア22%です。
一般的な経過として88%は1ヶ月以内に軽快し、発症4-5年後に90%は無症状か軽度であり、1~2年以内の再発率は12.5%程度という報告があります。

治療は第1に姿勢改善です。
神経の炎症が治まるように上記の悪い姿勢をとらない・神経孔が広くなる姿勢(背筋を伸ばして顎を引く)を日常で心掛けることです。
第2に神経の炎症が自然改善するまで神経疼痛緩和剤(プレガバリン/ミロガバリン)を内服することです。
第3に症状強ければ原因となる部位にエコーガイド下神経根ブロック注射をすることもあります。
頚椎牽引や電気治療などは医学的治療エビデンスがありません。むしろ牽引は悪化することもありますので正しい治療を受けましょう。

澁澤院長からあなたへ!健スポ通信NO157今回は「五十肩の名称の歴史」についてです。「五十肩」という名は江戸時代に使われた俗語です。1797年に発行された俚諺集覧(りげんしゅうらん)(太田全斎著、江戸時代)という書物の中に、「凡、人五十歳ば...
22/10/2024

澁澤院長からあなたへ!

健スポ通信NO157

今回は「五十肩の名称の歴史」についてです。
「五十肩」という名は江戸時代に使われた俗語です。1797年に発行された俚諺集覧(りげんしゅうらん)(太田全斎著、江戸時代)という書物の中に、「凡、人五十歳ばかりの時、手腕、骨節の痛むことあり、程すぐれば薬せずして癒ゆるものなり、俗にこれを五十腕とも五十肩ともいう。又、長命病という」と記載があり、これが日本における五十肩に関して最も古い記載とされているようです。五十肩=長命病であったのです。
50歳前後で発症しやすい肩の痛みであり、日本人の平均寿命が50歳を超えたのは戦後の1947年になってからですので、江戸時代の平均寿命=30~40歳(乳幼児の死亡が多かったため)からすると、長生きの人に発症するとされていました。
日本の整形外科学における最初の教科書である「神中整形外科」(1940年)の中では、病態が当時まだ十分に解明されていない疾患であったことから、やむを得ずと前置きした上で暫く五十肩という通俗的病名を使用すると明記されています。
その後、80年以上経った現代でも未だに五十肩という曖昧な病名が使用されている状況があります。レントゲン博士が1895年にX線を発見し、レントゲン検査が医学の発展に大きく貢献したことは重要なことですが、整形外科では長い期間、診断にレントゲン写真だけが頼りの時代が続いてきました。このため骨に問題なければ異常はないという扱われ方がされ、医師がはっきりした診断ができないために曖昧な五十肩を使用してきた経緯があります。
現在では正式病名は「肩関節周囲炎=凍結肩」といい、炎症後に関節/関節包が硬くなる状態です。診断にはレントゲンで骨に異常なく、超音波検査(エコー検査)やMRI検査で腱板などの組織に大きな異常がないことが前提になり、現在ではエコー検査の普及もあり診察室ですぐに典型例を正確に診断することができます。
50歳前後の人の肩がただ痛くなることと五十肩は決して同じではありません! 五十肩=凍結肩であり、関節が拘縮するので状態としてはかなり重症です。
長い間、俗語として五十肩が使われてきた経緯がありますので、医療従事者も含めて世間一般でそう簡単に呼び名を修正することは難しいかもしれません。

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