
04/04/2025
「先生!死ねなかったよ~」
いつもの散歩中に息切れがして、足がしびれて歩けなくなった。
休み休みなんとか家まで戻ったけど
血圧測ったら低くて、脈も40回
変だと思って近所の病院に行った。
「ペースメーカーを入れる必要がある」
「入れても5年しか持たない」突然そう言われた。
(と本人は記憶している)
近所の人もペースメーカー入れてる人がいるけど、
なんだか歩くのさえやっとだ。
もう寿命だ。延命治療はいらない。このまま静かに家で死ぬ。
手の震えもひどい。トイレにも行けない。
寝ていても頭がガンガン痛い。
娘にも息子にもこのまま家で死ぬと伝えた。
東京から娘が飛んできた。
以前妻が世話になったケアマネに相談した。
苦痛の緩和と看取りを求め、谷藤が呼ばれた。
三度房室ブロック。すでに心不全。
基礎疾患はない。
ペースメーカーを植え込めば回復できると判断。
ほぼ連日通い続け説明と説得を繰り返す。
独居で身動きもままならない状況で、
しかも日々病状は悪化していく。できる緩和治療も限られた。
10日目、やっと入院治療に同意してくれた。
気が変わらないうちにと、すぐに救急搬送。
入院は26日間。
治療とリハビリが終わり、自分の足で家に帰ってきた。
「先生、死ねなかったよ~。これからどうすればいいの」
大丈夫、また前のように一人で暮らせる。
緩和ケアを標榜すると 看取りが専門みたい思われるけど
救える命を見捨てることはしない。
その人の人生をあきらめない。