かわせカイロプラクティック

かわせカイロプラクティック フィシオエナジェティック®のディプロマ認定者によるホリスティックなセラピー。

当院は当院は最先端の自然療法取り入れた高度な整体をやっています。通常の整体やカイロプラクティックとは大きく異なり、筋肉・骨格・筋膜・内臓・脳・精神心理の問題・毒素・アレルギー・ホルモン分泌異常、栄養素不足・経絡・気・チャクラ・オーラなど幅広く検査・施術しています。

このように他院とは違う非常に特殊な検査・施術をしていますので、料金と施術の概要のページ https://kawasechiro.sakura.ne.jp/price.html をよくお読みになりご理解いただけた方しか予約を受け付けていません。

さらに、私の施術の仕方を症状別に解説したページhttps://kawasechiro.sakura.ne.jp/topic.html もありますので、できればこちらもお読みになった上で当院に予約を入れるかどうかを決定していただければと思います。

05/09/2025

■悪口は本当に悪なのか ― 感情と身体から考える

悪口を言うことは、子どもの頃から「いけないこと」として教えられてきた人も多いでしょう。確かに、相手を直接傷つけたり、陰で人間関係を壊すような悪口は望ましいものではありません。しかし、本当に悪口を言うこと自体が「絶対に悪」なのでしょうか。ここには少し立ち止まって考える余地があります。

心理学の視点から見ると、悪口には一時的にストレスを和らげたり、仲間との共感を強めたりする作用があります。人は不満や怒りをまったく口にしないで生きることはできませんし、感情を無理に押し込めれば、むしろ心身に悪影響を及ぼすことさえあります。つまり、悪口は本質的に「悪」ではなく、出し方や使い方によって意味が変わってくるのです。

大切なのは、悪口を言いたくなるその背景にある、自分自身の感情に気づくことです。「○○は最低だ」と言うかわりに、「私はあのとき、とても悔しかった」と表現すれば、それは攻撃ではなく自己表現になります。日記に書き出したり、一人のときに言葉にしたりするだけで、気持ちが整理されることもあります。また、信頼できる相手に「私はこう感じた」と伝えると、悪口ではなく安心できる吐き出しへと変わっていきます。

さらに興味深いのは、「悪口を言ってはいけない」と強く信じる人が、ときに悪口を言う人を見下してしまうことです。自分は言わないから正しい、相手は言うから未熟だという道徳的優越感が働きやすいのです。しかしこれは、新たな分断を生みます。「悪口を言う人」と「言わない人」という上下関係ができ、対話や理解が難しくなってしまいます。しかもその背景には、自分の中にもある「悪口を言いたい気持ち」を強く抑え込み、他人に投影している可能性があります。そう考えると、「悪口を言わない」という立派な選択も、それを他人に押し付け、見下す態度になった瞬間に、別の形の攻撃になりかねないのです。

私自身、ソマティック・エクスペリエンシングというセラピーを提供していますが、その中では「感情を安全に感じ、体を通して調整する」という姿勢を大事にしています。悪口を言いたくなるとき、その奥には身体的な緊張や、自律神経の過剰な反応があることも多いのです。深呼吸をしたり、足の裏の感覚に意識を向けたりするグラウンディングで、自律神経は少しずつ落ち着いていきます。運動や散歩、掃除などで体を動かすと、言葉にしなくても気持ちが切り替わりますし、絵を描いたり音楽を聴いたりするなど、創造的な活動に感情を流すこともできます。

結局のところ、悪口を言ってはいけないのではなく、そのまま言うと人を傷つけ、関係を壊しやすいということなのです。だからこそ、「安心できる形で感情を外に出す」「身体で調整する」「言葉を言い換えて自己表現に変える」ことが大切になります。そして同時に、「悪口を言わない自分」を盾にして他人を裁くのではなく、「誰の中にも同じ感情がある」という理解を持つこと。それが、悪口に振り回されず、感情を健全に扱う生き方へとつながっていくのです。

01/09/2025

■引き寄せの法則 ― 知っておきたい落とし穴

「強く願えば叶う」「ポジティブに考えればポジティブなことが起きる」――引き寄せの法則は、多くの人に希望を与えてきました。実際に、意識の向きを前向きにすることが、行動や感情に良い影響を与えるのは確かです。けれども、良い面ばかりに注目していると、気づかないうちに危うい落とし穴にはまってしまうことがあります。ここでは、あえてネガティブな側面に目を向けてみましょう。

1. 「自分のせい」にしてしまう
うまくいかないときに「思考がネガティブだからだ」「私が引き寄せられないからだ」と、自分を責めてしまう人が少なくありません。現実には、自分の努力や心構えだけではどうにもならないこともあります。引き寄せを信じすぎると、そのすべてを「自己責任」にしてしまい、かえって心を追い詰めてしまうのです。

2. 行動を止めてしまう
「願えば叶う」と強く信じるあまり、実際の行動をおろそかにしてしまうことがあります。本来は「意識の向きが変わる → 行動が変わる → 結果が変わる」という流れが自然なのに、行動を飛ばして願望だけに頼ると、望む未来から遠ざかってしまうのです。

3. ネガティブを排除しすぎる
引き寄せを実践する人の中には「ネガティブな気持ちを持ってはいけない」と自分を厳しく縛ってしまうケースもあります。しかし、不安や怒りや悲しみといった感情にも、体や心を守る大切な役割があります。それらを無理に消そうとすると、逆にストレスや緊張が強まってしまうのです。

4. 「宇宙の法則」として絶対視してしまう危うさ
引き寄せの法則は「量子力学で証明されている」「宇宙の真理だ」と語られることがあります。しかしこれは科学的な根拠というよりも、スピリチュアル的な解釈です。それを絶対視してしまうと、現実の生活や人間関係から離れてしまい、危うい信念にのめり込むリスクがあります。

引き寄せを取り入れるなら、「魔法のような法則」としてではなく、「意識の向きを整えるひとつの工夫」として使うのが健全です。願うだけでなく、感情を丁寧に扱い、小さな行動を積み重ねていくことが、結局は一番大きな変化を引き寄せてくれるのです。

■引き寄せの法則を信じやすい人とは?

では、どんな人が「引き寄せの法則」を信じやすいのでしょうか。

1.不安が強い人
将来が不安で「このままで大丈夫だろうか」と思いやすい人は、引き寄せの法則に惹かれやすい傾向があります。たとえば、仕事が安定せずに将来が見えないときに「ポジティブでいれば必ず成功する」と聞けば、安心感を得やすいのです。

2.ポジティブ思考を大切にする人
「ネガティブなことを考えると悪いことが起きそう」と普段から思っている人も信じやすいタイプです。恋愛でうまくいかないときに「理想の相手をイメージすれば出会える」と言われると、「やっぱりポジティブでいることが大事なんだ」と納得しやすいのです。

3.スピリチュアルに関心がある人
目に見えないエネルギーや宇宙の仕組みに興味がある人は、「宇宙の法則」という説明に自然に共感できます。たとえば、健康のためにパワーストーンやヒーリングを信じている人にとっては、引き寄せも同じ延長線上に感じられるのです。

3.成功体験を前面に出す人(特にインフルエンサー)
インフルエンサーや自己啓発の発信者の中には、「引き寄せで人生が変わった」という体験談を強調する人が多くいます。「理想のパートナーを思い描いていたら数か月後に出会えた」「思考を変えただけで収入が何倍にもなった」といった成功談を大きく打ち出すことで、聞き手は「自分も同じようになれるかも」と期待しやすくなるのです。しかし実際には、裏で地道な努力や環境の影響がある場合が多く、それはあまり語られません。そのため「引き寄せさえあれば成功できる」と思い込んでしまう危うさがあります。

4.困難やトラウマを抱えている人
過去のつらい経験や繰り返す失敗で「現実は思うようにいかない」と感じている人も、引き寄せを信じやすい傾向があります。「自分の思考次第で未来を変えられる」と聞くと、無力感が和らぎ、希望を持ちやすくなるからです。

5.引き寄せを利用して儲ける人もいる
注意したいのは、「引き寄せの法則」をビジネスにしている人たちの存在です。高額なセミナーや教材、会員制のグループなどで「思考を変えれば誰でも成功できる」と繰り返し発信し、参加者に「あなたもできる」と思わせます。インフルエンサーが自身の成功体験を誇張し、それを商品販売につなげるケースも珍しくありません。問題は、そうした人々が「願えば叶う」という部分だけを強調し、現実的な行動や努力のプロセスを軽視させてしまうことです。結果として、多くの人が「効果がないのは自分のせいだ」と思い込み、さらに追加のセミナーや商品にお金を費やしてしまう悪循環に陥るのです。

■引き寄せの法則と発達障害 ― 信じやすさと注意点

では、発達障害を持つ人は、この「引き寄せの法則」を信じやすいのでしょうか。それとも距離を置きやすいのでしょうか。

◎信じやすい理由

1. 生きづらさの中で「救い」を求めやすい
発達障害の人は、周囲から理解されにくかったり、失敗体験が積み重なったりして、「自分はダメなのでは」という無力感を抱きやすい傾向があります。そのときに「思考を変えれば未来も変えられる」というメッセージは、強い希望として響きやすいのです。

2. 白黒思考の影響
ASD傾向のある人は、物事を「完全に正しい/完全に間違っている」と捉えやすい傾向があります。そのため「引き寄せは宇宙の法則」という言葉を聞くと、批判的に検討するよりも「真実なのだ」と一気に信じ込みやすいのです。

3. 成功体験のストーリーに弱い

「私はこうして引き寄せで成功した」というインフルエンサーの体験談は、シンプルでわかりやすい物語として心に刺さります。発達障害の人は「過去の事例」をそのまま「自分にも当てはまる」と感じやすく、信じ込みやすいのです。

◎距離を置きやすい理由

1. 論理性の強さ
一方で、発達障害の中には論理的に考えることを好む人もいます。そうした人は「根拠がない」「科学的ではない」と感じやすく、逆に引き寄せの法則をすぐに疑ってしまうこともあります。

2. 興味が移りやすい
ADHD(注意欠如・多動症)傾向のある人は、新しいものに強く惹かれる一方で、結果が出なければすぐに飽きてしまうことも多いです。引き寄せに熱心に取り組んでも「何も変わらない」と感じた瞬間に、あっさり離れてしまうこともあります。

このように、発達障害の人が引き寄せの法則を信じやすいのは、
 ・生きづらさの中で「希望」を求めているから
 ・白黒思考で「宇宙の法則」を絶対視しやすいから
 ・シンプルな成功ストーリーに惹かれやすいから
といった心理的背景があるためです。

ただし、同時に「根拠を疑う論理性」や「飽きやすさ」が距離を置く要因になることもあります。大切なのは、引き寄せの法則を「万能の真理」として信じ込むのではなく、「意識の向きを変える工夫の一つ」として軽やかに取り入れること。そして、願うだけでなく、現実的な行動やサポートを組み合わせていくことです。

27/08/2025

■ゴッドハンドなセラピストの危険性

セラピーの世界には、クライアントの苦しみに真摯に寄り添い、時間をかけて回復を支えていく人がいる一方で、自分を“ゴッドハンド”のように演出するセラピストも存在します。彼らは特別な力を持っているかのように振る舞い、短時間で奇跡的な変化を起こすように見せることで注目を集めます。

難しい症状ほど本来はすぐに良くなることはなく、少しずつ積み重ねるプロセスが欠かせません。ところが、焦りや不安で「今すぐにでも治したい」と願うクライアントの心理につけ込み、暗示や心理テクニックを駆使して「たちまち症状が軽くなった」と錯覚させます。その際によく使われるのは、断言的な言葉による暗示、権威的な態度を見せて信じ込ませる権威効果、相手が“はい”と答えざるを得ないような誘導的な質問です。また、神秘的な道具・空間で特別感を演出する視覚的仕掛けも多用されます。

こうした働きかけによって、クライアントの中では「良くなっている」と信じ込みやすくなるプラセボ効果や、「効果があるはずだ」と思うあまり都合の良い変化だけを拾ってしまう確証バイアスが起きます。さらに、セラピストの期待に応えようとする同調圧力によって「楽になりました」と答えてしまい、依存が強化されていきます。そして、標準的な医療や科学的な治療から遠ざけてしまうことすらあります。これは健康回復の機会を奪い、症状を悪化させかねない深刻なリスクです。

さらに厄介なのは、クライアントがその体験を「人に紹介したくなる」ことです。驚きや感動は共有したくなる心理を強く刺激しますし、「すごい体験を知っている自分」を誇示したい承認欲求も働きます。その結果、口コミやSNSで「奇跡のような施術」が広まり、信頼感が雪だるま式に増幅されていきます。本人にとっては善意のつもりでも、実際には暗示的な体験を広めてしまい、周囲の人まで標準医療から遠ざけてしまう危険があります。

ゴッドハンド的なセラピーは、一見すると安心感や希望を与えるように見えますが、実態はクライアントの切迫した心理を利用した欺瞞的な手法です。誠実なセラピーとは、クライアント自身の自己調整力を育み、必要なときには医療との連携を大切にするものです。その対極にあるゴッドハンド的演出は、依存と誤解を拡散させ、本人だけでなく社会全体にまで悪影響を及ぼす危険な関わり方だと言わざるを得ません。

25/08/2025

■体の声を聞くことの落とし穴

私たちは「体の声を聞くことが大切だ」とよく言います。確かに体が発するサインを無視して無理を重ねれば、不調や病気につながるでしょう。しかし注意が必要なのは、体の声が常に健康へ導く“正しい声”とは限らないということです。体の声には、臓器や神経の一時的な疲れからくるものや、不安やストレスが過剰に影響したものも含まれます。それを“健康に導く声”だと誤解して従うと、かえって健康を損ねるリスクが生まれてしまうのです。

とくに食欲がなく痩せている人の場合、「無理に食べると身体に悪いから」と言って食事を回避するケースがよくあります。こうした傾向は、痩せ願望のある若い女性やお年寄りに多く見られます。さらに医師や健康を指導する立場の人でも、「無理に食べないほうがいい」「少食が健康にいい」と助言することがあります。確かに過食や肥満が問題となる人にとっては有効な指導であり、「無理に食べすぎないほうが良い」というアドバイス自体は正しい場合も多いのです。ですが、前提条件を見極めずに“少食=健康”と一律にすすめてしまうことには危うさがあります。痩せていて栄養状態が不足している人にまで当てはめてしまうと、必要な栄養を取り込む機会を奪ってしまうのです。

その結果、さらに体重が減り、筋肉量やエネルギーの備えが乏しくなっていきます。そしてやがて糖代謝の異常や免疫の低下、慢性的な炎症、さらにはサルコペニア(筋肉が著しく減る状態で、フレイルの主要な原因の一つ)やフレイル(要介護状態の一歩手前)など、栄養不足や筋肉不足に由来するさまざまな問題が現れてくるのです。つまり「体の声を大事にしているつもり」が、長期的にはかえって身体を追い込む回避行動へと変わってしまうのです。ですから大切なのは、体の声を無視せず尊重しながらも、それをそのまま絶対視しないことです。

PATM(パトム)に関する6つの動画を作成しました。この再生リストでは、PATM(People Are Allergic To Me)の背景にある神経系や心理の働きを、ポリヴェーガル理論や最新の栄養学・心理療法の視点から解説しています。単な...
23/08/2025

PATM(パトム)に関する6つの動画を作成しました。この再生リストでは、PATM(People Are Allergic To Me)の背景にある神経系や心理の働きを、ポリヴェーガル理論や最新の栄養学・心理療法の視点から解説しています。単なる体質や腸内環境の問題としてではなく、「自律神経の調節不全」という深い仕組みに焦点を当てることで、なぜPATMが起こるのか、どうすれば改善できるのかを丁寧に紐解いていきます。

第1回:ポリヴェーガル理論から読み解くPATM
交感神経・副交感神経に加えて「腹側迷走神経・背側迷走神経」を含む三系統で自律神経を理解し、なぜ「人前で過覚醒・ひとりで低覚醒」が繰り返されるのかを解説します


第2回:対人過敏性と反芻思考 ― グルタミン酸・ノルアドレナリン過活動への栄養アプローチ
他人の視線や表情を過剰に読み取ってしまう「対人過敏性」や、頭から離れない反芻思考。その背景にある神経伝達物質の過活動と、それを和らげる栄養的アプローチを紹介します


第3回:サリエンシーシステムの過活動とPATM
脳の「何を重要と感じるか」を決めるサリエンシーシステムが過敏に働くと、周囲の些細な刺激が「危険信号」に見えてしまいます。ドーパミンの役割や栄養での調整法について解説します


第4回:過覚醒と低覚醒を行き来する脳を改善する ― 神経可塑性と栄養療法
脳の修復や可塑性の回復なしに、神経伝達物質のバランス調整だけでは改善できません。酸化ストレス対策、神経膜の材料補給、メチル化の役割などを詳しく取り上げます


第5回:身体感覚から自律神経にアプローチする心理療法
「考えれば考えるほど悪化する」PATM。グラウンディング、ペンデュレーション、タイトレーションといった身体感覚を使った方法で、自律神経を安全に整える実践法を紹介します


第6回:PATMと心のパーツ ― 自律神経の調和を取り戻すために
IFSのパーツ概念を応用し、「周りの反応を気にするパーツ」「完全無臭でなければ安心できないパーツ」などが持つ肯定的意図を理解することで、自律神経の安定と癒しにつなげます


この再生リストを通じて、PATMの背景をより深く理解し、神経系を整えるための栄養療法と心理的アプローチを具体的に学ぶことができます。

この再生リストでは、PATM(People Are Allergic To Me)の背景にある神経系や心理の働きを、ポリヴェーガル理論や最新の栄養学・心理療法の視点から解説しています。単なる体質や腸内環境の問題としてではなく、「自律神経の....

解毒・デトックスについての動画を5つ作成しました。この再生リストでは、「なぜ毒素が出ていかないのか?」「なぜデトックスで調子を崩すのか?」といった根本的な疑問に対し、最新の機能性栄養学・細胞生理学・脳科学の知見からやさしく深く解説しています...
29/07/2025

解毒・デトックスについての動画を5つ作成しました。この再生リストでは、「なぜ毒素が出ていかないのか?」「なぜデトックスで調子を崩すのか?」といった根本的な疑問に対し、最新の機能性栄養学・細胞生理学・脳科学の知見からやさしく深く解説しています。

✅ こんな方におすすめ
・慢性的な疲労、ブレインフォグ、肌トラブルに悩んでいる方
・デトックスに挑戦したけど逆に具合が悪くなった方
・キレーションやサウナの前に「やるべきこと」を知りたい方
・肝臓や腸、細胞、脳の“排出力”を高めたい方
・サプリや食事でのケアを根拠を持って選びたい方

📘各動画で扱うトピック(概要)
1⃣ 脂溶性毒素と水溶性毒素の違い
 脂溶性毒素は細胞膜や脳・神経に蓄積しやすく、水では流れず長期的に影響を与える。水溶性毒素は尿で出やすいが、急性症状を引き起こすことも。

2⃣ 便と尿という“出口”の整備が最優先
 排出ルートが詰まったまま毒素を動かすと、かえって再分配され体調悪化の原因に。まずは腸内環境、胆汁、腎機能、水分・電解質の見直しから。

3⃣ 肝臓の2段階解毒と栄養サポート
 フェーズ1(代謝)とフェーズ2(抱合)をバランスよく進めるために、ビタミンB群・C、マグネシウム、グルタチオン、スルフォラファンなどがカギとなる。

4⃣ 細胞レベルのデトックス戦略:3ステップ
 ①細胞膜の修復 ②ミトコンドリア活性化 ③脂肪組織からの毒素動員。順序と栄養のバランスが、出せる細胞の鍵になる。

5⃣ なぜ脳に毒が溜まるのか?
 血液脳関門(BBB)とグリンパ系の排出ネットワークを解説。DHAやPQQ、睡眠、運動が脳の“出す力”を支える。単に守るだけでなく「洗い流せる脳」へ。

🌱 再生リストを通してわかること
・“動かす”前に“出せる”体をつくる順序
・便、尿、汗、胆汁、そして脳の排出ルートの役割
・細胞膜やミトコンドリアを整える必要性
・脳の「デトックスネットワーク」をどう支えるか

🔄「とりあえず断食・サウナ・サプリ」ではなく、出す準備から始める戦略的なデトックスを学びたい方へ。科学的かつ実践的な視点で、自分の体と丁寧に向き合っていくためのシリーズです。

この再生リストでは、「なぜ毒素が出ていかないのか?」「なぜデトックスで調子を崩すのか?」といった根本的な疑問に対し、最新の機能性栄養学・細胞生理学・脳科学の知見からやさしく深く解説しています。 ✅ こん....

16/07/2025

mRNAワクチンと“シェディング”をめぐる誤解と現実
 ~誤情報に振り回されず、体と丁寧に向き合うために

mRNAワクチンは、私たちの細胞に「スパイクタンパク質の設計図」となるmRNAを一時的に届け、それをもとに免疫系がウイルスの一部を学習し、将来の感染に備えるしくみです。このmRNAは数日以内に分解され、つくられたスパイクタンパク質も、免疫反応によって速やかに排除されるのが通常の流れです。

このように、mRNAやスパイクタンパク質それ自体が「毒物」のように作用するわけではなく、あくまで「感染を模した訓練材料」として機能しています。現代のバイオテクノロジーによって設計されたこのワクチンは、「完全に無害」と言い切れるものでもなければ、「すべてが毒」というようなものでもありません。

実際、免疫が非常に敏感な方や、もともと慢性炎症や自己免疫的傾向を抱えていた方では、ワクチン接種後に一時的な不調が生じることがあります。また、これをきっかけに帯状疱疹やEBウイルスといった潜伏ウイルスが再活性化する例も報告されています。これは、ワクチンによる「毒性」ではなく、体内の免疫バランスが一時的に揺らぐことによる副次的な反応と理解するのが妥当です。

一方で、「mRNAが体内に何年も残り続ける」「スパイクタンパク質が延々と作られ続ける」といった主張や、「ワクチン接種者の体から有害な物質が放出され、他者に悪影響を及ぼす(=シェディング)」という説も一部で広まっています。しかし、こうした主張には、現在のところ信頼できる科学的根拠は確認されていません。

もともと「シェディング(shedding)」とは、ウイルス感染者が咳やくしゃみなどでウイルス粒子を体外に排出する過程(=ウイルス・シェディング)を指す医学用語です。mRNAワクチンはウイルスを体内に入れるものではなく、他人にスパイクタンパク質を「感染させる」ような機構も備えていません。このような誤解の多くは、陰謀論的な動画や一部のSNS発信者によって広がったものであり、世界中の科学機関や公衆衛生当局によって繰り返し否定されています。

ここで重要なのは、この「シェディング」概念に対して、セラピストや支援者が無批判に同調することのリスクです。たとえば、セラピストが「シェディングに対応するセラピーを行います」と言った場合、クライアントは「やっぱりこれは実在する危険なんだ」と感じ、不安や疑念が「確信」に変わってしまうかもしれません。これは、クライアントが自ら情報を見直す力を損なうだけでなく、陰謀論的な世界観を強化し、科学的な視点から離れてしまうことにもつながります。

さらに、セラピスト自身が感情的な共感に流されると、いつの間にか誤情報の“媒介者”になってしまう危険もあります。科学的根拠に基づく判断と、クライアントの主観的体験への共感。その両方のバランスを保つことが、支援者としての誠実な在り方だと考えています。

とはいえ、「体感としての不調」は決して無視されるべきではありません。たとえば、「ワクチンを打った人と一緒にいると、なぜか具合が悪くなる」と感じる方がいるのも事実です。このような症状は、感覚過敏や神経系の過活動、自律神経のアンバランス(特に交感神経優位)、過去のトラウマ反応の再活性化といった、神経生理的・心理的な理由で説明できる可能性もあります。

だからこそ、支援者の立場として大切なのは、「あなたの症状は確かに現実のものです。ただ、その原因が“シェディング”によるものかどうかは、慎重に一緒に見ていきましょう」という、中立的かつ誠実な姿勢です。

誤情報に巻き込まれず、体と真摯に向き合いながら、一人ひとりの不調に対して的確に寄り添っていく。こうした態度こそが、今の時代に求められるセラピストや支援者の在り方だと私は考えています。

■汗で出るのはたった0.02%?それでも意味がある理由「汗をかいても、毒素は出ていかない」「汗によるデトックスなんて、科学的根拠がない」そんなふうに断言されているのを、見たことがあるかもしれません。実際、ナショナルジオグラフィックの記事(2...
11/07/2025

■汗で出るのはたった0.02%?それでも意味がある理由

「汗をかいても、毒素は出ていかない」
「汗によるデトックスなんて、科学的根拠がない」
そんなふうに断言されているのを、見たことがあるかもしれません。

実際、ナショナルジオグラフィックの記事(2018年4月)でも、こう書かれています。
「普段の食生活で体内に取り込む汚染物質のうち、汗で出る量は0.02%に過ぎません」
https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/18/041200164/?P=2

確かにこの数字を見ると、こう思ってしまいますよね。「たった0.02%しか出ないなら、汗でデトックスなんて無意味なんじゃないか?」でも本当にそうでしょうか?

今日は、この「0.02%」という数字が持つ意味を、もう少し深く見つめ直してみたいと思います。まず、この0.02%という数字は、体に入ってくる全体の化学物質のうち、汗から出ていく割合がごくわずかであるという、「平均的な統計データ」をもとにしたものです。

これは「量」に注目したデータであり、そこにはとても重要な前提があります。それは、「すべての毒素が同じように排出されるわけではない」という事実です。私たちの体の中には、尿から出やすい毒素もあれば、便で出やすいもの、胆汁で処理されるもの、そして汗や皮脂を通じてしか出ていかない可能性のあるものもあるんです。

たとえば、BPA、フタル酸エステル、PBDE(難燃剤)、重金属の一部。これらは脂溶性の性質を持ち、体脂肪や細胞膜、さらには脳にまで蓄積しやすい物質です。こうした物質の中には、尿や血液にはほとんど出てこないのに、汗からは明確に検出されるという研究結果もあります。つまり、「汗でしか出てこない毒素」がある、ということ。

この視点に立てば、「全体のうちの0.02%だから意味がない」とは、単純に言えなくなってきます。私たちの体に影響を与えるのは、「量」だけではありません。ごく微量でも、ホルモンのように働く環境毒素や、中枢神経に作用する脂溶性物質など、「質」や「蓄積部位」によっては、少しでも出せることに大きな意味があるのです。たとえ0.02%しか排出できないとしても、そのルートが唯一の出口になる毒素があるなら、それはとても大切な排出経路になるんです。

もちろん、汗だけで解毒できるとは言いません。汗は、肝臓や腎臓、胆汁、腸などの排出機能と連携して働く「補助的でサポート的なルート」です。

でも、現代人のように多くの脂溶性毒素を抱え、しかも代謝が低下していたり、排出ルートが渋滞していたりする状態では、汗腺や皮脂腺という“別の出口”が開いていることは、とても意味のあることなんです。だからこそ、私たちは「0.02%しか出ない」ではなく、「その0.02%がどんな毒素に関係しているのか」「どんな人にとって、その排出ルートが重要になりうるのか」という、もっと丁寧な視点で考える必要があります。

毒素の排出とは、単なる「排水作業」ではありません。それは、自分の体を守るための細やかな出口の管理であり、ときには微細なルートが、自律神経やホルモン、免疫の安定にまで関わってくることもあるのです。

まとめます。

「汗で出る毒素は0.02%にすぎない」というデータは、事実として大切な情報です。でも、それを根拠に「汗は意味がない」と結論づけてしまうのは、毒素の種類、排出の多様性、そして個人差という重要な視点を見落としてしまうことにもなりかねません。

ヨガやサウナなどで汗をかくことには、体の毒素を排出するデトックス効果がある、と耳にすることも多い。しかし最新の研究によると、それは「都市伝説」だという。

03/07/2025

■メチル葉酸に過敏な人 ~ 葉酸不耐症と高メチル化

前回まで5回にわたってお伝えしてきた内容では、非活性型の葉酸であるフォーリックアシッドよりも、活性型のメチル葉酸、あるいは準活性型のフォリン酸を選ぶ方が望ましいという点を中心にご説明しました。

しかし実際には、メチル葉酸に過敏な体質の方もおられ、摂取によって体調が悪化してしまうケースがあります。今回は、そうした「メチル葉酸に過敏な人」について解説します。

メチル葉酸は、体内で「メチル化」と呼ばれる重要な化学反応を一気に活性化させる力を持っています。そして、メチル化が促進されることで、セロトニン、ドーパミン、ノルアドレナリンといった神経伝達物質や、コルチゾールやエストロゲンなどのホルモンが急激に変動することがあります。

人によってはこうした急激な変化に体がうまく適応できず様々な不調を引き起こすことがあります。このようにメチル葉酸に過敏な体質の人は、分子栄養学の分野では「葉酸不耐症」と呼ばれています。

例えば、葉酸不耐症の症状にはこのようなものがあります

・不安感やパニック感
・頭が冴えすぎて眠れない
・情緒不安定
・動悸や過呼吸感
・逆に強い脱力感や眠気

こうした症状は、多めのメチル葉酸をいきなり摂取した時に起こりやすくなります。そのため、メチル葉酸は少量から始めて、段階的に増やしていくことが重要です。例えば2錠必要な人だったら最初の1~2週間は1錠、それで悪化しなかったら2錠に増やしてみるのです。

また、「頭が冴えすぎて眠れない」といった症状を防ぐためには、メチル葉酸を午前中だけ摂取し、午後以降は控えるといった工夫も有効です。

さらに慎重に対応したい場合は、最初にフォリン酸を使う方法もあります。フォリン酸は準活性型の葉酸で、メチル葉酸のように神経系を急激に刺激しにくく、代謝も比較的穏やかに進むため、副作用が出にくいとされています。葉酸不耐症の人にとっては特に受け入れやすい形態です。まずはフォリン酸を使って様子を見て、不調が出なければ、少量のメチル葉酸に移行するというステップがより安全で効果的です。

メチル葉酸を安全に活用するには、このように段階的に導入していく配慮が必要ですが、もう一つ重要な視点があります。それは、メチル化の状態は一様ではなく、全身的には低メチル化になっていても一部の領域では高メチル化になっている」というケースが少なくないからです。

高メチル化とは、DNA上の特定の遺伝子に過剰にメチル基が付加され、その遺伝子のスイッチが強くオフにされてしまう状態を指します。この結果、その遺伝子が本来持っている機能――たとえば細胞の増殖、修復、炎症の調整など――が過度に抑えられてしまいます。特に、異常に増殖したり炎症を起こしたりしている細胞に対しては、その過剰な活動を抑えるために局所的な高メチル化が防御的に起こることがあります。

つまり、高メチル化とは「異常細胞の暴走を止めるために、遺伝子の働きを沈黙させる」という、生体の制御反応の一つなのです。

たとえば、全体的に低メチル化になっていると、細胞の修復や分化がうまくいかず、未熟で質の低い細胞が過剰に生まれるようになります。これらの異常細胞は活性酸素を多く生み出し、慢性的な炎症を引き起こします。

すると、身体はこの炎症や酸化ストレスを抑えるために、防御的に「局所的な高メチル化」を起こし、一部の遺伝子のスイッチをオフにして細胞の活動を制限しようとします。

ところが、この局所的な高メチル化が過剰に進むと、がん抑制遺伝子や、脳を発達させるBDNF遺伝子、免疫の過剰反応を抑えるIL-10遺伝子など、重要な遺伝子のスイッチがオフになってしまい、その働きが沈黙してしまいます。これにより、がん、精神疾患、自己免疫疾患などのリスクが高まるおそれがあります。

このような背景から、すでに一部が高メチル化に傾いている状態でメチル葉酸やメチルコバラミンを補給すると、高メチル化がさらに進み健康を損なう事もあります。

したがって、高メチル化タイプの人には、最初からメチル葉酸やメチルコバラミンなどのメチル化促進サプリメントは使用せず、まずはナイアシンアミド、ビタミンC、クルクミン、マグネシウム、NACなどを中心に、炎症や酸化ストレスを抑える栄養素や神経保護のサプリメントから始めるのが適切です。

特にナイアシンアミドは、神経を落ち着け、代謝を整え、メチル化の暴走を抑える「万能な補助役」として非常に有効です。メチル葉酸で不調を起こしやすい人ほど、この土台づくりの段階でナイアシンアミドが大きな助けになります。

こうして炎症や酸化ストレスを十分に抑え、局所的な高メチル化が落ち着いてきた段階で、あらためて低メチル化への対策を進めていきます。このときも、いきなりメチル葉酸やメチルコバラミンを使うのではなく、まずはフォリン酸やヒドロキソコバラミンといった、メチル化されていないフォームの葉酸やビタミンB12から試してみるのがより安全です。

それらで問題がないことを確認した上で、少量のメチルコバラミン、そしてメチル葉酸へと段階的に進めていくと、より安全で効果的にメチル化の改善を図ることができます。

ちなみに、シーキングヘルス社のビタミンB群のサプリメントには、葉酸とビタミンB12を含まない「Bマイナス」、メチル基を含まないフォリン酸とヒドロキソコバラミンが入っているメチルフリーの「BコンプレックスMF」、それからメチル葉酸とメチルコバラミンが入っている「Bコンプレックスプラス」という商品があります。

高メチル化の人には葉酸とビタミンB12を含まない「Bマイナス」が最適で、高メチル化が収まってきた人にはメチルフリーの「BコンプレックスMF」が最適です。そして、「BコンプレックスMF」をしばらく使っても葉酸不耐症の症状がでないならメチル葉酸とメチルコバラミンが入っている「Bコンプレックスプラス」に切り替えるという使い分けをすると良いかもしれません。

29/06/2025

■「葉酸トラップ」とは何か?

メチル葉酸はメチオニンシンターゼとう酵素の働きによってビタミンB12にメチル基を渡します。このとき、ビタミンB12は活性型のメチルコバラミンとなり、ホモシステインをメチオニンに変換するために使われます。ホモシステインの代謝は、体内のメチル化反応にとって極めて重要なプロセスであり、ここが滞るとDNA修復や神経伝達物質の合成など、生命維持に不可欠なメチル化反応が抑制されてしまいます。

一方、メチル基を渡し終えたメチル葉酸は、テトラヒドロ葉酸に戻ります。さらに、テトラヒドロ葉酸はSHMTという酵素の働きによって5,10-メチレンテトラヒドロ葉酸へと変換され、さらにMTHFRという酵素の働きによって再びメチル葉酸に戻ります。このように、葉酸は体内で「メチル葉酸 → テトラヒドロ葉酸 → 5,10-メチレンTHF → メチル葉酸」と、ぐるぐると循環しながら、メチル化反応とDNA合成の両方に貢献しています。

ところがビタミンB12が不足していると、このメチル基の受け渡しが滞り、メチル葉酸はテトラヒドロ葉酸に変換されず、そのまま体内に蓄積してしまいます。この状態が「葉酸トラップ」と呼ばれます。

葉酸トラップとは、メチル葉酸が体内に存在しているのにそれを使えなくなっているだけでなく、葉酸代謝の循環全体が滞ってしまう状態です。そのため、「単なる葉酸不足」とは異なり、代謝的な行き詰まりによってより深刻な症状を引き起こすことがあります。特に細胞分裂の活発な骨髄や消化管の上皮、胎児の神経管では影響が顕著で、巨赤芽球性貧血や胎児の発育障害(神経管閉鎖障害など)のリスクが高まります。

また、ビタミンB12が不足していなくても、メチオニンシンターゼの働きが弱まっていると、やはり葉酸トラップと似たような状態が起こります。その原因には、亜鉛不足、鉛や水銀といった重金属の蓄積、活性酸素の増加、アセトアルデヒド、そして炎症性サイトカインのひとつであるTNF-αなどが挙げられます。こうしたメチオニンシンターゼの働きが抑えられることで起こる葉酸トラップを、「機能的葉酸トラップ」と呼びます。

こうした状態を予防・改善するには、ビタミンB12の適切な補給が有効です。通常はメチルコバラミンが用いられますが、メチル基が含まれているサプリメントに過敏な人には、ヒドロキソコバラミンが選ばれることもあります。

また、ビタミンB12が不足する理由についても考慮が必要です。ビタミンB12は動物性食品にしか含まれていないため、ビーガンやベジタリアン、あるいはそれに近い食事をしている人では摂取不足が起こりがちです。さらに、ビタミンB12の吸収には胃酸と「内因子」と呼ばれる胃から分泌されるタンパク質が必要なため、胃酸を抑える薬を飲んでいる人や、胃を部分的または全摘した人では吸収障害が生じます。加えて、ビタミンB12は酸化ストレスに非常に弱いため、抗酸化サプリメントの併用が必要となる場合もあります。

このように、ビタミンB12を適切に補給し、葉酸サイクルを再始動させることで、DNA合成や細胞分裂、神経伝達物質の合成など、生命維持に不可欠な生体プロセスが正常に機能するようになります。

26/06/2025

■推奨されるのはなぜ「メチル葉酸」ではなく「フォーリックアシッド」なのか?
― 公衆衛生と個人の視点のはざまで ―

前回は、未代謝フォーリックアシッドが脳や免疫にどんな影響を及ぼすかをお話ししました。では、なぜそのようなリスクがあるにもかかわらず、日本の厚生労働省は「フォーリックアシッドの摂取」を推奨しているのでしょうか?今回はその背景と理由を、公衆衛生と個人の視点の両面から見ていきたいと思います。

厚生労働省は妊娠を希望している人や妊娠の可能性がある女性に対して推奨しているのはメチル葉酸ではなくフォリックアシッドです。妊娠初期の神経管閉鎖障害予防のために食事から摂取する葉酸に加えて1日400マイクログラムのフォリックアシッドを摂取する事を推奨しています。

でもなぜメチル葉酸ではなくフォリックアシッドなのでしょう? その理由は、フォーリックアシッドが加工や保存に強く、安価で大量生産が可能であることに加え、公衆衛生の観点から、社会全体としての神経管閉鎖障害の発生率を確実に下げるという強固なエビデンスがあることが挙げられます。
妊娠初期には、ある程度のテトラヒドロ葉酸があれば、神経管の形成に必要なヌクレオチド合成がなんとか間に合うため、たとえ活性型に変換されにくいフォーリックアシッドであっても、一定の予防効果が期待できると考えられています。

このような推奨は個人の体質や遺伝的背景に合わせた最適化ではなく、「できるだけ多くの人に、簡単で確実な方法を届けて、社会全体のリスクを減らす」という、いわゆる公衆衛生的判断に基づいています。

しかし一方で、個人の視点に立てば、この“一律の推奨”は必ずしも最適とは限りません。個人の体質や遺伝的特性を考慮した場合には、フォーリックアシッドではなく、メチル葉酸を選ぶほうが望ましいケースもあります。特に、DHFRやMTHFRなどの葉酸代謝酵素に遺伝的な多型がある人では、メチル葉酸の使用がより安全で効果的です。

実際、MTHFR遺伝子に多型がある場合、フォーリックアシッドを摂取してもメチル葉酸への変換がうまく行われず、さらに未代謝のフォーリックアシッドが体内に蓄積することで、本来働くべきメチル葉酸の作用を妨げてしまう可能性があります。その結果、メチル化反応が適切に行われず、DNAの合成や修復が乱れるリスクが生じます。こうした代謝異常は、胎児の発達過程において細胞分裂や分化のプロセスを不完全にし、先天的な異常や発達障害、さらには将来的な健康リスクの増加につながることが懸念されます。

こうして見てくると、「フォーリックアシッドか、メチル葉酸か?」という問いは、単なる栄養成分の違いではなく、「社会全体の安全を守るための一律な推奨」と、「一人ひとりの体に本当に合った選択」とのバランスをどうとるか、という問いでもあることがわかります。一律のガイドラインが果たす役割は非常に重要です。ですがそれと同時に、自分の体質や遺伝的背景、現在の体調に応じて、“自分にとって最適な葉酸のかたち”を選ぶ視点もまた、今後ますます求められるでしょう。

21/06/2025

■未代謝フォーリックアシッドが脳と免疫に与える静かな影響

前回の話では、葉酸にはいくつかの種類があり、特にメチル葉酸(5-MTHF)が体にとって使いやすい形であること、そして、MTHFR遺伝子の働きが人によって異なるため、フォーリックアシッドをうまく代謝できない人が意外と多いということをお伝えしました。今回はその続きとして、代謝されずに体内に残った“未代謝フォーリックアシッド”が、私たちの脳や免疫にどんな影響を与えているのかについてお話ししていきます。

フォーリックアシッドは、体にとってすぐには使えない「合成型の葉酸」です。そのため、体内で活性型の葉酸に変換される必要があります。この変換を担う最初の酵素がDHFR(ジヒドロ葉酸還元酵素)ですが、ヒトのDHFRは代謝速度が非常に遅く、大量のフォーリックアシッドを処理できません。

具体的には、1日あたり200マイクログラム程度までは処理できるとされますが、それを超えると代謝が追いつかず、未代謝のフォーリックアシッド(UMFA)が血中にあふれてしまいます。日本では妊娠を希望する人に400マイクログラムの摂取が推奨されており、市販の葉酸サプリもそれに準じた量が配合されています。これはすでに処理能力を超えている可能性があります。

さらにDHFRの働き具体には個人差もあります。特に、このDHFRには「19-bp欠失多型」と呼ばれる遺伝子多型が存在し、酵素活性に影響を与えます。この変異をホモ接合で持つ人では酵素の働きが20〜50%に、ヘテロ接合では約70%に低下することが報告されており、一般集団ではホモ接合体が人口の約23.2%、ヘテロ接合体が人口の約45%と、決して少なくない割合です。

こうした理由から、サプリメントとしてフォリックアシッドを摂取すると、代謝されない未代謝のフォリックアシッドが血液中に蓄積します。未代謝の葉酸が体内にあふれると、本来葉酸を利用するために働く「葉酸結合タンパク質」や「トランスポーター(細胞内への取り込み口)」、「葉酸を使って反応を進める酵素」などに強く結合し、使える形の葉酸であるメチル葉酸が使われにくくなります。その結果、葉酸自体は十分に存在しているのに葉酸が使えない“機能的葉酸欠乏”と呼ばれる状態に陥ってしまうのです。

特に深刻なのは、脳への影響です。葉酸は、まず小腸で吸収されて血液に入り、そこから脳脊髄液を経て、やっと脳の中に届きます。メチル葉酸はこのルートをスムーズに通過して、脳までしっかり届きます。ところがフォーリックアシッドは、脳に葉酸を届ける受容体にほとんど認識されません。そのため、脳の中にはほとんど届かないのです。

しかも、血中のフォーリックアシッド濃度が高いと、葉酸受容体をフォーリックアシッドが占拠し、メチル葉酸が脳脊髄液に入れなくなってしまうことです(競合阻害)。その結果、脳脊髄液には使えないフォーリックアシッドばかりが溜まり、必要なメチル葉酸が入れなくなってしまいます。しかも、いったん脳脊髄液に入ってしまったフォーリックアシッドは排出されにくく、その濃度を下げるのは非常に困難です。こうして、脳にとって必要な葉酸供給が慢性的に妨げられ、葉酸の“枯渇状態”が起きてしまう可能性があるのです。

脳は、経験や学習、損傷などに応じて、新しい神経回路を作ったり、壊れた部分を補ったりする「可塑性(plasticity)」という性質を持っています。この可塑性を支えているのが、遺伝子発現や神経ネットワークの再構築を調整する「メチル化」**の働きです。そしてそのメチル化に不可欠なのが、メチル葉酸です。そのため、脳内に十分なメチル葉酸が届かないと、脳の可塑性が低下し、学習・回復・適応の力が損なわれる恐れがあります。

そしてもう一つ。免疫機能への影響も見逃せません。最近の研究では、未代謝のフォーリックアシッドが多いと、ナチュラルキラー細胞(NK細胞)の働きが落ちることが分かってきました。NK細胞は、感染症やがん細胞から体を守る、重要な免疫細胞です。それがうまく働かなくなるというのは、非常に深刻な問題です。つまり、フォーリックアシッドを過剰に摂ることは、脳にも、免疫にも、リスクをもたらすのです。

住所

中町1丁目15-7 松田ハイツ303号
Machida, Tokyo
194-0022

営業時間

月曜日 10:00 - 21:00
火曜日 10:00 - 21:00
水曜日 10:00 - 21:00
木曜日 10:00 - 21:00
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