大浜第一病院 代謝外科センター(高度肥満・糖尿病の外科治療)

大浜第一病院 代謝外科センター(高度肥満・糖尿病の外科治療) 高度肥満や糖尿病などの代謝疾患に対する外科治療を専門的に行うセンターです。スリーブ状胃切除術、胃バイパス、スリーブバイパスに加え、スリーブ手術後の難治性逆流性食道炎や減量不良の修正手術も対応可能です。

肥満手術(ガストリックバイパス、スリーブ状胃切除)、減量手術、胆嚢手術、鼠径ヘルニア、腹壁ヘルニア、胃がん、胃粘膜下腫瘍(GIST), 逆流性食道炎、大腸がんなどの腹部外科全般で質の高い腹腔鏡手術を行っています。

遅ればせながら「インスタグラム」始めました1年365日高度肥満の診療に明け暮れる日々が続いていますが、最近、GLP-1受容体作動薬の乱用が目に余るようになってきていると感じます。内服のセマグルチドである「リベルサス」や注射薬であるチルゼパチ...
29/06/2025

遅ればせながら「インスタグラム」始めました
1年365日高度肥満の診療に明け暮れる日々が続いていますが、最近、GLP-1受容体作動薬の乱用が目に余るようになってきていると感じます。内服のセマグルチドである「リベルサス」や注射薬であるチルゼパチド「マンジャロ」を乱用しているケースの多さに心を痛めています。確かに、GLP-1受容体作動薬であるセマグルチドSemaglutide(オゼンピック、リベルサス)、チルゼパチドTirzepatide (マンジャロ)は、副作用も極めて少なく体重を落としてくれる画期的な薬であることは間違い無いと思います。一方、本来、糖尿病薬として認可されている背景がありますが、美容を目的としたいわゆる「ダイエット」目的で「お気軽」に自費診療をやっているのが多い印象です。若い女性が、診察も受けずに1本15,000円、で薬価の3倍以上で糖尿病薬であるチルゼパチド(マ〇ジャロ)を購入していると聞いて唖然としています。ある女性は未だにローンを払い続けているとのことでした・・・薬剤には光と影があります。光が強ければ強いほど、その影は強なります。若い人はFacebookは見ないらしいですね。ですので、私が正しいと信じる情報を少しでも発信して彷徨えるひとの道標になってくれたらと思って公式のインスタグラムを始めることにしました。
https://www.instagram.com/bariatric_pro_ohama?igsh=MWViZW9pbHA5ZnZ3dg==&utm_source=ig_contact_invite

明日への架け橋・・ブリッジ手術高度肥満症は通常2つの大きな問題を抱えています。1つは、脂肪組織の過剰な蓄積により心身に大きな負担がかかること、そしてもう一つは体の中の化学反応の連鎖、つまり、「代謝」異常を来すことです。つまり、「量の異常」と...
11/04/2025

明日への架け橋・・ブリッジ手術
高度肥満症は通常2つの大きな問題を抱えています。1つは、脂肪組織の過剰な蓄積により心身に大きな負担がかかること、そしてもう一つは体の中の化学反応の連鎖、つまり、「代謝」異常を来すことです。つまり、「量の異常」と「質の異常」がセットで起こってしまいます。ですのでこの2つの異常を同時に改善させる目的の外科治療に対して「減量・代謝改善手術」と命名されました。この2つの目的を1つの手術で達成できるのですからまさに「一石二鳥」の治療と言っていいかと思います。
 近年、この2つの目的意外の応用として、"Bridge Surgery",ブリッジ手術という概念が注目を集めています。ブリッジというのはご存じのように「橋」ですね。川の向こうの岸辺に橋を架ける訳ですが何のための架け橋なのでしょうか? それは、もう一つの手術への架け橋です。えっ!?、嫌だ、手術を受けるための手術、ということは、1回でもいやなのに2回も手術を??ということになりますよね。全くありがたみがありません。ではなぜ注目されているのでしょうか?
 高度肥満患者さんの手術は麻酔も手術もかなり難しく危険性が増大します。短期的にも長期的にもかなり不利になります。ですので、まず、スリーブ状胃切除などの減量代謝改善手術で、劇的に体重を落とし、糖尿病や心不全、呼吸不全、慢性炎症などを良くして体内環境を改善させてから、本来の目的の手術(primary surgery)を行うというものです。高度肥満のあるまま、手術を行わなければならない場面はあります・・ですが、そのような状態では手術の合併症のリスクがかなり増えてしまうことが分かっています。実際、30年以上も外科医療に携わってきていますが、本当に ひどい目にあった患者さんを、本当に残念ですが、多くみてきています。このようなリスクを回避するために、もし待てるのなら、先に急速な減量を行った後に、主目的の手術が安全で効果的になるようにバトンタッチをすることがいいと考え、実践してきました。その後、世界的にこの方法がブリッジ手術として広まってきています。
 昨日から宮城県仙台市において「第125回日本外科学会定期学術集会」が開催されております。明日、4月12日(土)のワークショップでブリッジ手術について私たちのセンターでこれまで行ってきたブリッジ手術の安全性と効果、世界の潮流について発表する機会をいただいております。減量代謝改善の第3の目的が安全にこの国に普及するよう提言を行いたいと思っています。(大浜第一病院 代謝外科センター 稲嶺進)

Best loser 2023スリーブ状胃切除では概して25%前後の減量(胃バイパス術では30%超)が得られることが知られていますが、時々もの凄く減量が得られる方がいらっしゃいます。2024年の方はまだ1年経過していませんので全員が1年以上...
01/04/2025

Best loser 2023
スリーブ状胃切除では概して25%前後の減量(胃バイパス術では30%超)が得られることが知られていますが、時々もの凄く減量が得られる方がいらっしゃいます。2024年の方はまだ1年経過していませんので全員が1年以上経過した2023年のbest loser、つまり最も体重を落としてくれた方のデータの一部を共有します。体重減少には実際の「減少体重kg」、や体重の何%が落ちたのかを示す「総体重減少率%TWL」、理想体重から超過した体重の何%が落ちたかを示す「超過体重減少率%EWL」などの指標がありますが、これらの3つの指標のうちで最も公平性が高くよく用いられるのが総体重減少率 persentage total wight loss(%TWL)です。今回は %TWLが最も高かったケースをお示しいたします。術後1年6ヵ月まで減量が進み、77kg減、総体重減少率58%、超過体重減少率108%と素晴らしい経過でした。
 CTで測定した内臓脂肪(正常は100未満)は249から36と完全に正常化しました。またCTで測定した肝臓の体積の測定では脂肪肝に関連した肝臓の膨張は2900から1400まで低下しました。つまり1500mlの中性脂肪が肝臓から抜けたと解釈できます。
 皮下脂肪は「第1の脂肪」、内臓脂肪は「第2の脂肪」、肝の脂肪などは「第3の脂肪」などと呼ばれます。第1の脂肪、つまり皮下脂肪はそれほど健康障害をもたらしません。むしろ、皮下脂肪が少ないほど、糖や脂質に関連した健康障害が強く出るという意外な事実があります。皮下脂肪は実はいい脂肪なのです。第2の脂肪は健康によくありません。少ない方がいいです。内臓脂肪も皮下脂肪と同じく「脂肪細胞」という脂肪をためる「専門の」細胞の中に脂肪が貯溜しています。内臓脂肪細胞が貯めた脂肪で膨張すると、様々な健康障害をもたらす生理活性物質を放出することが知られています。それらが内臓脂肪だけでなく全身の炎症を惹起してしまいます。脂肪細胞はただの貯蔵庫ではないのです。脂肪肝は肝細胞の中に脂肪が貯溜してきます。本来脂肪を貯める目的ではない細胞に脂肪が蓄積するので、これはかなりヤバイです。異所性脂肪、つまり第3の脂肪は第2の脂肪よりもタチが悪いと思っていいでしょう。実際脂肪肝は肝細胞の障害を来して、肝炎や肝硬変、肝細胞癌の原因となることが知られています。
 減量代謝改善手術を行う治療医は漠然と体重が減るのをみているのではなく、脂肪の部位の違いの程度などを詳細に分析し、その背後にある主戦場である「代謝改善」を目指しているのです。(大浜第一病院代謝外科センター 稲嶺進)

干支とスリーブ状胃切除後の体重減少率の検証(^^ゞ スリーブ状胃切除後やルーワイ胃バイパス術などのいわゆる減量代謝改善手術を行った後の体重減少率は個々の患者さんによって大きく異なりますが、その原因は十分明らかにされておりません。私たちのセン...
31/03/2025

干支とスリーブ状胃切除後の体重減少率の検証(^^ゞ
 スリーブ状胃切除後やルーワイ胃バイパス術などのいわゆる減量代謝改善手術を行った後の体重減少率は個々の患者さんによって大きく異なりますが、その原因は十分明らかにされておりません。私たちのセンターにおいても、様々なデータを分析し「科学的手法に基づいて」探索的な研究を行っています。代謝外科センターのスタッフがせっせとデータベースに入力してくれたデータのうち科学的研究の対象として馬鹿馬鹿しい?とされているもの、今回は「干支」も検証してみました(笑)。前回は血液型を検証しましたが、血液型はいろいろな身体的な違いがあることがわかっていますのでまだ真面目な研究ですが今回は・・・。
 まず、干支別、減量手術を受けた患者さんの数を調べてみました。日本の干支別人口はそれほど極端な分布はないようですが、大浜第一病院代謝外科センターで手術を受けた患者さんは「とら」が突出していました😀寅年といえば徳川家康公ですね。やはり手術も恐れない強者が多いのでしょうか?!因みに最も少ないのは「とり」でした。鳥は体重が軽くないと空を飛べませんのでそもそも体重が軽い人が多いのでしょうか?😅 まあ、これは科学的手続きでの検証はできませんね・・。
 次に、干支別の体重減少率を検証してみました。優勝は「うさぎ」さんで、28.6%の減量を達成していました。おめでとうございます! 一方最も減量が少なかったのは「おさるさん」で21.2%に留まっており7.4%もの差がありました。お猿さんはバナナを食べ過ぎたのでしょうか?? さて、うさぎさんとおさるさんの体重減少率に科学的に有意な差は認められるのでしょうか? マンホイットニーU検定という手法を用いた手続きで解析をしますと、なんと、統計学的有意差(p

Over the Hill ?外科医として歩み始めて35年が経過した。スタートは大学病院の心臓血管外科教室であったが、気がつけば高度肥満症の外科治療にとりつかれ20年以上が経過した。当然のことながら、生き続けていればいつかは来てしまうと思っ...
30/03/2025

Over the Hill ?
外科医として歩み始めて35年が経過した。スタートは大学病院の心臓血管外科教室であったが、気がつけば高度肥満症の外科治療にとりつかれ20年以上が経過した。当然のことながら、生き続けていればいつかは来てしまうと思っていた「還暦」というものを無事?通過した。若い時からの疑問は「いったい、いつまで外科医として生き続けられるのか?」、「外科医のピークは何歳なのか?」というものだった。15年ほど前にIRCAD(イルカド)という台湾にある内視鏡外科のトレーニングセンターを受講したときに夜の懇親会で、世界的に有名なベルギーのドクターに、外科医は何歳がピークかと聞いたら、55歳と言われた。そのときはなんとなくそうなのか・・と思った。実際、歳を重ねていき今が丘の一番高いところなのか、もう下りに入ったのかを常々自問自答していた。当然、ピークを過ぎて手術をふくめた臨床判断の切れ味が落ちたらさっさとメスをおいて一線から退こうと覚悟を決めていた。55歳を過ぎたときもピークを過ぎているという実感はなかった。そして 60歳を通過しても衰えている実感はない(本当なのか?)。客観的なデータとして、手術時間や出血量、術後の合併症、その他の変化はない。手術のビデオを第三者の厳しい目で見ても意図しないエラーはないように見える。むしろ、手術操作の流れに角がなく気負いもなく何かを悟ったようにも見える・・。手術ビデオも以前は編集をしなければ、人様に見てもらうだけでなく自分で見るのも辛かったが、今は、編集は不要でそのままどの部分でも早送りして第三者にランダムに視ていただくことに問題がないように思える。大雑把にいえば、あくまでも主観的ではあるが、盛りを過ぎたのではなく見えない壁を突破して悟りの境地に達した印象だ。若い時は手術の後、体のあちこちが痛かったが、年をとった今は逆に筋肉や関節、指などが痛くなることはほとんど無い。視力や筋力など身体機能は確実に劣化しているはず(自覚あり)だが何か別の力を得た感じがする。ブルース・リー主演の映画、ドラゴンへの道で" Don't think , Feeeeeeel !" という有名なセリフがあるが、ここ数年、手術中はfeelの割合が多くを占めている感じがする。
 とはいえ、ある日突然、受け入れがたい劣化は訪れる可能性があるので、理想の手術が出来なくなった時点でいつでもメスを置く覚悟は出来ているつもりだ。
 高校生の時、生きづらさを感じていたときに、英語の教科書に載っていた詩の「小さな命から痛みをとってあげることができれば無駄に生きたことにはならない」という、極めてシンプルなメッセージが刺さり、医療の道へ進むきっかけになった。限界集落の貧しい家庭に生まれ、学力もなく、指も短くコンプレックスだらけだったが、運良く外科医になることができて、多くの素晴らしい人に支え育てられてこの年までこの仕事を続けることが出来たことは感謝しかありません。(大浜第一病院代謝外科センター 稲嶺進)

血液型で体重減少は違う?日本人は血液型占いでよく盛り上がりますよね(^^;) 各血液型の性格や適正職業などは大体コンセンサスが得られているのではないでしょうか?血液型による性格については科学的には証明されていないらしいですが、やっぱり、だよ...
29/03/2025

血液型で体重減少は違う?
日本人は血液型占いでよく盛り上がりますよね(^^;) 各血液型の性格や適正職業などは大体コンセンサスが得られているのではないでしょうか?血液型による性格については科学的には証明されていないらしいですが、やっぱり、だよね〜、ということはよくあるかと思います(^_^)。
 ということで、私たちのセンターでスリーブ状胃切除術を受けた患者さんの手術から1年後の体重減少率が血液型によって違いがあるかということを検証しました。(ちょっと古いデータですが・・)
 まず、日本人の血液型のおおよその割合はA:B:O:AB=4:3:2:1と言われているかと思いますが、沖縄県は本土から地理的にかなり離れていますが血液型分布は大体それに近いようですね。大浜第一病院で減量手術を受けた患者さんの各血液型の割合も大体一緒で、特定の血液型の患者さんが多いということはありませんでした。因みにですが、南米の元々の方は全員O型でゴリラは全員B型という都市伝説があります。
 で、本題の体重減少率ですが、B型の優勝!で、最下位はO型でした(^^;) やはりそうか!と思った方もいらっしゃるかもしれません?。中央値でB型25.4%、O型22.9%、平均値でB型25.3%、O型23.6%とどちらでも約2ポイントの差でした。O型の皆さん、安心してください、この2ポイントは、統計学的有意差はなく、「科学的には差があるとはいえない」、という結論になります。でも、数が増えると統計学的有意差が出てしまうことが多いので数が増えたらもしかしたら科学的に太鼓判が押されてしまうかもしれません(^^ゞ。数が増えたらまた解析してみたいと思います。(大浜第一病院代謝外科センター 稲嶺進)

スリーブ状胃切除後の体重減少は如何ほどに?減量手術を受けられた患者さんは基本的には術後1,3,6,9,12ヵ月目,2年目は3ヵ月毎、3年目以降は6ヵ月毎の通院を標準としています。特に術後1年目は劇的に減量が得られる時期ですのでとても大切です...
29/03/2025

スリーブ状胃切除後の体重減少は如何ほどに?
減量手術を受けられた患者さんは基本的には術後1,3,6,9,12ヵ月目,2年目は3ヵ月毎、3年目以降は6ヵ月毎の通院を標準としています。特に術後1年目は劇的に減量が得られる時期ですのでとても大切です。患者さんからよく受ける質問に、「私の体重はきちんと落ちているでしょうか?」、「次来るまでに何kgになっていたらいいでしょうか?」というものがあります。確かに1人1人の患者さんからすれば、他の方の減量がどれくらいなのか分からないので、1人でマラソンを走っているような感覚でとても不安が強いと思います。
 ではいったいどれだけ体重が落ちたらいいのか?という答えですが、実ははっきり分かっておりません。総体重減少率が20%以上という指標もありますが、すべての人に適用できるかのエビデンスはまだ確立されておりません。でも、大浜第一病院でスリーブ状胃切除を受けた方々がどれくらい体重減少を得られたかというデータはお示し出来ます。データというのは多くの場合正規分布しますのでその山付近の中央値や平均値を示すことが多いですが、平均がすべての人に適応出来るとはかぎりません。ですので、「こちらの病院で手術を受けた方の平均値は体重減少率が〇□%ですので〇〇さんの場合は〇〇Kgに相当します」というようにしています。ただ、すべての人が平均・中央値を通るわけではないので、少し幅を持たせて、上位25%、下位25%を除いた25%〜75%の間(第1四分位点〜第3四分位点)も示していたほうがそれぞれの患者さんの現在位置の把握や目標を立てる際に余計なプレッシャーをかけず柔軟に対応出来るのではないかと思っています。
 つまり、術後1ヵ月では12%減量が平均ですが、半数以上の人が9%〜14%ですのでこの間に入るのが1つの目標です 、などとしています。
 私たちのセンターではできるだけ自前のデータが語る事実に基づいて判断し治療計画を立てるようにしています。精神論では決して高度肥満を治療することは出来ません。確かなのはデータです。二次データは都合のいいように加工可能ですが一次データは真実を語ります。(大浜第一病院 代謝外科センター 稲嶺進)

24時間連続血糖測定のススメ:ダイエットで明らかに効果的なのは糖質摂取の制限であることは異論がないと思われます。誰だって糖質や脂質を含む食品を摂ると幸せな気持ちになりますので、誘惑から逃れるのは困難です・・ダイエットは明日から頑張ろうって、...
18/03/2025

24時間連続血糖測定のススメ:ダイエットで明らかに効果的なのは糖質摂取の制限であることは異論がないと思われます。誰だって糖質や脂質を含む食品を摂ると幸せな気持ちになりますので、誘惑から逃れるのは困難です・・ダイエットは明日から頑張ろうって、宣言しますが、明日は永遠に来ない人が殆どではないでしょうか。高血糖を来す食品が肥満や血管障害に繋がることは分かっていてもなかなかやめられないのが現実ですよね(汗)。スイーツやスナックを目の前にして、ま、これくらいは大丈夫・・きっと・・と気合いと根拠のない信念(僕だけか?)で乗り切っていることが多いのではないでしょうか? 体重を決めるのは血糖上昇だけではありませんが、血糖上昇はインスリンの上昇も来しますので肥満の原因の大きな要素とはなると思いますので、2週間連続でリブレを使って血糖(血液中ではなく間質の血糖)を測定できる機会がありましたのでその結果を共有したいと思います。
 リブレ2は保険適応にもなっている医療器機で糖尿病患者さんなどの血糖を採血なしで連続で計れるデバイスで二の腕などに貼り付けて14日間データをとってスマートフォンなどに送ります。もの凄く細い針はあるのですが痛みや痒みなどはまったく無く24時間勝手に血糖を連続で計ってくれるのでとても便利です。運動してもお風呂に入っても簡単には剥がれません。
 何を食べたらどれくらい血糖値が上がってどれくらい高血糖状態が持続するのかの可視化(見える化)が出来るのでとても面白いです。「小腹が空いて、これくらいは大丈夫でしょ、きっと・・・」と思って、つまんだりすると、無慈悲に血糖がとどまるところを知らないくらい上がるのをみると衝撃を受けます。
 血糖値を可視化することで、食行動の変化が期待できます。実際、僕の場合、恐ろしくて菓子類に手が出なくなってしまいました(苦笑)。
 食行動だけでなく、考え方の変化も起こりました。低血糖になると、手術その他の仕事のパフォーマンスが低下するのではないか、と強迫観念ががありましたが、血糖が比較的低いときの方が、冴えていて仕事がはかどり、逆に血糖が200を超えると頭が全く回らなく気分が悪くなるいことも体験しましたので、仕事前にエネルギーの急速注入はやらないようになりました。糖質の急速注入を行うと反動で数時間後に低血糖になり、冷汗、動機、不安感などが感じられることも分かりました。時々そのような症状が突如現れたりしていたので、男性更年期か!と解釈していましたが単に低血糖だったかもしれません(苦笑)
 もう一つの気づきは野菜を先に摂ると血糖値が上がりにくい、いわゆる「ベジファースト」をこれまで信じておりませんでした。しかし、野菜と一緒に摂ると炭水化物を摂取しても血糖上昇が緩やかになるのを実体験してベジファーストが事実であることを認識出来ました。
 さらにつけ加えますと食後の「高血糖スパイク」は血管を傷つけて様々な健康障害の原因となることが知られていますが、連続血糖測定を行う事で、何をどのように食べれば食後の高血糖スパイクを起こさないかの気づきも得られますので減量目的だけでなく血管保護を目的とした食習慣の改善にも役立ちそうです。このデバイスはいろいろな場面で使えそうですね。テクノロジーの進歩に感謝です。(大浜第一病院・代謝外科センター・稲嶺)

肥満症治療薬ウゴービwegovy発売1年経過:2024年2月22日、わが国で30年ぶりに肥満症治療薬が保険診療で認可されてから1年が経過しました。ご存じの方も多いかとも思いますが、日本名「ウゴービ」ですね。この薬剤は一般名「セマグルチドSe...
06/03/2025

肥満症治療薬ウゴービwegovy発売1年経過:2024年2月22日、わが国で30年ぶりに肥満症治療薬が保険診療で認可されてから1年が経過しました。ご存じの方も多いかとも思いますが、日本名「ウゴービ」ですね。この薬剤は一般名「セマグルチドSemaglutide」というGLP-1(ジーエルピーワン)と呼ばれる小腸から分泌される消化管ホルモンの「そっくりさん」いわゆるアナログになります。ホルモンは細胞にある受容体に結合して様々な生理活性を発現します。ホルモンと受容体(レセプター)の関係は鍵と鍵穴の関係になります。ですので、ウゴービはGLP-1という生体が本来持っている鍵をコピーして工場で大量に作成したものになります。様々な研究で、GLP-1の受容体(鍵穴)はすい臓、肝臓などだけではなく「脳」にも存在することが分かっています。ですので、ウゴービは様々な経路を介して、または直接脳に働きかけて血糖値や食欲、基礎代謝、体重などの調節に介入している可能性があるかと思います。実は本家のGLP-1は胃バイパス術やスリーブ状胃切除術などを行うと小腸のL細胞から大量に分泌されることが古くから知られていました。肥満外科治療後に、「悪い食欲」から開放される不思議な体験をしますが、GLP-1薬を使った患者さんも肥満手術を受けた患者さんと同じような事を言います。「先生、私、一日中食べ物の事ばっかり考えていたんですけど、食べ物の事を考えなくて済む自分が不思議でなりません。今とても楽です」というような言動をしばしば複数の患者さん(特に女性)から聞きます。このような事を聞くと肥満って、やっぱり、自己管理ができなていないとか意志が弱いとか、精神論で語られるものではなく、脳の調節機構に不具合を来している明らかな疾患だということが感じられます。いわゆる「肥満脳obese brain」ですね。肥満脳はいわば「満足出来ない脳症候群」だと思います。自分を破壊すると分かっていても悪い食欲(量の問題ではなく質の問題です)が止められない本当に厄介な病態です。
このような肥満脳の状態をリセットする効果が減量代謝改善手術やセマグルチドなどのGLP-1アナログにはあると思われます。
 減量代謝改善手術(スリーブ状胃切除など)とGLP-1受容体作動薬(ウゴービなど)のどちらも体重に関する恒常性維持機構を正常にリセットする効果がありそうですが、そのメカニズムはまだ十分解明されておりません。どのように使うのがベストなのかはこれからのエビデンスの蓄積で明らかにしていく必要があると思っています。
 私たちの施設においても、2024年2月にウゴービ発売前後から導入の準備をして同年6月から適応のある患者さんにウゴービで治療を行っています。ウゴービは処方開始まで6ヵ月の準備期間、少量から投与開始し最大量まで漸増するのに4ヵ月、その後、維持量で12ヵ月の治療が認められています。ですので、実に20ヵ月(1年10ヵ月)の長旅になります。私たちのセンターは沖縄県で最も早くウゴービ治療を開始した施設でありますが、それでもまだ投与開始から最長9ヵ月です。かなり厳密に症例を選択していることもあり、数も少なく期間も短いですが、ウゴービ解禁1年ということもあり、中間報告的に、現在までの結果を示したいと思います。
 減量代謝改善を受けていない患者さんでは投薬開始から8ヵ月で12%(初診から18%)の体重減少を得ています。過去の論文のデータから時間経過とともに減量は続きますので今後も更なる減量が得られそうです。もう一つは、減量代謝改善手術を受けた患者さんの一部で見られる「不十分な体重減少」、「体重再増加(リバウンド)」に対するGLP-1薬の使用ですが、こちらは投与開始から6ヵ月で10%の減量が得られその後維持することが私たちのデータで明らかになっています。つまり、手術を受けていない患者さんはもちろん、手術をうけたことによる、消化管や生体内の調節機構に変化を来したことがある患者さんにも効果があることが分かりました。手術にあまり反応しなかった患者さんがウゴービでかなり減量出来る場合もあり、どのような患者さんにいつ、どれくらいの期間GLP-1薬を使うのかなど、解決しなければならない問題は山積していますが、ひとつひとつ、「高度肥満症」という難攻不落?の疾患をかに攻略すべきかを考えて行きたいと思います。(大浜第一病院代謝外科センター・稲嶺)

減量代謝改善手術2024:2024年にわが国で行われた減量代謝改善手術(MBS:metabolic and bariatric surgery)の調査結果が公表されましたので共有いたします。2024年は全国で915件が行われ、2年連続で症例...
02/03/2025

減量代謝改善手術2024:2024年にわが国で行われた減量代謝改善手術(MBS:metabolic and bariatric surgery)の調査結果が公表されましたので共有いたします。2024年は全国で915件が行われ、2年連続で症例数が減少しています。様々な原因があると思われますが、COVID-19 の影響が殆どなくなった現状を考えますと、減量を目的としたGLP-1治療薬であるウゴービⓇ(セマグルチド)が2024年2月から使用可能になったことが影響している可能性が高いと思っています。大学病院を含む多くの医療機関では肥満治療の入口は内科治療ですので、外科治療を検討する前にまずは従来の行動療法(食事療法・運動療法)を行い、その後、効果をみてGLP-1薬などの新規治療薬で内科治療を行うということが行われているのではないでしょうか。2025年はさらに減量効果が高いとされているゼップバウンドⓇ(チルゼパチド)が保険診療で使用可能となります。肥満症で苦しんでいる患者さんにとって選択肢が増えるのは喜ばしいことですが、治療手段をどのように使うのがベストなのかが明らかになるのはこれからだと思います。手術とGLP-1薬の使い分け、組み合わせ、治療の順序、などはこれから明らかにしていかなくてはなりません。
 手術にフォーカスすると、2024年6月からスリーブ状胃切除術にバイパス手術を付加する手術(スリーブバイパスなど)が保険適応となったこともあり、スリーブ状胃切除術の割合が90%未満となり、スリーブバイパスが過去最大となりました。2025年も更に手術方法の多様化、バイパス系手術の増加が予測されます。
 大浜第一病院代謝外科センターでもウゴービⓇでの薬物療法とスリーブ状胃切除術、スリーブバイパス術などの外科療法を患者さんの状態に応じて使い分けて治療を行っています。2020年以降はCOVID-19, GLP-1薬等の影響で手術は減少傾向でしたが久しぶりに上昇傾向となりました。スリーブ状胃切除術77例、新規に保険診療となったスリーブバイパス術3例、重症逆流性食道炎等に行う修正手術が11例で統計91例でした。全国で915例ですので、大浜第一病院だけで全国の10%の手術が行われたことになります。
 以上、簡単ではありますが、わが国と大浜第一病院でのトレンドにつきまして報告させていただきました。

減量・代謝改善手術2024:2014年5月に大浜第一病院へ異動し2015肥満外科手術を再開し10年になろうとしています。2024年8月には大浜で修正手術の除く初回の肥満外科手術(スリーブ状胃切除、胃バイパス術、スリーブバイパス術)が500例...
31/12/2024

減量・代謝改善手術2024:2014年5月に大浜第一病院へ異動し2015肥満外科手術を再開し10年になろうとしています。2024年8月には大浜で修正手術の除く初回の肥満外科手術(スリーブ状胃切除、胃バイパス術、スリーブバイパス術)が500例に達しました。最終的に今年は12月まで1で91例、10年で538例の初回手術、修正手術を含めると590になりました。昨日、本年最後の手術患者さんが無事退院され、今年も1例の手術合併症もなく大晦日を迎えられたことが何よりです。無名の小さな民間病院ですがモチベーションの高い優秀なスタッフに恵まれ質の高い高度肥満の外科治療が行えていることに感謝しています。来年もさらなる高みを目指し一人でも多くの人にこの治療を届けることができるよう精進していきたいと思います。深い感謝と共に・・・2024年12月31日

日本肥満症治療学会2024横浜2024年10月19日〜20日にパシフィコ横浜で開催されまし第45回日本肥満学会・第42回日本肥満症治療学会学術集会へ、大浜第一病院から7人(理学療法士の久場、管理栄養士の加島、臨床支援課の根間、山城、金城、そ...
09/11/2024

日本肥満症治療学会2024横浜
2024年10月19日〜20日にパシフィコ横浜で開催されまし第45回日本肥満学会・第42回日本肥満症治療学会学術集会へ、大浜第一病院から7人(理学療法士の久場、管理栄養士の加島、臨床支援課の根間、山城、金城、そして代謝外科センター医長の上里、センター長の稲嶺)で参加してきました。それぞれが1演題の発表をエントリーしていたのですが、稲嶺は一般演題に加え、座長2個、シンポジウム2個、パネルディスカッション1個、そして、今回、減量代謝外科に関わる日本の外科医にとっては最高の栄誉である「川村賞」を受賞することができましたので、その受賞記念講演も含め5つのプレゼンをさせていただける機会を与えていただき本当に充実した2日間でした。スタッフの分も含めて多くの研究をまとめるのは大変な作業ではありましたが、肥満症という難治性の疾患の病態を解き明かし、より良い治療につなげるには日々の治療から得られた知見を科学的に分析していくことが欠かせません。また、全国の多くの施設からの発表も大変勉強になりました。特に、東北大学の先生が発表されていた、スリーブ状胃切除時の迷走神経ブロックはすぐに取り入れました。これまで1000例以上の腹腔鏡下の胃の手術を行ってきましたが、他の胃の手術ではみられないスリーブ状胃切除術に特有の症状、つまり胃の絞られるような強い痛み(スリーブ痛)と強い嘔気が、個人差はあるものの、概して2〜3日間ほど続きます。患者さんを苦しめるそのスリーブ痛は吐き気止めや痛み止めがあまり効かず以前から大きな悩みだったのですが、早速、レシピ通りに迷走神経ブロックをやってみたところ、術後24時間は衝撃的にスリーブ痛や嘔気が全く来ませんでした・・・。患者さんはとても楽そうで、スリーブの大きな悩みが解決しそうでとても嬉しく思いました。ただ24時以降で効果が切れてやはり中等度のスリーブ痛が出現するので、効果を持続させるための工夫が今後の課題だと思っています。

住所

天久1000
Naha-shi, Okinawa
900-0005

電話番号

+81988665171

ウェブサイト

アラート

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