大阪労災病院脳神経外科

大阪労災病院脳神経外科 大阪労災病院脳神経外科のFacebookページです。医学生、研修医、医療関係?

2023年が始まりました。今年もいろいろなことが起こる年になりそうです。いいことも、いや〜なことも。そんな中、当科は今年も今まで通りいい診療を続けていきたいと思います。2023年11月22日はJFK暗殺事件から60年目となります。一方昨年7...
07/01/2023

2023年が始まりました。

今年もいろいろなことが起こる年になりそうです。
いいことも、いや〜なことも。
そんな中、当科は今年も今まで通りいい診療を続けていきたいと思います。

2023年11月22日はJFK暗殺事件から60年目となります。
一方昨年7月8日には日本でSA暗殺事件がおきました。

被害者:J.F.K. - S.A.
実行犯(とされる人物):リー・ハーヴェイ・オズワルド - T.Y.
証拠映像:8ミリフィルム(ザプルーダー・フィルム) - デジタル画像(聴衆が撮影)
医療施設:パークランド記念病院(テキサス州ダラス)- 奈良県立医科大学
司法解剖:シークレットサービス(ベスセダ海軍病院) - 奈良県警(奈良県立医科大学)
銃創から射入方向の解釈:後方から(オズワルドが発見された場所)- 後方から(T.Y.がいた場所)
共通の疑問点:単独犯か?射入方向は本当に後方からか?

どちらの事件も今年新しい事実が明らかにされることになるでしょうか?

臨死体験(2):体外離脱体験と幽霊月刊誌『ムー』はUFO、宇宙人から怪奇現象、超科学までを網羅するオカルト雑誌として有名です。その「世界の謎と不思議に挑戦する」『ムー』が2022年12月号で「怪奇現象の最新脳神経科学」という特集を組みました...
10/12/2022

臨死体験(2):体外離脱体験と幽霊

月刊誌『ムー』はUFO、宇宙人から怪奇現象、超科学までを網羅するオカルト雑誌として有名です。その「世界の謎と不思議に挑戦する」『ムー』が2022年12月号で「怪奇現象の最新脳神経科学」という特集を組みました。駒ヶ嶺朋子著『死の医学』が2022年3月に出版されたことがきっかけになったと思われますが、そこでは「臨死体験」、「体外離脱」、「悪魔憑き」などについて、脳科学の研究成果と結びつけて『ムー』らしく解説しています。

『体外離脱体験』は”Out-of-body” experiences の訳です。以前は「幽体離脱」とも言いましたがスピリチュアルの意味合いが強くなるので科学的意味をもたせる用語としては「体外離脱」が使われます。ジュネーブ大学のオラフ・ブランケOlaf Blankeは「てんかん治療中の患者において、脳の右の角回(angular gyrus)を局所的に電気刺激することにより、この体験を繰り返し誘発した」と報告しました(Nature 2002)。彼は、体外離脱体験は、複雑な体性感覚と前庭情報の脳による統合の失敗を反映しているのではないかと考えています。電気刺激中、患者は意識があり、「ベッドに寝ている自分が上から見える」「体がベッドから2メートルぐらいの高さの天井近くに浮かんでいる」と証言したとのこと。体外離脱体験についての論文が一流科学雑誌Natureに掲載されていたことは驚きです(しかも症例報告です)。

オラフ・ブランケはその後、スイス連邦工科大学ローザンヌ校の教授となっていますが、この分野の研究を続け2014年には「神経とロボット制御による幻視の誘発」”Neurological and robot-controlled induction of an apparition”という論文を発表しました(Current Biology, 2014)。自分の傍らに目に見えないが何かがいると感じる、これを”feeling of presence”というらしいですが、これがいわゆる幽霊gohstだそうです。そして”feeling of presence”は、側頭頭頂葉、島皮質、特に前頭頭頂葉の3つの異なる脳領域の病変によって引き起こされる感覚運動喪失と関連している、といいます。この3つの領域は、自己意識や空間認識など身体感受の重要な知覚性運動信号(sensorimotor brain signals)を処理しているといわれています。そして研究チームは、「幽霊」の存在を感じることは、脳のこれらの知覚運動性信号が適切に処理されていないことが原因と結論づけ、「幽霊は脳内の現象である」と報告しました。

「体外離脱体験」や「幽霊」をもはや非科学的と切り捨てることはできないようです。これらが脳内の現象なのであれば、ヨガの修行をしなくても、このような体験を将来人工的に造り出しアトラクションとして楽しむことができる日が来るかもしれません。SF映画『トータル・リコール』に出てくるようなマシーンができるかも。。。

#脳神経外科    #体外離脱  #幽霊 #ムー

臨死体験(1)臨死体験(Near-death experience)という言葉は日本では立花隆氏の著書『臨死体験』(文藝春秋 1994年)や彼が編集に参加したNHKスペシャル(1991年)により広く知られるようになったとされています。立花氏...
03/12/2022

臨死体験(1)

臨死体験(Near-death experience)という言葉は日本では立花隆氏の著書『臨死体験』(文藝春秋 1994年)や彼が編集に参加したNHKスペシャル(1991年)により広く知られるようになったとされています。立花氏は本書の冒頭で「臨死体験というのは、事故や病気などで死にかかった人が、九死に一生を得て意識を回復したときに語る、不思議なイメージ体験である。」と書いています。

臨死体験をテーマに臨床研究を積極的に行っているのがニューヨーク大学のDr. Sam Parniaです。彼は2022年の米国心臓協会(AHA)学術集会(2022年11月5~7日、米シカゴ)で、米国と英国の約25の病院が参加した多施設共同研究(AWARE II)の結果を発表しました。それによると「心肺蘇生で帰還した5人に1人が臨死体験を経験」したとのこと(驚)。

臨死体験は長年、個人の神秘体験やオカルトの類とされてきましたが、近年、「脳の生理学的機能に基づいた自然現象であるという見解が科学的共通認識に至っ」ています(★)。その理由の一つは、臨死体験の「体験」に関わるキーワードは「トンネル」、「光」、「川」、「花畑」、「亡くなった親しい人」であり、これらは宗教、文化、民族を超えて共通しているからです。

Dr Sam Pariaは”AWARE I”というべき前向き研究(AWARE)の結果を2014年に論文発表しています(☆)。今回のAWARE IIの結果はまだ論文化されていないようなのでその発表が待たれます。

詳細は下記参照;
https://dime.jp/genre/1501331/

★ 駒ヶ嶺朋子著『死の医学』集英社インターナショナル新書 2022年

☆ Parnia S, et al. AWARE-AWAreness during Resuscitation-a prospective study. Resuscitation 2014. 85(12):1799-805

2022年日本認知症学会今年(2022年)の日本認知症学会に参加しました。本学会での初の発表(ポスター)を行いました。シンポジウム以外の発表はすべてポスター発表です。最近の学会ではデジタルポスターが多いので久しぶりの紙ポスターを前にしての発...
26/11/2022

2022年日本認知症学会

今年(2022年)の日本認知症学会に参加しました。本学会での初の発表(ポスター)を行いました。シンポジウム以外の発表はすべてポスター発表です。最近の学会ではデジタルポスターが多いので久しぶりの紙ポスターを前にしての発表でした(写真左;真ん中28番のポスター)。

アルツハイマー病に対する疾患修飾薬であるレカネマブの第3相臨床試験のポジティブな結果が9月28日にエーザイから発表されたばかりでしたのでそれに関する議論があるのかと思いましたが、試験の詳細な結果がまだ学会発表や論文発表がなされていないためか、疾患修飾薬については総論的な話ばかりだったのが残念でした。

来年の今時分にはレカネマブがFDAやEU、そして日本でも承認されているかも知れません。そうであれば長年待ち望まれていたアルツハイマー病の根本治療が社会実装されるされることになり来年の学会では議論が盛り上がることでしょう。来年の本学会は大阪大学精神科の池田学教授が会長、脳神経内科望月教授と脳神経外科貴島教授が副会長として奈良市で開催予定です(写真右)。2023年は学会の主題の通り「認知症学の新時代」の幕開けの年になるかもしれません。

#脳神経外科    #認知症 #認知症学会

18/11/2022

アルツハイマー病治療薬の開発:レカネマブ成功の裏側(2)

「1998年から2014年の間に臨床試験をおこなったアルツハイマー病治療薬127のうち123剤が開発中止。承認取得は4剤のみで成功確率は3.1%。」
「2008年から2018年では、86の薬が治験に入ったが、承認された薬はゼロ。」
このような結果からアルツハイマー病の根本治療薬の開発から撤退する製薬会社も出てきました、業界大手のファイザーも2018年に4剤の開発を諦めています。

そんな中、逆にエーザイ(のCEO★)は2015年に総合製薬会社であることをやめ、「認知症」と「がん」の2分野に特化するという方針に舵を切りました。

アデュカヌマブの臨床試験はフェーズ2では良好な結果を得ましたがフェーズ3でつまずきました(日本、EUでは承認されず)。その理由は治験の設定にありました。フェーズ2ではアデュカヌマブ10mg/kg投与を最高投与量に設定しその群で有効性がでましたが、ARIA(Amyloid-Related Imaging Abnormalities;アリア)と呼ばれる脳浮腫が副作用として頻度が高いことがわかったこともあり、フェーズ3ではプラセボ、低用量、高用量(10mg/kg)に分けた後、遺伝子型でさらに細分化するという複雑な設計になっていました。実はアデュカヌマブは中間解析で有効性が示されず一旦試験が中止となってしまいました。しかしその後になって出てきた高用量群(10mg/kg)のデータを組み入れて再度解析すると有効性が示されたのですが、このような「あとづけ解釈」したという経緯がアデュカヌマブの有効性に大いなる疑問を抱かせることになってしまいました。

それに対してレカヌマブのフェーズ3はプラセボと高用量(10mg/kg)の2群にわけた大胆でシンプルな設計でした。ARIAの経過とその対策がわかったことで、ARIAを恐れて低用量群を設定する必要がなかったからです(ARIAは多くが一過性で無症候性でした)。そのかわりこの試験が失敗したらアミロイドβをターゲットとした抗体薬の開発並びにアルツハイマー病の原因としてのアミロイド仮説が揺らぐことになってしまったことでしょう。エーザイ(のCEO)は社運をかけた「賭けに勝った」と言えるかもしれません。

現在、レカネマブの皮下注射製剤の臨床第Ⅰ相試験が進行中です。

★内藤晴夫氏:エーザイ株式会社CEO。エーザイ創業者内藤豊次の孫。内藤豊次は田辺元三郎商店(現在の田辺三菱製薬)に入社し、在籍中にエーザイの前身である「日本衛材株式会社」を設立(昭和18年)。

参考
『アルツハイマー征服』(下山進著、角川書店)

下山進 『2050年のメディア』 第11回 週刊朝日2022年10月7日号

アルツハイマー病治療薬の開発:レカネマブ成功の裏側(1)アルツハイマー病の治療薬を目指して開発が進んできたレカネマブの第3相臨床試験の結果が2022年9月28日に発表されました。日本の製薬企業エーザイとアメリカのバイオジェン社が共同開発して...
12/11/2022

アルツハイマー病治療薬の開発:レカネマブ成功の裏側(1)

アルツハイマー病の治療薬を目指して開発が進んできたレカネマブの第3相臨床試験の結果が2022年9月28日に発表されました。日本の製薬企業エーザイとアメリカのバイオジェン社が共同開発してきた薬です。脳内に蓄積されたアミロイドAβを除去する抗体薬で、昨年日本やEUでは承認が否定されたアデュカヌマブとほぼ同じ作用機序を持ちます。

9月28日の記者会見では昨年同様エーザイのCEO自らがその臨床試験の成功を発表しました。昨年のアデュカヌマブの時には悔しい記者会見となったので今回は喜びひとしおといった感じでした。レカヌマブの初期のアルツハイマー病に対する有効性が示されたことに対して、報道では歓迎される一方、否定的な意見も見られます。例えば2022年10月21日日経メディカルに掲載された千葉市のある認知症クリニックの医師のコメントの要約は、安全性、患者や家族への負担、有効性への懸念がある、でした。

もちろん諸手を挙げて称賛すればいいというわけではありません。臨床試験は常に理想的な患者(被検者)が選択され、薬の副作用も頻回にチェックし対応するといった条件のもとで行われていますので、有効性が統計的に証明されたという結果を実臨床に当てはめれば様々な問題が指摘されうるのは当たり前です。

アルツハイマー病に対する新薬開発について2002年から取材を続け昨年『アルツハイマー征服』(☆)という著書のあるノンフィクション作家の下村進氏は、週刊朝日での連載(★)の中で、「新聞社やテレビ局の科学部の記者は、2,3年で持ち場が変わっていくので、ずっとこの問題を見続けている人はいない。だから、そうした批判(アデュカヌマブの臨床試験で否定的な結果が出た時の批判)が特に医師から起こると、報道のなかでその話を必ずいれるようになる。しかしこの批判は、実はひとつひとつの治験の中身を見ていない。」と書いています。重要な指摘です。下山氏は一つのテーマを継続して取材を続けるノンフィクション作家ならでは視点でアルツハイマー病治療薬の開発当初から臨床試験まで関わった人物に取材してその舞台裏を明らかにしています。来る11月25日からは日本認知症学会が開催されます。そこでも様々な議論がなされることでしょう。

☆『アルツハイマー征服』(下山進著、角川書店):当FACEBOOK記事(2021年3月21日)参照

★ 週刊朝日2022年10月7日号 2050年のメディア 第11回

#脳神経外科  #アルツハイマー病  #認知症  #レカヌマブ #エーザイ

医師である患者を診療する際にはVIP症候群に要注意JAMA Network Openにはユニークな論文がよく掲載されます。2022年10月18日号に「患者となった医師を診療する場合に標準治療が行われるのか」という内容の論文が掲載されました。...
05/11/2022

医師である患者を診療する際にはVIP症候群に要注意

JAMA Network Openにはユニークな論文がよく掲載されます。2022年10月18日号に「患者となった医師を診療する場合に標準治療が行われるのか」という内容の論文が掲載されました。

医師が患者となった時(「医師患者」)、診療する医師は医師患者を特別扱いをしてしまい標準治療(Standard-of-Care Practices)から逸脱した診療を提供してしまう恐れがあります。これは医師が医師患者をVIPとみなすときに起こるため「VIP症候群」と言われているそうです(☆)。ここでのVIPは”Very Important Person”であり”Very Important Patient”でもあります。

著者らは、米・アトランタにある総合がんセンターWinship Cancer Institute of Emory Universityの勤務医78人の中で21人に面接した結果、62%が医師患者の治療に対してストレス、プレッシャー、葛藤などを感じ、また大多数(81%)が医師患者は特権を持つと答えました。特権とは、①医療知識を活用した詳しい相談と意思決定、②担当医の個人連絡先の入手・利用、③優先的な予約・治療アクセス、でした。「公平な治療をすべきという認識との間に葛藤がある」としつつも、特権は必ずしも悪いことではなく「自分自身も特権を利用する(したことがある)」と考えるものもいました。今回の研究では一般の患者と比べて医療行為や検査に違いがあったと述べた医師はいませんでしたが、これは、標準治療が守られていたのか標準治療以外の検査や治療法を提供していることに気づいていないのかは不明でした。さらに医師患者は、自己治療やフォローアップを省略しようとする可能性があることを認識し、そうしないように医師患者にアドバイスする必要があるといいます。

一般にVIPはその特別な地位から、最高の治療を受けられ、より早く、より便利に施設を利用でき、医師から特別な「はからい」を受けることができる、と暗黙のうちに信じられています。しかしVIP医療が逆に害を及ぼすこともあります。故マイケル・ジャクソン(MJ)は、紛れもなくVIP医療の犠牲者でした。彼は、専属の医師によりVIP医療を受け、主治医(雇われ医師)は彼の要求に応じるがままプロポフォール(静脈内投与する鎮静剤)を無制限に使用しMJは死亡しました(★)。VIP医療の問題点については自由診療が多いアメリカでよく議論されるようで論文もいくつも出ています。日本ではVIPといえども保険診療がほとんどですが、「医師患者」を診療する際には「VIP症候群」に注意したいものです。

☆Weintraub W. “The VIP syndrome”: a clinical study in hospital psychiatry. J Nerv Ment Dis. 1964

★Khoo CS. To Pace or Not To Pace? A Narrative Review of VIP Syndrome. PermJ.2018

#脳神経外科 #neurosurgery #VIP #VIP症候群

29/10/2022

いいかげんな記憶とさけられない錯覚(2)

【自信の錯覚】が危険をもたらすの場の一つは裁判です。例えば刑事事件などで、犯人の顔を見たという目撃者が自信たっぷりに犯人の顔写真を選び出し、法廷でも供述がぶれることがなく完璧だった場合、陪審員はその容疑者を犯人であると判決をくだす確率が高いそうです。しかしそれは冤罪につながることがあります。陪審員達は自信のある態度の証人の言うことを信じる傾向が強いことがわかっていて、この場面では目撃証人の【記憶の錯覚】も冤罪を引き起こす原因となっています。

『錯覚の科学』で著者らは社会心理学的研究の結果から【自信の錯覚】についてこう述べます;『何かを覚えたてのときは、自信過剰になりがち』;『私達は自分を過大評価しがちです。好成績を収めれば自分が優秀だからと思い、失敗すれば「調子が悪かった」「ついていなかった」と考え、条件が悪すぎたと自分に言いきかせ、これらの言い訳を打ち消す証拠を無視しようとする。』

このような【自信の錯覚】は医師の心理にも当てはまります。手術をしてうまくいけば自分の能力の高さを誇り、うまくいかず合併症が出てしまうと、運が悪かった、患者に何らかの原因があったからだ、などと自分以外にその原因を押し付けようとする。医師の皆さんはこのような経験をしたことはなかったでしょうか。特に若い時に。未熟なときほど【自信の錯覚】は危険です。この「錯覚」を自覚しておくことが大切と思います。

#脳神経外科    #錯覚

いいかげんな記憶とさけられない錯覚(1)安倍元首相の銃撃事件をきっかけに政治と特定組織の密接な関係が取り沙汰されています。その過去の関係について問われて「記憶にございません」を繰り返す大臣もいますが、彼は大嘘つきなのか、それとも記憶が狂って...
22/10/2022

いいかげんな記憶とさけられない錯覚(1)

安倍元首相の銃撃事件をきっかけに政治と特定組織の密接な関係が取り沙汰されています。その過去の関係について問われて「記憶にございません」を繰り返す大臣もいますが、彼は大嘘つきなのか、それとも記憶が狂っているのか?

『錯覚の科学』(文春文庫2014年)は2人のアメリカの心理学者が2011年刊行したノンフィクションの翻訳書です。2004年にイグノーベル賞を受賞した研究が元になっています。テーマは、『私達の「記憶」は「思い込み」と「錯覚」でできている』。私達の記憶がいかにいいかげんなものかを痛感させられます。日常に潜む6つ錯覚について具体例を挙げて説明してくれます。

【記憶の錯覚】は、「ヒトは記憶を脳に定着させる時、『本当にあったこと』だけではなく、『あるべきこと」を勝手に混同させてしまう」という脳の働きです。2008年アメリカ大統領選挙の民主党候補指名争いでバラク・オバマと争ったヒラリー・クリントンは、当時の演説の中で、1996年ボスニア訪問で空港に降り立った時、狙撃兵から撃たれ走って逃げた、という12年前の体験を話しました。外交政策ではオバマより自分のほうが上だということを示すエピソードだったようですが、すぐに真実ではないことが報道され、嘘をついたとして候補指名に敗北しました。本書の著者らは、ヒラリーはボスニアの空港に着陸した時の記憶を「反射的かつ無意識に」自分自身のイメージに合わせて作り直した、そしてそれを正確だと信じ込んだ、そして自分の記憶に絶対の自信を持ったのだろう、と解説しています。

私達の記憶の鮮明さはそれが呼び起こす感情と結びついています。そして私達は、他の人が自信を持って語る記憶を正確だと判断する傾向があります。それが【自信の錯覚】です(つづく)。

#脳神経外科    #錯覚

日本鼻科学会に参加2022年10月13−15日金沢市で開催されている第61回日本鼻科学会総会に参加しました(著者)。内視鏡下経鼻手術での術中最大のアクシデントである内頚動脈損傷に対する対応について発表しました。脳外科以外の学会に参加すると普...
15/10/2022

日本鼻科学会に参加

2022年10月13−15日金沢市で開催されている第61回日本鼻科学会総会に参加しました(著者)。
内視鏡下経鼻手術での術中最大のアクシデントである内頚動脈損傷に対する対応について発表しました。

脳外科以外の学会に参加すると普段と違う雰囲気を感じることができ楽しいものです。これまで何回か鼻科学会総会に参加して感じたことは、鼻科学を専門としている耳鼻科の先生方は、司会者も質問者も、フレンドリーで前向きなコメントをされるなぁということです(耳鼻科の先生に言わせると、耳科の学会ではそうでもないとのこと・・・)。脳外科系の学会では、(「批判」ではない)非難や妬みが透けて見える質問・コメントが時折見られ、脳外科医(特にその分野で権威と言われていそうな人たち)のいやーな面が目に付きます。

今回初めて日本鼻科学会総会で発表する機会を得たので、これまで海外及び国内で一緒に手術したり手術手技を教えていただいた耳鼻科の先生方に、最後のスライドで感謝の意を表することができました。また以前に大変お世話になった耳鼻科の先生方と旧交を温めることもでき有意義な会となりました。

#脳神経外科 #鼻科学会 #耳鼻咽喉科

08/10/2022

アントニオ猪木とShohei Baba

元プロレスターで元参議院議員のアントニオ猪木氏(1943−2022)が10月1日、全身性アミロイドーシスによる心不全により死去しました。79歳でした。

「アントニオ猪木」といえばその「あご」が特徴的です。それを誇張したモノマネ芸人さんが人気を集めたり、TV番組で「1週間、アントニオ猪木のモノマネをやり続けたら、アゴは出るのか?」という実験が放送されたり、はてには「あごが出ていることがコンプレックス」だったというフリー女子アナさんが「猪木さんのおかげでコンプレックスを乗り越えられ感謝している」と言ったり、その存在自体が多くの人に影響を与えました。

同じようにあごが大きいプロレスラーとしては”ジャイアント馬場”氏(1938−1999;本名 馬場正平)が有名です。猪木氏の5歳年上でした。あごだけではなく顔全体も大きく、それ以上に身長が209cmと日本人としては桁外れに大きな人でした。彼が下垂体腺腫から成長ホルモンが過剰に産生される「巨人症」だったという話は有名です。スポーツライターの広尾晃(ひろお・こう)氏は2022年10月2日のブログで馬場氏と猪木氏のことについて書いています。以下広尾氏のブログからhttp://baseballstats2011.jp/archives/59777853.html;

『ジャイアント馬場こと馬場正平は小学校低学年で突然身長が伸び始めた。小学6年生で175㎝、高校生の時には190㎝にもなっていた。』
そして読売ジャイアンツに投手として入団しますが2年目に突如視力低下をきたしました。腫瘍が視神経を圧迫していることがわかり、視力を救うために手術を受けることになります。
『東京大学医学部脳神経外科に残る記録によると、馬場正平の手術は、1956年12月22日に行われた。手術は、午前10時15分に開始、11時35分終了。麻酔は、午前9時40分開始、11時40分終了。右前頭開頭術。柔らかい腫瘍を吸引で摘出。術者は清水健太郎教授』でした。手術時間はたったの1時間20分!現代の経鼻による下垂体腫瘍の手術より圧倒的に早いです。

ただ、術後に脳外科医が血液検査などを申し出ましたが、彼はそれを拒み続けたそうです。結局術後にホルモン異常があったかどうか(腫瘍が全摘出されていたかどうか)はわかりませんが、成長ホルモン過剰状態の合併症として有名な「糖尿病と大腸がん」を患い、それがもとで61歳の若さでなくなりました。

ジャイアント馬場氏は1961年から約3年間アメリカで活躍しました。その時のリングネームの一つは『ショウヘイ・ババ』だったそうです。アメリカで有名になった最初の「ショウヘイ」だったのかもしれません。

ちなみにアントニオ猪木氏も191㎝の長身、突き出たあごなどが下垂体腫瘍による巨人症もしくは先端巨大症の特徴を示しているように見えます。しかしある時武道館での試合で額を割られて病院に担ぎ込まれた際におこなわれた血液検査の結果では『ホルモンの異状はなく、巨人症ではないことが分かった』そうです。

#脳神経外科 #neurosurgery #アントニオ猪木 #ジャイアント馬場 #下垂体腫瘍

安倍氏銃撃事件・「医師たちの沈黙」(2)J. F. ケネディ・アメリカ大統領(JFK)は約60年前の1963年に銃撃により暗殺されました。簡単に経緯を述べますと、JFKは1963年11月22日、テキサス州ダラスでパレード中に車上で銃撃されま...
01/10/2022

安倍氏銃撃事件・「医師たちの沈黙」(2)

J. F. ケネディ・アメリカ大統領(JFK)は約60年前の1963年に銃撃により暗殺されました。

簡単に経緯を述べますと、JFKは1963年11月22日、テキサス州ダラスでパレード中に車上で銃撃されました。JFKは直ちに現場近くの病院(パークランド記念病院)に搬送されましたが脳損傷が激しくまもなく死亡が確認されました。通常はその場で検死が行われるのですが、シークレットサービスにより遺体は大統領専用機で海軍病院へ運ばれそこで行われました。その結果、治療にあたった医師たちの事件直後の供述と、海軍病院での検死結果が違うという事態が生じてしまいました。パークランド記念病院の医師たちは、前方から撃たれたと考えていた一方、検死結果では後方から撃たれたとされたのです。その結果現在まで続く様々な陰謀論が生まれることとなってしまいました。

JFKが暗殺されて数日間はパークランドの医師たちは新聞やテレビの取材に答えていましたが、すぐに沈黙するようになりました。政府の無言の圧力により皆その後のキャリアを考え、政府の公式見解(ウォーレン員会報告;後方銃撃説を採用)に反することは言えなかったとされています。当時外科のレジデントでありJFKの治療にあたったクレンショー医師(Dr. Charles Crenshaw)は1992年に”JFK: Conspiracy of Silence”『JFK謀殺 医師たちの沈黙』(早川書房)を出版し、その内幕を証言しています。(JFK暗殺については本FACEBOOK 2020年11月の一連の記事を参照してください。)

安倍氏銃撃事件は今後裁判の場で真実が明らかになるのでしょうか。またそこで救急現場の医師と法医学者による司法解剖の結果の違いが議論されるのでしょうか(容疑者の有罪無罪のみが問われるのか)。JFK暗殺事件のように真相は闇となってしまわなければよいのですが。

#脳神経外科 #neurosurgery #安倍氏 #銃撃 #gunshot #JFK

住所

堺市北区長曽根町1179/3
Namba, Osaka
591-8025

アラート

大阪労災病院脳神経外科がニュースとプロモを投稿した時に最初に知って当社にメールを送信する最初の人になりましょう。あなたのメールアドレスはその他の目的には使用されず、いつでもサブスクリプションを解除することができます。

共有する

Share on Facebook Share on Twitter Share on LinkedIn
Share on Pinterest Share on Reddit Share via Email
Share on WhatsApp Share on Instagram Share on Telegram

カテゴリー