いしづかクリニック

いしづかクリニック 地域のかかりつけ医として、会話を大切にした心温かい、人に寄り添う本?

今回、ご紹介する病気は前立腺癌です。男性はしっかりお読みください。<概要>前立腺は男性のみが持っている臓器です。膀胱の出口の尿道を取り囲む形で存在しており、栗の実のような形と大きさをしています。精液の一部分を作っており、射精や排尿の調節に関...
21/02/2026

今回、ご紹介する病気は前立腺癌です。男性はしっかりお読みください。
<概要>
前立腺は男性のみが持っている臓器です。膀胱の出口の尿道を取り囲む形で存在しており、栗の実のような形と大きさをしています。精液の一部分を作っており、射精や排尿の調節に関わっています。アメリカでは前立腺がんは、男性に発生するがんの第1位ですが、日本でも近年増加傾向にあり、2020年では1位となることが予想されています。一昔前は、進行がんの状態で見つかることが多かったのですが、最近ではPSA(prostate specific antigen:前立腺特異抗原)という優れた腫瘍マーカーの普及もあり、より早期に発見される様になってきています。
<症状>
初期はほとんどが無症状で、進行すると以下の症状があらわれてきます。
・排尿に関する症状
残尿感、頻尿、尿意切迫感等の症状が起こることがあります。
・局所浸潤症状
尿道に浸潤すれば血尿、排尿困難が生じ、さらに尿管まで浸潤すると、尿管の拡張、腎盂、腎杯が拡張する水腎症、ついには腎不全に至ることも有ります。
・転移がんの症状
腰痛などで骨の検査をうけたことで前立腺がんが発見されることもあります。また胸部レントゲン等で肺転移が偶然発見されることもあります。
<診断>
・PSA
前立腺から分泌されるPSAという物質の血液中の濃度が高いと前立腺がんが疑われます。正常値上限値は4.0ng/mlで、他の臓器にがんがあってもPSAは上昇しません。グレーゾーンと呼ばれる4.1~10.0ng/mlでは20-30%に、10.1ng/ml以上では40%以上にがんがみつかるといわれています。
・直腸診
肛門から指を入れて、前立腺の表面を触る検査です。前立腺に硬い部分があると癌の疑いが高くなります。
・経直腸的超音波検査
肛門から超音波検査プローブを挿入し、前立腺の内部の状態を観察します。
・前立腺針生検
PSA、直腸診、超音波検査などにより、がんの疑いがあれば行います。肛門から超音波検査プローブを挿入し、超音波で確認しながら前立腺に針を刺し、組織を採取します。採取した組織は病理医が顕微鏡で見て、がんの有無を判断します。詳しくは、前立腺針生検の項目もご参照ください。
以下は、前立腺がんの診断がついた方に行われる検査です。
・CT
前立腺がんの診断が針生検で確定した場合に前立腺がんが他の臓器やリンパ節へ転移していないかどうかを評価する為に行います。
・MRI
前立腺がんが前立腺内にとどまっているか、前立腺の外に進展しているかを評価する為に行います。
・骨シンチグラフィー
前立腺がんは骨に転移しやすいので、骨に転移していないかどうかを評価する為に行います。
<治療>
前立腺がんの治療は、腫瘍マーカーのPSA、前立腺組織の悪性度を表すグリソンスコア、がんの広がりを表す病期の3項目に応じたリスク分類にもとづいて決定されます
・手術
がんが前立腺内にとどまっていれば根治的前立腺全摘術を選択することができます。 前立腺を摘出し、膀胱と尿道を吻合する手術ですが、当院では積極的に、腹腔鏡を用いて行う腹腔鏡下前立腺全摘術やロボット支援手術を行っております(後述)。手術後の合併症として、尿失禁や勃起不全があげられますが、がんの場所によっては、勃起神経を温存して手術を行うこともあります。
・放射線治療
体外から照射を行う外部照射と前立腺に放射線の線源を埋め込む密封小線源療法(シード治療)があります。
・外部照射
直線加速器(リニアック)と呼ばれる大型の機械で、体の外から体内の病巣部に放射線を照射します。治療が必要な範囲の形に合わせた正確な照射範囲を定めるために、専用のコンピュータを用いて最適な照射計画を選択します。ほぼ全例で強度変調放射線治療(Intensity Modulated Radiotherapy: IMRT)を導入しています。通常は、1日1回の治療をおよそ2か月かけて行いますが、近年では、1回にあてる放射線の量を少し多くして比較的短期間で照射する方法も一般的になっています。また、1回の放射線の量をさらに多くして、5~7回くらいで治療する定位的放射線治療も病期によって選択することができます。
・密封小線源療法(シード治療)
放射線を放出するヨウ素125線源を前立腺内に挿入し、内部から前立腺全体に放射線をあてる治療法です。麻酔をかけた上で、超音波画像を見ながら会陰部から前立腺内に線源を留置します(図3)。数日間の入院が必要です。リスクが高い症例では、小線源療法に外部照射を組み合わせることがすすめられます。
・内分泌療法
前立腺がんは男性ホルモンにより増殖します。その男性ホルモンの働きを抑える治療法が内分泌療法です。ほとんどの前立腺がんがこの治療によく反応しますが、徐々に効かなくなってくる例もあります。精巣摘除術や、LH-RHアゴニスト剤/アンタゴニスト剤に、抗男性ホルモン剤を組み合わせて体内の男性ホルモンの働きを抑えます。女性ホルモン剤や副腎皮質ホルモン剤が前立腺がんに有効な場合もあります。近年、男性ホルモン及びその受容体の解明が進み、より強力な抗男性ホルモン剤が開発され、従来の内分泌療法が効かなくなった前立腺がんに使用されています。内分泌療法の副作用として顔が熱くなったり、汗をかいたり、動悸がしたりするといった 「ホットフラッシュ」や性欲減退や勃起障害などが挙げられます。また近年では、内分泌療法によって骨粗鬆症にかかりやすくなるといわれており、この合併症に対しても治療を行っております。
・化学療法
いわゆる『抗がん剤』による治療です。内分泌療法が効かなくなった前立腺がんに対して行われる治療です。ドセタキセルという薬剤を中心に使用します。副作用として脱毛、嘔気、嘔吐、骨髄抑制等があります。骨髄は血液の製造所であり、赤血球が少なくなれば貧血、白血球が少なくなれば易感染性(細菌、ウィルス等に感染しやすくなる)、血小板が少なくなれば易出血性(血が止まりにくくなる)という副作用をきたすことがあります。ドセタキセルが効かなくなったがんに対してカバジタキセルという新薬が認可されたため、当院では積極的に使用しています。
・PSA監視療法
前立腺がんと診断されても非常に早期でさらにがんも穏やかであると判断した場合には、PSA監視療法という方法があります。これは無治療のまま、PSAの結果や定期的針生検によってがんの進行の有無を観察するというものです。PSAの数値や生検で得られた前立腺組織からがんの増悪が疑われる場合は手術・放射線治療・内分泌療法などの他の治療法を検討します。

20/02/2026

足がつる、いわゆる「こむら返り」の経験は誰にでもあると思います。運動時だけでなく、就寝中に突然、足がつることはありませんか?
一般的に、急に体を動かすときに起こりやすい症状ですが、栄養不足や水分不足、冷え、熱中症、急激な寒暖差が原因で起きることがあります。

足がつるのは筋肉痙攣の一種です。筋肉やその周りの筋や腱が許容範囲より伸びてしまうことで起きると考えられています。
筋肉疲労以外で足がつる原因として多いのが、たくさん汗をかいて、多くのミネラルが体外に流れてしまっている場合です。
実は、カルシウムやマグネシウムなどのミネラルは、筋肉の動きと深く関係しています。体内のミネラルが不足すると、神経から筋肉の伸縮を命令する信号が乱れて制御がうまくできなくなります。そのため足の筋肉は硬直しやすくなり、痙攣を起こしやすくなるのです。
私たちが1日に必要とするミネラルはどれも少量ですが、運動、食生活の偏り、発汗、脱水症状などちょっとしたことでも、ミネラルバランスには乱れが生じます。足を酷使させたわけでもないのに頻繁につる場合、ミネラルバランスの乱れが関係している可能性があるので、食生活の見直しや水分補給でバランスを整えてあげることも効果的な予防法の一つです。

栄養面からのミネラルバランスの乱れには、カルシウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウムなどの過不足が考えられます。どれも筋肉の収縮や神経の伝達機能に関連する大切な栄養素なので、日頃から意識して乳製品や野菜類、豆類、魚介類を摂るなどで、栄養バランスのいい食事で補うことが大切です。

・カルシウム  牛乳やチーズなどの乳製品、小魚や干しエビ、牡蠣などの魚介類など
・マグネシウム 大豆や納豆などの豆類、アーモンドなどのナッツ類など
一般的に、カルシウムとマグネシウムの摂取量の目安は2:1のバランスが良いとされていますので、サプリメントを選ぶ基準に、また、バランスを意識して偏らないようにしましょう。

また、身体を冷やさないようにレッグウォーマーをしたり、足湯などの対策をするのもいいですね。

今回は、泌尿器科の病気ではありますが膀胱がんについて説明します。<概要> 膀胱の内側は尿路上皮という細胞で被われており、この細胞から生じる悪性腫瘍を膀胱がんといいます。膀胱の内側にとどまっているがんは筋層非浸潤性膀胱がんと呼ばれます。尿路上...
27/01/2026

今回は、泌尿器科の病気ではありますが膀胱がんについて説明します。
<概要>
 膀胱の内側は尿路上皮という細胞で被われており、この細胞から生じる悪性腫瘍を膀胱がんといいます。膀胱の内側にとどまっているがんは筋層非浸潤性膀胱がんと呼ばれます。尿路上皮細胞から発生するがんは膀胱の内側から拡がり、膀胱の筋層や周囲の脂肪組織、または隣接した器官、リンパ節まで浸潤することもあります。 これらは浸潤性膀胱がんと呼ばれます。膀胱がんは人口10万人あたり毎年6~8人発生しますが、年々若干増加傾向にあります。50歳以上の方に好発し、男性が女性の2~3倍の頻度で発生します。尿路上皮の遺伝子の変化によりがん化すると考えられています。また喫煙者は非喫煙者に比べて4倍程度発生率が高いことが知られています。特殊な例として、ある種の染料や化学薬品、寄生虫により誘発されることも報告されています。
<症状>
 血尿が膀胱がんの初発症状としては、一番多くみられる症状です。定期健康診断で行う尿の顕微鏡検査で赤血球が検出され、尿に血が混じっていることがわかる場合もありますが、肉眼でわかるほど尿が赤くなることもあります。また頻回の排尿や排尿痛を生じることもありますが、かなり進行するまで症状がないこともあります。膀胱がんが拡がり尿管口(尿管と膀胱の移行部)を塞ぐことで、腎臓でつくられた尿が膀胱に流れてこなくなり、尿管、腎盂が拡張して背部に痛みや違和感を覚えることもあります。これらの症状が一つでもみられた際には医師の診察を勧めます。
<診断>
症状、状況に応じて以下の検査を組み合わせて診断します。
・問診
血尿や排尿症状の有無について調べます。また患者さんの生活習慣や職業、過去の疾患、治療等の病歴についても調べます。
・尿検査
尿の色を確認し、糖、蛋白、赤血球、白血球といった成分を調べる検査です。
・尿細胞診
尿中に異常な細胞があるかどうか顕微鏡下に尿を調べます。
・超音波検査(US)
体表より超音波にて内臓(腎、膀胱)に異常がないかを調べます。この検査は、膀胱に尿を溜めた状態で行います。器具をお腹にあてるだけですので、痛みを伴う検査ではありません。
・コンピューター断層撮影法(CT)
体内の詳細な像を連続的に撮影し、体の断面像を得ます。像はX線撮影装置と連動したコンピューターにより作られます。造影剤を静脈内に注入すると、臓器や組織がよりはっきり示され、他の臓器への転移の有無も診断することができます。
・膀胱鏡検査
膀胱内の病変の有無を確認するために、膀胱鏡を尿道より挿入して直接膀胱内を観察します。膀胱鏡は細くライトの付いたチューブのような器具で観察できるカメラも付いています。軟性膀胱鏡は従来の硬性膀胱鏡と比べ柔らかく細いため、検査中の疼痛、検査後の血尿が少ないなど患者さんから好評をいただいております。
・核磁気共鳴イメージング(MRI)
磁石、電波、コンピューターを用いて体内の詳細な像を連続的に撮影します。術前に膀胱腫瘍の浸潤の程度を診断するのに役立てています。当院では MR urographyというより精度の高い検査を実施しています。膀胱がんの場合、同じ尿路上皮で被われている腎盂、尿管にも同様のがんが同時に見つかることがありますので、造影剤を使用したCT検査において尿路に造影剤が排泄されるタイミングで撮影することにより腎盂・尿管の病変の有無をチェックする必要があります。
・経尿道的膀胱腫瘍切除術(TUR-BT):確定診断を兼ねて
膀胱内にできる腫瘍の9割以上はがん(悪性腫瘍)です。膀胱内に腫瘍がみられる場合には入院の上、経尿道的膀胱腫瘍切除術(TUR-BT)という手術を行います。麻酔下に膀胱鏡を尿道から膀胱内に挿入し、先端に小さな輪のついた器具で腫瘍を切除します。この手術は治療手段であると同時に、確定診断・腫瘍の根の深さを確認する意味でも重要です。
切除した腫瘍を顕微鏡で調べ、組織構築(がんの種類)、異型度(がん細胞の顔つき、悪性度)、深達度(根の深さ)が判明します。組織構築から尿路上皮がん(このがんが大部分)、扁平上皮がん、腺がんなどに分類されます。異型度(grading)はlow gradeとhigh gradeの2段階もしくは、G1からG3までの3段階で評価され、high gradeないしG3が最も細胞異型が強く、いわゆる悪性度が高い所見です。深達度はTa(腫瘍が粘膜にとどまっているもの)、T1(粘膜の下の層、粘膜固有層に達しているもの)、T2(筋層に及んでいるもの)、T3(膀胱の周囲の脂肪にまで及んでいるもの)、T4(隣の臓器に腫瘍が及んでいるもの)に分けられます。Ta、T1を筋層非浸潤性膀胱がん、T2以上を浸潤性膀胱がんと二つに分けることができます。
<治療>
①膀胱がんが他の臓器に転移している場合には手術での完全な治癒は不可能です。膀胱がんはリンパ節、肺、肝、骨などに転移します。他の臓器に転移したがんは、化学療法で治療します。化学療法では複数の薬を組み合わせて用いる多剤併用療法が行われます。治療中の副作用として、吐き気、食欲不振、白血球減少、血小板減少、貧血、口内炎などがおきます。近年、パクリタキセルやジェムシタビンといった抗がん剤を含む治療メニューを用いることにより、従来の抗がん剤の組合せより副作用を抑えつつ転移巣の治療が行えるようになってきております。進行が遅い筋層非浸潤性膀胱がんの場合は、膀胱がんで死亡するリスクは5%未満ですが、がんが筋肉に浸潤した場合の5年生存率はやや悪く、死亡のリスクは20~40%になるとされています。このような場合、化学療法で生存率が上がることもあります。がんが筋層を越えて広がっている場合、5年生存率は25~60%です。また、がんがリンパ節やその他の部位に転移している場合、5年生存率は20~45%です。ただしこれらの数値はたくさんの患者さんの平均的な統計値ですので、あくまで参考程度になるもので、個々の患者さんにあてはまるものではありません。筋層非浸潤性膀胱がん(Ta又はT1)の場合はTUR-BTでがんを完全に取り除くことができます。しかし、術後新たにがんが発生することが比較的よくあり、まれに再発時に病期進展(腫瘍がより深くに浸潤してしまうこと)をおこすこともあります。TUR-BTでがんを完全に取り除いた後で、化学療法薬またはBCG(体の免疫系を活性化させる物質)を繰り返し膀胱に注入することにより、再発率を減少させることができます。膀胱内注入療法は週1回6~8週続けて行われます。再発のリスクが高い場合はその後も維持療法として3~6ヶ月毎に3週程度BCG注入を行うこともあります。またBCG注入は膀胱上皮内がん(CIS)という特殊な病態の治療にも有効であることが知られています。膀胱上皮内がん(CIS)とは膀胱の表面をはうように発育するタイプで隆起した病変は生じませんが、がん細胞の悪性度は高いがんです。他臓器の上皮内がんと異なり、膀胱の上皮内がんは放置すると早期に浸潤がんとなり転移することがあります。筋層非浸潤性膀胱がん(Ta又はT1)の場合はTUR-BTでがんを完全に取り除くことができます。しかし、術後新たにがんが発生することが比較的よくあり、まれに再発時に病期進展(腫瘍がより深くに浸潤してしまうこと)をおこすこともあります。TUR-BTでがんを完全に取り除いた後で、化学療法薬またはBCG(体の免疫系を活性化させる物質)を繰り返し膀胱に注入することにより、再発率を減少させることができます。膀胱内注入療法は週1回6~8週続けて行われます。再発のリスクが高い場合はその後も維持療法として3~6ヶ月毎に3週程度BCG注入を行うこともあります。またBCG注入は膀胱上皮内がん(CIS)という特殊な病態の治療にも有効であることが知られています。膀胱上皮内がん(CIS)とは膀胱の表面をはうように発育するタイプで隆起した病変は生じませんが、がん細胞の悪性度は高いがんです。他臓器の上皮内がんと異なり、膀胱の上皮内がんは放置すると早期に浸潤がんとなり転移することがあります。
②筋層まで広がったがんは、TUR-BTで完全に取り除くことはできません。この場合には、膀胱および骨盤内のリンパ節を取り除く根治的膀胱全摘術を行う必要があります。この手術は筋層非浸潤性膀胱がんでも再発を頻回に繰り返す場合や、膀胱上皮内がん(CIS)でBCGの治療が効果を示さないものにも行われます。男性では、前立腺と精嚢も摘出し、女性では、場合により子宮、卵巣および腟の一部が摘出されます。男性では術後に勃起障害になりますが、術式によってはそれをある程度防ぐことは可能です。ただし、前立腺、精嚢をとってしまうため射精はできなくなります。また、がんを完全に摘出することができない場合でも、がんにより生じる激しい血尿や痛み等の泌尿器系症状を緩和するために膀胱のみを摘出する手術が行われることもあります。手術の効果を向上させるため、手術前後に化学療法を併用することもあります。
③膀胱を取り除く場合は、尿を排出する手段(尿路変向)が必要です。回腸導管という方法では、腸管で形成された回腸ループという通路を経て、腹壁に設けた開口部から尿を排出させる方法を取ります。この方法は古くから行われているオーソドックスな方法で標準的な尿路変向術です。尿は開口部より絶えず流出するため、体の外に集尿袋を装着する必要があります。尿管皮膚瘻という方法では、腎臓と膀胱の間の尿の通り道である尿管を、直接皮膚に開口させます。腸管を切って利用するという操作がないため、腸管合併症を含めた体への負担は少なくなります。しかし、尿管だけでは腹壁を貫く部分で外から圧排されやすく、尿の通過性を維持するために尿管ステントという管を留置し定期的に交換する必要が生じる場合があります。体の外に集尿袋を装着する必要がある点は回腸導管と同様です。その他、自排尿型代用膀胱形成術もあります。こちらは尿をためる膀胱の代わりになる袋(パウチ)を腸管(主に回腸)でつくり、そのパウチを尿管と尿道につなぎます。この術式の場合、尿道を残すことになるため、尿道にがんが再発する危険性が高い場合は行いません。患者さんは、骨盤の筋肉をゆるめて腹圧をかけることによって排尿するやり方を練習します。この方法をマスターすれば、通常とほぼ同等な排尿が可能となります。日中は尿を漏らすことはほとんどありませんが、夜間は失禁が起こることもあります。これらの術式のうちどの方法を選択するかは、がんの状態、患者さんの体力や希望によって十分検討する必要があります。
④患者さんの希望、年齢および全身状態によっては、放射線療法や、放射線療法と化学療法を組み合わせた治療法も選択肢としてあります。放射線治療はがんを治療するため、またはがんにより生じる症状を和らげるために行われます。副作用を抑え、効果を最大限発揮するために、少量の放射線を2ヶ月程毎日照射する方法が一般的です。放射線の副作用で膀胱萎縮や出血、直腸出血、皮膚のただれなどが生じることがあります。
⑤膀胱がんが他の臓器に転移している場合には手術での完全な治癒は不可能です。膀胱がんはリンパ節、肺、肝、骨などに転移します。他の臓器に転移したがんは、化学療法で治療します。化学療法では複数の薬を組み合わせて用いる多剤併用療法が行われます。治療中の副作用として、吐き気、食欲不振、白血球減少、血小板減少、貧血、口内炎などがおきます。近年、パクリタキセルやジェムシタビンといった抗がん剤を含む治療メニューを用いることにより、従来の抗がん剤の組合せより副作用を抑えつつ転移巣の治療が行えるようになってきております。進行が遅い筋層非浸潤性膀胱がんの場合は、膀胱がんで死亡するリスクは5%未満ですが、がんが筋肉に浸潤した場合の5年生存率はやや悪く、死亡のリスクは20~40%になるとされています。このような場合、化学療法で生存率が上がることもあります。がんが筋層を越えて広がっている場合、5年生存率は25~60%です。また、がんがリンパ節やその他の部位に転移している場合、5年生存率は20~45%です。ただしこれらの数値はたくさんの患者さんの平均的な統計値ですので、あくまで参考程度になるもので、個々の患者さんにあてはまるものではありません。

16/01/2026

ウイルスが原因でおこる感染性胃腸炎は、1年を通して発生しますが、特に寒い冬に流行します。原因となるウイルスはノロウイルスやロタウイルス、アデノウイルスなどです。
一般的には冬季の前半にはノロウイルスによる胃腸炎が多く後半から春にかけてはロタウイルスによる胃腸炎が多くなります。
ロタウイルスやアデノウイルスは乳幼児に好発しますが、ノロウイルスは成人も含め全年齢にみられます。特に抵抗力の弱い乳幼児や高齢者は重症化しやすいので注意が必要です。

*予防方法*

ウイルス性のものに対しては流行期の手洗いと患者との濃厚な接触を避けることが感染予防のポイントです。
1. 最も有効な対策は手洗いです。トイレを使用した後、調理の前、食事の前には必ず手を洗いましょう。石けんと流水で30秒以上かけて良く手を洗いましょう。手拭は、共用タオルの使用はさけペーパータオルなどを使用します。
2. 部屋やトイレで吐いた場合は、部屋の換気を十分に行いながら、吐物をふき取り、ふき取ったあとを塩素系消毒剤で消毒します。下痢や吐物を処理するときは素手でさわらず使い捨てビニール手袋と使い捨てマスクなどを使用しましょう。
3. 汚れた下着や床などは次亜塩素酸ナトリウム(家庭用漂白剤)などの塩素系消毒薬を使用して消毒します。
4. 食品を介した感染を防止するためには、手洗いを充分に行うこと、食品を十分に加熱することが効果的です。他にも手指や調理器具などの洗浄・消毒を厳守し、生野菜などは十分に水洗いしましょう 

*胃腸炎になった時の食事アドバイス*
① 水分補給
症状がひどく食べ物を受け付けないときにも、脱水症状を避けるために水分補給を行いましょう。
一度に大量に飲ませるのではなく、小まめに補給するようにします。
ただし、飲んでもすぐに吐いてしまうときは飲ませない方が良い場合もありますので、医師の指示に従ってください。
下痢・嘔吐や高熱による大量の発汗があると、水分と共にナトリウムやカリウムなどの電解質も失っている為、水だけではなく電解質も補給する必要があります。
水分補給には、電解質と糖質がバランスよく配合され体に吸収されやすくなっているOS-1(大塚製薬)などの経口補水液がお勧めです。薬局やドラッグストアでも購入することができます。
補給する量の目安としてOS-1のウェブサイトには下記のように記載がありますが、摂取の可否や量の調節は医師の指示を仰ぎましょう。

② 消化の良い食品や調理方法を選びましょう
うどんは、あまり噛まずに飲み込んでしまいがちなので、お粥の方が消化にいいですよ。

③ 胃酸の分泌を高める食品は控えましょう
・香辛料の多いもの(こしょう、唐辛子など)
・甘みの強いもの(煮豆、まんじゅうなど)
・食塩の多いもの(漬物、塩辛など)
・酸味の強いもの(酢の物、かんきつ類など)
・嗜好飲料(アルコール飲料、炭酸飲料、コーヒー、濃い緑茶など)
紅茶は殺菌作用があるのでお勧めです
お砂糖を入れて甘くして飲むと飲みやすくエネルギー補給になります

④ 食事はゆっくりよく噛んで食べ、
冷たいものは一気に飲まないようにしましょう

⑤食後はすぐに動かず休息をとりましょう
そうする事で、消化が良くなります

参考にしてみてください。

今回は悪性腫瘍の疾患でも稀である腎癌についてご説明します<概要> 腎がん(腎臓のがん)は成人のがんの約2~3%を占め、男性が腎がんになる割合は女性の2倍です。また、喫煙者ではこのがんの発生率が非喫煙者の約2倍となります。危険因子(病気をおこ...
20/12/2025

今回は悪性腫瘍の疾患でも稀である腎癌についてご説明します
<概要>
 腎がん(腎臓のがん)は成人のがんの約2~3%を占め、男性が腎がんになる割合は女性の2倍です。また、喫煙者ではこのがんの発生率が非喫煙者の約2倍となります。危険因子(病気をおこす要因)としてはこのほか、毒性の化学物質にさらされることや肥満があります。原因は不明ですが1975~95年にかけて、腎がんの発生率に毎年2~4%の上昇がみられました。多くの人は50~70歳で発症します。腎臓の腫瘍のうち、中に細胞が詰まったもの(充実性の腫瘍)は大半が悪性腫瘍(がん)であるのに対し、液体が詰まった腫瘍は嚢胞(のうほう)と呼ばれ、良性(非がん性)腫瘍であることが多いです。腎がんのほとんどは腎細胞がんです。腎盂がんとは異なるので注意してください。
<症状>
 腎がんの初期症状は余りありません。そのため、早期発見が難しい種類のがんでしたが、現在では人間ドックの超音波検査などを受ければ早期発見が可能です。腫瘍の大きさが7cm以上となると症状が出ることがあります。腎がんは、小径のうちは腎実質といい尿路(腎盂、腎杯)から離れたところに発生しますが、大きくなると尿路に露出してくることがあり、その際に血尿となります。尿中の血液がごく微量で顕微鏡検査でしかわからないこともあれば、肉眼でわかるほど尿が赤くなることもあります。わき腹の痛み、発熱、体重の減少です。医師が腹部の腫れや腫瘤(しゅりゅう)の触診で腎がんを発見したり、高血圧など別の病気の診察時にがんを偶然見つけることがあります。腎臓の病変部や腫瘍自体によって産生されるエリスロポエチンというホルモンが骨髄を刺激して赤血球の生成量を増加させるため、赤血球数が異常に増えてしまうことがあります。血液中のカルシウム濃度が上昇する場合もあります(高カルシウム血症)。また、発熱の原因を調べることによって腎がんが発見されることもあります。
<診断>
 腎がんの疑いがある場合には、超音波検査、またはCT検査を行って診断します。造影超音波という特殊な検査を行う場合もあります。MRI検査では、下大静脈など隣接する組織にがんが広がっているかどうかがわかります。腫瘍の大きさ、血管に入りこんでいるか、リンパ節や他の臓器(肺、肝臓、骨など)に転移していないかを調べます。さらには手術を行うときのために、腎臓の血管の数や走行が重要ですので、3D-CT検査という精密検査を追加することがあります。
<治療>
・腎がんが転移していない場合
 がんが腎臓の外に転移していなければ、腎臓を手術で取り除くことで、治る見込みは十分にあります。腫瘍が小さい場合(4cm未満)には、腫瘍部分と隣接する正常組織だけを取り除き、腎臓の残りの部分は残す(腎部分切除術)こともあります。ただし、腫瘍の位置によっては部分切除ができないこともあります。腫瘍が4cmを超えると腎臓全体を取り除かなければならない(根治的腎摘除術)場合もあります。また手術の方法としては、近年、腹腔鏡手術が急速に発達し、従来の開腹手術と比較して、安全性および手術後の見通しについても遜色ないとされています。治療法の選択については、腫瘍の特徴や患者さんの体力などを考慮して、担当医とよくご相談してください。がんが腎静脈や心臓に血液を運ぶ太い大静脈に広がっていても、腎臓から離れた部位には広がっていない場合、手術で治る見込みはあります。がんが腎臓内に限局している場合は、疾患特異的(がん以外の要因での死亡を除いたもの)5年生存率は85%以上ですが、がんが腎静脈や大静脈に浸潤していたり、遠隔転移をきたしたりしている場合にはさらに下がります。分子標的治療薬(後述)を使用することが可能となった現在、さらなる生存率の向上も期待されています。
・腎がんが転移している場合
 腎がんが離れた部位に転移する遠隔転移は、肺にみつかることが多いです。腎がんの診断時に見つかるとは限らず、発見された腎がんをすべて外科手術で取り除いた数年後に転移が明らかになることもあります。腎がんは抗がん剤・放射線が効きにくく、転移を伴う腎がんの治療成績は依然大きな改善がみられません。以前、最も効果があるとされていたサイトカイン療法(インターフェロン・インターロイキン2)で、15~20%程度の有効率といわれています。2008年になって分子標的治療薬(分子標的薬)が認可され、治療は大きな変革をむかえました。分子標的治療薬は、腫瘍細胞の増殖や血管内皮細胞の増殖にかかわる細胞内シグナル伝達を阻害することによって腫瘍の増殖を抑える薬です。マルチキナーゼ阻害剤であるSunitinib (商品名:スーテント®), Sorafenib (商品名:ネクサバール®)が2008年に認可されました。2012年にはAxitinib(商品名:インライタ®)も2剤目以降に使用できる薬剤として、2014年にはPazopanib(商品名:ヴォトリエント®)が新たに認可されました。また細胞内シグナル伝達の経路の一つに、mTORという酵素が細胞増殖、代謝、血管新生などの制御に関わっています。2010年には、mTORを阻害する作用のある薬剤である内服薬Everolimus(商品名:アフィニトール®)、点滴薬Temsirolimus(商品名:トーリセル®)が認可されました。これらはmTORを選択的に阻害することにより、がん細胞の増殖を抑制します。新たな分子標的治療薬の登場により、進行性腎細胞がん治療における選択肢はさらに広がりました。分子標的治療薬は腫瘍の増殖因子を阻害する作用のある薬です。がん細胞を殺す作用も有しますが、主にがんを栄養する血管に作用して抗がん作用を発揮します。「抗がん剤ではないので副作用が少ない薬」というのは間違った認識です。高血圧・疲労・下痢・皮膚炎が副作用として生じる可能性があります。特に高血圧は比較的高頻度で出現します。副作用として手足の皮膚反応があり、痛みを伴い場合によっては歩行困難を来たす場合もあります。

16/12/2025

ようやく冬らしい気温になってきました。寒さで注意をしたいのが、
「ヒートショック」です。

ヒートショックとは「急激な温度変化によって、体がダメージを受けること」を指します。暖かい部屋から寒い部屋への移動や、風呂場やトイレが寒いといった急激な温度変化で血圧が大きく変動し、失神や心筋梗塞、脳梗塞などを引き起こします。命にかかわる可能性もあるのが、ヒートショックの怖いところです。

ヒートショックは主に冬場の入浴時など、気温が低い状態で皮膚の露出が多くなる際に発生しやすくなります。
一例の流れとしては
1. 暖房のきいた暖かい部屋で血圧も安定した状態から、室温の低い脱衣所に移動する
2. 室温の低い場所に行ったり、冷え込んだ場所で衣服を脱いだりすることで血管が収縮し、血圧が上がる
3. そのまま脱衣所よりも寒い浴室内に入ることで、さらに血圧が上がる
4. その状態で浴槽に入り、体が温まってくると血管が広がり、急上昇した血圧が一転、一気に低下する

急激な血圧の変化により、一時的ではありますが、脳の血流が減少するので、めまいや立ちくらみ、一過性の意識障害などが生じます。これがヒートショックが生じるメカニズムです。
ヒートショックによる意識障害が浴槽内で起こると、溺れて死亡する事故につながることもあります。浴室内で生じる事故の中には、ヒートショックが関係しているものも多いと考えられています。

日常生活において、ヒートショックが起きやすい状況とは?
*入浴時
脱衣所や浴室などの入浴時は、ヒートショックが最も起きやすい状況といえます。脱衣所や浴室は暖房設備がないことが多く、冬場は室温が10℃以下になる場合も珍しくありません。寒い場所で衣服を脱ぐと、寒さで血管が縮こまり、血圧が急上昇します。続けて浴槽の暖かい湯につかると、今度は血管が一気に広がり、血圧は急激に低下します。このジェットコースターのような血圧の変化が、ヒートショックをもたらすのです。
*冬場の部屋の移動
トイレに行こうとして廊下に出たり、普段あまり使わない部屋に行ったりなど、冬場に家の中を移動する場合も、ヒートショックのリスクが高まります。屋内であっても部屋によっては、室温が低いことが多々あります。暖かいリビングから寒い場所に移動すると、急な血圧の変化が生じてヒートショックが起きやすくなるのです。

ヒートショックの症状
☆めまい・立ちくらみ
入浴中に浴槽から立ち上がる時などに生じるめまいや立ちくらみは、ヒートショックの症状の一つです。
入浴時、浴槽の中ではお湯による水圧が体にかかっています。その状態から急に立ち上がると、体にかかっていた水圧がなくなって血管の拡張が起こります。すると心臓から脳に送り出される血液の量が減少し、めまいなどの症状が起こります。お風呂でめまいが起きた時は、軽いヒートショックの状態だと考えてよいでしょう。
☆失神
失神とは、短時間に突如として意識が失くなる状態を指します。短時間とはいえ、脳の機能に大きな妨げが生じることで起こるため、注意が必要な症状です。めまい・立ちくらみと同様、ヒートショックによる血圧の低下などの影響で、心臓から脳に届く血液の量が減少し、失神が生じると考えられています。
☆心筋梗塞
心筋梗塞とは、心臓の冠動脈の血流が血栓などで妨げられることにより、心筋の一部が壊死してしまう状態を指す疾患です。締め付けられるような強い胸の痛みや圧迫感が突然生じます。ヒートショックによる血圧の急激な変動は、心筋梗塞の発症リスクを高めるきっかけになります 
☆不整脈
不整脈とは、簡単に言うと脈拍が乱れることです。運動などで体を動かした時に脈拍が速くなるのも広い意味では不整脈の一種ですが、脈拍を速めている理由が明確なため、基本的に問題はありません。しかし、特に明確な理由がないのに脈がゆっくりまたは速くなったり、不規則になったりするのは要注意です。ヒートショックによる血圧の変動は脈拍のスピードにも影響し、場合によっては息切れやめまい、動悸、胸痛といった症状が起こることもあります。
☆脳梗塞
脳梗塞とは、脳の血管が詰まったり破れたりすることで、脳細胞の働きが悪くなり、まひなど体の動きに影響が生じる病気です。ヒートショックで生じる急な血圧の上昇や変動は脳の血管の負担となり、脳梗塞を起こしやすくする可能性があります。
☆生活習慣病の持病がある
生活習慣病とは、食事、運動、休養、喫煙、飲酒などの生活習慣が主な原因となっている病気の総称です。脳血管疾患、心疾患、さらにそれらの危険因子となる動脈硬化症、糖尿病、高血圧症、脂質異常症などが含まれます。
生活習慣病のなかでも特に、糖尿病や脂質異常症の持病がある人は、ヒートショックになりやすい傾向があります。動脈硬化が進み、血管が硬くなっている可能性があり、血圧の変化による影響を受けやすいためです。
また、心疾患のある人も、血圧の急激な変動のリスクを受けやすく、要注意です。心臓に負担がかかり、心筋梗塞や脳卒中につながる危険性もあります。
☆1番風呂が好き
一番風呂は気持ち良いものですが、実はヒートショックのリスクをはらんでいます。浴室が十分に暖まっておらず、室温と湯温の差が大きいため、血圧の変動が大きくなりやすく、ヒートショックを起こしやすい条件が揃っているといえます。
☆熱いお風呂が好き
42℃を超える熱いお湯に入るのが好きな人も、ヒートショックに要注意です。
特に冬場は体が冷えた状態で熱い湯温の浴槽に入ると、血圧が一気に低下します。浴槽の中で意識を失い、事故につながることも少なくありません。
☆飲酒後にお風呂に入る
飲酒をすると血圧が下がりやすくなり、ヒートショックのリスクが高まります。そのため、飲酒後の入浴は避けることをおすすめします。
温泉地などに出かけると、飲酒を交えた食事の後に露天風呂でさっぱりしたくなるかもしれません。しかし、思わぬ影響が生じる可能性もあるので、避けたほうが無難です。「入浴は飲酒の前に」と覚えておきましょう。 
☆水分補給をあまりしない
体が水分不足になると、血管内の血流量が低下し、血管に負担がかかりやすくなります。その状態で気温の変化が大きい場所を行き来するとヒートショックのリスクが高まることも。こまめな水分補給を心掛けるとともに、入浴の前と後にコップ一杯のお水を飲むようにすると、リスクの低下につながります。

ヒートショックを防ぐ対策
・脱衣所や浴室、トイレを暖める
・シャワーを活用したお湯はり
・夕食前・日没前の入浴
・食後すぐの入浴や、飲酒後、服薬後の入浴を避ける
・湯温設定は41℃以下に
・こまめに水分補給する
・体調が悪い時はサウナや入浴を避ける
・栄養バランスに気を付けよう

ヒートショックは、急激な温度差による血圧の変化によって生じます。
ヒートショックは冬場に多く発生しますが、夏場でも気温差によって生じる可能性がある他、サウナなどで起きることもあります。高齢者や高血圧などの生活習慣病のある人はヒートショックのリスクが高いので注意が必要です。リスクが比較的少ない人でも、体調によってはリスクが高まることもあります。
ヒートショックの多くは予防が可能です。対策をして、予防に努めましょう。

今回は、遺伝的な背景ももつ腎嚢胞についてご説明します。<概要>腎臓に嚢胞(水がたまった袋)が多数発生して腎臓の働きが徐々に低下していく病気を多発性嚢胞腎と言います。両側の腎臓に嚢胞が無数に生じる遺伝性疾患であり、常染色体優性多発性嚢胞腎(A...
27/11/2025

今回は、遺伝的な背景ももつ腎嚢胞についてご説明します。
<概要>
腎臓に嚢胞(水がたまった袋)が多数発生して腎臓の働きが徐々に低下していく病気を多発性嚢胞腎と言います。両側の腎臓に嚢胞が無数に生じる遺伝性疾患であり、常染色体優性多発性嚢胞腎(Autosomal Dominant Polycystic Kidney Disease:ADPKD)と常染色体劣性多発性嚢胞腎(Autosomal Recessive Polycystic Kidney Disease:ARPKD)とがあります。ADPKDは両側腎臓に多数の嚢胞が進行性に発生・増大し、腎臓以外の種々の臓器にも障害が生じる最も頻度の高い遺伝性嚢胞性腎疾患です。我が国の患者数は約30,000人と推定されています。
<症状>
 初期には無症状です。しかし、徐々に腎臓の嚢胞が増えて腎臓全体が大きくなり、お腹が張ってきます。そうすると腎蔵の働きが悪くなり、食欲低下、疲れやすい、だるい、さらには息切れなどが出現します。
<診断>
 多発性嚢胞腎の診断は、ガイドラインに示されている診断基準に基づいて行われます(表1:ADPKD診断基準)。家族内発生が確認されている場合と確認されていない場合に分けた基準であること、超音波断層像だけではなく、CT、MRIも嚢胞の評価方法として加えた基準であることが特徴です。
表1 <ADPKD診断基準>
1. 家族内発生が確認されている場合
1)超音波断層像で両腎に各々3個以上確認されているもの
2)CT、MRIでは両腎に嚢胞が各々5個以上確認されているもの
2. 家族内発生が確認されていない場合
1)15歳以下では、CT、MRIまたは超音波断層像で両腎に各々3個以上嚢胞が確認され、以下の疾患が除外される場合
2)16歳以上では、CT、MRIまたは超音波断層像で両腎に各々5個以上嚢胞が確認され、以下の疾患が除外される場合
除外すべき疾患
• 多発性単純性腎嚢胞 multiple simple renal cyst
• 尿細管性アシドーシス renal tubular acidosis
• 多嚢胞腎 multicystic kidney(多嚢胞性異形成腎multicystic dysplastic kidney)
• 多房性腎嚢胞 multilocular cysts of the kidney
• 髄質嚢胞性疾患 medullary cystic disease of the kidney(若年性ネフロン癆 juvenile nephronephthisis)
• 多嚢胞化萎縮腎(後天性嚢胞性腎疾患)acquired cystic disease      
  of the kidney)
• 常染色体劣性多発性嚢胞腎 autosomal recessive polycystic
  disease
<治療>
 高血圧を治療することは、腎機能低下速度を緩和し頭蓋内出血の危険因子を低下させます。また、バゾプレッシンV2受容体の拮抗薬トルバプタンの臨床試験が世界的規模で行われ、腎嚢胞の増大と腎機能の低下が抑制することが示されて、我が国では2014年3月から保険適用となっています。

14/11/2025

朝夜と一気に涼しくなりましたね。
秋!と言えば何を思い浮かべますか?
今回は芸術の秋!と言う事で「音楽」についてです。

音楽の力ってとても凄い力があります。
音楽療法をご存知ですか? みなさんも、音楽に合わせて踊ったり、歌に涙したり勇気付けられたり、 また懐かしい曲によってその当時にタイムスリップされた経験があるのではないでしょうか。 音楽には私たちの心や精神、身体や認知に働きかける力があります。

音楽は古代エジプトやギリシャ、中世ヨーロッパでは医療の一環として組み込まれ、ルネッサンス・バロック期においては、音楽と医療の総合的な治療が行われるほど、なくてはならない存在でした。

第二次世界大戦後には急速に実践や研究が進み、そして現代、音楽療法は多様な領域において臨床研究結果をベースに、世界中の医療・福祉・心理・教育の現場で行われ、効果を上げている臨床行為の1つになりました。

音楽療法では、対象者が必要とするケアを行うため、音楽を聴く・奏でる・創る・語るなどの方法を用いて、「音楽の持つ働き」で最善のサポートを目指すものなのです。

また、認知症の方にも音楽療法を取り入れてる所もあります。

認知症は神経内科疾患の中ではとても頻度が高い病気ですので、身近に認知症の人がいて、認知症の患者さんやその家族が抱えている苦労や問題を実感されている方も多いのではないかと思います。

認知症の症状には中核症状(記憶障害や理解力・判断力低下、問題解決能力低下など、大脳機能の低下そのものが原因で起こる症状)とBPSD(中核症状から二次的に出現する精神症状や行動異常で、幻覚、妄想、うつ、不穏、興奮、徘徊など)とがあります。認知症が進行するとできないことがだんだん増えていきますが、それとともにこのBPSDが起こると介護者を悩ませ、患者さん自身は不安定になり、自宅で生活することが難しくなります。
このような認知症の症状に対していろいろな非薬物療法が試みられていますが、音楽療法もそのような試みの一つです。
音楽の持つ作用を治療の中に用いて効果を得ようとするものです。音楽を聴くとリラックスできる、活力が出てくる、自然に体が動く、音楽を聴くと曲にまつわる過去の記憶が鮮やかによみがえる、このような誰もが経験しているような音楽の作用を治療に用います。認知症に対する音楽療法の効果は国内外の治療研究で示されており、特にBPSDに対して効果があると報告されています。

必ずしも音楽にこだわらず、ご本人が好きなこと、得意とすること(演奏・絵を描く・踊る・映像を観る等)も積極的にやってみるといいですね。

腎不全の治療において血液透析、腹膜透析ともうひとつの治療としての腎移植について説明します。<概要> 進行した腎不全の治療法には、大きく分けて2つの治療法があります。ひとつは、人工的に、腎臓の働きを補う「透析」、もうひとつは、他の人から提供し...
27/10/2025

腎不全の治療において血液透析、腹膜透析ともうひとつの治療としての腎移植について説明します。
<概要>
 進行した腎不全の治療法には、大きく分けて2つの治療法があります。ひとつは、人工的に、腎臓の働きを補う「透析」、もうひとつは、他の人から提供して頂いた腎臓を移植する「腎移植」です。「腎移植」は、病気で働きを失った腎臓にかわり、提供して頂いた健康な腎臓にその働きを代行してもらう方法です。「透析」は、腎臓の機能をすべて代行することはできないため、現時点では「腎移植」が腎不全の根本的治療法といえます。
<症状>
 腎不全とは、「腎臓の働きが低下(20~30%以下)し、体内の老廃物のろ過や水分・塩分の排泄などが十分行えない状態」をいいます。はじめは、さほど目立つ症状はありませんが、徐々にむくみ、貧血、吐き気、高血圧、さらには意識障害に至る尿毒症や、水分過剰に伴う呼吸困難、心不全が生じ、治療せずに放置すると死に至ります。
<診断>
 腎不全には、急性に起こるものと、慢性に起こるものとがあり、それぞれ原因が違います。急性腎不全は、大けが、大手術後、重症感染症、中毒などにより起こり、腎臓の働きは元通りに回復することもあります。慢性腎不全は、腎炎や糖尿病性腎症など、腎臓の病気によって起こります。治療によってある程度進行を遅らせることはできますが、少しずつ腎臓の働きが低下して、回復は期待できません。腎不全の程度は、採血検査、検尿、24時間尿をためる検査等で評価していきます。
<治療>
 慢性腎不全に対する治療は、「血液透析」、「腹膜透析」、「腎移植」があります。腎移植には、大きく分けて「生体腎移植」と「献腎移植」とがあります。生体腎移植は、主に身内の方(血縁6親等以内、姻族3親等以内)で腎臓を提供してくださる方(ドナー)から、2つある腎臓のうち1つを頂いて、患者さん(レシピエント)に移植する方法です。提供者の方が、腎提供後に腎不全にならないことが絶対条件です。そのために、必要な検査を受けて頂く必要があります。一方、献腎移植は、脳死者または心停止の方から腎臓の提供があった場合に、その腎臓を移植する方法です。臓器移植ネットワークに登録していただき、腎移植を待機することになります。2012年の統計では日本全国で生体腎移植1,417例、心停止下献腎移植116例、脳死下献腎移植77例でした。腎移植を行うと、老廃物や余分な水分が尿として移植した腎臓で作られ、自然に排泄できるようになり、全身の状態も安定します。恒常性の面からも、健康な人とほぼ同等になります。また透析治療から解放され、食事制限もほとんどなくなり、生活の質は大きく改善し、また生命予後の改善もみられます。女性では、妊娠、出産が可能になりますし、お子さんでは、ほぼ正常に近い発育も期待できます。現在、腎移植を受けた方のほとんどが、社会復帰を果たしております。血液型は同じ血液型のくみあわせが望ましいのですが(一致)、現在は血液型が同じでなくても、血漿交換等により拒絶反応のリスクを低くして腎移植は可能となっております。腎移植は全身麻酔下での比較的大きな手術が必要となります。また、拒絶反応が起こらないように免疫を抑える薬を一生飲み続けなければなりません。拒絶反応、感染症、免疫抑制剤の副作用などの合併症が起こる場合があります。
<生活上の注意>
 拒絶反応を予防するために、決められた量の薬をきちんと飲みましょう。尿量や体温、血圧、体重などをチェックしましょう。
免疫抑制剤によって免疫力が落ちておりますので、風邪をひかないように注意しましょう。他の薬を飲みたいときは、必ず主治医に相談してください。定期的な受診を必ず行いましょう。

17/10/2025

油について
「油は太る」とイメージだけを持っていませんか?実は油は、エネルギーになるのは当然ながら、細胞膜の原料になる、アレルギーの抑制、脳の発達…などの大きな役割があります。
でも、全ての油がそうではありません。
なので、油の質と摂り方がとっても重要です。
まず油には「見える油」と「見えない油」の2種類あることをご存知ですか?
・「見える油」というのは、
植物油やバターなど、普段、ご自身で調理で使う油のこと。
・「見えない油」というのは、
食品に含まれている油で食べる時は意識しづらい油のことです。
日本人の脂質摂取量を見ると、全体のおよそ8割を「見えない油」、残りの2割を「見える油」から摂取しています。
インスタント食品、冷凍食品、惣菜、加工食品…は全て「見えない油」として摂取しているのです。

同じ植物油でも、サラダ油、紅花油、ひまわり油、外食の油などのオメガ6(リノール酸)は、血中の総コレステロールを低下させるが、摂り過ぎるとアレルギーの炎症を引き起こす原因になります。
魚の油(DHA EPA)、アマニ油、エゴマ油などのオメガ3(リノレン酸)は、アレルギーの予防、血栓予防、血圧を下げるなどの効果があります。ただし、生で使用する事がポイントです。
オリーブ油、菜種油などのオメガ9(オレイン酸)は、血液中のLDLコレステロールを減らす効果があります。

野菜の栄養素には「脂溶性」のものが多くあります。たとえば、ビタミンA,E,D,Kやβ-カロテンなどです。脂溶性栄養素はそのまま食べても、あまり吸収されません。しかし栄養素が油に溶け出すことで、体に吸収されやすくなります。
なので、上手に油を使い分ける事がポイントになりますね!
・揚げる、炒める…など火を通す時は、オメガ9のオリーブ油や菜種油などに。
・ドレッシング、和える…など生で頂く時は、オメガ3のアマニ油やエゴマ油などに。

アレルギーや花粉症の方は、油の質を見直してみるといいですね!

☘️年齢別アドバイス☘️
・子どもの場合
育ち盛りの子どもにとって、
油は良質なエネルギー源です。
青魚に多く含まれているDHA(n-3系脂肪酸)が脳の発達にとても重要です。

・大人の場合
外食やお付き合いの機会が多くなる大人世代ですね。知らず知らず、偏った食事に
なることで「見えない油」の摂取が増える傾向にあります。「見えない油」のとりすぎに注意するとともに、油の質にも気をつけてとりましょう。

・シニアの場合
咀嚼(そしゃく)や飲みくだしなどの
食べる機能が低下しはじめる、シニア世代。
そのため、食べる量が減り、低栄養状態となることがあります。
例えば、65歳以上では約6人に1人、
85歳以上では約4人に1人が、
低栄養傾向にあると言われています。
食べる量を増やすことも大切ですが、
食べ方を工夫して効率よく栄養素を
補給することもお勧めです。
例えば、カルシウムの吸収を高め骨を強くするビタミンDやビタミンKは、油と一緒に摂取すると吸収が上がります。
サラダや炒めものなどで、植物油と一緒に野菜を食べましょう。

日本では血液透析に比較すると導入数は少ないですが、腎不全の治療としての腹膜透析について説明します。<腎代替療法について> 腎臓は、老廃物の排泄や水・電解質バランスの維持、そして様々な内分泌機能を担い、生きていくうえで必要不可欠な臓器です。腎...
01/10/2025

日本では血液透析に比較すると導入数は少ないですが、腎不全の治療としての腹膜透析について説明します。
<腎代替療法について>
 腎臓は、老廃物の排泄や水・電解質バランスの維持、そして様々な内分泌機能を担い、生きていくうえで必要不可欠な臓器です。腎臓病や様々な全身性疾患の影響により腎臓の機能が著しく低下すると、腎代替療法(腎臓の機能を代替する治療法)が必要となります。腎代替療法として腎移植と透析療法が確立されており、透析療法の選択肢として血液透析と腹膜透析があります。我が国では、海外と比較して様々な理由で腎移植が少なく(年間約1,800例)、腎臓の機能が著しく低下し末期腎不全の状態となった症例の大半が透析療法を選択します(年間約34,000例)。我が国の維持透析患者数は約34万人で、その約97%は血液透析を、約3%は腹膜透析を受けています。ここでは、腎代替療法のひとつである腹膜透析という治療法について、その仕組みや実際の導入や治療の流れ、そして長所や気を付けなければならないことについて説明します。
<腹膜透析の仕組み>
 透析療法の目的は、腎不全のため体内に蓄積した老廃物や余剰の水・電解質を体外へと排泄することです。腹膜透析では、腹膜腔内に専用の腹膜透析液を一定時間貯めておくと、腹膜腔をとりかこむ毛細血管を流れる血液に含まれる老廃物や余剰の水・電解質が透析液へと移動することから、この透析液を何回も交換することにより体内に蓄積した老廃物や余剰の水・電解質を本来の腎臓の機能を代替するかたちで体外へと排泄できる、という現象を利用します。腹膜透析を受けるためには、腹膜腔(腹部の肝臓や消化管などが存在し腹膜によって内張りされた空間)に透析液を注排液するためのアクセス、すなわち腹膜アクセスが必要となります。これは、血液透析を受けるために、血液を血液浄化装置の回路に流すためのアクセス、すなわち血液アクセスが必要であることと同じです。腹膜アクセスとして腹膜透析カテーテル(太さ数mmのシリコン製チューブ)を使用します。腹膜透析を選択した方は、腹膜透析カテーテルの一方の端が腹腔内の一番低い部分(骨盤底)に納まるように留置して腹壁で固定し、もう一方の端を腹壁経由で体外へと引き出す手術(腹膜透析カテーテル留置術)を受けて、腹膜アクセスを準備したうえで腹膜透析を始めます。
<腎代替療法選択と腹膜透析導入の流れ>
 腎臓の機能が悪化し、将来的に腎代替療法が必要になると判断された方には、腎代替療法の選択肢(腎移植・血液透析・腹膜透析)について十分な説明を受けていただきます。どの治療法にも特徴や長所・短所があり、何に重きをおいてどの治療法を選択するかは症例ごとに大きく異なり、また同じ症例でもライフステージによって大きく異なります。腎代替療法の選択にあたっては、できるだけ早い段階から腎代替療法と向き合い、ご自身やご家族ならびに担当の医療従事者の間で十分に相談を重ねて意思決定を共有することが、「腎代替療法のある人生」へと円滑に進むうえで非常に大切です。腹膜透析を選択した場合、外来で腹膜透析の手順をトレーニングし習得したうえで、適切な時期に腹膜透析導入のため入院することとなります。この入院の一般的な経過として、腹膜透析カテーテル留置術の2日前に入院し、手術の5日後から腹膜透析を開始し、その後約10日間の入院での腹膜透析で特に問題がなければ、手術創(手術のきず)の状態を確認し退院となります。退院約2週間後に外来で腹膜透析の実施状況や手術創の状態を確認し、特に問題ないようであれば、その後は基本的に自宅で治療を続けながら月1回通院します。
<腹膜透析治療の流れ>
 腹膜透析の基本的な治療パターンは、腹膜透析液を1回2~4時間貯留して、1日に2~3回交換し、これを毎日続けます。注液と排液は、専用の器材を使用して決められた手順で行い、その所要時間は多くの場合それぞれ10分程度です。操作が必要なのは、この注液と排液の時だけで、それ以外の貯留中や排液後の時間は一般的な日常生活(仕事・学業・家事・外出など)に充てることができます。また、注液と排液の時間は問いません。貯留時間と交換回数を守って、生活上最も都合の良い時間に治療を行うことができます。また、自動腹膜透析(APD)は、予め設定した量と回数の注排液を、予め設定した時間配分で、自動で行う装置を使用する腹膜透析です。APDの治療中は腹膜透析カテーテルが装置と接続されたままになりますが、室内の移動や短時間の中断(トイレなど)は問題なく可能であることから、就寝中や在宅勤務中などに追加操作なく治療を完了できます。腹膜透析では、このような治療を続けながら、月1回程度の頻度で外来を受診し、血液検査や胸部レントゲン画像検査で老廃物や水・電解質の蓄積状況やその他の腎不全に関連する合併症や併存疾患の状況を調べ、必要に応じて注射薬や内服薬も投与します。腹膜透析を続けていくなかで、透析が不足し老廃物や水・電解質が体内に蓄積した場合、まずは透析液の種類を変更したり、1回の注液量や交換回数を増やしたりして対応します。APDを上手に活用することで、無理なく交換回数を増やすことができます。腹膜透析の処方を十分に工夫しても透析が不足してしまう場合には、血液透析を併用します(ハイブリッド透析)。血液透析は、血液浄化装置を使用して血液から老廃物や余剰の水・電解質を直接除去する強力な治療法なので、ほとんどの症例では、週1回の併用で透析の不足を補うことができます。それでも透析が不足する場合は、血液透析の併用回数を増やし、やがて腹膜透析を離脱し週3回の血液透析へと完全に移行することになります。このように、腹膜透析と血液透析は完全に独立した治療法ではなく、お互いに補い合いながら段階的に移行するものであり、ハイブリッド透析のように両者の「良いとこ取り」もできるのです。

<腹膜透析の長所>
 腹膜透析の特徴として、(1)人体にもともと備わっている腹膜腔を活用した治療法であり、血液を体外で循環させ血液浄化装置を使用する血液透析と比較して、非常に穏やかであること、(2)大がかりな設備が不要であるため自宅などで治療を行うことができ、通院回数が血液透析と比較して非常に少ないこと、が挙げられます。多くの症例では、透析導入時点では本来の腎臓の機能(残存腎機能)がわずかながら残されています。残存腎機能をできるだけ保つことに、医学的に大きなメリットがあるとされていますが、腹膜透析は非常に穏やかな治療であるため、治療による全身への負担が血液透析と比較して小さく、残存腎機能の保護という点で優れています。また、穏やかな治療であるという腹膜透析の特徴は、心臓や血管の機能が低下した症例や、様々な疾病で全身状態が優れない症例で特に役立ちます。自宅などで治療を行うことができる、という腹膜透析のもうひとつの特徴は、透析導入後もそれ以前とできるだけ変わらない生活を続けるうえで重要となります。また、大がかりな設備が不要でライフラインへの依存度も極めて小さいため、血液透析と比較して災害の影響を非常に受けにくいといえます。最近では、新型コロナウイルス流行下で外出し病院を受診することなく治療を続けられるという点でも、腹膜透析は改めて注目されています。腹膜透析と血液透析はお互いに補い合う治療法であることを説明しましたが、腹膜透析のこのような特徴は、血液透析の症例でも上手に活用することができます。例えば、心臓や血管の機能が低下した血液透析症例で、治療による身体的な負担を軽くするためにハイブリッド透析や腹膜透析へと移行することができます。また、高齢化や脳血管障害の後遺症などで身体機能が低下し週3回の通院が困難となった血液透析症例で、通院回数を減らすためにハイブリッド透析や腹膜透析へと移行することができます。

<腹膜透析で注意すべきこと>
 このような腹膜透析の特徴をきちんと理解することで、腹膜透析で注意すべきことも正しく認識できます。非常に穏やかな治療であるということは、すなわち老廃物や過剰な水・電解質が体内にいったん蓄積してしまうと、それらを効率よく除去することが難しくなる、ということを意味します。残存腎機能の低下による透析不足は不可避といえますが、飲食の制限はしっかりと守る必要があります。腹膜透析で最も注意すべきことは、腹膜炎(腹膜透析腹膜炎)です。腹膜炎をはじめとする腹膜透析関連感染症の発症については、治療が医療機関外で行われるため医療従事者のチェックが行き届きにくいことも一因と考えられます。実際に、腹膜透析腹膜炎をはじめとする腹膜透析関連感染症の少なくない症例で、指導された治療手順を守らなかったり独自に改変したりしたことによる細菌の混入が直接の原因となっています。このことは、決して難しくない治療手順さえしっかりと守れば、腹膜炎のリスクを大幅に減らすことができる、ということでもあります。自分の健康は自分で守るという考え方は、安全で快適な腹膜透析を続けるうえでも非常に大切です。腹膜透析の合併症として、被嚢性腹膜硬化症(EPS)もしばしば挙げられます。EPSは、腹膜が変性して癒着・線維化・硬化し、腸閉塞を来してしばしば死に至る、予後不良な疾患です。腹膜透析症例におけるEPSの発症には、旧型の酸性透析液の関与が知られており、酸性透析液を用いた腹膜透析の継続年数が長くなるとEPSの発症頻度も高くなるため、5~8年で腹膜透析の中止を余儀なくされる場合が多々ありました。我が国では約20年前に酸性透析液から中性透析液への切り替えが進み、現在は当院をはじめとするほとんどの医療機関で生体親和性に優れた最新世代の中性透析液が使用されています。中性透析液を用いた腹膜透析では、継続年数が長くなってもEPSの発症頻度が極めて低い水準のまま変わらないことが示されており、現在の我が国では、EPSを理由に腹膜透析を避けることや順調に続けられている腹膜透析を中止することは適切ではありません。なお、EPSは、腹膜透析に特有の合併症ではありませんが(酸性透析液の時代であっても腹膜透析はEPSの原因の1割程度を占めるに過ぎなかったと報告されています)、腹膜に強い炎症や刺激が加わることで発症のリスクが高まります。つまり、腹膜透析腹膜炎を何度も繰り返す場合には、EPS発症のリスクが高くなるため、腹膜透析を中止することがあります。

15/09/2025

腸内環境を意識した事はありますか?
腸内環境を整えることは、単なる便通改善に留まらず、免疫力向上、肌の健康改善、メンタル、そして生活習慣病予防など、全身の健康に深く関わるとても重要な事なのです。
また、腸は「第二の脳」と呼ばれるほど脳との密接な関係があり、腸内細菌のバランスが全身の様々な機能に影響を与えています。

腸の役割でよく知られているのが、細菌やウイルスから体を守る免疫の働きです。腸は「最大の免疫器官」といわれ、免疫細胞の6割以上が集中しています。腸内環境がよければ免疫細胞が活性化し、正常に働きますが、腸内環境が悪化すると免疫細胞の働きが低下し、感染症にかかりやすくなってしまいます。�また、腸内環境の悪化は下痢や便秘、過敏性腸症候群といった腸の病気をはじめ、花粉症をはじめとしたアレルギー性疾患など様々な病気の引き金にもなります。�腸は私たちの健康を根底で支える要ともいえる臓器なのです。
だからこそ腸内環境を整える腸活が大切なのです。さらに、腸内環境のよしあしは肌の調子や見た目の若さにも関係することが解明され、美容やアンチエイジングのためにも腸活に注目する人が増えています。

*腸内環境の良い状態とは?
お腹の中には、腸内環境を大きく左右するたくさんの腸内細菌がすみついています。
小腸から大腸にかけて生息する腸内細菌は、約1000種類、100兆個にも及ぶといわれ、これらの細菌がグループごとに密集している様子はまるでお花畑のように見えることから、「腸内フローラ」(floraは英語で“植物群”の意味)と呼ばれています。

腸内細菌は大きく「善玉菌」、「悪玉菌」、「日和見菌(ひよりみきん)」の3種類に分けられます。善玉菌は体に有用な働きをする菌で、ビフィズス菌や乳酸菌などがその代表です。
一方、悪玉菌は増え過ぎると体に悪影響を与える菌で、主なものにウェルシュ菌やディフィシル菌などがあります。日和見菌はこのどちらにも属さない中間的な菌です。�ただし、悪玉菌健康維持のために一定の役割を果たしているので、全部が善玉菌であればよいという単純な話ではありません。あくまでもバランスが大事で、腸内フローラの状態が最もよいのは、「善玉菌2:悪玉菌1:日和見菌7」の割合の時とされます。
また、最近では腸内細菌の「多様性」も重視されるようになっています。
多種多様な菌が共生することで、一部の菌がダメージを受けても他の菌がそれを補い、腸内環境を良好な状態に保つことができるためです。�つまり“腸内環境がよい”とは、「多様性に富んだ腸内細菌が、バランスよく存在している」こと。
逆に腸内環境の悪い状態とは、この多様性が失われてしまうことです。腸内フローラの多様性を育てることが、まさに腸活の本質といってよいでしょう。

*腸内環境が悪化する原因とは?
腸内フローラは指紋のように一人ひとり異なり、善玉菌や悪玉菌のバランスは年齢や体調、生活習慣などによって刻々と変化します。
・加齢
一般に60歳くらいになるとビフィズス菌などの善玉菌が減り始め、代わってウェルシュ菌などの悪玉菌が増えてくる傾向にあります。また、年齢と共に腸内細菌の多様性も失われやすくなるために、高齢期に便秘になる人が増えたり下痢を起こしやすくなったりするのも、こうした腸内環境の悪化が影響しています。
・食生活
腸内細菌は食事で摂った食べ物をエサにしているため、食生活は腸内環境にダイレクトに影響します。肉類や加工食品に偏った食生活では脂質や動物性タンパク質を好む悪玉菌が増え、相対的に善玉菌が減って健康な腸内フローラを保ちにくくなります。また、暴飲暴食や過度なダイエットなども腸内環境を悪化させます。
・ストレスなどが挙げられます
腸の働きは自律神経によって支配されているため、過剰なストレスで自律神経が乱れると腸の働きが低下し、悪玉菌が増えやすくなります。腸内環境が悪い人はストレスに弱く、うつなど心の病気を発症しやすいことが分かっています。

*「便」は腸内環境を知るバロメーター�便の約80%は水分で、残りの20%が食べかすや腸内細菌、はがれ落ちた腸粘膜からできています。腸内環境のよしあしは、便を見るとだいたい分かります。
便秘の診断などに用いられる国際基準「ブリストルスケール(BSS)」では、便をその形状により7つのタイプに分類しています。
1.コロコロ便
2.かたい便
3.ややかたい便
4.普通便
5.やや柔らかい便
6.泥状便
7.水様便
便秘の診断などに用いられる国際基準「ブリストルスケール(BSS)」では、便をその形状により7つのタイプに分類しています。タイプ3~5が正常範囲で、理想的な便とされているのはタイプ4。腸の働きをよくする善玉菌が優勢になっている状態です。
一方、硬い便や柔らか過ぎる便、においのきつい便の場合は、腸内環境が悪くなっている可能性があります。�腸活をして腸内環境がよくなると、タイプ4に近づきます。便の状態を確認しながら、自分の腸に合わせた腸活を行っていきましょう。

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