いしづかクリニック

いしづかクリニック 地域のかかりつけ医として、会話を大切にした心温かい、人に寄り添う本?

15/09/2025

腸内環境を意識した事はありますか?
腸内環境を整えることは、単なる便通改善に留まらず、免疫力向上、肌の健康改善、メンタル、そして生活習慣病予防など、全身の健康に深く関わるとても重要な事なのです。
また、腸は「第二の脳」と呼ばれるほど脳との密接な関係があり、腸内細菌のバランスが全身の様々な機能に影響を与えています。

腸の役割でよく知られているのが、細菌やウイルスから体を守る免疫の働きです。腸は「最大の免疫器官」といわれ、免疫細胞の6割以上が集中しています。腸内環境がよければ免疫細胞が活性化し、正常に働きますが、腸内環境が悪化すると免疫細胞の働きが低下し、感染症にかかりやすくなってしまいます。�また、腸内環境の悪化は下痢や便秘、過敏性腸症候群といった腸の病気をはじめ、花粉症をはじめとしたアレルギー性疾患など様々な病気の引き金にもなります。�腸は私たちの健康を根底で支える要ともいえる臓器なのです。
だからこそ腸内環境を整える腸活が大切なのです。さらに、腸内環境のよしあしは肌の調子や見た目の若さにも関係することが解明され、美容やアンチエイジングのためにも腸活に注目する人が増えています。

*腸内環境の良い状態とは?
お腹の中には、腸内環境を大きく左右するたくさんの腸内細菌がすみついています。
小腸から大腸にかけて生息する腸内細菌は、約1000種類、100兆個にも及ぶといわれ、これらの細菌がグループごとに密集している様子はまるでお花畑のように見えることから、「腸内フローラ」(floraは英語で“植物群”の意味)と呼ばれています。

腸内細菌は大きく「善玉菌」、「悪玉菌」、「日和見菌(ひよりみきん)」の3種類に分けられます。善玉菌は体に有用な働きをする菌で、ビフィズス菌や乳酸菌などがその代表です。
一方、悪玉菌は増え過ぎると体に悪影響を与える菌で、主なものにウェルシュ菌やディフィシル菌などがあります。日和見菌はこのどちらにも属さない中間的な菌です。�ただし、悪玉菌健康維持のために一定の役割を果たしているので、全部が善玉菌であればよいという単純な話ではありません。あくまでもバランスが大事で、腸内フローラの状態が最もよいのは、「善玉菌2:悪玉菌1:日和見菌7」の割合の時とされます。
また、最近では腸内細菌の「多様性」も重視されるようになっています。
多種多様な菌が共生することで、一部の菌がダメージを受けても他の菌がそれを補い、腸内環境を良好な状態に保つことができるためです。�つまり“腸内環境がよい”とは、「多様性に富んだ腸内細菌が、バランスよく存在している」こと。
逆に腸内環境の悪い状態とは、この多様性が失われてしまうことです。腸内フローラの多様性を育てることが、まさに腸活の本質といってよいでしょう。

*腸内環境が悪化する原因とは?
腸内フローラは指紋のように一人ひとり異なり、善玉菌や悪玉菌のバランスは年齢や体調、生活習慣などによって刻々と変化します。
・加齢
一般に60歳くらいになるとビフィズス菌などの善玉菌が減り始め、代わってウェルシュ菌などの悪玉菌が増えてくる傾向にあります。また、年齢と共に腸内細菌の多様性も失われやすくなるために、高齢期に便秘になる人が増えたり下痢を起こしやすくなったりするのも、こうした腸内環境の悪化が影響しています。
・食生活
腸内細菌は食事で摂った食べ物をエサにしているため、食生活は腸内環境にダイレクトに影響します。肉類や加工食品に偏った食生活では脂質や動物性タンパク質を好む悪玉菌が増え、相対的に善玉菌が減って健康な腸内フローラを保ちにくくなります。また、暴飲暴食や過度なダイエットなども腸内環境を悪化させます。
・ストレスなどが挙げられます
腸の働きは自律神経によって支配されているため、過剰なストレスで自律神経が乱れると腸の働きが低下し、悪玉菌が増えやすくなります。腸内環境が悪い人はストレスに弱く、うつなど心の病気を発症しやすいことが分かっています。

*「便」は腸内環境を知るバロメーター�便の約80%は水分で、残りの20%が食べかすや腸内細菌、はがれ落ちた腸粘膜からできています。腸内環境のよしあしは、便を見るとだいたい分かります。
便秘の診断などに用いられる国際基準「ブリストルスケール(BSS)」では、便をその形状により7つのタイプに分類しています。
1.コロコロ便
2.かたい便
3.ややかたい便
4.普通便
5.やや柔らかい便
6.泥状便
7.水様便
便秘の診断などに用いられる国際基準「ブリストルスケール(BSS)」では、便をその形状により7つのタイプに分類しています。タイプ3~5が正常範囲で、理想的な便とされているのはタイプ4。腸の働きをよくする善玉菌が優勢になっている状態です。
一方、硬い便や柔らか過ぎる便、においのきつい便の場合は、腸内環境が悪くなっている可能性があります。�腸活をして腸内環境がよくなると、タイプ4に近づきます。便の状態を確認しながら、自分の腸に合わせた腸活を行っていきましょう。

今回、聞かれたことがあると思いますが、代表的な腎臓病の治療である血液透析についてご紹介します。<概要> 腎不全が進行し、腎臓の機能が一定レベル以下に低下する(健常者の10%以下)と、尿毒症を発症し、腎臓の機能を代行するための治療法である腎代...
26/08/2025

今回、聞かれたことがあると思いますが、代表的な腎臓病の治療である血液透析についてご紹介します。
<概要>
 腎不全が進行し、腎臓の機能が一定レベル以下に低下する(健常者の10%以下)と、尿毒症を発症し、腎臓の機能を代行するための治療法である腎代替療法(じんだいたいりょうほう)が必要となります。腎代替療法には、血液透析、腹膜透析、腎移植という3つの治療法があります。日本では、324,986人の方が透析治療を受けていますが、そのうち、96.5%の方が血液透析を受けており、血液透析は腎代替療法として最も普及した治療法です(2015年末時点、日本透析医学会「わが国の慢性透析療法の現況」による)。血液透析は、バスキュラーアクセスから血液を取り出し、透析液を環流させたダイアライザ(人工腎臓)で浄化し、体内に戻す治療です(図1)。通常、この治療を週に3回、4時間程度行います。わが国の血液透析の成績は世界でも群を抜いて良く、透析後の寿命も伸びています。血液透析を30年以上続けている方が3万人以上いらっしゃいます。仕事を続けながら血液透析を受けている方もたくさんいます。ただし、血液透析は腎臓を治療する方法ではなく、腎臓の機能を代行する治療法ですので、原則的に、一生涯続けることになります。
<いつ血液透析を始めるのか>
 いつ血液透析を開始するかは、臨床症状、腎機能検査、日常生活の障害度、年齢、原因疾患などから総合的に判断されます。血清クレアチニン8mg/dL(健常者の腎機能の10%に相当する)が透析導入の目安と考えられています。血清クレアチニン8mg/dLを超えた状態は、腎臓の予備能はほとんどない状態ですから、風邪などのちょっとした体調の変化をきっかけに、いつ重篤な尿毒症が出現してもおかしくありません。したがって、尿毒症が出現しないうちに、血液透析を開始し、入院期間を短くして、早く社会復帰する方法が推奨されています。しかしながら近年の研究では早期の導入が必ずしもその後の患者さんの予後を良くするわけでもないという報告もあり、導入の基準に一定のものもありません。透析前の腎不全の状態(保存期といいます)から慢性腎臓病をしっかり治療し、主治医の先生とよく相談して透析導入を検討すべきと考えます。
なお、末期腎不全に伴う尿毒症症状とは、
• 全身のむくみ(特に、肺に水のたまる肺水腫)
• 薬などで治療できない電解質や血液のpH(酸塩基)の異常
• 吐き気、食欲不振などの消化器症状
• 重度の高血圧、心不全などの循環器症状
• 中枢・末梢神経障害、精神障害などの神経症状
• 高度の貧血、出血が止まりにくくなるなどの血液異常
などです。これらの症状は血液透析によって改善できますが、保存期の治療によっても改善できます。ただし、肺水腫、心不全などの命に関わる尿毒症が出た場合には、速やかに透析を開始することが必要です。血液透析を開始するにあたってひとつ準備をしなければいけないことがあります。それが、バスキュラーアクセスです。血液透析を行うためには大量の血液を体外に導き出す必要があります。このように血液透析のために血液が取り出せる出入り口をバスキュラーアクセスと呼び、代表的なものがシャントと呼ばれるものです。シャントは、通常利き腕と反対の腕の手首付近で、動脈と静脈をつなぐことで作ります。シャントによって、表面の静脈に大量の血液が流れるようになります。血液透析療法を行う際には、この大量の血液が流れている静脈に針を刺して、血液をダイアライザで浄化し、浄化した血液をもう1本の針から体内に戻します。シャントが使えるようになるまでには2週間程度の時間がかかりますので、血液透析をそろそろ始めないといけないという段階になったら、事前に、短期間入院し、手術を受け、シャントを用意しておきます。バスキュラーアクセスは、透析患者さんにとっては命綱のようなものであり、日常生活でもバスキュラーアクセスが閉塞しないような注意が必要です。
 <血液透析の実際>
血液透析の役割は大きく2つに分けて考えることができます。一つは、血液の浄化であり、本来なら腎臓から体外に排泄される老廃物(尿毒素)やカリウムやリンなどを取り除き、カルシウムやアルカリなどを透析液から補います。もう一つの役割は、本来、尿として排泄されるべき水分を除去することです。これらにより、本来の腎臓の機能のかなりの部分を代行することができます。しかし、本来の腎臓のもつ内分泌機能(造血ホルモンであるエリスロポエチンの産生、カルシウム・リンのバランス保持に重要なビタミンDの活性化)は代行できません。また、血液透析では、体に必要なビタミンやアミノ酸などを失ってしまう一方、本来は除去しなければいけないアミロイドーシスの原因物質であるβミクログロブリンなどを完全には除去できません。これらが、長期の血液透析患者さんの合併症につながります。実際に、血液透析を始める際には、事前にバスキュラーアクセスを作っておいて、外来通院を続けながら、血液透析が必要と判断したら、入院をしていただいて血液透析を開始します。血液透析を始める際には、通常10日間程度入院します。これは、血液透析開始時には、血液透析の条件を設定したり、適切な体液量を決定することに時間がかかるためです。そして血液透析の合併症などがなければ、退院していただいて、居住地または勤務先近くの通院しやすい外来透析施設に通いながら、通常週3回、3~4時間の透析を続けます。この退院してからの外来透析施設の選択は、学会が発行する施設のリストがありますのでそれをもとに選んでいただきます。
<血液透析患者さんに起こりやすい合併症>
1. 貧血
エリスロポエチンは腎臓から分泌されており、慢性腎不全患者さんにおいてはエリスロポエチン不足による腎性貧血がほぼ必発です。腎性貧血の治療の基本はエリスロポエチン製剤の投与です。透析を受けている場合は、血液透析の際に、エリスロポエチン製剤の投与を受けます。ヘモグロビン(Hb):10g/dL以上を目標として投与量を調整します。ただし、活動性の高い若い方の場合、Hb:11-12g/dLとやや高めの値を目標とします。エリスロポエチンを投与しているにもかかわらず、貧血が続く場合には、鉄不足や消化管出血などを考えます。
2. カルシウム・リン代謝異常
長期の透析患者さんは、透析骨症または腎性骨症と呼ばれる多様な骨の障害を起こすことがあります。このような骨の障害は、生活の質を落とすことになるので、重要な合併症と考えられています。このような骨障害を防ぐためには適正なカルシウム・リンバランスを保つことが重要です。透析患者さんにおける適正値は血清リン3.5-6.0mg/dl、血清カルシウム 8.4-10.0mg/dl、PTH intact(副甲状腺ホルモン)60pg/mL-240pg/mLです。
血液透析患者さんでは、血中のリンが高くなりやすく、食事でのリンの制限が必要です。ただし、多くの場合、食事制限だけでは高リン血症を防げないので、様々な食事のリン吸着薬を服用します。
腎機能が低下すると、腎臓におけるビタミンDの活性化が行われないため、ビタミンD不足になります。ビタミンD製剤はリンを上げ、カルシウムを上げ、PTHを抑えます。ビタミンD製剤は通常、内服しますが、重度の二次性副甲状腺機能亢進症患者さんでは、透析後にビタミンD製剤を静脈投与するという方法もあります。また、Ca受容体作動薬(シナカルセット)という薬剤も近年使われています。しかしながら、このような薬による治療でも、副甲状腺機能亢進症が続く場合には、副甲状腺摘出術やエタノール注入療法(PEIT)を行います。
3. 高カリウム血症
透析患者さんの場合、高カリウム血症を来しやすくなります。カリウム含有量の多い食事(生野菜、果物など)を避け、カリウムを減らす調理法(野菜をゆでこぼす)によって、透析前カリウム値:3.5-5.5mEq/lとなるようにします。食事で十分にカリウムが下がらない場合には、カリメートなどのイオン交換樹脂製剤を服用します。
4. 心不全と感染症
血液透析、腹膜透析患者さんにおいて死因の第一位は心不全、第二位は感染症です。血液透析患者さんは心臓、血管の合併症が多く、定期的な心機能、動脈硬化の検査が推奨されます。また透析患者さんは免疫能の低下やシャントからの感染などで感染症のリスクが高いことが知られています。定期的な感染予防、予防接種が奨励されています。
<透析患者さんの食事>
透析患者さんの食事で最も重要なのは、飲水の制限です。1日の食事外水分は体重1kgあたり15mlに尿量を加えたものとします。透析間の体重増加を、中1日で体重の3%以内、中2日で体重の5%以内を目標とします。血液透析開始前に比べればタンパク制限は緩くなりますが、リンとカリウムの制限がうまくできないことが多いようです。
維持透析期の食事療法について、2014年の日本透析医学会の指針を示します。
総エネルギー:30-35kcal/kg標準体重/日
蛋白:0.9-1.2g/kg標準体重/日
食塩:6g/日未満
カリウム制限:2.0g/日以下
食事外水分:できるだけ少なく
リン:たんぱく(g)X15mg/日以下
標準体重は次の式で計算します。標準体重=22x(身長(m))2

14/08/2025

「ストレッチをしましょう」と良く言われますよね。
では「ストレッチ」にはどのような効果があるのでしょうか。ストレッチは、自宅でも簡単に行える身近な運動です。実は、ストレッチには「静的ストレッチ」と「動的ストレッチ」の2種類があり、それぞれ得られる効果が異なります。
特に静的ストレッチは、疲労回復やリラックス、肩こり軽減などの効果が期待できるため、体の不調を感じている人におすすめです。
「ストレッチ(stretch)」という言葉には「伸ばす」という意味があり、そこから派生して、体の筋肉を伸ばす柔軟体操のことを指します。正式には「ストレッチング(stretching)」や「ストレッチ体操」といいますが、略して「ストレッチ」と呼ばれることが一般的です。

★ストレッチの効果★
①柔軟性の向上
ストレッチをすると、筋肉や靱帯(じんたい)の柔軟性が高まり、体の動きがよりスムーズになります。また、筋肉をゆっくりと伸ばすように意識すると、筋肉を縮めようとする反射(ストレッチ反射)が和らぎ、筋肉がリラックスした状態を保ちやすいといわれています。
②血行促進
ストレッチをすると、硬くなっていた筋肉や血管が刺激され、ストレッチ後の血流が増加します。血行がよくなると、体中に酸素や栄養が行き渡りやすくなるというメリットも。最近では、ストレッチをすることで血管の柔軟性が高まり、動脈硬化の予防につながる可能性があることもわかってきています。
③疲労回復
ストレッチをすると血行がよくなり、筋肉に酸素や栄養が行き渡りやすくなるだけでなく、筋肉に溜まった老廃物を効率よく排出できるというメリットも。結果として筋肉の疲労回復が早まり、疲労感の軽減が期待できます。
④ 肩こりや腰痛、関節痛の軽減
長時間同じ姿勢を続けたり、繰り返し同じ動作をしたりすると、筋肉の柔軟性に偏りが生じ、肩こりや腰痛、関節痛などの不調を引き起こすことも。ストレッチをすると、柔軟性の偏りや筋肉のこわばりが解消されるため、それらの不調の軽減につながります。
⑤姿勢改善
長時間の猫背や前かがみなどの姿勢は、特定の筋肉に負担がかかるため、肩こりや腰痛の原因に。肩甲骨や首のストレッチを継続的に行うと、関節の可動域が広がるため、姿勢の改善が期待できます。
⑥リラックス効果
最近の研究から、ストレッチにはリラックス効果もあるということが明らかになってきています。余裕があるときは、30分ほどかけて全身の筋肉を順番に伸ばすストレッチをするのもよいでしょう。ストレッチをすると、体を休めるときに働く「副交感神経」の活動が活性化するため、深いリラックス効果を得られるといわれています。

ストレッチの種類
ストレッチには、大きく分けて「静的ストレッチ」と「動的ストレッチ」の2種類があります。ここでは、それぞれの特徴とおすすめのストレッチを紹介します。

☆ 静的ストレッチ
静的ストレッチは「スタティックストレッチ」とも呼ばれ、筋肉をゆっくりと伸ばしたまま、反動や動きはつけずに、その状態を一定時間保つストレッチ方法です。静的ストレッチには、筋肉をリラックスさせることで柔軟性を高める効果があるといわれています。さらに、副交感神経が活性化されるので、心身が落ち着くというメリットも。特に、運動後や就寝前に行うと、リラックスしやすくなるといわれています。

[首のストレッチ】
①リラックスしてイスに座り、左手で座面のへりを持つ
②首を前に倒し、右に向ける
③右手を頭の左側にあて、ゆっくり首を右斜め前に押し10秒キープ
④反対側も同様に行う
【背中・肩甲骨のストレッチ】
①足を開いて立ち、左腕をまっすぐ前に出す
②右手で左の前腕をつかむ
③左腕を右手で右側に引くようにし、上体を右側に向け10秒キープ
【腰のストレッチ】
①仰向けになり、膝を両手で抱えて胸に近づける
②腰が丸まるように両膝をしっかり引き寄せて30秒キープ
③この動きを3回繰り返すのを1セットとして、1日3セット行う
※辛い場合は、お尻の下に座布団や枕などを敷くと楽にできますよ!

☆動的ストレッチ
関節や筋肉を動かしながら柔軟性を高めるストレッチ方法です。代表例としては、ラジオ体操が挙げられるでしょう。
動的ストレッチは、筋肉を動かしながら徐々に伸ばしていく「ダイナミックストレッチ」と、反動の力で筋肉を大きく引き伸ばす「バリスティックストレッチ」に分けられます。動的ストレッチには、運動のパフォーマンスを向上させるだけでなく、怪我を防止する効果もあるため、起床後や運動前の準備運動として行うといいですよ


【肩甲骨のストレッチ】
①足を開いて立ち、できるだけ高く腕を頭上に上げ、肘を伸ばして手の甲を合わせるようにする
②肩甲骨を寄せながら、半円を描くように腕を下ろす。このとき、手のひらの向きが合うように手首を内側に返す

【体幹部の動きを高めるストレッチ】
①四つんばいの姿勢になり、手は肩の下、膝は股関節の下を意識する。このとき、目線は下を向いた状態でセットする
②ゆっくり息を吸いながら、へそを床に近づけるように背中をそらし、同時に肩甲骨を寄せる
③ゆっくり息を吐きながら、肩甲骨をできるだけ引き離すように、背中を丸める

★ストレッチの効果を高めるポイント
①無理をしない
柔軟性が低い筋肉を無理に伸ばすと、痛みをともなう「オーバーストレッチ」になり、筋肉を痛める原因となることも。そのため、ストレッチをする際は、無理せず、気持ちいいと感じる範囲内で行うことが大切です。「痛気持ちいい」と感じるくらいが、最も効果を得ることができるといわれています。

②ストレッチしている筋肉を意識する
ストレッチをしている間は、どこの筋肉が伸びているか、意識するようにしましょう。「今は〇〇の筋肉が伸びている」と自分の体に意識を向けながら行うと、筋肉の状態を感じ取りやすくなります。
このように神経と筋肉の連携が高まると、ストレッチの効果がさらに向上します。また、筋肉を伸ばす際の力加減を調整しやすくなるため、ストレッチを安全に行えるようになるでしょう。

③呼吸を止めない
ストレッチをしている間は、呼吸を止めないようにすることも大切。息を止めると体が緊張し、筋肉が十分に緩まらないだけでなく、血圧が上昇し、体に余計な負担がかかってしまう場合もあります。
鼻と口を使い、細く長くゆったりとした呼吸をしながらストレッチをすることで、リラックスした状態を保ちやすくなります。

④ 最低でも20秒は伸ばすように心がける
ストレッチを行う際は、時間をかけてゆっくり伸ばすことが大切です。ストレッチを始めてから最初の5~10秒は、筋肉の伸ばし具合を調節するのに使われるため、すぐにストレッチをやめてしまうと十分な効果を得られません。
最低でも20秒以上は筋肉を伸ばすよう意識しましょう。呼吸が止まらないように、声に出しながらゆっくり20秒カウントするのもおすすめです。

ストレッチを継続して行うと、筋肉の柔軟性が高まるだけではなく、疲労回復や肩こりの軽減、血行促進などさまざまな効果が期待できます。さらに、ストレッチにはリラックス効果もあるため、仕事の休憩時間や就寝前などに行い、習慣化するといいですよ。
よろしくお願いします

今回は、主たる腎疾患の糸球体腎炎をご紹介します。<概要> 腎臓は、血液の中の老廃物を除去し、尿を生成する臓器です。尿を生成する最初のステップは、血液を濾過(ろか)することですが、その濾過装置の1個1個を「糸球体(しきゅうたい)」と呼びます。...
29/07/2025

今回は、主たる腎疾患の糸球体腎炎をご紹介します。
<概要>
 腎臓は、血液の中の老廃物を除去し、尿を生成する臓器です。尿を生成する最初のステップは、血液を濾過(ろか)することですが、その濾過装置の1個1個を「糸球体(しきゅうたい)」と呼びます。人体には腎臓が2つあり、1つの腎臓にこの糸球体が約100万個、2つの腎臓で計200万個の糸球体があるといわれています。この糸球体に炎症が起こるのが糸球体腎炎です。どうして糸球体に炎症が起こるのでしょうか?病気の主体が腎臓にあると考えられる場合は「原発性」の糸球体腎炎といいます。「原発性」の糸球体腎炎は、病因が特定できない場合が少なくありませんが、何らかの免疫異常が原因の場合が多いとされています。この免疫反応は、通常は生体を細菌やウイルスから防御するために働くものですが、その免疫反応の異常により糸球体腎炎が生じる可能性が考えられています。一方、「続発性」糸球体腎炎は、膠原病、血管炎、炎症性腸疾患、悪性腫瘍など、元となる全身疾患が存在し、それによって引き起こされる二次性の腎炎です。したがって、「続発性」糸球体腎炎の場合は、まずは元の全身性の疾患の診断と治療を行うのが基本です。
<症状> 
 「糸球体腎炎」には様々なタイプがあり、それぞれの症状には大きな違いがあります。ここではWHO(世界保健機関)の分類に基づいて、代表的な4つのパターンを説明します。
1. 急性糸球体腎炎
「急性糸球体腎炎」は、何らかの他の感染症状が出現した後に、腎臓の症状が現れます。急性糸球体腎炎を起こす感染で一番多いのは咽頭炎(いんとうえん)、すなわち、のどの痛みを伴う風邪です。皮膚の感染の後に症状が出現することもあります。これらの感染の1~2週間後にむくみや血尿(けつにょう、尿に血が混じり、時には色が赤くなること)に気付くことがあります。血圧が高い、だるい、息苦しいなどの症状がみられることもあります。急性糸球体腎炎の場合は、これらの症状が自然に軽快することが多いことが知られています。
2. 慢性糸球体腎炎
慢性糸球体腎炎の場合は、特に症状がないことが多いのが特徴です。健康診断で尿の異常(尿に蛋白・血液が検出される蛋白尿・血尿)を指摘されて初めて気付く人もいます。生理中の時、激しい運動の後などに一時的に尿異常がみられる場合と異なり、異常が慢性的に持続する場合は「慢性糸球体腎炎」の可能性が疑われます。
3. ネフローゼ症候群
糸球体腎炎の中で、特に蛋白尿が高度(厳密には、1日に3.5g以上)の場合をネフローゼ症候群といいます。症状は、手足のむくみ、体重増加(むくみは体の中の水分量が増加したために出現し、この増えた水分が体重増加となります)、だるさなどです。
4. 急速進行性糸球体腎炎
糸球体腎炎の中で、最も重篤な経過をたどる急速進行性糸球体腎炎は、腎臓の機能が数週間から数か月間で低下します。症状としては、だるさ、むくみ、微熱、咳や息苦しさなどがみられることもありますが、ほとんど症状がない場合もあります。

<診断>
 尿検査、血液検査、腎臓の画像検査、腎生検の組み合わせにより診断を進めていきます。
1. 尿検査
糸球体腎炎の基本検査です。尿検査で蛋白尿または血尿がみられることが糸球体腎炎の特徴です。蛋白尿を定量化するために、24時間の尿を貯めて、その一部を検査する「24時間蓄尿検査」を行う場合があります。
2. 血液検査
血液検査では、糸球体腎炎の原因となりうる免疫異常の有無、腎臓の機能の指標となる血清クレアチニン値、ネフローゼの有無を知るために必要な血清蛋白やアルブミンの測定などを行います。
3. 画像検査
画像検査で一番多く用いられるのが腹部超音波検査(エコー検査)やCT検査です。糸球体腎炎以外の病気の検索、腎臓の構造に大きな変化がないかを知るために有用です。
4. 腎生検
糸球体腎炎の状態を最も正確に知る方法です。尿・血液検査、画像検査で、糸球体腎炎の診断や進行度を推定しますが、確実な最終診断をするために行うのがこの「腎生検」です。腎臓の組織を針で採取し、糸球体を顕微鏡で観察し、診断します。
以前は手術室で行うような検査でしたが、現在は一般の病室で行えるようになりました。より安全に検査を行うために、5日程度の入院にて行います。
<治療>
 治療法については、糸球体腎炎の種類(組織分類)によって異なります。ここでは、各種の糸球体腎炎に共通した一般的な治療法と、糸球体腎炎の種類によって異なる薬物療法について説明します。
1. 一般的な治療法
糸球体腎炎では、原則として塩分摂取を控える、過労を避ける、などの基本的な治療を行います。軽症の糸球体腎炎が疑われる場合は、特に薬物療法を行わずに、尿検査や血液検査を定期的に行い、その経過を外来で観察します。
2. 薬物療法
i. 血圧の薬
高血圧は腎臓に負担をかける原因となりますので、血圧が高ければそれを下げる降圧薬を使用します。降圧薬の中でもアンジオテンシン変換酵素阻害薬・アンジオテンシン受容体拮抗薬といった種類のものは蛋白尿の改善にも有効であることが示されています。
ii. ステロイド薬
重症の糸球体腎炎、例えばネフローゼ症候群の場合は、糸球体の炎症を緩和するステロイド薬を使用します。ネフローゼ症候群を引き起こす糸球体腎炎の中でも、細かい分類が「微小変化群」の場合はステロイド薬で、少なくとも一時的に治る(寛解する)ことがあります。他の種類のネフローゼ症候群、さらに急速進行性糸球体腎炎でもほとんどの場合はステロイドを使用します。
また、腎生検結果の分類が「IgA腎症」の場合は、ネフローゼ症候群でなくても、腎機能の保持のためにステロイド薬を点滴で投与する「パルス療法」を行う場合があります。
このように、ステロイド薬は特定の糸球体腎炎に対して最も効果がある薬ですが、その反面、様々な副作用があります。(1)炎症を抑えるのと同時に自分自身の免疫力も抑えてしまうため、感染症にかかりやすくなる、(2)胃炎、胃潰瘍、(3)骨がもろくなりやすい、(4)不眠傾向になる、(5)血圧や血糖値が乱れる、(6)顔が丸くなる、(7)白内障や緑内障を起こすことがある、などです。投与前や投与中には副作用をチェックするための検査を行い、副作用の出現を予防する投薬も行います。
iii. 免疫抑制薬
ステロイドの効果が不十分の場合、あるいはその効果を補助するために、免疫機能を抑える薬を使う場合があります。
iv. 血小板凝集抑制薬
蛋白尿を減らす目的で使用する場合があります。
v. その他の治療
重症患者に対する特殊な治療として、血液を直接浄化する血漿交換や血液吸着治療を行う場合もあります。
<生活上の注意>
1. 食事の注意
腎臓の負担となる塩分の摂り過ぎ、それに蛋白質の過度の摂り過ぎには注意します。ネフローゼなどでむくみがある時以外は、脱水にならないよう水分を十分に摂るように心がけます。
2. 生活・仕事・運動の注意
過度のストレス、睡眠不足、マラソンなどの過度の運動、炎天下の作業など、脱水を引き起こす行動は避けることが必要です。風邪をひくと腎臓に負担がかかりますので、うがいや手洗いなどを行い、風邪予防を心がけます。また急速進行性糸球体腎炎やネフローゼ症候群は、病状が安定するまでは入院安静が原則となります。妊娠は腎臓に負担をかけますので、特別な配慮をします。

14/07/2025

今年の夏も想像を上回る暑さが続いていますね💦
暑さのあまり、身体を冷やし過ぎていませんか?この時期は、「夏の冷え性」に気を付けましょう。
夏の冷え性とは、夏場でも体が冷えて手や足先、上腕部など体の一部分が温まらず冷えているような感覚が常に自覚される状態のことを言います。
特に、冷房の効いた室内と暑い屋外の温度差や、冷たい飲食物の摂取によって、自律神経の乱れや血行不良が起こりやすいため、注意が必要です。

*夏冷え性の症状
どこでも冷房が効いている現代では冬よりも夏のほうが冷えやすいかもしれません。
長時間、冷房の効いた部屋で薄着で過ごし、冷たい飲み物などをとっていると、内臓まで冷えてしまいます。内臓冷えにより消化機能が低下することで、胃もたれ、下痢、便秘といった症状が現れたりすることがあります。
また体が冷えると、夏の暑さに対応するためにいっそうエネルギーを消耗します。
その結果、食欲が低下し、さらなるエネルギー不足に。すると頭痛やめまい、倦怠感や疲労感といった夏バテの症状が引き起こされるのです。

*夏の冷え性原因*
①冷房の効きすぎ
夏の冷え性の原因の1つが冷房です。薄着でクーラーが効いた場所で長時間過ごし、さらに冷たい飲み物などをとっていると、体の表面だけでなく、内臓まで冷えてしまいます。
また室内外の気温差が5℃以上になると、自律神経が乱れやすくなります。
温暖化やヒートアイランド現象で夏の外気温は上昇。駐車していた車の中やコンクリートの路上は40℃を軽く超えるので、冷房の効いた屋内との温度差は20℃くらいあることになります。

②冷たい飲食物のとりすぎ
冷たいものを食べたり飲んだりすると胃腸が冷えてしまいます。冷蔵庫から出してすぐの食品は1~4℃、自販機の飲み物は1~6℃程度のため、場合によっては冬より冷えてしまうこともあります。
摂取した飲み物の温度で、胃の動きがどう変わるか調べた研究(脇坂ら、日本栄養・食糧学会誌、2011年)では、15℃の冷水で胃の動きが低下したとあります。これは15℃の冷水を体温と同じ37℃前後になるまで胃の中にとどめるために、胃の動きが低下したからだと解釈されています。

③栄養不足、食生活の乱れ
夏バテで食欲が落ちると、熱産生に必要な栄養が十分にとれないことがあります。また食欲不振の状態のまま日々のストレスや疲れで自律神経が乱れると、血の巡りが悪くなって冷え性が悪化するという悪循環にも陥ってしまいます。

*夏冷え性の改善、対処法

⚫️食事法
対策1:食べ物・飲み物の温度に気を配る
冷えが気になるときはなるべく常温、もしくは温かいものを意識してとりましょう。どうしても冷たいものをとりたいときは、その前後に温かいものを飲むといいでしょう。

対策2:薬味やスパイスを活用する
胃腸の冷えを感じる人には、お腹を温め胃腸機能を高める薬膳食材もおすすめです。とうがらし、山椒、こしょうなどの辛味や、フェンネル、クローブ、ナツメグ、シナモンなどのスパイス、にんにく、生姜、玉ねぎ、ニラ、紫蘇、香菜、バジルなどの香味野菜がそれに当たります。
料理が億劫な場合は、レトルトのカレーやパスタソースを温めるときにこれらの食材を加えたり、香菜やバジルをトッピングしたりすれば手軽にとれます。

対策3:体を温める食材を積極的にとる
・野菜-ねぎ、にんじん、かぼちゃ、かぶ、にんにく、にら、しょうが など
・穀類-豆:玄米、もち米、あずき など
・飲み物-酒:紅茶、日本酒、赤ワイン など
・調味料-海藻類:味噌、醤油、こしょう、唐辛子、山椒、シナモン など

対策4:栄養バランスを意識する
ダイエットなどで栄養バランスの偏った食生活をしていると熱を作るエネルギー源が不足します。また糖質制限のために炭水化物を極端にとらないでいると、腸内環境が悪化。腸の機能が衰えると全身に血液が巡らなくなり、冷え性を引き起こします。
とはいえ食べ過ぎも×。消化・吸収を活発にするために胃腸に血流が集中し、やはり全身に血液が行き届かなくなってしまうからです。1日3食、栄養バランスを意識した食事をとることが大切です。

⚫️ 生活習慣編
対策1:ぬるめのお湯で、体を芯から温めよう
自律神経の副交感神経が優位になると血流がよくなります。体温よりも4℃程度温かい湯に浸かると快適さを感じて副交感神経のスイッチが入るので、湯温は38~40℃がベスト。10分以上を目安に温まりましょう。

対策2:炭酸入浴剤で血流を促し全身ポカポカに
温浴効果をアップさせるのにおすすめなのが入浴剤です。なかでも炭酸入浴剤はお湯に溶け込むと血管の筋肉に働きかけ、血管を広げて血行を促してくれます。湯に入ることで温まった血液が全身にスムーズに行き渡るため、効率よく体を温めることができます。

対策3:冷房をキンキンに効かせるのはやめる
夏に長時間肌寒い部屋にいると本来の体温調節機能を乱すことにもなります。冷房の設定温度は28℃程度が目安です。

対策4:適度に運動する
運動不足になると筋力が低下します。少なくとも週に1日は30分程度のウォーキングやジョギングを行うといいでしょう。もしくは日常生活の中で体を動かすのもおすすめ。階段を使う、大股で早歩きをする、家事で体を動かしたりするなど、工夫してみてください。特におしりや太ももなど大きな筋肉のある下半身を鍛えると効率的です。

この夏の暑さと上手に付き合い、身体の負担軽減をはかっていきましょう😊

今回から腎臓専門医として腎臓病についてお話していきます。テーマは“慢性腎臓病”です。<概要>慢性腎臓病とは、蛋白尿などの腎臓の障害、もしくは腎臓の機能低下が3か月以上続く状態をいいます。腎臓の機能を最も正確に表すのは、糸球体濾過量(しきゅう...
22/06/2025

今回から腎臓専門医として腎臓病についてお話していきます。テーマは“慢性腎臓病”です。
<概要>
慢性腎臓病とは、蛋白尿などの腎臓の障害、もしくは腎臓の機能低下が3か月以上続く状態をいいます。腎臓の機能を最も正確に表すのは、糸球体濾過量(しきゅうたいろかりょう)で、GFR(ジーエフアール)と呼ばれています。これは1分間にどれだけ腎臓で尿が産生されるかを示す指標の一つです。GFRは、健康な人では約100mL/minですが、腎臓の機能の低下によって数値が60mL/min未満になると、機能低下といいます。腎臓の障害とは、検尿異常、画像診断、血液、病理で腎の異常の存在が明らかで、特に蛋白尿が存在していることを示しています。これらを満たすときに慢性腎臓病、英語でCKD(シーケーディー)と診断します。慢性腎臓病には、慢性糸球体腎炎(まんせいしきゅうたいじんえん)や糖尿病など慢性的に病気が持続する多くの腎臓病が含まれます。また、原因がはっきりしなくても、ひとくくりに慢性腎臓病と呼ぶようになりました。慢性腎臓病の重症度(ステージ)は腎臓の機能に応じて、下の表のように慢性腎臓病の原因疾患、GFRおよび尿蛋白もしくは尿アルブミン量の値によって、病気の進み具合を表すステージ分類が行われ、それぞれのステージに応じた治療が実施されます。
このように、GFRまたは蛋白尿で慢性腎臓病と診断するようになった背景は、慢性腎臓病が、将来的に腎臓の機能がさらに低下し、透析などが必要になる可能性を秘めていることが1つの理由です。さらに、脳梗塞(のうこうそく)や脳出血といったいわゆる脳卒中や、心筋梗塞(しんきんこうそく)などの心血管病を引き起こす重大な原因となることも重要視されています。そのため、慢性腎臓病では、腎臓の機能低下を抑えるための治療を行うと同時に、早期より心血管病発症を予防するための治療を強化して行う必要があります。
<症状> 
慢性腎臓病の患者さんは、多くの場合は症状がありません。腎臓の機能があまり低下していない時期には、症状がないことがほとんどです。症状があっても、夜間の排尿回数が増えたり、軽度のむくみが出たりするなど軽い症状です。ただし、蛋白尿の量が多く、ネフローゼ症候群と呼ばれる状態の場合には、全身に強いむくみが出ます。しかしながら、血液中の老廃物である血清クレアチニンが2mg/dL以上(GFRが30mL/min未満)になると、貧血、低カルシウム血症、高リン血症などの血中の電解質の異常、血液が酸性になるアシドーシスなどの異常が検査でみられるようになります。また、老廃物が溜まって、疲労感や脱力感を感じるようになります。さらに、腎臓の機能が低下し、血清クレアチニン8mg/dL以上(GFRが10mL/min未満)になると、尿毒症(にょうどくしょう)が出現することがあります。尿毒症とは、腎臓がほとんど機能しなくなったときに起こる、様々な症状のことです。軽い尿毒症は、吐き気程度ですが、重い尿毒症になると、全身の強いむくみ、心不全(心臓の機能の低下)、肺水腫(肺に水が溜まる)、出血傾向(血が止まりにくくなる)、筋肉のひきつれや、重症だと意識レベルの低下などの神経症状などが出現します。このような重い尿毒症になった場合には、ただちに血液透析をはじめとした腎代替療法による治療が必要となります。
<診断>
最も重要なのは腎臓の機能を評価することです。これまでは、血液検査で測る血清クレアチニンで行われてきました。血清クレアチニンが体格や年齢によって大きく左右されることから、血清クレアチニンと年齢をもとに推定したGFRを用いることが一般的になってきました。日本人の場合、70歳未満でGFRが50mL/min未満の場合、70歳以上で40mL/min未満の場合は、将来腎臓の機能が低下して透析にいたるリスクが高いといわれています。尿検査で分かる、蛋白尿と尿潜血(尿に血が混じること)は、腎臓病の診断において重要です。特に、蛋白尿が多い場合は、将来、腎臓の機能が低下していく危険性が高いからです。慢性腎臓病の原因として多いのは、糖尿病による糖尿病性腎症、慢性糸球体腎炎、高血圧による腎硬化症(じんこうかしょう)、遺伝性疾患である多発性嚢胞腎(たはつせいのうほうじん)などの病気です。慢性糸球体腎炎が疑われ、蛋白尿の量が多い場合などでは、腎生検を行うことがあります。腎生検は、腎臓の組織の一部を取って、組織を詳しく見る検査であり、病気の進み具合や治療法を決めることができます。腹部超音波検査や腹部CT(シーティー)検査も、多発性嚢胞腎などの一部の腎臓病の診断には有効です。
<治療>
多くの慢性腎臓病は、残念ながら完全に治すことができません。腎臓の機能は、10~20年といった長い年月を経て、少しずつ低下していきます。したがって、治療としては、いかに腎臓の機能の低下を遅らせるかということが主眼になります。実際の治療は、1)腎臓の機能低下を抑えるための治療、2)腎臓の機能低下に伴う合併症に対する治療、3)腎臓の機能を代行する治療に分けることができます。
1. 腎臓の機能低下を抑えるための治療
o 可能であれば慢性腎臓病の原因となった病気を治療します。一部の慢性糸球体腎炎にはステロイドなどの免疫を抑える治療が有効です。糖尿病性による腎障害では、血糖のコントロールが有効です。肥満の方はそれだけでも腎障害の原因となるので減量をおすすめします。
o 血圧のコントロールをします。慢性腎臓病の患者さんの多くが、高血圧症を合併しています。慢性腎臓病の目標血圧に関しては近年見直しがあり、糖尿病を合併した場合は130/80mmHg未満、合併していない場合は尿蛋白がなければ140/90mmHg未満に、尿蛋白があれば130/90mmHg未満とされています。近年は過剰な降圧による腎への障害が危惧されるようになり、110mmHg未満にはしないようにすることが推奨されています。
o 血圧を下げるために、アンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)またはアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬を服用します。ARBとACE阻害薬は血圧を下げるだけでなく、腎臓の機能の悪化を抑える作用も強いのが特徴です。
o 活性炭でできた薬は腸管で腸内細菌から産生される尿毒素のもとを吸着して便に排泄する働きがあります。この薬により、腎機能障害の進行が抑制されたという報告もあります。
o 痛風の原因にもなる尿酸は腎機能障害を進行させる原因にもなります。尿酸を下げる薬剤を処方します。
o 食事療法をします。減塩と低たんぱく食が基本ですが、両者ともに過度な制限は腎機能を悪化させることもあるので、患者さんの栄養状態、食事量を加味した栄養指導が重視されています。高カリウム血症の場合は、カリウム制限が必要です。
2. 腎臓の機能低下に伴う合併症に対する治療
o 高カリウム血症→腎臓からのカリウムの排泄が低下すると血液中のカリウムが上昇します。この高カリウム血症は、心臓に危険な不整脈を引き起こしたり、筋肉のしびれを引き起こします。これは極めて危険な状態です。食事でカリウム制限(生野菜、果物に多い)をしたり、食事中のカリウムを腸管の中で吸収させないようにするイオン交換樹脂を内服します。
o 高リン血症→炭酸カルシウム、炭酸ランタンなど、腸の中でリンを吸着して便として排泄する薬を服用します。
o 低カルシウム血症→炭酸カルシウムなど、カルシウムを含むリン吸着薬と、ビタミンD製剤を服用します。
o 貧血→腎臓が悪い人特有の貧血である腎性貧血には、造血剤としてエリスロポエチン製剤を注射します。
o 尿量減少に伴い、足のむくみや胸部における水分の溜まりが顕著になった場合には利尿薬を用います。
o 体の中の体液の酸とアルカリの状態が酸性に傾きます。これを重曹という粉薬を用いてアルカリ側へ戻します。
3. 腎臓の機能を代行する治療
さらに、腎臓の機能低下が進むと、尿毒症と呼ばれる様々な症状が出現するようになり、腎代替療法(じんだいたいりょうほう)が必要となります。腎代替療法には以下の3種類があります。
o 血液透析
o 腹膜透析
o 腎臓移植

13/06/2025

最近は低気圧の影響もあってか、身体も何だか重だるいですね。
この時期は自律神経も乱れがちになる季節です。
そんな時は無理をせずに、ゆっくりとした時間を持つこと、リフレッシュする事が大切です。

*メンタルチェック
⬜︎元気が出ない、やる気が出ない
⬜︎気分が乗らない
⬜︎人に会いたくない
⬜︎趣味が楽しくなくなった
⬜︎体がだるい、痛い
⬜︎仕事、勉強、家事などに、今までのように取り組めない
⬜︎今までと違う感じや、何か変な感じがする
いくつチェックが入りましたか?
チェックが多い方は、少し心が疲れているかもしれません

ところで、「病は気から」と言う言葉を聞いたことありますよね?
「気の持ち方ひとつで病は良くも悪くもなる」という意味です。
 スポーツ選手がよく受けるメンタルトレーニング。それは、自分の経験や習慣における「心のクセ」を「プラス思考」に変える練習なんです。もちろん、スポーツ選手だけでなく誰でも実生活に取り入れる事ができます。
例えば…
・ プラスの言葉を使う
「言霊」と呼ばれるように、言葉には想いが宿る力があります。心が喜ぶ肯定的な言葉を使いましょう。
大丈夫、できる、ツイてる、ありがとう…など

・ プラスのイメージを思い浮かべる
脳はイメージしたことを実現しようとする性質があります。うまくいっている自分の姿をいつもイメージしましょう

最初からメンタルの強い人なんていません。
身体の筋肉を鍛えると強くなるように、メンタルも鍛えることで心も強くなれます。
実は受験もダイエットもメンタルが成功の鍵を握っているんだとか。
ちょっとした気持ちの持ち方を意識することは、心も身体も健康になれる近道です。
また食事中もポジティブな話をしましょう!脳の活性に繋がり、消化吸収の効率も高める効果があります。
ついついマイナスな気持ちになったり、マイナスな言葉を発してしまいがちになりますが、笑う回数が増え、幸せをたくさん感じられるといいですね。

*なぜか元気が湧いてくる3つの行動
①背筋を伸ばして胸を張る
呼吸や血流の流れが良くなり、集中力や意志力が上がります
②顔を上げて上を見る
視線が上がり、自然と前向きな気持ちになります。
③笑う
おかしくなくても、笑ってみてください。
なぜか楽しくなってきます。

毎日生活していると落ち込むときだってありますよね!そんな時に試してみてください。

今回は、聞きなれない病名ですがキャッスルマン病です。<概要> キャッスルマン病はリンパ節の腫れ、熱、だるさなどを特徴とする病気です。これらの症状は風邪などと違い自然によくなることはなく、何週間も症状が持続します。一か所のリンパ節が腫れている...
23/05/2025

今回は、聞きなれない病名ですがキャッスルマン病です。
<概要>
 キャッスルマン病はリンパ節の腫れ、熱、だるさなどを特徴とする病気です。これらの症状は風邪などと違い自然によくなることはなく、何週間も症状が持続します。一か所のリンパ節が腫れている場合は「単中心性キャッスルマン病」、複数のリンパ節が腫れる場合は「多中心性キャッスルマン病」と呼びます。この病気を初めて報告したCastleman先生の名前が病名の由来となっています。キャッスルマン病を診断するうえでは腫れているリンパ節をとって、顕微鏡で腫れている原因をみることが重要です。リンパ節の腫れが一か所であるキャッスルマン病(単中心性キャッスルマン病)では、腫れているリンパ節をとるだけで、ほかの症状もよくなることが多いです。単中心性キャッスルマン病では腫れているリンパ節をとることが診断の役に立つだけでなく、治療にもなります。多中心性キャッスルマン病はIL-6という免疫物質が体内で持続的に産生されることが原因であると考えられています。IL-6が作られ続けてしまう原因の一つとしてはヘルペスウイルス8型(HHV8)感染が知られています。HHV8はIL-6と同じ構造をした遺伝子を持っており、実際ヨーロッパやアメリカではHHV8感染に伴うキャッスルマン病の患者さんが多く報告されています。しかしながら日本ではHHV8の感染は珍しく、なぜ日本の多中心性キャッスルマン病の患者さんでIL-6が作られ続けてしまうのか原因は分かっていません。治療の項で詳しく説明しますが、IL-6をブロックするアクテムラが効くことが多いです。キャッスルマン病にはTAFRO症候群という仲間の病気があります。TAFRO症候群は2010年に日本から初めて報告された病気です。TAFRO症候群は病気の特徴である血小板減少(Thrombocytopenia)、全身浮腫・胸腹水(Anasarca)、発熱(Fever)、骨髄の繊維症/腎障害(Reticulin fibrosis/Renal failure)、肝蔵/脾臓/リンパ節の腫れ(Organomegaly)のそれぞれの英語の頭文字が名前の由来になっています。キャッスルマン病と同様に熱やリンパ節の腫れといった共通の症状もありますが、腹水のように異なる症状もあり、またアクテムラが効きにくいのも特徴です。日本でのはっきりした患者数は分かっていませんが、比較的珍しい病気であると考えられています。2020年にキャッスルマン病研究班から診療ガイドラインが報告されています。
<症状>
 キャッスルマン病はリンパ節の腫れ、熱、だるさなどの症状が現れます。リンパ節は首のまわりや、わきの下、足の付け根にあり、これらの場所でシコリが触れる場合にはリンパ節の腫れを疑います。シコリのサイズは1センチ未満のこともあれば、数センチと大きく腫れることもあります。熱は38度を超えることも珍しくなく、数週間にわたり症状が持続します。長期にわたって熱が続くため、体力を消耗し、1か月で体重が数kg減ることもあります。だるさは熱自体の影響もありますし、熱による消耗の結果、ヘモグロビンという酸素を運ぶ物質が減った結果であることもあります。TAFRO症候群でもリンパ節の腫れや熱といった症状が出ます。これ以外にも手足のむくみや、胸に水が溜まった結果、息苦しさが出ることもあります。TAFRO症候群の特徴の一つに血小板減少がありますが、重度の血小板減少ではあざができやすくなったり、皮下出血の結果、手足に赤い斑点が出ることがあります。
<診断>
 キャッスルマン病の診断では腫れているリンパ節を切除し、リンパ節で何が起こっているか調べることが重要です。またリンパ節の腫れを起こすほかの病気として悪性リンパ腫のようながんもあるため、リンパ節検査を行い、悪性リンパ腫でないことを確認することも重要です。血液検査もキャッスルマン病やTAFRO症候群の診断や病気の状態を知るうえで重要です。具体的にはこれらの病気ではCRPが非常に高値になり、赤血球やヘモグロビンは低値になります。血小板はキャッスルマン病で高値になりますが、TAFRO症候群では低値になるため、キャッスルマン病とTAFRO症候群の見極めに役立ちます。キャッスルマン病ではIL-6の過剰産生が原因であるため、IL-6の値を実際に測り、診断に役立てることもあります。キャッスルマン病やTAFRO症候群で骨髄検査を行うこともあります。骨髄は骨の中にある血液の工場で、腰骨に専用の針を刺して検査をします。骨髄検査をすることで血液の産生源に異常がないか確認することができます。キャッスルマン病やTAFRO症候群では造影CT検査も役立ちます。造影CT検査は画像をみやすくする「造影剤」という薬を注射しながら撮影するCT検査です。造影CT検査は身体の内部のリンパ節の状態もみることができるため、診察では分からないリンパ節の腫れをみつけられます。また、TAFRO症候群の症状である胸やお腹に水が溜まっているかどうかも造影CT検査で確認することができます。ただし、造影剤は腎機能が悪い患者さんには使うことができないため、腎機能が悪い場合には、造影剤を使わないCTやMRIなどのほかの画像検査で代用することもあります。
<治療>
 一か所のリンパ節が腫れているキャッスルマン病(単中心性キャッスルマン病)の場合には、その腫れているリンパ節をとるだけで症状がよくなることが多いです。何か所ものリンパ節が腫れているキャッスルマン病(多中心性キャッスルマン病)の場合には、アクテムラが非常によく効きます。アクテムラは1~2週間に1回、病院で点滴注射します。アクテムラの治療を開始すると症状は比較的すぐによくなっていきます。ただし、一度症状がよくなってもアクテムラを中止すると症状をぶり返してしまうことが多いので、アクテムラの点滴は中止できないことが多いです。症状が安定していれば、3~4週間のようにアクテムラの投与間隔を延ばせることがあります。TAFRO症候群では、キャッスルマン病と異なりアクテムラ®が効きにくいことも多く、メチルプレドニンの点滴注射やプレドニゾロンの内服治療を使用することも多いです。シクロスポリンやリツキシマブといった治療薬を併用することもあります。

16/05/2025

寒暖差アレルギーについて

風邪や花粉症ではないはずなのに、鼻水やくしゃみが出て困っていませんか?
それは、もしかすると寒暖差アレルギーかもしれません。寒暖の差が激しい季節の変わり目に多い症状で、原因不明の体調不良を訴える方が増えています。

急激な気温の変化に体がついていけないときに出る症状が「寒暖差アレルギー」です。
原因となるアレルゲンはなく、気温差からの刺激に寄ってアレルギーのような症状が出るため、そのように呼ばれています。

症状は、くしゃみ、鼻水、鼻づまりといったもので、花粉症や風邪によく似ています。
しかし、花粉の少ない夜や曇りの日にも症状が強く現れたり、発熱を伴わなかったりする場合は、もしかすると「寒暖差アレルギー」かもしれません。また、1日のうちでも急に寒い場所へ行くと、しもやけのように手足や顔が赤くなる症状がでることもあります。
見分けるポイントを次に挙げておきます。

《 チェックポイント 》
※当てはまる項目が多いと可能性あり
□ 寒い場所に行くと鼻水やくしゃみが出る
□ 寒い場所に行くと肌が赤くなる
□ 鼻水の色は透明でサラサラしている
□ 目のかゆみや充血はない
□ 風邪っぽいが熱はない
□寒い場所から、温かい場所に行くと咳が出る
□ アレルギー検査をしても反応が出ない

原因がないのにチェックリストのような症状が出てる場合「寒暖差アレルギー」を疑いましょう。

何が原因?改善策はあるの?

「寒暖差アレルギー」は自律神経の不調が原因です。人間は温度差に対して、自律神経を使って対応する機能を持っています。
それが、急激な気温の変化を感じた時に上手く機能せず、いろいろな症状が出るのです。

改善するには、まずは規則正しい生活が大切です。

① 早寝、早起き
② 高タンパク、低カロリーな食事を心掛ける
③ 入浴で体をしっかり温める
④ 適度な運動で体を動かす
⑤ 暴飲、暴食は避ける
⑥ ストレスを避ける

このようなことを心掛けることで自律神経が整って、改善の手助けをしてくれますよ。

今回取り上げる病気は、血栓性微小血管障害症です。<概要> 血栓性微小血管障害症(thrombotic microangiopathy:TMA)は、1)微小血管内に血小板のかたまりが生じ(微小血管内血小板血栓)、2)血小板が消費されて減少し(...
27/04/2025

今回取り上げる病気は、血栓性微小血管障害症です。
<概要>
 血栓性微小血管障害症(thrombotic microangiopathy:TMA)は、1)微小血管内に血小板のかたまりが生じ(微小血管内血小板血栓)、2)血小板が消費されて減少し(消費性血小板減少症)、3)閉塞した血管を通過する赤血球が破壊されて貧血(微小血管障害性溶血性貧血)になるという、この3つの特徴をもつ病気の総称です。このように微小血管が障害されることで、脳や消化管や腎臓などに虚血(血流が行き渡らないこと)がおこり、腎臓や脳神経を中心とした多臓器不全がおきます。TMAの範疇に含まれる有名な症候群として、1924年にMoschcowitzによって最初に報告された血栓性血小板減少性紫斑病(thrombotic thrombocytopenic purpura: TTP)と、溶血性尿毒症症候群(hemolytic uremic syndrome: HUS)があります。これらの疾患に典型的な徴候が揃うことは少なく両者を区別することが困難な場合が多いため、TTP/HUSと記載されたり、この2つを包括した病態としてTMAと呼ばれたりします。また、感染症、妊娠、薬剤、高血圧症、臓器移植、造血幹細胞移植、自己免疫疾患、悪性腫瘍に関連してみられることもあります。しっかりとした評価と基礎疾患に応じた治療が大切です。本稿ではTMAに統一してご紹介します
<症状>
TMAに特徴的な臨床症状としてとして、血小板減少による紫斑、溶血性貧血による全身倦怠感、動悸、呼吸困難、腎機能障害があります。そのなかで、1)腎機能障害が強く出て尿量が減ったり尿が出なくなったりする場合(=溶血性尿毒症症候群)と、2)腎機能障害は軽度ですがそれに加えて高熱が出たり時間帯によって変動する精神障害(意識障害、気分変動など)が強く出たりする場合(=血栓性血小板減少性紫斑病)があります。これら、微小血管障害性溶血性貧血、血小板減少症、発熱、腎機能障害、動揺する精神神経症状をMoschcowitzの古典的5徴候と言います。ただし、これらの症状が揃うことはむしろ少ないと言え、両者を区別することは難しいことが多いです。現在では、溶血性貧血と血小板減少症の2徴候が揃うことが重要とされています。心臓や肺や消化管に症状がでることもあります。腸管出血性大腸菌が原因となるTMA(=STEC-HUS)の場合には、下痢や血便、腹痛といった腸炎症状が最初に生じ、数日後から上記のような溶血性尿毒症症候群を発症することがあります。
<診断>
TMAは臨床症状、検査所見、末梢血塗抹標本における破砕赤血球の増加により診断することが原則です。血栓性血小板減少性紫斑病と非典型的溶血性尿毒症症候群については厚生労働省の診断基準も参考にします。
血液検査・尿検査では下記の異常をみます。
• 血小板減少(15万/μL未満)
• 溶血性貧血:末梢血中の破砕赤血球の出現、網赤血球数の増加、ヘモグロビン低下(10g/dL未満)、LDH・間接ビリルビン上昇、ハプトグロビン低下、直接クームス試験陰性
• 腎機能障害:クレアチニン上昇、尿素窒素上昇、蛋白尿・血尿出現
• ADAMTS13活性低下、抗ADAMTS13抗体(インヒビター)陽性 
• 便培養・便中ベロ毒素検査(腸管出血性大腸菌によるTMAの場合)
この中でも特徴的なのは破砕赤血球が出現することです。
<病因がはっきりしている>
1. 感染症
2. 補体制御異常
3. ADAMTS13の異常
4. コバラミン代謝異常
5. 薬剤性(例:キニン)
<病因がはっきりしていない>
1. HIV感染
2. 悪性腫瘍
3. 臓器移植、造血幹細胞移植
4. 膠原病
5. 妊娠
6. 糸球体腎炎
7. その他の遺伝疾患
8. 分類不能
<治療>
TMAの治療は、その原因によって異なりますが、基本は血漿交換療法になります。血漿交換は新鮮凍結血漿(FFP)の補充(50~80 mL/kg/日)を3~5日連続して行います。血小板数や腎機能をみながら実施間隔を調整します。著効例では血漿交換を1~3回実施すると効果がみられますが、効果判定のために血漿交換を10回程度まで実施することが多いです。

14/04/2025

今回は「健康の豆知識10選」をご紹介します✨

①貧乏ゆすりは健康ゆすり?
印象の悪い貧乏ゆすり!でも貧乏ゆすりによって血流がよくなり、女性に多い手足の冷えやむ くみやの解消に繋がる! 血流の改善で血栓もできにくくなるので病気の予防にもなります

② 手洗いの歴史
オーストリアの医師が19世紀中ごろに手洗い の重要さを発見したけれど周りの医師はそれ を真っ向から否定。
それでも手洗いの重要性を語ったセンメル ヴェイスは医学会から追放されてしまった。
彼の死後、細菌などが発見され、手洗いの重要性が知れ渡りました。
発見するの 早すぎた...

③ 猫を飼えば健康に⁉️
東京農業大学の研究で、猫をなでるだけでネガティブな気分が減少することがわかりました。
オキシトシンというホルモンが分泌されます。
このホルモンは免疫向上、ストレスの減少など多くの健康効果があるとされています。
また、猫のゴロゴロ音にはリラックス効果があり、 心拍数が下がります。
アニマルセラピーがあるほど、動物には癒されますね。

④ ストイックな人ほど免疫力が低い?
休みなく働く人や、筋トレをハードにやる 人ほど免疫力は低いんです。筋トレする人 の免疫力が低いって意外ですよね。
人は頑張りすぎると常に交感神経が働いて しまいます。その影響でリンパ球が減って いき、免疫力が落ちてしまうのです。
何事もほどほどに、健康維持のためにはリラックスできる時間 を作ることが大切です。

⑤ 寝だめは体に悪い?
寝だめをすると平日の生活リズムが崩れてしまい、その影響で日曜の夜に眠れなくなり、月曜の朝が非常に憂鬱なものになってしまいます。
睡眠不足は感情の調節や遂行能力をつかさ どる前頭前野や大脳辺縁系の代謝活性を低 下させ、ストレスのホルモンの分泌量が増 加してしまいます。
休みだからと言って夜更かしは厳禁です。

⑥ 20歳から5kg以上増加 していると糖尿病のリスクが上がる?
20歳から5kg以上増加していると増加していな い人と比べて、糖尿病のリスクが約2.6倍まで上 がります。
体重が1kg増えるだけで体内7000kcalを蓄積したことになります。
今の体重+5kgまでいかない、または日々の生 活習慣を治して少しずつ体重をコントロールし ましょう!

⑦ 日本人の二人に一人がガンになる?
ガンにも多くの種類がありますが、そのうちの どれかにかかるといわれています。男性の6割強、 女性の5割弱がガンにかかるリスクがあります。
予防はできても、完全には防ぐことができません。
禁煙や食生活の見直し、運動不足の解消などで きる限りの予防をしていきましょう。

⑧座りっぱなしで死亡リスクが上がる?
5分間座ることで、血流の速度は急速に下がり、30分で血流速度は70%も低下します。 もし、1日に11時間以上座っていたら、健康的な人に比べて死亡リスクは40%も上がります。 コロナ禍でリモートが増えたと思いますが、30分に一度は立って歩きましょう。

⑨ 喫煙で免疫力が下がる?
タバコにはニコチン・タール・一酸化炭素 といった有害物質が200種類以上入ってい ます。
一酸化炭素は赤血球中のヘモグロビンと結合し、酸素の運搬を阻害します。
体内が慢性的な酸素不足となり、栄養分の 運搬や老廃物の回収機能が衰えることによ り、免疫力の低下につながります。

⑩ 緑茶には 殺菌作用がある?
緑茶に含まれる「カテキン」が細菌の 細胞膜を破壊して、サルモネラ菌や黄 色ブドウ球菌などといった食中毒菌に 対して殺菌効果を発揮します。
また、食中毒菌の出す毒素による攻撃 もカテキンは抑えることができます。 あのO-157にも毒消し作用を発揮しま す。

ちょっとした豆知識!
色んな豆知識を知ると、自然と心も身体もLife styleも豊になりますね😊

花粉が飛び始め、花粉症の症状が出始める方もいるのではないでしょうか?個々人でできる花粉症への対処法は、花粉を回避すること(抗原回避)、出てくる症状を抑える治療法(対症療法)、アレルゲン免疫療法(舌下免疫療法、皮下免疫療法)などがあります。対...
12/03/2025

花粉が飛び始め、花粉症の症状が出始める方もいるのではないでしょうか?
個々人でできる花粉症への対処法は、花粉を回避すること(抗原回避)、出てくる症状を抑える治療法(対症療法)、アレルゲン免疫療法(舌下免疫療法、皮下免疫療法)などがあります。
対症療法については、花粉飛散シーズン前や症状がごく軽いときから開始しておくことで、症状の悪化を抑えられることがわかっています。
アレルゲン免疫療法は、特に対症療法では効果が不十分な方に推奨されるものであり、花粉が飛散していない時期から治療を開始する必要があります。

*花粉症の特徴について*
花粉症は、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎の中でもスギやヒノキなどの春の花粉が原因によるものが多く、主にくしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみ、充血などが生じます。

※花粉症の原因*
花粉症の約70%はスギ花粉症だと考えられています。これはわが国には全国の森林の18%、国土の12%をスギが占めているためでもあり、関東や東海地方ではスギが中心になります。また、関西ではスギと並んでヒノキも植林面積が広いため、ヒノキも要注意です。一方、北海道にはスギやヒノキが少なくシラカンバ属(カバノキ科)が多いという特徴があります。

*花粉の飛散時期*
・スギ:年初から飛び始めて3月にピークを迎えて5月くらいまで飛散します。
・ヒノキ:スギよりも若干遅れて飛び始めて4月にピークを迎えて6月くらいまで飛散します。�・シラカンバ:北海道ではシラカンバ属の飛散が5~6月にピークを迎えます。
・イネ科:北海道で6~9月に飛散しますが、本州以西ではほぼ1年を通して飛散します。
・キク科:秋の花粉として知られるキク科のブタクサ属・ヨモギ属、クワ科のカナムグラは8~10月に飛散します。

*症状*
花粉症の症状は、水のような「鼻水」と、繰り返す「くしゃみ」、「鼻づまり」が3大主徴です。目にもかゆみや異物感が生じ、花粉飛散量に比例して症状が悪化する傾向があります。鼻症状は呼吸がしづらくなるため、集中力の低下やよく眠れないなど、勉強や仕事、家事に大きな影響を及ぼします。また、花粉症の人の中には、果物や生野菜を食べた後、数分以内に唇、舌、口の中や喉にかゆみやしびれ、むくみなどがあらわれることがあります。これは、口腔アレルギー症候群と呼ばれており、花粉にあるアレルギーの原因となる物質(アレルゲン)と、果物や野菜に含まれるアレルゲンが似ているために起こります。

*治療方法*
花粉症の治療は、アレルギー性鼻炎に対する治療と同じであり、治療には「薬物療法」、「アレルゲン免疫療法」、「手術療法」の3つがあります。また、症状の原因となる花粉のアレルゲンを回避する環境整備も重要です。
①薬物療法では鼻水を抑える抗ヒスタミン薬の飲み薬や、鼻の炎症を抑える点鼻ステロイド薬、鼻づまりを改善する作用があるロイコトリエン受容体拮抗薬などが用いられます。抗ヒスタミン薬は眠気などの副作用がありますが、近年は眠気の出にくい薬もあります。
目の症状には、花粉に曝露して生じる各種の化学伝達物質(ケミカルメディエーター)に対するメディエーター遊離抑制薬や、抗ヒスタミン薬の点眼薬が用いられます。花粉飛散量が増えて症状が悪化してきたら、目のアレルギー性炎症に対して点眼ステロイド薬を用いる場合もあります。点眼ステロイド薬を用いる場合は眼圧上昇などの副作用を確認するために眼科専門医による定期的な検査が必要です。
② アレルゲン免疫療法は、減感作療法とも呼ばれていましたが、原因となるアレルゲンを投与して、体のアレルギー反応を弱める治療です。注射製剤と舌下製剤(舌下錠)があり、舌下錠では日本ではスギ花粉とダニが保険適用になっています。治療は数年以上必要であり、根気のいる治療ですが、薬物療法で副作用が出るために治療が続けられない患者さんや、薬物療法だけでは症状が抑えられないような患者さんでは、免疫療法が考慮されます。
③ 手術療法は、鼻の粘膜をレーザーで凝固する下鼻甲介粘膜焼灼術などがあります。薬物療法でも症状が抑えられない場合などに考慮される治療です。

花粉症は、一般に症状が悪化すると薬の効果が得られにくくなりますので、症状が軽いうちに症状を抑える薬を使い始める「初期療法」が勧められています。初期療法では、本格的に花粉の飛散が始まると予測されている日(本格飛散開始予測日)または花粉症の症状が少しでも現れた時点で薬を使い始めるのが一般的で、一部の薬や重症例では、本格飛散開始予測日の1週間ほど前から始めることもあります。早めに薬を使用することで、花粉の飛散量が多くなった時期でも症状をコントロールしやすくなり、症状を抑えた状態でシーズンを送ることができます。
またケアとして、マスクの着用、空気清浄器の使用、鼻うがいをするのも対策になりますよ。

*症状の重症度*
花粉症の重症度は、鼻水をかむ回数とくしゃみが生じる回数、鼻づまりは口呼吸の回数で診断されます。鼻水とくしゃみは密接に関わるので、まとめて「鼻水・くしゃみ型」、鼻づまりが他の症状より強いと「鼻づまり型」、3つの症状が同様に強いと「充全型」と分類します。
花粉症は重症でも生命に関わることはありませんが、花粉症と食物アレルギーが合わさった口腔アレルギー症候群ではまれですが、全身に症状が出現するアナフィラキシー反応が生じる場合があり、医師の正確な診断・治療が必要となります。
参考にしてみてください

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