18/02/2026
自分勉強用
「もう治ったはずなのに、また同じ場所が痛む」
「病院では異常なし。でも慢性的にツラい」
「体は変わってきているのに、“痛み”だけが居座っている感じがする」
これらの訴えの背景には、構造としての“記憶”がファシアに残っているケースが少なくありません。
慢性痛の“座る場所”は、神経ではなく構造にある
痛みの原因と聞くと、多くの人は「神経の問題」「炎症が続いているのでは」と考えがちです。
しかし、慢性痛の多くはすでに病理的な炎症が収まっていても“痛みだけが残る”という状態。
この「痛みが居残る」構造的背景に、
・ファシアの硬化
・滑走不全
・癒着といった 問題があります。
たとえば:
• 昔ケガをした足首に、天気が悪いとまた痛みが出る
• 腰痛が良くなっていたのに、仕事が忙しいと再発する
• 何年も前の出産後から、ずっと骨盤が重く感じる
これらのケースでは、神経が過敏になっているだけでなく、“ファシアが治癒の履歴を保持している”という視点が必要です。
ファシアは“痛みの記憶メディア”である
ファシアはただの包帯構造ではありません。
損傷・圧迫・切開・癒着などの情報を“形”として記憶する構造体です。
• 外傷や手術による癒着が、深層ファシアの滑走を妨げる
• 長期のストレスで胸郭や腹部の膜が縮こまり、深呼吸ができなくなる
• 同じ動作・姿勢の繰り返しで、一部のファシアが“固有の硬さ”を持つようになる
これらは、情報としての履歴がファシアに刻まれている状態です。
この履歴が残っている限り、身体は「その痛みを知っている」
ままになってしまうのです。
慢性痛は“動きの自由度”の欠如から起きている
慢性痛の本質は、“痛み”そのものよりも、“痛みを生まざるをえない状態”にあることです。
つまり:• 組織が滑らかに動けない
• 可動域の中に“ひっかかるライン”がある
• 一部の構造に、常に張力が集中している
こうした状態では、筋肉や関節が正常でも、“動きの質”が悪いために痛みが出続けます。
つまり慢性痛とは、「動きの中に、痛みが組み込まれている」
状態なのです。
“痛みの場”を変えることで、症状は消えていく
慢性領域の徒手療法のアプローチでは、「どこが痛いか」よりも
「どこが“痛みの構造”を保持しているか」を見つけます。
臨床では以下のような変化がよく起こります:
• 骨盤底のテンションを解放すると、腰痛が消えて深い呼吸ができるようになる
• 胃の後面のファシアを調整すると、背部痛が取れる
• 肋骨の下縁を滑らかにすると、肩の可動域が改善し、痛みも軽減される
これらの現象は、「ファシアの滑走が回復したことで、痛みの“場”が消えた」状態です。
慢性痛を“時間軸”でとらえる
慢性痛を構造で捉える際に重要なのは、「現在の痛みが、過去の出来事の“結果”として起きている」という視点です。
• 昔の手術跡が、今の肩こりの原因になっている
• 出産時の骨盤の緊張が、膝の可動制限を起こしている
• 小児期の呼吸器疾患が、胸郭の可動性低下を引き起こしている
こうした“時間差のあるつながり”こそが、ファシアの面白さであり、慢性痛を治すために不可欠な観点なのです。
まとめ
• 慢性痛の多くは、神経ではなく「構造としての記憶」に由来する
• ファシアは、傷や負荷の履歴を“形”として保持している
• 慢性痛とは、“動きの質”に痛みが組み込まれている状態
• ファシアを調整することで、“痛みの場”を解体することができる
• 時間軸を見て、過去の出来事と今の構造をつなぐ視点が重要
私たちの臓器は、それぞれ“決められた位置”に存在しています。
しかし、その位置は、案外ズレやすいことをご存知でしょうか?
内臓の位置のズレや制限は、消化や内臓の働きにとどまらず、
姿勢、呼吸、筋骨格系、さらには慢性疲労や自律神経の乱れにまで影響します。
内臓もまた、“構造物”として存在している
慢性の徒手領域では、内臓を「機能」だけでなく「位置と可動性をもった構造体」としてとらえます。
臓器は、以下のような要素によって位置づけられています:
• 靭帯性の支持構造(ex. 胃と横隔膜の間にある胃横隔膜間靭帯)
• 周囲のファシアとの滑走性
• 腸間膜を介した吊り構造
• 腹圧や重力とのバランス関係
このように、臓器は「そこにあるのが当たり前」のように見えて、実は繊細なバランスの上に成り立っているのです。
なぜ臓器の“位置”がズレるのか?
臓器の位置がズレる原因には、以下のようなものがあります:
• 腹部の手術や癒着(特に帝王切開・虫垂炎・婦人科系手術など)
・ 長時間の同一姿勢や姿勢不良(デスクワーク・猫背)
• 内臓の過緊張・過活動状態(ストレス・自律神経の乱れ)
• 出産や外傷による骨盤内圧の変化
これらの影響で、臓器は本来の“居場所”から微妙に位置を変えてしまうことがあります。
そのズレがファシアや靭帯に持続的なテンションを生み、身体の他の部分にまで波及する“引っ張り”が起きるのです。
症状は「内臓の位置のズレ」から始まる
例えば、以下のようなケースはよく見られます:
• 胃が下垂し、横隔膜を引っ張る → 呼吸が浅くなり、頸部が緊張する
• 肝臓が右下方に硬く固定 → 右の肩関節の可動域に影響する
• 子宮が後屈し、仙骨の動きを制限 → 腰痛や坐骨神経の症状に波及する
このように、“症状が出ている場所”ではなく、“位置がズレている内臓”に原因があるケースは、臨床上非常に多いのです。
触診で探る“臓器の居心地”
臓器が“あるべき場所”にあり、“滑らかに動けている”状態には、
以下のような感触があります:
• 臓器自体に温かみと弾力がある
• ファシアが臓器の動きと共にスライドする
• 吸気・呼気に合わせて臓器が自然に上下している
一方でズレていたり、動きが制限されている場合は:
• 周囲の組織が引っ張られて硬くなっている
• 呼吸に臓器がついてこない(“浮いている”ような感じ)
• 一部のファシアが“くさび”のように抵抗を示す
このような感触を通じて、
治療家と言われる徒手療法家は「臓器の居心地」を評価し、位置の問題を特定します。
調整によって“姿勢も感覚も”変わる臓器の位置が調整されると、
以下のような変化が起きます:
• 呼吸が深くなり、胸郭や骨盤の可動性が広がる
・ 筋肉の緊張が取れ、肩こりや腰痛が軽減する
• 姿勢が自然に整い、背筋がスッと伸びる感覚が出る
• 腸の動きや排泄、月経のリズムが整ってくる
これらは、「内臓の物理的位置」が全身の構造と連動していることを示しています。
つまり、“内臓の自由度”が、身体全体の自由度を左右しているのです。
まとめ
• 内臓は「位置」と「可動性」を持つ構造体である
• 手術・癒着・姿勢不良などで、内臓のポジションは容易にズレる
• 臓器のズレは、周囲のファシアに持続的なテンションを生み、症状を引き起こす
・ 真の治療家(慢性領域の徒手療法家)は、臓器の“居場所”と“滑走の質”を調整することで、姿勢や呼吸、感覚まで改善する