22/01/2026
【記事:安全設計】なぜ職場では注意しても事故が減らないのか― 身体と脳の「状態」から考える安全文化 ―
「気をつけているはずなのに、事故が起きる」
「注意喚起も教育もやり尽くした」
それでもヒヤリ・転倒・判断ミスがなくならない。
多くの現場で聞く声です。
事故が起きると、
つい「注意不足だったのではないか」
「意識が足りなかったのではないか」
「やっぱり高齢だからか?」
と考えてしまいがちです。
しかし本当にそうでしょうか。
事故は「意識」ではなく「状態」から起きている
最近、子どもの睡眠と運動に関する学びを通して、
私はある確信を持ちました。
事故が起きる構造は、
子どもの発達段階で起きていることと、非常によく似ている。
子どもは発達途中のため、
・前頭葉(判断・抑制を司る部分)が未成熟
・光、音、触覚など外界刺激に過敏
という特徴があります。
そのため、
興奮が沈まらない
落ち着けない
眠れない
という状態が起きやすい。
これは「怠け」でも「性格」でもありません。
身体と脳の状態の問題です。
そして同じことが、
大人の現場でも起きています。
現場で起きている「見えない異常」
・睡眠不足
・疲労の蓄積
・騒音、照明、情報過多
・時間的プレッシャー
これらが重なると、
人は「注意しているつもり」でも
身体の調整力が落ちます。
結果として起きるのが、
・つまずき
・足が出遅れる
・判断が一拍遅れる
・いつもなら避けられるミス
つまり、
事故は「意識の低下」ではなく
「調整力が落ちた状態」で起きているのです。
注意では、人の状態は変えられない
子どもに対して
「落ち着きなさい」
と言っても、うまくいかないのと同じで、
大人に対しても
「もっと注意しろ」
では、安全にはなりません。
必要なのは、
疲れていても崩れにくい状態をつくること。
それが、安全文化の本質です。
安全文化とは「人を責めない設計」
これからの安全対策は、
ルールや注意を増やすことではありません。
・作業前後に身体状態を整える
・判断を責めず、戻れる仕組みをつくる
・動きが自然に整う環境を設計する
事故は教育ではなく、環境で防ぐ。
それが、
人を守り、現場を守る
これからの安全文化だと考えています。