地域で暮らすために遊ぶ
NPO法人たんとは、2004年10月に前身のNPO法人障害福祉地域生活支援センター キープから独立をした形でスタートを切りました。
当時は「遊ぶ」ということに全力で取り組みながら、障がいをお持ちの利用者が地域で暮らしていくための”お手伝い“という感覚が強かったのかもしれません。
ほぼ毎週、イベントを開催し出かけたり、バーベキューや調理、工作など、いわゆる余暇活動をしながら、週末も楽しく生活リズムを崩さないように暮らしていくということを目的とした時間設定で運営をしていました。
その中、一人…また一人と自宅で生活することが難しくなり入所施設などに移り住む方も少なくありませんでした。
私達の本来の目的は、地域、特に地元で暮らしていくための支援をしているはずなのに、ある程度の年齢になると別の場所で暮らすことになる。
大人になれば当たり前のことかもしれません。しかし、私達が地元から離れ生活することと意味が大きく違いました。
そうなんです、そこには”自分の意思がない”ということでした。
多くの方は、住む場所働く場所を自分で選び生活をしています。満足ではない方もたくさんいますが、必ずそこには自分の意思が関わっています。しかし、彼らにはまだその当時は自分の意思を反映した生活を組み立てるということが、ちゃんと考えられていた訳ではありませんでした。
たんとの利用者の多くは、重度の知的障がいと自閉スペクトラムの特性を持った方がいます。その中には「自分の意思を表現する」という事が難しく、周りが表情や活動を見ながら”察する”という動作で生活を組み立ててきている方がいます。
ある時「本当に彼らは、この生活が納得できて楽しみがあるのだろうか?」そんな疑問が湧いてきました。
もし、家族や周囲の意向だけだったら…本人は別の希望があるのに、どうしても上手に表現ができないのだったら…
それは鍵こそかけられていないが、軟禁状態に等しいのではないだろうか?
そんな疑問が強くなってきたのもこの時期です。
まだまだ、私達はちゃんと彼らの声を聴くことが出来ていないかもしれません。
私達の事業所は、常に遊びの時間(余暇活動)を提供しながら、自ら表現する『言葉』をちゃんと伝えられるような支援を提供し、遊びの場面だけではなく日常生活の中でも本人のために役立つ工夫を提案しています。