21/02/2022
パニック障害に対して、escitalopramとsertralineはもっとも少ないリスクで最大の利益をもたらす
NEJM Journal Watch General Medicine 日本語版より
エスシタロプラムはレクサプロ(こちらは聞いたことある)とセルトラリンはセルトラリン錠(こちらは聞いたことない)は使用経験はありませんが、パニック障害は比較的頻度の高い疾患なので覚えておきます。
精神医学 医薬品情報
メタアナリシスでは、他の薬物も有効であったが、有害作用が多かった。
メタアナリシスは、パニック障害の管理において、三環系抗うつ薬(tricyclic antidepressants:TCA)、ベンゾジアゼピン系薬、選択的セロトニン再取込み阻害薬(selective serotonin reuptake inhibitor:SSRI)はいずれもプラセボよりも有効であるが、TCAおよびベンゾジアゼピン系薬はSSRIよりも有害作用のリスクが高いことを示唆している。その結果いくつかのガイドラインは、パニック障害の第一選択治療としてSSRIを推奨している。しかし、どのSSRIがもっとも有効で、有害作用のリスクがもっとも低いのであろうか。
研究者らは、パニック障害患者12,800人において、11のクラスの薬物のいずれかを互いに比較するか、プラセボ(または無治療)と比較したランダム化試験87件のネットワークメタアナリシスを行った。試験のアウトカムは、寛解(すなわち、治療中止後1週間パニック発作を起こさない)と有害作用を含んだ。ほとんどの試験の期間は8~12週間であった。
これまでの研究と同様に、TCA、ベンゾジアゼピン系薬、SSRIは、もっとも有効な薬物クラスであり、SSRIはTCAまたはベンゾジアゼピン系薬に比べて有害作用が有意に少なかった。さまざまなSSRIをプラセボと比較したところ、escitalopramとsertralineがもっとも有効であり、有害作用がもっとも少なかった。paroxetine、fluoxetine、fluvoxamineは、有効性はescitalopramとほぼ同等であったが、有害作用が多く認められた。citalopramは有効性がもっとも低かった。
コメント
プライマリケア医はうつ病、不安、そして関連する疾患に対して専門医のコンサルテーションなしにSSRIを処方することが多く、SSRIの選択は困難でありうる。それ以外を考慮すべき特段の理由がない限り、これらのデータは、パニック障害患者に対してescitalopramまたはsertralineを最初に試みることを支持するものである。
Chawla N et al. Drug treatment for panic disorder with or without agoraphobia: Systematic review and network meta-analysis of randomised controlled trials. BMJ 2022 Jan 19; 376:e066084. (https://doi.org/10.1136/bmj-2021-066084)
Objective To identify drug classes and individual selective serotonin reuptake inhibitors (SSRIs) with high rates of remission and low risk of adverse events in the treatment of panic disorder with or without agoraphobia. Design Systematic review and network meta-analysis. Data sources Embase, Medli...