28/02/2026
群馬県北毛保健生活協同組合 北毛診療所、医師の菅野です。
2026年3月の医療情報、二つ目です。小児ではさらに注意が必要です。
今回は放射線を用いた画像検査による小児血液癌発生への影響について。
1.臨床的な疑問:小児の医療画像診断による放射線は悪性腫瘍のリスクを増加させるか?
→紹介文での答え:これらの実臨床データによると、小児における放射線被ばく量の増加が血液悪性腫瘍のリスクを著しく増加させることを示している。累積被曝線量30mGy(CT検査約2回相当)の小児において、血液癌の過剰リスクは10000人当たり25例(400人当たり1例増)である。著者らは、血液癌のうち約10%が画像診断に起因する可能性があるとしている。
2.僕の意見:頭蓋内病変が低いと考えられる(もちろんリスクが高いとしても)小児の頭部打撲に関して、保護者から頭部CTの希望があった場合にこのようなデータを示してリスクとベネフィットに対して相談する必要があると感じました。数値そのものは憶えられないので、自分のスマホにメモを入れておこうかな。
3.原文の紹介:Daily POEMSより
Smith-Bindman R, Alber SA, Kwan ML, et al. Medical imaging and pediatric and adolescent hematologic cancer risk. N Engl J Med 2025;393 (13):1269-1278.
まとめ
Study Design:後ろ向きコホート
今回と同じ著者らによるJAMA Intern Med誌2023年のモデリング研究によると、米国における小児の年間癌発生数約10000例が画像診断に起因すると推定された。このスタディでは著者らが実世界のデータを用いてこのリスクの規模をさらに検証した。彼らは1996~2016年に米国6医療システムまたはカナダ・オンタリオ州で出生した小児を対象とした後ろ向きコホート研究を実施した。各放射線検査(電離放射線を含む)について、検査の種類と小児の年齢・身長・体重に基づき骨髄への吸収線量を推定した。著者らは年齢と性別で調整し、検査の適応理由を特定することで「適応による交絡」(患者の症状や診断が検査陽性率を高め、癌治療に関連しうる現象、つまり癌になる可能性の高い患者さんに対して画像検査が行われた可能性)を回避しようとした。最終的なコホートには3724623人の小児が含まれ、追跡期間は35715325人年(平均追跡期間10.1年)であった。患者は、21歳に達するまで、研究終了時、癌診断時、または医療システムから離脱するまでのいずれか早い時点まで追跡された。コホートの51%が男性、75%がカナダ出身であり、少なくとも1ミリグレイ(mGy)の被曝歴がある約7%の患者群における平均被曝線量は14.0 mGy(一般的なCT検査で受ける線量に相当)であった。著者らは、あらゆる血液癌のリスクがmGy単位の線量に比例して増加することを確認した:相対リスク(RR)は10 mGyで1.25、30 mGyで1.76、100 mGyで3.65であった。B細胞リンパ腫ではリスク上昇がより顕著であった(10 mGyでRR 1.97、30 mGyで3.90、100 mGyで10.7)。T細胞リンパ腫やナチュラルキラー細胞リンパ腫でも同様のリスク上昇が認められた。因果関係と一致して、被曝後経過時間とともに癌発生確率は低下した。
Smith-Bindman R, Alber SA, Kwan ML, Pequeno P, Bolch WE, Bowles EJA, Greenlee RT, Stout NK, Weinmann S, Moy LM, Stewart C, Francisco M, Kofler C, Duncan JR, Ducore J, Mahendra M, Pole JD, Miglioretti DL. Medical Imaging and Pediatric and Adolescent Hematologic Cancer Risk. N Engl J Med. 2025 Oct 2;393(13):1269-1278. doi: 10.1056/NEJMoa2502098. Epub 2025 Sep 17. PMID: 40961449; PMCID: PMC12445590.
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