01/02/2026
群馬県北毛保健生活協同組合 北毛診療所、医師の菅野です。
出す順番をちょっと間違えました。先ほどのデータは65歳未満の成人に対する効果で、こちらは高齢者(といっても日本で来年度から定期接種となるのは75歳以上が対象ですが)が対象のスタディのメタアナリシスです。
2026年2月の医療情報、二つ目です。
今回は高齢者に対する高容量インフルエンザワクチンの効果について。
1.臨床的な疑問:高齢者に対する高用量インフルエンザワクチンは、入院減少において標準用量ワクチンより効果的か?
→紹介文での答え:高用量インフルエンザワクチンを接種した高齢者は、標準用量ワクチン接種者に比べ、肺炎・インフルエンザ・心血管イベントによる入院が少なかった。
2.僕の意見:今後は高齢者に対するインフルエンザワクチンは高容量が主流になっていくようですね。気になるのはメーカーの資金提供によって行われたスタディ(メーカー側に都合が良い結果が出やすい)だということですね。まあ、これだけ大人数(だからこそわずかな差が検出できたとも言えますが)のRCTを行うには莫大な資金が必要ですので、仕方のない選択だったかもしれませんね。
3.原文の紹介:Daily POEMSより
Johansen ND, Modin D, Pardo-Seco J, et al. Effectiveness of high-dose influenza vaccine against hospitalisations in older adults (FLUNITY-HD): An individual-level pooled analysis. Lancet 2025;406(10518):2425-2434.
まとめ
Study Design:RCT(隠蔽化なし)のメタアナリシス(メーカーの後援)
このスタディの研究者らは、65歳以上の地域在住成人を対象とした2つ(一方はデンマーク、もう一方はスペイン)の大規模な人口ベースswの非盲検RCT(両者ともメーカによる資金適用で実施)の個別参加者データによるメタアナリシスを行った。参加者は高用量インフルエンザワクチン(n = 233311)または標準用量ワクチン(n = 233009)の投与群に無作為に割り付けられた。参加者の転帰は、ワクチン接種(インフルエンザシーズンである冬)後14日目から翌年5月31日まで評価された。肺炎またはインフルエンザによる入院は、標準用量ワクチン群(0.62%)に比べ高用量ワクチン群(0.56%)で頻度が低かった(治療必要数[NNT]=1840;95%CI 1017~9591)。さらに、高用量ワクチン接種成人では心血管イベントによる入院も減少した(2.0%対2.16%;NNT=731;457~1825)。全原因による入院も高用量接種群で低頻度であった(8.5%対8.7%;NNT=515;282~3023)。全原因死亡率に有意差は認められなかった。重篤な有害事象は各群で同程度(6.8%)であった。2件の製薬会社メーカー主導試験データのみを用いるのは問題がある。しかし、このデータは他のRCTで得られたデータと一致している。
Johansen ND, Modin D, Pardo-Seco J, Rodriguez-Tenreiro-Sánchez C, Loiacono MM, Harris RC, Dufournet M, van Aalst R, Chit A, Larsen CS, Larsen L, Wiese L, Dalager-Pedersen M, Claggett BL, Janstrup KH, Duran-Parrondo C, Piñeiro-Sotelo M, Cribeiro-González M, Conde-Pájaro M, Mirás-Carballal S, González-Pérez JM, Solomon SD, Sivapalan P, Martel CJ, Jensen JUS, Martinón-Torres F, Biering-Sørensen T; DANFLU-2 Study Group; GALFLU Trial Team. Effectiveness of high-dose influenza vaccine against hospitalisations in older adults (FLUNITY-HD): an individual-level pooled analysis. Lancet. 2025 Nov 22;406(10518):2425-2434. doi: 10.1016/S0140-6736(25)01742-8. Epub 2025 Oct 17. PMID: 41115437.
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