02/01/2026
群馬県北毛保健生活協同組合 北毛診療所、医師の菅野です。
1日遅れですが、明けましておめでとうございます。
2026年1月の医療情報、一つ目です。
今回はインフルエンザ入院患者さんに対するオセルタミビル早期投与の効果について。
1.臨床的な疑問:インフルエンザ患者に対し入院初日にオセルタミビルを早期投与することは転帰を改善するか?
→紹介文での答え:インフルエンザで入院した患者さんにおいて、入院当日にオセルタミビルを開始すると肺疾患の進行リスクが低下した。本研究は、推奨にもかかわらず、多くの入院患者さんが初日にオセルタミビルを投与されていなかったことを示している。
2.僕の意見:作用機序からしたら、早期であればある程効果が高いことはわかっており、外来治療ではなかなか早期に投与できない(多くの場合迅速検査が陽性にならないと投与されない)事情があって、期待するほどの効果が見られない可能性はありそうです。ただ、耐性ウイルスの増加も抑える必要があり、そこらへんが難しいですね(入院するほど状態が悪ければ早期に投与するべきだと思いますが)。
3.原文の紹介:Daily POEMSより
Lewis NM, Harker EJ, Grant LB, et al, for the Investigating Respiratory Viruses in the Acutely Ill (IVY) Network. Benefit of early oseltamivir therapy for adults hospitalized with influenza A: An observational study. Clin Infect Dis 2025;81(1):190-197.
まとめ
Study Design:前向きコホート
現行ガイドラインでは、疑い例または検査確定例のインフルエンザで入院した患者に対し、オセルタミビルを可能な限り早期に開始することを推奨している。本研究は2022-2023年インフルエンザシーズンに米国24病院で実施され、早期オセルタミビル投与の臨床的利便性を、遅延投与または無治療と比較して検討した。研究対象はインフルエンザ陽性の入院患者であった。著者らは、SARS-CoV-2または呼吸器合胞体ウイルスとの重複感染患者、オセルタミビル以外の抗インフルエンザ治療を受けた患者、入院当日に退院した患者を除外した。登録患者は早期治療群(入院当日にオセルタミビル投与を受けた患者:n=415)と遅延治療群(オセルタミビル未投与患者:n=124または入院後期に投与を受けた患者:n=301)に分類された。遅延治療群では、78%が入院翌日にオセルタミビル投与を開始した。主要評価項目は入院中の肺疾患重症度ピーク値であり、WHOのCOVID-19の重症度分類である5段階尺度(1=軽症:SAT≧96%で標準的酸素療法不要、2=中等症Ⅰ:93<SAT≦96%で呼吸不全なく標準的酸素療法、3=中等症Ⅱ:SAT≦93%で呼吸不全があり高流量鼻カニューレまたは非侵襲的換気療法が必要、4=重症:ICU入室あるいは機械的人工呼吸が必要、5=死亡)に準じて分類した。早期治療群では患者の年齢が高く、ベースライン肺疾患重症度も高かった。症状発現から入院までの中央値は全コホートで3日であった。結果はベースライン疾患重症度、年齢、性別、施設、インフルエンザワクチン接種状況で調整された。遅延治療と比較し、早期治療では肺疾患重症度の進行が認められなかった患者がより多く(8%対2%;P<0.001)、重症度がベースラインから1段階上昇した患者(11%対21%;P<0.001)および2段階上昇した患者(3%対7%;P=0.027)がより少なかった。早期治療群では、入院期間の短縮、集中治療室への転入率の低下、昇圧剤使用や透析療法の必要性の減少、院内死亡率の低下も認められた。
Lewis NM, Harker EJ, Grant LB, Zhu Y, Grijalva CG, Chappell JD, Rhoads JP, Baughman A, Casey JD, Blair PW, Jones ID, Johnson CA, Lauring AS, Gaglani M, Ghamande S, Columbus C, Steingrub JS, Shapiro NI, Duggal A, Busse LW, Felzer J, Prekker ME, Peltan ID, Brown SM, Hager DN, Gong MN, Mohamed A, Exline MC, Khan A, Hough CL, Wilson JG, Mosier J, Qadir N, Chang SY, Ginde AA, Martinez A, Mohr NM, Mallow C, Harris ES, Johnson NJ, Srinivasan V, Gibbs KW, Kwon JH, Vaughn IA, Ramesh M, Safdar B, Goyal A, DeLamielleure LE, DeCuir J, Surie D, Dawood FS, Tenforde MW, Uyeki TM, Garg S, Ellington S, Self WH; Investigating Respiratory Viruses in the Acutely Ill (IVY) Network. Benefit of Early Oseltamivir Therapy for Adults Hospitalized With Influenza A: An Observational Study. Clin Infect Dis. 2025 Aug 1;81(1):190-197. doi: 10.1093/cid/ciae584. PMID: 39607747.
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