北毛保健生活協同組合

北毛保健生活協同組合 群馬県渋川市内で医療・介護事業を展開しています。

1953年(昭和28年)に、渋川、北群馬の働く人々が中心に、いつでも安心してかかれる医療機関をつくろうと、「渋川診療所」が開設されました。
その後1977年(昭和52年)12月に渋川市有馬に62床の内科・小児科・精神科の病院としてスタート。13年の歳月を経て一般病床100床、療養型病床50床の現在に至ります。新緑に映える榛名山の東の麓、一見あります。

01/02/2026

群馬県北毛保健生活協同組合 北毛診療所、医師の菅野です。
出す順番をちょっと間違えました。先ほどのデータは65歳未満の成人に対する効果で、こちらは高齢者(といっても日本で来年度から定期接種となるのは75歳以上が対象ですが)が対象のスタディのメタアナリシスです。
2026年2月の医療情報、二つ目です。
今回は高齢者に対する高容量インフルエンザワクチンの効果について。
1.臨床的な疑問:高齢者に対する高用量インフルエンザワクチンは、入院減少において標準用量ワクチンより効果的か?
→紹介文での答え:高用量インフルエンザワクチンを接種した高齢者は、標準用量ワクチン接種者に比べ、肺炎・インフルエンザ・心血管イベントによる入院が少なかった。
2.僕の意見:今後は高齢者に対するインフルエンザワクチンは高容量が主流になっていくようですね。気になるのはメーカーの資金提供によって行われたスタディ(メーカー側に都合が良い結果が出やすい)だということですね。まあ、これだけ大人数(だからこそわずかな差が検出できたとも言えますが)のRCTを行うには莫大な資金が必要ですので、仕方のない選択だったかもしれませんね。
3.原文の紹介:Daily POEMSより
Johansen ND, Modin D, Pardo-Seco J, et al. Effectiveness of high-dose influenza vaccine against hospitalisations in older adults (FLUNITY-HD): An individual-level pooled analysis. Lancet 2025;406(10518):2425-2434.
まとめ
Study Design:RCT(隠蔽化なし)のメタアナリシス(メーカーの後援)
このスタディの研究者らは、65歳以上の地域在住成人を対象とした2つ(一方はデンマーク、もう一方はスペイン)の大規模な人口ベースswの非盲検RCT(両者ともメーカによる資金適用で実施)の個別参加者データによるメタアナリシスを行った。参加者は高用量インフルエンザワクチン(n = 233311)または標準用量ワクチン(n = 233009)の投与群に無作為に割り付けられた。参加者の転帰は、ワクチン接種(インフルエンザシーズンである冬)後14日目から翌年5月31日まで評価された。肺炎またはインフルエンザによる入院は、標準用量ワクチン群(0.62%)に比べ高用量ワクチン群(0.56%)で頻度が低かった(治療必要数[NNT]=1840;95%CI 1017~9591)。さらに、高用量ワクチン接種成人では心血管イベントによる入院も減少した(2.0%対2.16%;NNT=731;457~1825)。全原因による入院も高用量接種群で低頻度であった(8.5%対8.7%;NNT=515;282~3023)。全原因死亡率に有意差は認められなかった。重篤な有害事象は各群で同程度(6.8%)であった。2件の製薬会社メーカー主導試験データのみを用いるのは問題がある。しかし、このデータは他のRCTで得られたデータと一致している。

Johansen ND, Modin D, Pardo-Seco J, Rodriguez-Tenreiro-Sánchez C, Loiacono MM, Harris RC, Dufournet M, van Aalst R, Chit A, Larsen CS, Larsen L, Wiese L, Dalager-Pedersen M, Claggett BL, Janstrup KH, Duran-Parrondo C, Piñeiro-Sotelo M, Cribeiro-González M, Conde-Pájaro M, Mirás-Carballal S, González-Pérez JM, Solomon SD, Sivapalan P, Martel CJ, Jensen JUS, Martinón-Torres F, Biering-Sørensen T; DANFLU-2 Study Group; GALFLU Trial Team. Effectiveness of high-dose influenza vaccine against hospitalisations in older adults (FLUNITY-HD): an individual-level pooled analysis. Lancet. 2025 Nov 22;406(10518):2425-2434. doi: 10.1016/S0140-6736(25)01742-8. Epub 2025 Oct 17. PMID: 41115437.

群馬県渋川市内で医療・介護事業を展開しています。

01/02/2026

群馬県北毛保健生活協同組合 北毛診療所、医師の菅野です。
2026年2月の医療情報、一つ目です。
今回は(日本ではまだ存在しない)mRNAインフルエンザワクチンの効果について。
1.臨床的な疑問:mRNAタイプのインフルエンザワクチンは、標準的な4価季節性インフルエンザワクチンよりも効果的か?
→紹介文での答え:インフルエンザAが優勢だった年において、mRNAインフルエンザワクチンは18~64歳の成人におけるインフルエンザ予防において標準ワクチンよりやや効果的であった。mRNAワクチンでは局所反応および全身反応の発生率が高かった。
2.僕の意見:やはり全身的な有害事象が多い分だけmRNAワクチンの効果は他の不活化ワクチンより効果が高い可能性があるのですね。あとは有害事象と効果のバランスということになりますが、今後のワクチンはmRNA(他のワクチンに比べて新しい病気に対する新規のワクチンが速く多く作れるため主流になっていく可能性が高そうです。ところで、これは余談(あくまで個人的な推論)ですがインフルエンザだけでなく新型コロナ、RSウイルスといった多くの呼吸器系のウイルスは、ウイルス血症特に血液内に多く侵入した場合は全身に炎症、特に血管炎(直接ウイルスが壊すだけでなく、感染した細胞を抗体が攻撃することも関与)を起こして、心血管合併症などおこしやすいのかなと、いろいろデータを見ていて感じました。ワクチンは主にウイルス血症の初期に全身への影響を減らすことで、重症化を予防しているのかなと。
3.原文の紹介:Daily POEMSより
Fitz-Patrick D, McVinnie DS, Jackson LA, et al, for the Pfizer C4781004 Trial Investigators. Efficacy, immunogenicity, and safety of modified mRNA influenza vaccine. N Engl J Med 2025;393(20):2001-2011.
まとめ
Study Design:二重盲検RCT(隠蔽化あり)
新規mRNAワクチンは、従来型ワクチンと比較して、製造期間の短縮、現在流行中の株との適合性の向上、受精鶏卵でのウイルス培養が不要など、いくつかの潜在的な利点がある。このスタディでは、18~64歳の成人18476名がmRNAタイプのインフルエンザワクチンまたは従来型4価インフルエンザワクチン(Fluzone)の投与群に無作為に割り付けられた。両群はベースラインで似通っており、平均年齢43歳、重篤なインフルエンザの危険因子を有する被験者が約25%を占めた。割付は隠蔽され、被験者とアウトカム評価者は治療割付を盲検化されており、解析はITT解析(ワクチン接種後2週間経過時点で研究継続中の全被験者を含む)で行った。6ヶ月時点の全体追跡率は92.9%であった。主要評価項目である検査確認済み症状性インフルエンザの発症率はmRNA群で低かった(57例対87例;0.62%対0.95%;相対リスク0.66;95%信頼区間0.46-0.93;予防接種必要数NNT=300;相対ワクチン有効性34%)。この優位性は非劣性及び優越性の両基準を満たした(例:この新しいワクチンは標準ワクチンより良好と判定)。インフルエンザA型両株に対する有効性は同等であったが、ワクチン対応株に一致するインフルエンザB型株は確認されなかった。mRNAワクチンの免疫原性はインフルエンザA株では高かったが、インフルエンザB株では劣っていた。mRNAワクチン群は標準ワクチン群より局所反応(70%対43%)および疲労、頭痛、悪寒などの全身反応(66%対49%)がより多かった。mRNAワクチン群でアナフィラキシー反応が1例認められたが、心筋炎の症例はなかった。

Fitz-Patrick D, McVinnie DS, Jackson LA, Crowther G, Geevarughese A, Cannon KD, Garcia LM, Pineiro Puebla Y, Yi Z, Cunliffe L, Maniar A, Zareba AM, Ianos CA, Gomme E, Koury K, Suphaphiphat Allen P, Anderson AS, Gurtman A, Lindert K; Pfizer C4781004 Trial Investigators. Efficacy, Immunogenicity, and Safety of Modified mRNA Influenza Vaccine. N Engl J Med. 2025 Nov 20;393(20):2001-2011. doi: 10.1056/NEJMoa2416779. PMID: 41259756.

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02/01/2026

群馬県北毛保健生活協同組合 北毛診療所、医師の菅野です。
2026年1月の医療情報、二つ目です。
今回は新しくインフルエンザワクチン接種歴を組み込んで開発されたインフルエンザ感染リスク評価スコアの正確さについて。
1.臨床的な疑問:急性咳嗽を主訴とする成人外来患者さんにおけるインフルエンザ感染リスク評価においてFluScoreVaxリスクスコアリングツール(インフルエンザワクチン接種歴を組み込んだ新しい評価)は正確か?
→紹介文での答え:ワクチン接種状況を組み込んだ更新版FluScoreVaxリスクスコア(主観的発熱=体温計の温度にかかわらず患者さん本人が熱があると感じること有が4点、日常活動への支障有が1点、頭痛有が1点、喘鳴有が-1点、喀痰有が-2点、および最近のインフルエンザワクチン接種歴有が-2点の6項目からなるリスクスコアでスコアの範囲は-5から6点であり、-5~0点が低リスク、1-3点が中リスク、4-6点が高リスクと判定)はインフルエンザ流行期に急性咳嗽を呈する成人患者さんにおいて、インフルエンザ低リスク群を正確に同定する。これらの患者さんは、迅速検査や治療による恩恵を受ける可能性が低い(検査を行っても陰性の可能性が高い、抗インフルエンザ薬の効果が望めないなど)。
2.僕の意見:このデータからすると、咳があって熱があって(4点)も今シーズンインフルエンザワクチン接種していて(-2点)、痰が出ていれば(-2点)合計0点で、低リスクとなり他の疾患を考える(肺炎など)ということになりますね。確かに早期のインフルエンザは空咳が多い印象ですから臨床的にもそう考えやすそうです。じゃあそこで迅速検査をやらないかというと、現状ではなかなか難しい気もします(それよりも、2-3日前にインフルエンザと診断された方が同居家族にいる患者さんが、発熱で来院した時に迅速検査をやる方が陰性でも否定は全くできないので意味ないとは感じますが)。
3.原文の紹介:Daily POEMSより
Ebell MH, Chen Y, Luo F, et al. Development and external validation of the FluScoreVax risk score for influenza that incorporates vaccine status. J Am Board Fam Med 2025;38:401-410.
まとめ
Study Design:決定ルールの検証
以前開発されたインフルエンザ予測のためのオリジナルFluScoreリスクツールは、ワクチン接種データを利用せずに実施された。このスタディの研究者らは、12の欧州諸国からインフルエンザ流行期に収集したデータを用い、ワクチン接種状況を組み込んだ更新版FluScoreVaxリスクスコアを開発し、急性咳嗽を主訴に外来を受診した、または下気道感染症が疑われた成人1526例を対象に内部検証(どの項目がインフルエンザの診断や除外に有用かを評価)を行った。患者さん自身が報告した症状を記録し、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)検査をインフルエンザ診断の参照基準とした。最終リスクスコアには主観的発熱、日常活動への支障、頭痛、喘鳴、痰、インフルエンザワクチン接種状況(-5~6点)が含まれ、その後米国人を対象とした外部検証(実際スコアを使用してどの程度の精度か検証)が行われた。
両研究におけるインフルエンザの全体有病率は約15%であった。FluScoreVaxリスクスコアは外部検証コホートの患者の61%を低リスク(-5~0点)と分類し、そのうちPCR法でインフルエンザ陽性反応を示したのはわずか7%であった。

Ebell MH, Chen Y, Luo F, Shen Y, Coenen S, Little P, Barrett B, Merenstein D, Ieven M. Development and External Validation of the FluScoreVax Risk Score for Influenza That Incorporates Vaccine Status. J Am Board Fam Med. 2025 Sep 15;38(3):401-410. doi: 10.3122/jabfm.2024.240366R1. PMID: 40789620; PMCID: PMC12616807.

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02/01/2026

群馬県北毛保健生活協同組合 北毛診療所、医師の菅野です。
1日遅れですが、明けましておめでとうございます。
2026年1月の医療情報、一つ目です。
今回はインフルエンザ入院患者さんに対するオセルタミビル早期投与の効果について。
1.臨床的な疑問:インフルエンザ患者に対し入院初日にオセルタミビルを早期投与することは転帰を改善するか?
→紹介文での答え:インフルエンザで入院した患者さんにおいて、入院当日にオセルタミビルを開始すると肺疾患の進行リスクが低下した。本研究は、推奨にもかかわらず、多くの入院患者さんが初日にオセルタミビルを投与されていなかったことを示している。
2.僕の意見:作用機序からしたら、早期であればある程効果が高いことはわかっており、外来治療ではなかなか早期に投与できない(多くの場合迅速検査が陽性にならないと投与されない)事情があって、期待するほどの効果が見られない可能性はありそうです。ただ、耐性ウイルスの増加も抑える必要があり、そこらへんが難しいですね(入院するほど状態が悪ければ早期に投与するべきだと思いますが)。
3.原文の紹介:Daily POEMSより
Lewis NM, Harker EJ, Grant LB, et al, for the Investigating Respiratory Viruses in the Acutely Ill (IVY) Network. Benefit of early oseltamivir therapy for adults hospitalized with influenza A: An observational study. Clin Infect Dis 2025;81(1):190-197.
まとめ
Study Design:前向きコホート
現行ガイドラインでは、疑い例または検査確定例のインフルエンザで入院した患者に対し、オセルタミビルを可能な限り早期に開始することを推奨している。本研究は2022-2023年インフルエンザシーズンに米国24病院で実施され、早期オセルタミビル投与の臨床的利便性を、遅延投与または無治療と比較して検討した。研究対象はインフルエンザ陽性の入院患者であった。著者らは、SARS-CoV-2または呼吸器合胞体ウイルスとの重複感染患者、オセルタミビル以外の抗インフルエンザ治療を受けた患者、入院当日に退院した患者を除外した。登録患者は早期治療群(入院当日にオセルタミビル投与を受けた患者:n=415)と遅延治療群(オセルタミビル未投与患者:n=124または入院後期に投与を受けた患者:n=301)に分類された。遅延治療群では、78%が入院翌日にオセルタミビル投与を開始した。主要評価項目は入院中の肺疾患重症度ピーク値であり、WHOのCOVID-19の重症度分類である5段階尺度(1=軽症:SAT≧96%で標準的酸素療法不要、2=中等症Ⅰ:93<SAT≦96%で呼吸不全なく標準的酸素療法、3=中等症Ⅱ:SAT≦93%で呼吸不全があり高流量鼻カニューレまたは非侵襲的換気療法が必要、4=重症:ICU入室あるいは機械的人工呼吸が必要、5=死亡)に準じて分類した。早期治療群では患者の年齢が高く、ベースライン肺疾患重症度も高かった。症状発現から入院までの中央値は全コホートで3日であった。結果はベースライン疾患重症度、年齢、性別、施設、インフルエンザワクチン接種状況で調整された。遅延治療と比較し、早期治療では肺疾患重症度の進行が認められなかった患者がより多く(8%対2%;P<0.001)、重症度がベースラインから1段階上昇した患者(11%対21%;P<0.001)および2段階上昇した患者(3%対7%;P=0.027)がより少なかった。早期治療群では、入院期間の短縮、集中治療室への転入率の低下、昇圧剤使用や透析療法の必要性の減少、院内死亡率の低下も認められた。

Lewis NM, Harker EJ, Grant LB, Zhu Y, Grijalva CG, Chappell JD, Rhoads JP, Baughman A, Casey JD, Blair PW, Jones ID, Johnson CA, Lauring AS, Gaglani M, Ghamande S, Columbus C, Steingrub JS, Shapiro NI, Duggal A, Busse LW, Felzer J, Prekker ME, Peltan ID, Brown SM, Hager DN, Gong MN, Mohamed A, Exline MC, Khan A, Hough CL, Wilson JG, Mosier J, Qadir N, Chang SY, Ginde AA, Martinez A, Mohr NM, Mallow C, Harris ES, Johnson NJ, Srinivasan V, Gibbs KW, Kwon JH, Vaughn IA, Ramesh M, Safdar B, Goyal A, DeLamielleure LE, DeCuir J, Surie D, Dawood FS, Tenforde MW, Uyeki TM, Garg S, Ellington S, Self WH; Investigating Respiratory Viruses in the Acutely Ill (IVY) Network. Benefit of Early Oseltamivir Therapy for Adults Hospitalized With Influenza A: An Observational Study. Clin Infect Dis. 2025 Aug 1;81(1):190-197. doi: 10.1093/cid/ciae584. PMID: 39607747.

群馬県渋川市内で医療・介護事業を展開しています。

01/12/2025

群馬県北毛保健生活協同組合 北毛診療所、医師の菅野です。
2025年12月の医療情報、二つ目です。
今回はポリファーマシーの予防について。
1.臨床的な疑問:高齢者に対する病院や急性期治療後のケア(PAC)施設でのデプレスクライビング(減処方)介入は服薬負担を減少させるか?
→紹介文での答え:病院からPAC施設に退院した高齢者を対象として、薬剤師またはナースプラクティショナー(診療看護師)が主導して行う、広範囲にわたる減処方介入は、有害事象を増加させることなく、全体の服薬負担を減少させることにつながる。
追加事項:このPOEMはカナダ老年医学会のChoosing Wisely Canadaの次の勧告と一致している「ケアの切り替わる場面において減処方の機会を検討すること」。
2.僕の意見:外来受診中も「まずは処方する前に患者さんの希望をよく聞き、最低限の種類で開始する」、「追加するときも慎重に(もちろん患者さんの希望も聞きながら)」、「追加するときにその代わりにやめられそうな薬を提示する」といった注意はしていますが、他の主治医から引き継いだ場合は(特に多種類の薬をすでに飲んでいる場合は)難しいです。そういった場合に入院を機会に減処方を期待してしまいますね。日本では薬剤師さんや診療看護師さんが中心になることは難しく、入院受け持ちの医師の力量に左右されますが。このスタディの注目点は、服薬種類が減ったことより(有意差はないものの)有害事象が減少傾向だったことかもしれません(詳細は無料で閲覧できる原著のTable 3参照、ハザード比0.83、95%CI 0.52-1.30)。
3.原文の紹介:Daily POEMSより
Vasilevskis EE, Shah AS, Hollingsworth EK, et al. Deprescribing medications among older adults from end of hospitalization through postacute care. JAMA Intern Med 2023;183(3):223-231.
まとめ
Study Design:非盲険無作為割り付け比較試験(隠蔽化あり)
このスタディでは、入院前に5種類以上の薬を服用しており、PAC施設に退院する50歳以上の入院患者さんが、減処方介入を行う群(減処方群)と通常ケアを行う群(対照群)に無作為に割り付けられた。対象患者さん1353人のうち、911人が参加を辞退し、70人が声をかけられなかったため、各試験群に186人の患者さんが割り付けられた。病院では、すべての患者さんが、正確な薬物リストを得るために、医療記録、薬局での補充履歴、規制薬物モニタリングデータベースの確認と、患者さんあるいはその代理人による面接を含むBest Possible Medication Historyプロセスを受けた。減処方群では、さらに臨床研究者(薬剤師または診療看護師)が実施する4つのステップを追加した: (1) 減処方の対象となる薬剤の検討、(2) 減処方に関する患者/代理人との話し合い、(3) 外来処方医および入院チームとの減処方に関する議論、(4) 転院時のPAC施設との処方薬および減処方勧告に関する検討。退院後は、臨床研究者が週単位でPAC施設に電話をかけて薬を確認し、調整した薬物リストと継続的な減処方勧告を外来処方医に送付した。主要アウトカムは、病院退院時、PAC施設退院時、PAC施設退院後90日目の総投薬数とした。各研究グループ142名ずつの患者さんがintention-to-treat(ITT)解析に含まれた。平均年齢は76歳、62%が女性、84%が白人、病院前投薬数の中央値は16であり、ベースライン時の各群は類似していた。退院時の平均総投薬数は2群で同程度であったが、介入群では対照群に比べPAC施設退院時の投薬数が14%減少し(0.86、95%CI 0.80~0.93)、90日フォローアップ時の投薬数は15%減少していた(0.85、0.78~0.92)。ビタミン剤、サプリメント、下剤、降圧剤が最も頻繁に処方される薬物クラスであった。全体的な有害事象、薬物有害事象、薬物離脱有害事象については、2群間で差はなかった。注意すべき点は、試験への参加を辞退した患者の割合が多かったことから、登録バイアスの可能性があったことである。このような行動は介入群と対照群の両方で見られたが、登録した患者はより減処方に傾いていた(好んでいた)可能性がある。

Vasilevskis EE, Shah AS, Hollingsworth EK, Shotwell MS, Kripalani S, Mixon AS, Simmons SF. Deprescribing Medications Among Older Adults From End of Hospitalization Through Postacute Care: A Shed-MEDS Randomized Clinical Trial. JAMA Intern Med. 2023 Mar 1;183(3):223-231. doi: 10.1001/jamainternmed.2022.6545. PMID: 36745422; PMCID: PMC9989899.

群馬県渋川市内で医療・介護事業を展開しています。

01/12/2025

群馬県北毛保健生活協同組合 北毛診療所、医師の菅野です。
2025年12月の医療情報、一つ目です。
今回は産後出血に対するトラネキサム酸の効果について。
1.臨床的な疑問:トラネキサム酸のルーチン投与は生命を脅かす産後出血を予防するか?
→紹介文での答え:トラネキサム酸の静脈内投与による産後出血予防効果はわずかではあるが統計的に有意であり、約500人に投与すると1の出血を減少させる。産後出血が起こった場合に死亡リスクが通常よりも高くなる女性には検討する価値があるが、著者らは、ルーチンの使用は正当化されないと正しく示唆している。
2.僕の意見:トラネキサム酸の利益を示す様々なデータはいろいろな分野で出ていますが、多くはその利益がわずか(今回も同様)でありその点を注意すべき(安くて血栓などのリスク上昇もわずかなようですが)ですね。
3.原文の紹介:Daily POEMSより
Ker K, Sentilhes L, Shakur-Still H, et al, for the Anti-fibrinolytics Trialists Collaborators Obstetric Group. Tranexamic acid for postpartum bleeding: a systematic review and individual patient data analysis of randomised controlled trials. Lancet 2024;404(10463):1657-1667.
まとめ
Study Design:無作為割り付け比較試験のメタアナリシス
トラネキサム酸の静脈内投与は、世界保健機関(WHO)により産後出血の治療として推奨されている。この個別患者データを用いたメタアナリシスは、産後出血の予防におけるその価値を評価するために実施された。このスタディの研究者らは、少なくとも500人の参加者を対象とした5つのよく設計された無作為割り付け比較試験(N = 54404人)を検出した。このうち43409人の患者さんのの個々の患者データが得られた(4試験)。すべての試験はバイアスのリスクが低く、異質性は認められなかった(P = 0.33)。主要評価項目は、分娩後24時間以内の死亡または出血に対する外科的介入(開腹術、塞栓術、子宮圧迫縫合、動脈結紮)を複合したものと定義された、生命を脅かす出血であった。すべての試験を含めた集計分析では、この結果について、統計的に有意なわずかな減少が示された(178/27300 [0.65%]vs230/27093 [0.85%]; 差異 0. 02%; オッズ比 0.77; 95% CI 0.63 - 0.93; P = 0.008; 治療必要数NNT = 508; CI 291 - 1929)。輸血などの他の出血に関する結果には、明らかな影響は認められなかった。血栓塞栓性合併症の発生率は両群で同じであった(0.2%)。 サブグループ解析では、生命を脅かす出血の基礎リスク、分娩の種類、中等度から重度の貧血(Hb < 10.0 g/dL)の有無、投与のタイミング(産後出血の診断前または後)のいずれにおいても、より大きな利益が得られるグループを特定することはできなかった。

Ker K, Sentilhes L, Shakur-Still H, Madar H, Deneux-Tharaux C, Saade G, Pacheco LD, Ageron FX, Mansukhani R, Balogun E, Brenner A, Prowse D, Arribas M, Ahmadzia H, Chaudhri R, Olayemi O, Roberts I; Anti-fibrinolytics Trialists Collaborators Obstetric Group. Tranexamic acid for postpartum bleeding: a systematic review and individual patient data meta-analysis of randomised controlled trials. Lancet. 2024 Oct 26;404(10463):1657-1667. doi: 10.1016/S0140-6736(24)02102-0. PMID: 39461793.

群馬県渋川市内で医療・介護事業を展開しています。

01/11/2025

群馬県北毛保健生活協同組合 北毛診療所、医師の菅野です。
2025年11月の医療情報、二つ目です。
今回はリアルタイムグルコースモニタリングの効果について。
1.臨床的な疑問:2型糖尿病患者において持続的グルコースモニタリングは従来のグルコース自己測定よりも有益か?
→紹介文での答え:比較的短期間の研究によるとグルコースモニタリング装置はHbA1cにわずかな効果しかなく体脂肪、血中脂質、血圧には影響しない。Dexcom G6およびG5、Medtrum Touch Care Nano、Medtronic Guardianモデルなどのリアルタイム(持続)グルコースモニターは、使用者に心理的ストレスを与える可能性がある。FreeStyle Libreのような間欠型グルコースモニターは、患者に受け入れられやすい。しかし、どちらのタイプの装置も副作用のリスクを増加させる可能性がある。
2.僕の意見:色々便利な道具が出てきていますが、その害に関しても充分理解して使いたいものですね。
3.原文の紹介:Daily POEMSより
Seidu S, Kunutsor SK, Ajjan RA, Choudhary P. Efficacy and safety of continuous glucose monitoring and intermittently scanned continuous glucose monitoring in patients with type 2 diabetes: a systematic review and meta-analysis of interventional evidence. Diabetes Care 2024;47(1):169-179.
まとめ
Study Design:無作為割り付け比較試験のメタアナリシス
研究者らは、Cochrane CENTRALを含む4つのデータベースおよび検索された論文の参考文献リストを検索し、持続グルコースモニタリング(CGM)および間欠走査型持続グルコースモニタリング(isCGM)装置に関する無作為化研究をあらゆる言語で検索し、2783人の患者を対象とした26の研究を同定した。PRISMAガイドラインに従い、2人の著者が対象論文を選択し、1人の著者がデータを抄録し、別の著者がチェックした。ほとんどの研究は比較的短期間(8~12週間)であった。CGMはHbA1c値の低下(0.19%[パーセンテージポイントではなくパーセント]の低下)にはわずかな効果を示したが、短期的には体組成、血圧、脂質値には影響を及ぼさなかった。しかし、この装置を評価した3件の研究では、使用者の満足度は低く、副作用は高かった(相対リスク[RR]1.22;95%CI 1.01-1.47)。iscGM装置は平均してHbA1cを0.31%低下させたが、体組成、血圧、脂質値には影響を及ぼさなかった。これらの機器では使用者の満足度は改善されたが、有害事象も起こりやすくなった(RR 1.30; 1.05 - 1.62)。

Seidu S, Kunutsor SK, Ajjan RA, Choudhary P. Efficacy and Safety of Continuous Glucose Monitoring and Intermittently Scanned Continuous Glucose Monitoring in Patients With Type 2 Diabetes: A Systematic Review and Meta-analysis of Interventional Evidence. Diabetes Care. 2024 Jan 1;47(1):169-179. doi: 10.2337/dc23-1520. PMID: 38117991.

01/11/2025

群馬県北毛保健生活協同組合 北毛診療所、医師の菅野です。
2025年11月の医療情報、一つ目です。
今回は進行肺癌患者さんの緩和ケアにおける遠隔医療の有効性について。
1.臨床的な疑問:成人進行癌成人患者さんに対する早期の遠隔医療による緩和ケアの提供は対面によるケアと同等の効果があるか?
→紹介文での答え:本研究によると、成人進行肺癌患者さんに対する遠隔医療によるバーチャルな早期緩和ケアは、対面による緩和ケアと比較してQOLの改善に同等の効果があることが分かった。
2.僕の意見:コロナ禍の影響で、WEB会議システムの一般化が急激に進み、多くの会議や研修会などが今もWEBで行われています。両方に参加(あるいは両方を開催)してみるとわかりますが、それぞれに得意、不得意部分があり、それらを理解しうまく使う(あるいは使い分ける)ことで、より良いものが行えると最近感じます。どちらが良い悪いではなく。同じく、緩和ケアにおいても、対面による(温かみのある?)緩和ケアだけでなく、リモートによる方法もうまく使うことで、より良い提供ができるのではないかということをこのスタディーは示しているのかもしれません。
3.原文の紹介:Daily POEMSより
Greer JA, Temel JS, El-Jawahri A, et al, for the REACH PC Investigators. Telehealth vs in-person early palliative care for patients with advanced lung cancer. A multisite randomized clinical trial. JAMA 2024;332(14):1153-1164.
まとめ
Study Design:単盲険無作為割り付け比較試験(隠蔽化あり)
進行癌患者さんに対する早期の緩和ケアは、患者さんとその介護者双方のQOLを改善する。しかし、多くの、例えば経済的な問題や熟練した臨床医の不足などの理由から、多くの患者さんやその家族がそういったケアを受けることが困難な状態にある。このスタディの研究者らは、過去12週間以内に非小細胞肺がんの進行性と診断され、治癒を目的とした治療を受けていない成人1250人を特定した。組み入れられた患者さんたちは、無作為に(隠蔽化あり)セキュリティ化されたビデオ面談による遠隔医療緩和ケア(遠隔ケア群)、または対面式による緩和ケア(通常ケア群)のいずれかを4週間ごとに受ける群にそれぞれ割り付けられた。遠隔ケア群では初回の対面式の面談に続き、その後はビデオ面談が行われた。治療グループの割り付けを知らされていた参加者たちは、12週、24週、36週、48週目に標準的なスコアリングツールを利用して、QOLの自己申告を行った。93.5%の参加者に対して最後まで(48週目まで)追跡調査が行われた。Intention-to-treat(ITT)解析とper-protocol(PP)解析の両者が行われ、どちらでも患者さんが報告したQOL、ケアに対する満足度、不安やうつ傾向、あるいは治療の主な目標に対する認識に関して、両群に差は見られなかった。同様に、介護者の報告にも差は認められなかった。

Greer JA, Temel JS, El-Jawahri A, Rinaldi S, Kamdar M, Park ER, Horick NK, Pintro K, Rabideau DJ, Schwamm L, Feliciano J, Chua I, Leventakos K, Fischer SM, Campbell TC, Rabow MW, Zachariah F, Hanson LC, Martin SF, Silveira M, Shoemaker L, Bakitas M, Bauman J, Spoozak L, Grey C, Blackhall L, Curseen K, O'Mahony S, Smith MM, Rhodes R, Cullinan A, Jackson V; REACH PC Investigators. Telehealth vs In-Person Early Palliative Care for Patients With Advanced Lung Cancer: A Multisite Randomized Clinical Trial. JAMA. 2024 Sep 11;332(14):1153–64. doi: 10.1001/jama.2024.13964. Epub ahead of print. PMID: 39259563; PMCID: PMC11391365.

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01/10/2025

群馬県北毛保健生活協同組合 北毛診療所、医師の菅野です。
2025年10月の医療情報、二つ目です。
今回はうつ病に関する説明内容による治療効果について。
1.臨床的な疑問:うつ病を内因性の病気としてではなく環境への適応として説明することは抑うつ症状のある患者さんの転帰を良くするか?
→紹介文での答え:患者さんに対して、抑うつ症状は「他の病気」ではなく、現在の環境への適応であると説明することは、スティグマ(差別や偏見)を減らし、患者さんの受容と自己効力感を高める可能性がある。うつ病を内因的なものとしてではなく、患者さんの生活の中の何かにもっと注意を払う必要があるというシグナルとして、私たち全員が考え始める時なのかもしれない。うつ病の "化学的不均衡 "という説明は、もし真実であったとしても、結果であって原因ではないかもしれない。
2.僕の意見:説明の仕方というか患者さん本人の受け取り方で症状の改善がみられるかもしれないというのは興味深いデータですね。確かに「腑に落ちる」ことで、診察室に入ってきた時は暗い顔をしていたのに、診察後(症状などを聞いてそれに対する考えられる解釈をお話した後)に明るい顔で帰って行かれることは時々あるので、もしかしたらそういった影響があったのかもしれないと思いました。
3.原文の紹介:Daily POEMSより
Schroder HS, Devendorf A, Zikmund-Fisher BJ. Framing depression as a functional signal, not a disease: Rationale and initial randomized controlled trial. Soc Sci Med 2023;328:115995.
まとめ
Study Design:非盲検無作為割付比較試験(隠蔽化あり)
「あなたは脳の化学的なバランスが崩れている」というのは、うつ病患者さんに対する一般的な説明方法である。このような説明は、患者さんの自責の念を減らすかもしれないが、回復への希望を減らすだけでなく、本人や周囲の人に対して「うつ病」という「レッテル」を貼ることにもつながる。また、一部の患者さんにとっては、うつ病のもう一つの説明、つまり現在の症状は自分が置かれている生活状況への適応状態である、ということを理解しにくくする可能性もある。この研究では、うつ病の既往歴があるが(Patient Health Questionnaireうつ病尺度の平均スコア10.51)、精神科専門医による精神療法や薬物処方を受けていない877人が登録された。研究者らの目的は、「うつ病は病気である」という説明を受けていないうつ病患者さんを見つけることであったが、プライマリ・ケアの臨床医によるうつ病治療を受けていても(ということは専門医の診療を受けていなくとも、すでにどちらかの説明を受けていた可能性がある)参加を認めたのは奇妙である(さらに奇妙なことに、研究者らはこれらの患者さんを「治療経験のない患者さん」と呼んだ)。隠蔽化した割り付け方法を用いて、参加者は一連のビデオでうつ病に関する2つの説明のうち1つを受けるように無作為に割り付けられた。一方のビデオでは、うつ病は「脳内の化学的不均衡を含む様々な要因によって引き起こされる病気(症状)である」と説明した。もう一方は、「うつ病の症状は生活の中でもっと注意を払う必要があることを知らせる機能的な信号である」と説明するものであった。「うつ病の症状は(注意)信号である」という説明には、うつ病を克服できる(P = 0.02)、うつ病は新しい洞察につながる適応反応である(P < 0.0001)という参加者の肯定的な信念を持たせるという点でわずかな利点があり、またこのグループでは精神病に関連する偏見や差別が少なかった(P = 0.026)。うつ病のために助けを求める態度、参加者の症状に対する責任感、うつ病に対する成長マインドの指標には差がなかった。有意な結果のエフェクトサイズは小さく、患者さんが以前の治療経験を通じて、あるいは「Google先生(医師)」に相談することによって、うつ病は病気であるというモデルに染まっていた可能性がある。

Schroder HS, Devendorf A, Zikmund-Fisher BJ. Framing depression as a functional signal, not a disease: Rationale and initial randomized controlled trial. Soc Sci Med. 2023 Jul;328:115995. doi: 10.1016/j.socscimed.2023.115995. Epub 2023 Jun 3. PMID: 37301109.

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01/10/2025

群馬県北毛保健生活協同組合 北毛診療所、医師の菅野です。
2025年10月の医療情報、一つ目です。
今回は抗インフルエンザ薬の効果について。
1.臨床的な疑問:インフルエンザ患者に対する抗インフルエンザ薬の有効性はどの程度か?
→紹介文での答え:我々は2013年にオセルタミビルに関する最初のメタアナリシスを発表し、その1年後にコクランレビューが同様の結果を報告した。今回のこの2025年のメタアナリシスも同様の結論を示している。これらの薬剤は入院や死亡率を減少させず、症状の持続期間にわずかな効果しかない。
2.僕の意見:元々抗ウイルス剤は「ウイルスの増殖を抑制する」だけの効果(増えたウイルスが減るわけではない)のため、かなり早く使用する(あるいは予防的投与)以外あまり有効ではない可能性が高いと考えています。しかし、なかなかこの「できるだけ早期の使用」がコストや副作用(あるいは耐性ウイルスの増加も)を考えると難しいです。
3.原文の紹介:Daily POEMSより
Gao Y, Zhao Y, Liu M, et al. Antiviral medications for treatment of nonsevere influenza: A systematic review and network meta-analysis. JAMA Intern Med 2025 Jan 13. Epub ahead of print.
まとめ
Study Design:無作為割り付け比較試験のメタアナリシス
このネットワークメタアナリシスは世界保健機関(WHO)の資金提供を受け、カナダと中国の経験豊富な研究者チームによって実施されたものである。このスタディの研究者は、成人と小児を対象としたインフルエンザ特異的抗ウイルス薬に関する研究を複数のデータベースを用いて検索した。彼らは臨床試験報告書だけでなく登録データ疽含む73件の個別の無作為割り付け比較試験(19件は未発表)を同定した。ほとんどの研究は成人を対象とし、症状発症後2日以内の患者を対象としていた。8つの薬剤についての研究だったが、現在外来患者で広く使用されているのはオセルタミビル(タミフル:37件)とバロクサビル(ゾフルーザ:4件)である(日本で使用可能なのは内服のタミフル5日、ゾフルーザ1日、吸入薬のリレンザ5日、イナビル1日、注射のラピアクタ主に1回)。オセルタミビルは、低リスク患者および高リスク患者において、死亡率や入院率に有意な効果を示せなかった。同様に、バロクサビルも低リスク患者および高リスク患者において、死亡率や入院率に有意な効果を示せなかった。重症および非重症のインフルエンザ患者において、ベネフィットは乏しかった。メタアナリシスの著者らは、バロキサビルが高リスク患者における入院リスクを軽減する可能性があると述べているが、これは信頼区間が広く有意差を示せない(その傾向があるという程度の)データに基づくものだった(高リスク患者1000人あたり16件の入院減少、95%CI:20件減少 - 4件増加)。症状の持続期間の全体的な短縮は、バロキサビルで1.02日(95%CI:0.63-1.41日)、オセルタミビルで0.75日(95%CI:0.57-0.93日)だった。有害事象の面では、オセルタミビルは治療関連有害事象が有意に多かった(1000人あたり28件多い、95%CI:12-48件多い)。

Gao Y, Zhao Y, Liu M, Luo S, Chen Y, Chen X, Zheng Q, Xu J, Shen Y, Zhao W, Li Z, Huang S, Huang J, Tian J, Guyatt G, Hao Q. Antiviral Medications for Treatment of Nonsevere Influenza: A Systematic Review and Network Meta-Analysis. JAMA Intern Med. 2025 Mar 1;185(3):293-301. doi: 10.1001/jamainternmed.2024.7193. PMID: 39804622; PMCID: PMC11877164.

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31/08/2025

群馬県北毛保健生活協同組合 北毛診療所、医師の菅野です。
2025年9月の医療情報、二つ目です。
今回はカリウムイオン競合型酸阻害剤の潰瘍予防と治療効果について。
1.臨床的な疑問:ボノプラザン(タケキャブ)は胃潰瘍または十二指腸潰瘍の予防および治療においてプロトンポンプ阻害薬(PPI)よりも有効か?
→紹介文での答え:ボノプラザン(月額US$600)は胃潰瘍および十二指腸潰瘍の予防または治療においてはるかに安価なPPIよりも優れていない。
2.僕の意見:ちょっと前(コロナ禍前ですからすでに5年たっていますが)までUpToDateにタケキャブのデータはほとんど記載されていませんでしたが、最近の記載では重症の逆流性食道炎やピロリ菌の除菌にはPPIよりも勧められているようですね。それより驚いたのは、ピロリ除菌のファーストレジメンに昔から使用されていたPPI倍量+アモキシシリン1500mg+クラリスロマイシン800mgが載っていなくて(あくまで米国での話)、(PPIとセットはビスマスが基本のようですが、日本にはないので、またリファブチンは抗酸菌適応ですし)タケキャブ+アモキシシリンやタケキャブ+アモキシシリン+クラリスロマイシンが勧められているにびっくりです。今回は潰瘍の予防や治療に関して有意差が出なかった(95%CIが広くて有意差は出なかったけど、リスクは半分ぐらいまで減る可能性はある)というものですね。結構巷では潰瘍治療にも使われることも多いようですが、コストを考えるとジェネリックのあるPPIのほうに分がありそうです。
3.原文の紹介:Daily POEMSより
Simadibrata DM, Lesmana E, Pratama MI, et al. Vonoprazan vs. proton pump inhibitors for treatment and prevention of gastric and/or duodenal ulcers: A systematic review with meta analysis. Dig Dis Sci 2024;69(10):3863-3874.
まとめ
Study Design:無作為割り付け比較試験のメタアナリシス
ヴォノプラザン(タケキャブ)は、FDA承認された唯一のカリウムイオン競合型酸阻害剤であり、粘膜びらんのある逆流性食道炎の治療およびヘリコバクター・ピロリ除菌療法の一環として適用されている。本メタアナリシスの著者らは、MEDLINE、Cochrane、EMBASEを検索し、タケキャブとプロトンポンプ阻害薬(PPI)を比較した15件の無作為割り付け比較試験を同定した。最も一般的な対照薬はランソプラゾール(タケプロン)30mgだった。10件のスタディ(n = 1025例)は、疑わしい胃病変の除去のために内視鏡的粘膜切除術(ESD)を実施後に発生したESD誘発性潰瘍の治療を対象としていた。2件の研究は胃潰瘍と十二指腸潰瘍の治療(n = 1621)を対象とし、2件は潰瘍の再発予防(n = 1263)を対象としていた。ESD誘発性潰瘍の研究では、これが承認された適用ではなかったため、バイアスリスクは高と評価されたが、研究デザインの他の側面は低リスクだった。全体として、タケキャブは2週間から8週間のいかなる時点においても、PPIよりも潰瘍の治癒率や縮小率において優れていなかった。これは、ESDによる「作られた」潰瘍および「自然発生性」の胃潰瘍や十二指腸潰瘍の両方に当てはまった。24週間後の胃潰瘍の予防効果にも有為差は認められなかった(相対リスク[RR]、10㎎で 0.48、95%CI: 0.18-1.27、20㎎でRR 0.60、95%CI:0.28-1.30)。安全性アウトカム(遅発性出血や穿孔のリスクを含む)にも差は認められなかった。

Simadibrata DM, Lesmana E, Pratama MIA, Sugiharta AJ, Kalaij AGI, Fadhilla ADD, Danpanichkul P, Syam AF, Simadibrata M. Vonoprazan vs. Proton Pump Inhibitors for Treatment and Prevention of Gastric and/or Duodenal Ulcers: A Systematic Review with Meta-Analysis. Dig Dis Sci. 2024 Oct;69(10):3863-3874. doi: 10.1007/s10620-024-08593-5. Epub 2024 Sep 18. PMID: 39294424.

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31/08/2025

群馬県北毛保健生活協同組合 北毛診療所、医師の菅野です。
2025年9月の医療情報、一つ目です。
今回は治療が成功した下肢蜂窩織炎の治療経過ついて。
1.臨床的な疑問:下肢蜂窩織炎の治療が成功した後も症状はどのくらい持続するか?
→紹介文での答え:下肢蜂窩織炎の治療が成功しても、治療開始から10日後に炎症の徴候や症状が残ることが有り得る。これらの症状の残存は治療が無効であったことを示すものではない。
2.僕の意見:肺炎に関してはレントゲン像や検査結果ではなく自覚症状の改善(ですから、僕の診療所の外来では経口抗生剤で治療した肺炎に対してレントゲンや血液検査で効果を確認することはなく、自覚症状の改善が芳しくなければ迷わず病院へ紹介します)と同じように、下肢蜂窩織炎の治療成功に関しても自覚症状(主に痛みが一番鋭敏かもしれません)で判定することが多いと思います。そういう意味では、今回のスタディの「治療成功(バイオマーカーの正常化?)」というのは難しいと思います(医者が「抗生剤が効いて良かったですね」と言ってもまだ痛みや腫れがよくならない患者さんは満足しないのでは?)。
3.原文の紹介:Daily POEMSより
Williams OM, Hamilton F, Brindle R. The natural history of antibiotic-treated lower limb cellulitis: analysis of data extracted from a multicenter clinical trial. Open Forum Infect Dis 2023;10(10):ofad488.
まとめ
Study Design:記述的研究
このスタディの調査者らは無作為割り付け比較試験からのデータを解析した。この試験には明らかな膿瘍を伴わない下肢蜂窩織炎を有する成人247例(平均年齢52.2歳)が参加していた。参加した患者さんは治療を受けるまでに平均3.5日間兆候と症状がみられていた。すべての患者さんはフルクロキサシリン(ベータラクタマーゼ耐性型ペニシリンで日本では アンピシリンと類似構造のクロキサシリンの合剤であるビクシリンSがある)単独またはフルクロキサシリンとクリンダマイシン(ダラシン)の併用で治療を受けた。患者さんはベースライン時、治療5日後、10日後に疼痛と感染していない下肢との視覚的比較により評価を受けた。10日間の経過観察中に、全体として感染した下肢の平均周囲径は減少した。しかし、10日後でも3分の1以上の患者さん(全体の36.4%)において感染した下肢と感染していない下肢に比べて2cm以上周囲径が大きかった。同様に局所的な熱感や炎症の兆候は10日後にも認められた。半数以上の患者さん(全体の54.3%)に何らかの痛みの症状が残っており、13.9%が10日後もVASで5点以上の疼痛を訴えていた。感染症のバイオマーカー(例えば好中球数の上昇など)は治療期間にみられなくなった。残念なことに10日後までしか観察データが記録されておらず、その後の自然経過などは不明である。

Williams OM, Hamilton F, Brindle R. The Natural History of Antibiotic-Treated Lower Limb Cellulitis: Analysis of Data Extracted From a Multicenter Clinical Trial. Open Forum Infect Dis. 2023 Sep 29;10(10):ofad488. doi: 10.1093/ofid/ofad488. PMID: 37849504; PMCID: PMC10578506.

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住所

有馬237/1
Shibukawa-shi, Gunma
377-0005

電話番号

+81 279-24-1234

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