12/05/2026
~法学者によるあまし養成校新設裁判の解説~
今月熱海で開催される『AMASHI fes 2026』(以下、あましフェス)。昨年夏に初開催されたあましフェスの第2回になります。今年『あましの会』が発足しました。“あまし”とはあん摩マッサージ指圧師のあん摩・マッサージ・指圧の頭文字をとったもの。あん摩マッサージ指圧師とするのが長いため“あまし”と省略するのが業界の通例です。世間の人にはあん摩(按摩)という言葉が聞き馴染みがないことでしょう。マッサージはよく知っている。指圧もよく聞く。按摩ははて?という感じ。中高年だと「電気あんま」という言葉は昭和時代までの視覚障害者をあんまと称したことを知っているかもしれません。
按摩とは日本に古くからある徒手技術です。701年にできた大宝律令にも按摩博士という言葉が登場します。発祥を中国とし日本に伝わりました。その時は導引とか按蹻とか言いました。わが国では視覚障害者の生業として按摩師が楽器演奏者と並びありました。視覚障害者が社会で生きていく上で必要な技術。昭和初期くらいまででしょうか。視覚障害者のことを“めくら”と言っていました。同じような意味合いで、視覚障害者の多くが按摩の仕事に就いていたので、視覚障害者を“あんま”と言っていました。現在はめくらという呼び名が差別用語にあたり、まず使われません。若い人は聞いたことすらないでしょう。同じようなことで視覚障害者を“あんま”と呼ぶのは差別表現だとされます。自主的に放送禁止用語にしているメディアもあるようです。しかし按摩は今でもある技術であり、あん摩マッサージ指圧師は厚生労働省が認める国家資格です。
私もあん摩マッサージ指圧師です。あましの会は基本的にあん摩マッサージ指圧師とあん摩マッサージ指圧師専門学校の学生によって構成されています。あるいはあん摩マッサージ指圧のことが好き、興味があるという人。視点を変えると、按摩・あん摩・あんまと使うのはあん摩マッサージ指圧師とその関係者です。そうでない人は使おうとしません。世間一般では“整体”という言葉の方が広く浸透していることでしょう。その裏事情として非あん摩マッサージ指圧師があん摩マッサージ指圧師の仕事をやろうとしたいというものがあります。
あん摩マッサージ指圧師という国家資格は免許であります。免許を持っていない者がその行為を業とする(※業とするとは、法律の解釈で、反復継続の意志をもって行うこと、となり、有償・無償を問わないとしています。早い話、継続的に行うことをいいます。)ことを禁止する、“業務独占”の国家資格になります。普通自動車運転免許を所持せずに公道を自動車の運転をして移動していたら道路交通法違反になりますよね。そこに、自動車を運転できるから、一度免許を取ったから、という言い訳は通用しません。本来禁止されていることを特別に免じてその行為を許可するから免許です。あん摩マッサージ指圧師もそのような業務独占の免許なのです。ところがあん摩マッサージ指圧師免許を持たない者もマッサージのようなこと、按摩みたいなこと、指圧もどきをやろうとします。整体と称して。あるいははっきりとマッサージといって。親指で押せば指圧だからといって。これらは厳密に違法行為になります。『あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律』という法律(通称「あはき法」)によって第1条で明確に禁止されています。ところが昭和時代の最高裁判決が曲解されたせいで野放しになっています。逮捕例もあるのですが、実際にはほとんど取り締まられていないのが現状です。マッサージをするのに免許が必要だったなんて知りません!というのが世間の声でしょう。
本当に無知ゆえに知らずに無免許で整体と称してマッサージをしている人もいます。しかし知った上でやる人も多数います。他の医療系国家資格を持つ人です。関係法規で習うはずで国家試験に出題されるから勉強しているはずなのに。これはあん摩マッサージ指圧ではない、整体だ。別の技術であるからあはき法第1条には抵触しない、という理屈で。中には国家資格を持っていても本当に知らないという場合も無きにしも非ずではあるのですが。
厚生労働省が管轄する国家資格を持つ非あん摩マッサージ指圧師が整体と称してマッサージ行為を業とするのは、国家資格すら持っていない人がやるよりも軋轢を生みます。真っ当な人はそれが違法行為にあたると理解しているので批判します。もちろんあん摩マッサージ指圧師からすればたまったものではありません。だったらあん摩マッサージ指圧師の国家資格も取ればいいだろうという話になります。実際にあん摩マッサージ指圧師を後でしっかりと取る人もいますが、数は圧倒的に少ないです。プライドが許さない、今まで摘発されていないからこれからも大丈夫だと思っている、そもそもマッサージではないから平気、など理由・事情があるようです。一方環境面も影響していて、あん摩マッサージ指圧師になるための学校が無いということがあります。
あん摩マッサージ指圧師になるための学校。国家資格なので最低3年間、国が認めた養成施設で勉強し、年に1回だけのあん摩マッサージ指圧師国家試験に合格しないと資格は取れません。視覚障害者を対象とした視覚支援学校は全国にある程度数があるのですが、視覚障害のない晴眼者を対象とした専門学校(短大を含む)は全国に21校だけです。大学が1校ありますがこれも視覚障害者向けです。私のような晴眼者があん摩マッサージ指圧師になろうとすると全国21校のどれかに入らないといけません。21校は少ないのか?と疑問に思うかもしれませんが、他の国家資格で比較すると鍼灸師なら専門学校・大学合わせて94校、柔道整復師は111校、理学療法士では200校を越えます(※いずれも今年開催された国家試験の受験校数)。21校がいかに少ないか分かるでしょう。また専門学校は関東に固まっていて、北海道、沖縄、中国地方にはありません。東北(宮城)に1校、四国(香川)に1校、九州(鹿児島)に1校だけ。関東(埼玉、東京、神奈川)、東海(愛知、静岡)、関西(大阪、京都)に残りが固まっています。なお千葉県、兵庫県、福岡県といった大都市がある県でもないのです。さらに21校のうち、あん摩マッサージ指圧師だけを取ることができる学校は3校だけ。東京に2校、京都に1校。残りの19校は本科(鍼灸マッサージ科)といってあん摩マッサージ指圧師と鍼灸師を3年間両方勉強して同じ年の国家試験で資格が取れる学科です。かくいう私も本科卒であり、2日連続で国家試験を受験しました。何が問題かというと既に鍼灸師を取っている者は再び本科には入学できないので(※実際に入学不可能なのかは制度上不明ですが、入ろうとした人は聞いたことがありません)、3校だけのあん摩マッサージ指圧師単独の学科に入学しないといけません。東京か京都か。より選択肢が狭まるのです。
だったら専門学校を増やせばいいだろう?と思うことでしょう。しかし、これもあはき法第19条で規制されています。視覚障害者の生業を守るために、当分の間定員数を増やしてはいけないとしているのです。この法律によって新規であん摩マッサージ指圧師の専門学校は増やすことができません。ただし厳密にいえば作ることができなくはありません。大宮呉竹医療専門学校は2010年に開校した本科のある学校です。あん摩マッサージ指圧師になることができる学校。定員数は増やしていないという。一方で2000年以降は柔道整復師、鍼灸師を養成する専門学校は爆発的に増えました。これは通称「福岡裁判」と呼ばれる柔道整復師養成施設の新設を認めない国(旧厚生省)に対して事業者が起こした裁判の判決によって変わりました。それまでは柔道整復師、鍼灸師の専門学校・大学は新設することができなかったのです。「福岡裁判」同様、あん摩マッサージ指圧師の専門学校も新設を解禁せよと国に対して訴えた学校法人があります。3ヵ所で裁判を起こしました。そして最高裁までいき、最高裁判所の判決は原告の訴えを棄却、すなわちあん摩マッサージ指圧師専門学校を新たに作ることは認めないという判決が出ます。6年に渡る裁判で最高裁の判決が出たのは4年前の令和4年(2022年)のことでした。
私はこの裁判を“あん摩マッサージ指圧師専門学校新設裁判”(以下、「あまし専門新設裁判」と表記)と便宜上呼んで結果を追っかけていました。4年前の判決結果をもちろん知っていますし、判決文も読みました。この最高裁判決は当事者として(あん摩マッサージ指圧師であること、また専門学校教員免許を持つ者)、受け取りました。この裁判(最高裁)を法のプロから見たらどう解釈するのでしょうか。大学助教授による解説された文献があります。あましフェスを前に、あまし専門新設裁判を振り返ってみます。
TKC ローライブラリー
2022年4月22日掲載新・判例解説 Watch◆憲法 No.198 文献番号 z18817009-00-011982163
あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師等に関する法律19条の憲法適合性
https://lex.lawlibrary.jp/commentary/pdf/z18817009-00-011982163_tkc.pdf
【文献種別】判決/最高裁判所第二小法廷
【裁判年月日】令和4年2月7日
【事件番号】第73号令和3年(行ツ)
【事件名】非認定処分取消請求事件
【裁判結果】棄却
【参照法令】憲法22条1項、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師等に関する法律2条1項・19条1項・同条2項
【掲載誌】裁時1785号1頁、裁判所ウェブサイト
◆LEX/DB 文献番号 25571941
弘前大学助教 伊藤健
本題に入る前に。前段階が長くなっていますが、この文献は最高裁判決について書かれています。1審、2審のことはきちんと触れられていません。まずこのあまし専門新設裁判はどのように始まったのかを説明していきます。
始まりは2016年7月14日。あん摩マッサージ指圧師養成課程を新設する申請を却下された専門学校4校が、それを不服として国を相手取り裁判を起こします。4校の在籍地は福島県郡山市、神奈川県横浜市、大阪府大阪市、兵庫県宝塚市で全て同じ学校法人(経営)です。またこれらの専門学校は鍼灸科を既に持っていて新たにあん摩マッサージ指圧師を養成できる、実質「本科」(鍼灸マッサージ科)を新設する申請を出していました。それがあはき法第19条を根拠に却下されました。
ここであはき法第19条の原文を記します。
<あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律>
第十九条 当分の間、文部科学大臣又は厚生労働大臣は、あん摩マツサージ指圧師の総数のうちに視覚障害者以外の者が占める割合、あん摩マツサージ指圧師に係る学校又は養成施設において教育し、又は養成している生徒の総数のうちに視覚障害者以外の者が占める割合その他の事情を勘案して、視覚障害者であるあん摩マツサージ指圧師の生計の維持が著しく困難とならないようにするため必要があると認めるときは、あん摩マツサージ指圧師に係る学校又は養成施設で視覚障害者以外の者を教育し、又は養成するものについての第二条第一項の認定又はその生徒の定員の増加についての同条第三項の承認をしないことができる。
○2 文部科学大臣又は厚生労働大臣は、前項の規定により認定又は承認をしない処分をしようとするときは、あらかじめ、医道審議会の意見を聴かなければならない。
小さい文字を大きく表記するためマツサージとなっていて分かりにくいですが、視覚障害者の生業の維持を守るために定員増加を認めないという旨が書かれています。新設認定をするのは文部科学大臣、厚生労働大臣であり、実質文部科学省と厚生労働省と言えます。承認しない場合は医道審議会の意見を聴く義務があります。ただし、冒頭に“当分の間”とあるので期限付きであり、それがいつまでかは記されていません。
続いてあはき法第2条も原文を紹介します。
第二条 免許は、学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第九十条第一項の規定により大学に入学することのできる者(この項の規定により文部科学大臣の認定した学校が大学である場合において、当該大学が同条第二項の規定により当該大学に入学させた者を含む。)で、三年以上、文部科学省令・厚生労働省令で定める基準に適合するものとして、文部科学大臣の認定した学校又は次の各号に掲げる者の認定した当該各号に定める養成施設において解剖学、生理学、病理学、衛生学その他あん摩マツサージ指圧師、はり師又はきゆう師となるのに必要な知識及び技能を修得したものであつて、厚生労働大臣の行うあん摩マツサージ指圧師国家試験、はり師国家試験又はきゆう師国家試験(以下「試験」という。)に合格した者に対して、厚生労働大臣が、これを与える。
一 厚生労働大臣 あん摩マツサージ指圧師の養成施設、あん摩マツサージ指圧師及びはり師の養成施設、あん摩マツサージ指圧師及びきゆう師の養成施設又はあん摩マツサージ指圧師、はり師及びきゆう師の養成施設
二 都道府県知事 はり師の養成施設、きゆう師の養成施設又ははり師及びきゆう師の養成施設
○2 前項の認定を申請するには、申請書に、教育課程、生徒の定員その他文部科学省令・厚生労働省令で定める事項を記載した書類を添付して、文部科学省令・厚生労働省令の定めるところにより、これを文部科学大臣、厚生労働大臣又は養成施設の所在地の都道府県知事に提出しなければならない。
○3 第一項の学校又は養成施設の設置者は、前項に規定する事項のうち教育課程、生徒の定員その他文部科学省令・厚生労働省令で定める事項を変更しようとするときは、文部科学省令・厚生労働省令の定めるところにより、あらかじめ、文部科学大臣、厚生労働大臣又は同項の都道府県知事の承認を受けなければならない。
第2条は免許(※あん摩マッサージ指圧師と鍼灸をまとめて書いています)を取るための条件について。そして養成施設について。養成施設は具体的には専門学校、大学、視覚支援学校です。この裁判では晴眼者向けの専門学校が対象です。
原告側の主張をかいつまんで説明すると
・“当分の間”は法律制定から50年も経ち、十分時間が経過したのだから新設を認めるべき
・時代が進み、医療技術、生活環境も変化し視覚障害者が活躍できる場が増えて、あん摩マッサージ指圧師の資格を守る必要性は薄い
・学校が増えないことで、あん摩マッサージ指圧師になろうと希望する人の挑戦を狭めており、これは憲法が認める”職業選択の自由”の権利を侵しているのではないか
といったところ。
2019年に東京地方裁判所で出された判決は、あまし養成施設の規制は必要性が認められるとして、原告の訴えを退けました。また2020年の仙台地方裁判所の判決も同様の判決を出しています。
原告は控訴をし、二審の東京高等裁判所、仙台高等裁判所に進みます。2020年12月8日の東京高裁は、規制の必要性が認められ、憲法に違反しないと判断し、一審と同様に原告の訴えを退けます。報道によれば東京高裁北澤純一裁判長は『重度の視覚障害者を中心に指圧師の仕事に対する依存度が依然として高く、視覚障害者を社会政策上、保護するという立法の目的は、現在も正当性がある』と指摘したといいます。また日本視覚障害者団体連合の評議員を務める大胡田誠弁護士は『多くの視覚障害者が今も苦しい状況に置かれていることを認めて、視覚障害者の痛みに寄り添う判決を出してくれた』と話しました。東京とほぼ時を同じくして2020年12月14日の仙台高裁も原告の控訴を棄却します。仙台高裁小林久起裁判長は『法律による規制には必要性も合理性も認められる』として仙台地裁の判決を支持しました。視覚障害者を支援する団体は会見で『国が視覚障害者の生活を守るということを司法も明らかにしてくれた判決で高く評価する』と述べています。
二審までの判決結果をみるとあはき法第19条が妥当であることが判断されていると思われます。何より、視覚障害者団体や視覚障害者を支援する団体が納得いく判決だと意志を示しています。視覚障害者を守るためのあはき法第19条ですから、それが認められて嬉しいと。
東京高裁、仙台高裁で訴えを棄却された原告は最高裁に上告します。ここでのポイントというか争点はあまし専門学校を新設することを認めないことは憲法で権利として保証している“職業選択の自由”に反している、という原告の主張です。法の最高位にあるのが憲法。法律よりも上位にあります。二審判決もあはき法第19条を根拠にしています。それならばこの法解釈は憲法違反である(職業選択の自由を保障する憲法に反する)と認められれば逆転勝訴になると原告は考えました。
この場合の職業選択の自由は晴眼者に対してのこと。視覚障害者ではない健常者があん摩マッサージ指圧師になろうとしても専門学校が少なく、しかも地域が偏在している。これはなりたくてもなれないので職業選択の自由を害している。あまし専門学校を新設することでそれが解消される。このような主張を一審、二審同様、三審もしていました。2022年2月7日の最高裁判決において最高裁判所第2小法廷菅野博之裁判長は『あん摩マッサージ指圧師は、従事できる職業が限られる視覚障害者にとって主要な職種の1つで、障害に適した職業に就く機会を保障することは、自立や社会経済活動への参加を促進するという積極的な意義も考えると、障害がない指圧師の増加を抑制しても不合理とはいえない』と指摘しました。そして晴眼者向けの専門学校について規定では“規制の必要がある場合にかぎり設置申請を認めないことができる”とされていて完全に認めてないわけではないことを踏まえつつ、既存の専門学校は10都府県に21校ある事実を挙げて『職業選択の自由に対する制限は限定的で、憲法には違反しない』と結論づけ、原告の上告を退けたのでした。この判決はNHKが報道しています。
この判決を受けて原告学校法人の理事長は、視覚障害者でもあん摩マッサージ指圧師を選択する人は減っていて、この状態が続けばあん摩マッサージ指圧師という職業がなくなってしまう、とコメント。被告側の厚生労働省側は、おおむね国の主張が認められたとコメント。視覚障害者などで作る16団体が本裁判のために立ち上げた「あん摩師等法19条連絡会」会長は判決について、視覚障害者の職業的自立のためには必要な規制だと最高裁に明言してもらって安どした、とコメント。
以上がこのあまし専門新設裁判の顛末です。更に現状を補足しておきます。
新卒のあん摩マッサージ指圧師は年々減少しています。国家試験合格者数は右肩下がりで推移しています。理由は視覚障害者の受験者数が減っていること。そして専門学校、すなわち専門学校からの受験者数も減っていること。確かに原告が主張するこのままではあん摩マッサージ指圧師の職業が無くなってしまうというのは、完全な的外れとは言えません。
視覚障害者あん摩マッサージ指圧師の職域が守られているとはいえません。冒頭に書いた通り、あまし専門学校を規制していても非あん摩マッサージ指圧師によるマッサージ様行為が横行しております。視覚障害者の仕事として企業専属でマッサージをするヘルス・キーパーがあるのですが、近年は企業整体と称して非あん摩マッサージ指圧師が企業に入り込んでヘルス・キーパーの仕事を奪っているという意見もあります。よってこの最高裁判決があるから視覚障害者あん摩マッサージ指圧師が救われるかというと、それはまた別の話です。視覚障害者を守るための最高裁判決であるにも関わらず。
ここからやっと本題の識者の解説です。本文献の著者は弘前大学助教授の伊藤健氏。調べると現在は岡山大学 学術研究院社会文化科学学域(法学系)講師をしています。学歴は京都大学法学部卒、同大学院法学研究科法政理論専攻修士課程卒、同大学院法学研究科,法政理論専攻博士後期課程卒。法学で博士号を取得しています。つまり法学研究者です。
参照法令として「憲法22条1項」、「あはき法2条1項、19条1項・同条2項」を挙げています。憲法22条第1項は職業選択の自由に関することで「何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。」とあります。あはき法第2条1項が資格取得要件(特に注目されるのは養成施設に関すること)、第19条1項・同条2項はあまし養成施設の制限についてです。
伊藤健氏はやはり、憲法22条1項の「職業選択の自由」とは何かに触れています。判例の解説の冒頭に『本判決は、職業の自由に関する従来の判例に概ね沿いつつも、その審査枠組みを考えるに際しての新たな素材を提供してくれるものである。』と記しています。やはり憲法22条1項の「職業選択の自由」という権利は“公共の福祉に反しない限り”という条件が記されています。公共の福祉に反していれば職業選択の自由は認めらないと解釈できます。現状が公共の福祉に反していないかがポイント。あはき法第19条の立法目的は経済的弱者たる視覚障害者の救済であり、最高裁判決でも「公共の福祉に合致することは明らかである」としている。その上で、視覚障害者あん摩マッサージ指圧師の数は減少傾向にあっても未だに視覚障害者にとって未だに主要職種の一つであること、障害に適した就業機会を保障することは自立及び社会参加の促進という意義を有するので重要な公共の利益であると評価している。視覚障害者あん摩マッサージ指圧師が減ってはいてもまだまだ救済の効果を担っているわけです。
あはき法第19条の手段についても「手段として相応の合理性」を認めています。晴眼者のあん摩マッサージ指圧師の数を制限しているわけです。懸念されることは晴眼者のあん摩マッサージ指圧師が爆発的に増えて視覚障害者の仕事を奪ってしまうこと。更にあまし専門学校の定員数増加を全面的に禁止しているのではなく、条件付きでの不認定・不承認するわけです。また晴眼者があん摩マッサージ指圧師になれないわけではなく、かつ現在はその志願者も定員数に対して著しく高いわけではないわけで、晴眼者のあん摩マッサージ指圧師という職業の自由に対する制限の程度は限定的であると評価されている。
伊藤健氏はまとめとして『本判決の結論に対する異論はそこまで多くないように思われる。』と述べています。つまり比較的合理的な判決であったと。ただし学者らしく『ただ理論的には、本判決を受けて、職業の自由に関する審査枠組みを改めて整理する必要があり、それとの関係で、立法事実の審理方法に関する指針を提示していくことが求められよう。』と続けて今後の問題提起を示しています。
当然ですが最高裁の判決は過去の判例を加味して出しています。判決文も過去の判例を引き合いに出して。その言い回しも法律独特なものがあります。それらを全て踏まえた上で伊藤健氏は解説と独自の意見を述べています。私にとっては難解な言葉つかいがあり、完全に理解しきれていません。分かることは決して突拍子もない、異例の判決ではないという旨を有識者が示しているということ。判決は妥当なものだったと。
甲野 功
追記:
判決から4年。現実は変わってきています。毎年あん摩マッサージ指圧師国家試験の数字を確認し、あん摩マッサージ指圧の就業者数推移もチェックしています。確実に視覚障害者のあん摩マッサージ指圧師は減っていきます。新規合格者は減り続け、就業者数も減少傾向にあります。あはき法第19条にある「当分の間」はいつまでなのか。それを判断する日が来るのではないでしょうか
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