あじさい鍼灸マッサージ治療院

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~法学者によるあまし養成校新設裁判の解説~今月熱海で開催される『AMASHI fes 2026』(以下、あましフェス)。昨年夏に初開催されたあましフェスの第2回になります。今年『あましの会』が発足しました。“あまし”とはあん摩マッサージ指圧...
12/05/2026

~法学者によるあまし養成校新設裁判の解説~

今月熱海で開催される『AMASHI fes 2026』(以下、あましフェス)。昨年夏に初開催されたあましフェスの第2回になります。今年『あましの会』が発足しました。“あまし”とはあん摩マッサージ指圧師のあん摩・マッサージ・指圧の頭文字をとったもの。あん摩マッサージ指圧師とするのが長いため“あまし”と省略するのが業界の通例です。世間の人にはあん摩(按摩)という言葉が聞き馴染みがないことでしょう。マッサージはよく知っている。指圧もよく聞く。按摩ははて?という感じ。中高年だと「電気あんま」という言葉は昭和時代までの視覚障害者をあんまと称したことを知っているかもしれません。
按摩とは日本に古くからある徒手技術です。701年にできた大宝律令にも按摩博士という言葉が登場します。発祥を中国とし日本に伝わりました。その時は導引とか按蹻とか言いました。わが国では視覚障害者の生業として按摩師が楽器演奏者と並びありました。視覚障害者が社会で生きていく上で必要な技術。昭和初期くらいまででしょうか。視覚障害者のことを“めくら”と言っていました。同じような意味合いで、視覚障害者の多くが按摩の仕事に就いていたので、視覚障害者を“あんま”と言っていました。現在はめくらという呼び名が差別用語にあたり、まず使われません。若い人は聞いたことすらないでしょう。同じようなことで視覚障害者を“あんま”と呼ぶのは差別表現だとされます。自主的に放送禁止用語にしているメディアもあるようです。しかし按摩は今でもある技術であり、あん摩マッサージ指圧師は厚生労働省が認める国家資格です。

私もあん摩マッサージ指圧師です。あましの会は基本的にあん摩マッサージ指圧師とあん摩マッサージ指圧師専門学校の学生によって構成されています。あるいはあん摩マッサージ指圧のことが好き、興味があるという人。視点を変えると、按摩・あん摩・あんまと使うのはあん摩マッサージ指圧師とその関係者です。そうでない人は使おうとしません。世間一般では“整体”という言葉の方が広く浸透していることでしょう。その裏事情として非あん摩マッサージ指圧師があん摩マッサージ指圧師の仕事をやろうとしたいというものがあります。
あん摩マッサージ指圧師という国家資格は免許であります。免許を持っていない者がその行為を業とする(※業とするとは、法律の解釈で、反復継続の意志をもって行うこと、となり、有償・無償を問わないとしています。早い話、継続的に行うことをいいます。)ことを禁止する、“業務独占”の国家資格になります。普通自動車運転免許を所持せずに公道を自動車の運転をして移動していたら道路交通法違反になりますよね。そこに、自動車を運転できるから、一度免許を取ったから、という言い訳は通用しません。本来禁止されていることを特別に免じてその行為を許可するから免許です。あん摩マッサージ指圧師もそのような業務独占の免許なのです。ところがあん摩マッサージ指圧師免許を持たない者もマッサージのようなこと、按摩みたいなこと、指圧もどきをやろうとします。整体と称して。あるいははっきりとマッサージといって。親指で押せば指圧だからといって。これらは厳密に違法行為になります。『あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律』という法律(通称「あはき法」)によって第1条で明確に禁止されています。ところが昭和時代の最高裁判決が曲解されたせいで野放しになっています。逮捕例もあるのですが、実際にはほとんど取り締まられていないのが現状です。マッサージをするのに免許が必要だったなんて知りません!というのが世間の声でしょう。

本当に無知ゆえに知らずに無免許で整体と称してマッサージをしている人もいます。しかし知った上でやる人も多数います。他の医療系国家資格を持つ人です。関係法規で習うはずで国家試験に出題されるから勉強しているはずなのに。これはあん摩マッサージ指圧ではない、整体だ。別の技術であるからあはき法第1条には抵触しない、という理屈で。中には国家資格を持っていても本当に知らないという場合も無きにしも非ずではあるのですが。
厚生労働省が管轄する国家資格を持つ非あん摩マッサージ指圧師が整体と称してマッサージ行為を業とするのは、国家資格すら持っていない人がやるよりも軋轢を生みます。真っ当な人はそれが違法行為にあたると理解しているので批判します。もちろんあん摩マッサージ指圧師からすればたまったものではありません。だったらあん摩マッサージ指圧師の国家資格も取ればいいだろうという話になります。実際にあん摩マッサージ指圧師を後でしっかりと取る人もいますが、数は圧倒的に少ないです。プライドが許さない、今まで摘発されていないからこれからも大丈夫だと思っている、そもそもマッサージではないから平気、など理由・事情があるようです。一方環境面も影響していて、あん摩マッサージ指圧師になるための学校が無いということがあります。
あん摩マッサージ指圧師になるための学校。国家資格なので最低3年間、国が認めた養成施設で勉強し、年に1回だけのあん摩マッサージ指圧師国家試験に合格しないと資格は取れません。視覚障害者を対象とした視覚支援学校は全国にある程度数があるのですが、視覚障害のない晴眼者を対象とした専門学校(短大を含む)は全国に21校だけです。大学が1校ありますがこれも視覚障害者向けです。私のような晴眼者があん摩マッサージ指圧師になろうとすると全国21校のどれかに入らないといけません。21校は少ないのか?と疑問に思うかもしれませんが、他の国家資格で比較すると鍼灸師なら専門学校・大学合わせて94校、柔道整復師は111校、理学療法士では200校を越えます(※いずれも今年開催された国家試験の受験校数)。21校がいかに少ないか分かるでしょう。また専門学校は関東に固まっていて、北海道、沖縄、中国地方にはありません。東北(宮城)に1校、四国(香川)に1校、九州(鹿児島)に1校だけ。関東(埼玉、東京、神奈川)、東海(愛知、静岡)、関西(大阪、京都)に残りが固まっています。なお千葉県、兵庫県、福岡県といった大都市がある県でもないのです。さらに21校のうち、あん摩マッサージ指圧師だけを取ることができる学校は3校だけ。東京に2校、京都に1校。残りの19校は本科(鍼灸マッサージ科)といってあん摩マッサージ指圧師と鍼灸師を3年間両方勉強して同じ年の国家試験で資格が取れる学科です。かくいう私も本科卒であり、2日連続で国家試験を受験しました。何が問題かというと既に鍼灸師を取っている者は再び本科には入学できないので(※実際に入学不可能なのかは制度上不明ですが、入ろうとした人は聞いたことがありません)、3校だけのあん摩マッサージ指圧師単独の学科に入学しないといけません。東京か京都か。より選択肢が狭まるのです。

だったら専門学校を増やせばいいだろう?と思うことでしょう。しかし、これもあはき法第19条で規制されています。視覚障害者の生業を守るために、当分の間定員数を増やしてはいけないとしているのです。この法律によって新規であん摩マッサージ指圧師の専門学校は増やすことができません。ただし厳密にいえば作ることができなくはありません。大宮呉竹医療専門学校は2010年に開校した本科のある学校です。あん摩マッサージ指圧師になることができる学校。定員数は増やしていないという。一方で2000年以降は柔道整復師、鍼灸師を養成する専門学校は爆発的に増えました。これは通称「福岡裁判」と呼ばれる柔道整復師養成施設の新設を認めない国(旧厚生省)に対して事業者が起こした裁判の判決によって変わりました。それまでは柔道整復師、鍼灸師の専門学校・大学は新設することができなかったのです。「福岡裁判」同様、あん摩マッサージ指圧師の専門学校も新設を解禁せよと国に対して訴えた学校法人があります。3ヵ所で裁判を起こしました。そして最高裁までいき、最高裁判所の判決は原告の訴えを棄却、すなわちあん摩マッサージ指圧師専門学校を新たに作ることは認めないという判決が出ます。6年に渡る裁判で最高裁の判決が出たのは4年前の令和4年(2022年)のことでした。

私はこの裁判を“あん摩マッサージ指圧師専門学校新設裁判”(以下、「あまし専門新設裁判」と表記)と便宜上呼んで結果を追っかけていました。4年前の判決結果をもちろん知っていますし、判決文も読みました。この最高裁判決は当事者として(あん摩マッサージ指圧師であること、また専門学校教員免許を持つ者)、受け取りました。この裁判(最高裁)を法のプロから見たらどう解釈するのでしょうか。大学助教授による解説された文献があります。あましフェスを前に、あまし専門新設裁判を振り返ってみます。

TKC ローライブラリー
2022年4月22日掲載新・判例解説 Watch◆憲法 No.198 文献番号 z18817009-00-011982163

あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師等に関する法律19条の憲法適合性
https://lex.lawlibrary.jp/commentary/pdf/z18817009-00-011982163_tkc.pdf

【文献種別】判決/最高裁判所第二小法廷
【裁判年月日】令和4年2月7日
【事件番号】第73号令和3年(行ツ)
【事件名】非認定処分取消請求事件
【裁判結果】棄却
【参照法令】憲法22条1項、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師等に関する法律2条1項・19条1項・同条2項
【掲載誌】裁時1785号1頁、裁判所ウェブサイト
◆LEX/DB 文献番号 25571941
弘前大学助教 伊藤健

本題に入る前に。前段階が長くなっていますが、この文献は最高裁判決について書かれています。1審、2審のことはきちんと触れられていません。まずこのあまし専門新設裁判はどのように始まったのかを説明していきます。
始まりは2016年7月14日。あん摩マッサージ指圧師養成課程を新設する申請を却下された専門学校4校が、それを不服として国を相手取り裁判を起こします。4校の在籍地は福島県郡山市、神奈川県横浜市、大阪府大阪市、兵庫県宝塚市で全て同じ学校法人(経営)です。またこれらの専門学校は鍼灸科を既に持っていて新たにあん摩マッサージ指圧師を養成できる、実質「本科」(鍼灸マッサージ科)を新設する申請を出していました。それがあはき法第19条を根拠に却下されました。
ここであはき法第19条の原文を記します。

<あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律>
第十九条  当分の間、文部科学大臣又は厚生労働大臣は、あん摩マツサージ指圧師の総数のうちに視覚障害者以外の者が占める割合、あん摩マツサージ指圧師に係る学校又は養成施設において教育し、又は養成している生徒の総数のうちに視覚障害者以外の者が占める割合その他の事情を勘案して、視覚障害者であるあん摩マツサージ指圧師の生計の維持が著しく困難とならないようにするため必要があると認めるときは、あん摩マツサージ指圧師に係る学校又は養成施設で視覚障害者以外の者を教育し、又は養成するものについての第二条第一項の認定又はその生徒の定員の増加についての同条第三項の承認をしないことができる。

○2  文部科学大臣又は厚生労働大臣は、前項の規定により認定又は承認をしない処分をしようとするときは、あらかじめ、医道審議会の意見を聴かなければならない。

小さい文字を大きく表記するためマツサージとなっていて分かりにくいですが、視覚障害者の生業の維持を守るために定員増加を認めないという旨が書かれています。新設認定をするのは文部科学大臣、厚生労働大臣であり、実質文部科学省と厚生労働省と言えます。承認しない場合は医道審議会の意見を聴く義務があります。ただし、冒頭に“当分の間”とあるので期限付きであり、それがいつまでかは記されていません。

続いてあはき法第2条も原文を紹介します。

第二条  免許は、学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第九十条第一項の規定により大学に入学することのできる者(この項の規定により文部科学大臣の認定した学校が大学である場合において、当該大学が同条第二項の規定により当該大学に入学させた者を含む。)で、三年以上、文部科学省令・厚生労働省令で定める基準に適合するものとして、文部科学大臣の認定した学校又は次の各号に掲げる者の認定した当該各号に定める養成施設において解剖学、生理学、病理学、衛生学その他あん摩マツサージ指圧師、はり師又はきゆう師となるのに必要な知識及び技能を修得したものであつて、厚生労働大臣の行うあん摩マツサージ指圧師国家試験、はり師国家試験又はきゆう師国家試験(以下「試験」という。)に合格した者に対して、厚生労働大臣が、これを与える。

一  厚生労働大臣 あん摩マツサージ指圧師の養成施設、あん摩マツサージ指圧師及びはり師の養成施設、あん摩マツサージ指圧師及びきゆう師の養成施設又はあん摩マツサージ指圧師、はり師及びきゆう師の養成施設

二  都道府県知事 はり師の養成施設、きゆう師の養成施設又ははり師及びきゆう師の養成施設

○2  前項の認定を申請するには、申請書に、教育課程、生徒の定員その他文部科学省令・厚生労働省令で定める事項を記載した書類を添付して、文部科学省令・厚生労働省令の定めるところにより、これを文部科学大臣、厚生労働大臣又は養成施設の所在地の都道府県知事に提出しなければならない。

○3  第一項の学校又は養成施設の設置者は、前項に規定する事項のうち教育課程、生徒の定員その他文部科学省令・厚生労働省令で定める事項を変更しようとするときは、文部科学省令・厚生労働省令の定めるところにより、あらかじめ、文部科学大臣、厚生労働大臣又は同項の都道府県知事の承認を受けなければならない。

第2条は免許(※あん摩マッサージ指圧師と鍼灸をまとめて書いています)を取るための条件について。そして養成施設について。養成施設は具体的には専門学校、大学、視覚支援学校です。この裁判では晴眼者向けの専門学校が対象です。

原告側の主張をかいつまんで説明すると
・“当分の間”は法律制定から50年も経ち、十分時間が経過したのだから新設を認めるべき
・時代が進み、医療技術、生活環境も変化し視覚障害者が活躍できる場が増えて、あん摩マッサージ指圧師の資格を守る必要性は薄い
・学校が増えないことで、あん摩マッサージ指圧師になろうと希望する人の挑戦を狭めており、これは憲法が認める”職業選択の自由”の権利を侵しているのではないか
といったところ。
2019年に東京地方裁判所で出された判決は、あまし養成施設の規制は必要性が認められるとして、原告の訴えを退けました。また2020年の仙台地方裁判所の判決も同様の判決を出しています。

原告は控訴をし、二審の東京高等裁判所、仙台高等裁判所に進みます。2020年12月8日の東京高裁は、規制の必要性が認められ、憲法に違反しないと判断し、一審と同様に原告の訴えを退けます。報道によれば東京高裁北澤純一裁判長は『重度の視覚障害者を中心に指圧師の仕事に対する依存度が依然として高く、視覚障害者を社会政策上、保護するという立法の目的は、現在も正当性がある』と指摘したといいます。また日本視覚障害者団体連合の評議員を務める大胡田誠弁護士は『多くの視覚障害者が今も苦しい状況に置かれていることを認めて、視覚障害者の痛みに寄り添う判決を出してくれた』と話しました。東京とほぼ時を同じくして2020年12月14日の仙台高裁も原告の控訴を棄却します。仙台高裁小林久起裁判長は『法律による規制には必要性も合理性も認められる』として仙台地裁の判決を支持しました。視覚障害者を支援する団体は会見で『国が視覚障害者の生活を守るということを司法も明らかにしてくれた判決で高く評価する』と述べています。

二審までの判決結果をみるとあはき法第19条が妥当であることが判断されていると思われます。何より、視覚障害者団体や視覚障害者を支援する団体が納得いく判決だと意志を示しています。視覚障害者を守るためのあはき法第19条ですから、それが認められて嬉しいと。
東京高裁、仙台高裁で訴えを棄却された原告は最高裁に上告します。ここでのポイントというか争点はあまし専門学校を新設することを認めないことは憲法で権利として保証している“職業選択の自由”に反している、という原告の主張です。法の最高位にあるのが憲法。法律よりも上位にあります。二審判決もあはき法第19条を根拠にしています。それならばこの法解釈は憲法違反である(職業選択の自由を保障する憲法に反する)と認められれば逆転勝訴になると原告は考えました。
この場合の職業選択の自由は晴眼者に対してのこと。視覚障害者ではない健常者があん摩マッサージ指圧師になろうとしても専門学校が少なく、しかも地域が偏在している。これはなりたくてもなれないので職業選択の自由を害している。あまし専門学校を新設することでそれが解消される。このような主張を一審、二審同様、三審もしていました。2022年2月7日の最高裁判決において最高裁判所第2小法廷菅野博之裁判長は『あん摩マッサージ指圧師は、従事できる職業が限られる視覚障害者にとって主要な職種の1つで、障害に適した職業に就く機会を保障することは、自立や社会経済活動への参加を促進するという積極的な意義も考えると、障害がない指圧師の増加を抑制しても不合理とはいえない』と指摘しました。そして晴眼者向けの専門学校について規定では“規制の必要がある場合にかぎり設置申請を認めないことができる”とされていて完全に認めてないわけではないことを踏まえつつ、既存の専門学校は10都府県に21校ある事実を挙げて『職業選択の自由に対する制限は限定的で、憲法には違反しない』と結論づけ、原告の上告を退けたのでした。この判決はNHKが報道しています。
この判決を受けて原告学校法人の理事長は、視覚障害者でもあん摩マッサージ指圧師を選択する人は減っていて、この状態が続けばあん摩マッサージ指圧師という職業がなくなってしまう、とコメント。被告側の厚生労働省側は、おおむね国の主張が認められたとコメント。視覚障害者などで作る16団体が本裁判のために立ち上げた「あん摩師等法19条連絡会」会長は判決について、視覚障害者の職業的自立のためには必要な規制だと最高裁に明言してもらって安どした、とコメント。

以上がこのあまし専門新設裁判の顛末です。更に現状を補足しておきます。
新卒のあん摩マッサージ指圧師は年々減少しています。国家試験合格者数は右肩下がりで推移しています。理由は視覚障害者の受験者数が減っていること。そして専門学校、すなわち専門学校からの受験者数も減っていること。確かに原告が主張するこのままではあん摩マッサージ指圧師の職業が無くなってしまうというのは、完全な的外れとは言えません。
視覚障害者あん摩マッサージ指圧師の職域が守られているとはいえません。冒頭に書いた通り、あまし専門学校を規制していても非あん摩マッサージ指圧師によるマッサージ様行為が横行しております。視覚障害者の仕事として企業専属でマッサージをするヘルス・キーパーがあるのですが、近年は企業整体と称して非あん摩マッサージ指圧師が企業に入り込んでヘルス・キーパーの仕事を奪っているという意見もあります。よってこの最高裁判決があるから視覚障害者あん摩マッサージ指圧師が救われるかというと、それはまた別の話です。視覚障害者を守るための最高裁判決であるにも関わらず。

ここからやっと本題の識者の解説です。本文献の著者は弘前大学助教授の伊藤健氏。調べると現在は岡山大学 学術研究院社会文化科学学域(法学系)講師をしています。学歴は京都大学法学部卒、同大学院法学研究科法政理論専攻修士課程卒、同大学院法学研究科,法政理論専攻博士後期課程卒。法学で博士号を取得しています。つまり法学研究者です。
参照法令として「憲法22条1項」、「あはき法2条1項、19条1項・同条2項」を挙げています。憲法22条第1項は職業選択の自由に関することで「何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。」とあります。あはき法第2条1項が資格取得要件(特に注目されるのは養成施設に関すること)、第19条1項・同条2項はあまし養成施設の制限についてです。

伊藤健氏はやはり、憲法22条1項の「職業選択の自由」とは何かに触れています。判例の解説の冒頭に『本判決は、職業の自由に関する従来の判例に概ね沿いつつも、その審査枠組みを考えるに際しての新たな素材を提供してくれるものである。』と記しています。やはり憲法22条1項の「職業選択の自由」という権利は“公共の福祉に反しない限り”という条件が記されています。公共の福祉に反していれば職業選択の自由は認めらないと解釈できます。現状が公共の福祉に反していないかがポイント。あはき法第19条の立法目的は経済的弱者たる視覚障害者の救済であり、最高裁判決でも「公共の福祉に合致することは明らかである」としている。その上で、視覚障害者あん摩マッサージ指圧師の数は減少傾向にあっても未だに視覚障害者にとって未だに主要職種の一つであること、障害に適した就業機会を保障することは自立及び社会参加の促進という意義を有するので重要な公共の利益であると評価している。視覚障害者あん摩マッサージ指圧師が減ってはいてもまだまだ救済の効果を担っているわけです。
あはき法第19条の手段についても「手段として相応の合理性」を認めています。晴眼者のあん摩マッサージ指圧師の数を制限しているわけです。懸念されることは晴眼者のあん摩マッサージ指圧師が爆発的に増えて視覚障害者の仕事を奪ってしまうこと。更にあまし専門学校の定員数増加を全面的に禁止しているのではなく、条件付きでの不認定・不承認するわけです。また晴眼者があん摩マッサージ指圧師になれないわけではなく、かつ現在はその志願者も定員数に対して著しく高いわけではないわけで、晴眼者のあん摩マッサージ指圧師という職業の自由に対する制限の程度は限定的であると評価されている。

伊藤健氏はまとめとして『本判決の結論に対する異論はそこまで多くないように思われる。』と述べています。つまり比較的合理的な判決であったと。ただし学者らしく『ただ理論的には、本判決を受けて、職業の自由に関する審査枠組みを改めて整理する必要があり、それとの関係で、立法事実の審理方法に関する指針を提示していくことが求められよう。』と続けて今後の問題提起を示しています。

当然ですが最高裁の判決は過去の判例を加味して出しています。判決文も過去の判例を引き合いに出して。その言い回しも法律独特なものがあります。それらを全て踏まえた上で伊藤健氏は解説と独自の意見を述べています。私にとっては難解な言葉つかいがあり、完全に理解しきれていません。分かることは決して突拍子もない、異例の判決ではないという旨を有識者が示しているということ。判決は妥当なものだったと。

甲野 功

追記:
判決から4年。現実は変わってきています。毎年あん摩マッサージ指圧師国家試験の数字を確認し、あん摩マッサージ指圧の就業者数推移もチェックしています。確実に視覚障害者のあん摩マッサージ指圧師は減っていきます。新規合格者は減り続け、就業者数も減少傾向にあります。あはき法第19条にある「当分の間」はいつまでなのか。それを判断する日が来るのではないでしょうか

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~京都 錦市場~毎年京都を訪れます。目的は神社仏閣巡り。高校3年生の時に卒業旅行で初めて京都に行ったとき、特に三十三間堂に感動してから京都愛が芽生えました。生まれからずっと東京都新宿区に住んでいます。東京の都心部。少し歩けば旧江戸城の城内に...
11/05/2026

~京都 錦市場~

毎年京都を訪れます。目的は神社仏閣巡り。高校3年生の時に卒業旅行で初めて京都に行ったとき、特に三十三間堂に感動してから京都愛が芽生えました。生まれからずっと東京都新宿区に住んでいます。東京の都心部。少し歩けば旧江戸城の城内に入ることができます。近所には神楽坂があり今も江戸情緒を見つけることができます。京都の地を歩いたときに東京(江戸)とは違うものを感じました。当たり前ですが昔の建物が東京とは比較にならないくらい残っています。また文化も。碁盤目のように東西南北で区画された道路。最初はそれでいいかもしれませんが1300年も残っていることが凄いです。大きく崩れることなく現在も街の区画がそのまま。東京は江戸幕府を興す際に埋め立てられて造られました。お堀を二重に“の”の字状にしていき。風水としての結界は京都を参考にしています。そもそも東の京で東京。京都がオリジナルでそれを応用発展させた感じがあります。

東京、というより江戸を感じさせるのが江戸時代から栄えた繁華街。近所にある神楽坂がそうです。都内屈指といえば浅草でしょう。人が集まる→お店ができる→また人が集まる→よりお店ができる、を繰り返してぎちぎちに店舗が詰まった感じ。ショッピングモールなど無い時代に自然と商店街になった。そういう風景が神楽坂や浅草にあります。有名寺社の参道、城下町。誰かがデザインしたのではなく自然発生した賑わい。後々施政者が整理したとしても、人の情熱が生んだ街並みは力を感じます。そして今も残っている。京都でそういうものを感じるが錦市場です。

トップページ - 京都錦市場商店街
https://www.kyoto-nishiki.or.jp/

京都でも有名なエリアですが、長らく私は行きませんでした。記憶が曖昧ですが、おそらく高校3年生の卒業旅行で訪れています。この時は同級生の後をただついていくだけだったので、どこを歩いているのかよく分かっていません。長いアーケード内を歩いた記憶があるのでおそらくそこが錦市場だったのでしょう。平成後半になり外国人観光客が激増し、京都が世界一の観光地と称されるようになります。頻繁に特集されるようになり、錦市場が人気だと紹介されることが目に入ってくるようになりました。存在は知っていましたが神社仏閣に注目している私は二の次。京都に来てもグルメには重きを置かないので何度京都に来ても錦市場に足が向くことはありませんでした。上の子どもと一泊で京都旅行に行ったときに夜買い物に行こうと考えたのですが、あいにくの大雨で宿にとどまったままでした。

そんな私が錦市場に行った目的は錦天満宮。『ギャラリーフェイク』というマンガの作中で鳥居が建物にめり込んでいるという場所があると知り、見てみたいと思いました。位置関係を調べて散策ルートに入れました。
平安神宮、知恩院、円山公園、八坂神社と巡り、祇園四条駅に向かって歩き。四条大橋で鴨川を渡ります。京都河原町駅を通り過ぎ、寺町通を曲がって進みます。錦天満宮を参拝した後に振り返ると錦市場が始まりました。
よく映像で観ていた場所。あざやかな天井のアーケード。狭い道にところ狭しとお店が連なっています。オーバーツーリズムで問題視されるエリアで噂にたがわず外国人観光客でごった返していました。やはり浅草の商店街に近い雰囲気を感じます。メインストリートの錦小路通が東西に390m続き、途中、御幸町通、麩屋町通、富小路通、柳馬場通、堺町通が南北に直行します。アーケードの終わりは高倉通に出て、ここまでが錦市場です。あまりにも人が多いのでほとんど写真を撮ることがかなわず。撮影していて赤の他人が入ってしまうのは嫌なもので。
錦市場の特徴は何と言っても伊藤若冲(いとうじゃくちゅう)。伊藤若冲(1716~1800年)は、江戸時代中期に京都で活躍した絵師です。いま絵師というと同人誌的なアニメイラストを描くオタク要素のあるクリエーターをさすことが多いかもしれませんが、本来の絵で生計を立てていた江戸時代の人。画家ではなく絵師と呼ぶ方がしっくりくるのは独特な画風から。写実と想像を融合させた独自の作風から「奇想の画家」と称されます。その伊藤若冲の絵が店のシャッターなどに描かれているのです。先ほどあげたマンガ『ギャラリーフェイク』は美術の話です。錦市場のいたるところにある伊藤若冲も紹介されていて、それを見たかったのです。写真に納めようにも人が映り込んでしまうのでアーケードの終わりに壁に掲げられたシートくらいしか撮影できませんでした。なぜここまで伊藤若冲の絵が錦市場にあるかというと、地元だからという理由だけでなく恩人であったからです。『京都錦小路青物市場記録』によると錦市場の営業を巡り争議が起きた際に伊藤若冲は解決に尽力し、窮状を脱することができました。錦市場中興の祖といってよい存在だそうです。このエピソードでされ約250年前。錦市場は歴史があるわけです。

資料が定かではありませんが約1300年前に延暦年間(782~805年)に魚市場「魚の立売り」が開かれたとか。天喜2年(1054年)に後冷泉天皇によりそれまで具足小路と呼ばれていたのが錦小路と改められたと言われています。現在の錦市場の始まりは江戸時代初期、元和元年(1615年)に江戸幕府が初めて魚問屋の称号を許したこと。「上の店(かみのたな)」、「錦の店」、「六条の店」を京都の特権的鮮魚市場として三店魚問屋としたことで錦市場は魚市場への第一歩を踏み出すのです。錦市場400年の歴史は魚市場からでした。
明和7年(1770年)になると奉行所が錦小路高倉に青物立売市場を認めます。ところが翌明和8年(1771年)に商売敵の策謀により、奉行所から営業停止を言い渡されます。このとき町年寄だった伊藤若冲が錦市場存続のために尽力したのです。奉行所等と交渉を重ね、安永3年(1774年)にようやく錦市場が公認されます。
江戸時代が終わり明治時代へ。武士の世界が終わり、京も東京に移ります。明治16年(1883年)に江戸幕府が認めた三店魚問屋の特権が廃止されます。これにより同業者間の過当競争のため市場は混乱を極め、店が激減してしまいます。明治時代の終わり頃の明治44年(1911年)に水産魚介類業を中心に「錦盛会」が結成され、新たに活気を取り戻します。昭和に入り昭和3年(1928年)には青果業や精肉業などの食料品店を加え「錦栄会」を設立します。今のようなあらゆる食料品を取り扱う“京の台所”となっていきます。最初の東京オリンピックを翌年に控えた昭和38年(1963年)に「錦栄会」を発展解消し、「京都錦市場商店街振興組合」が設立されます。
平成に入ると。平成5年(1993年)に柱なし工法による現在のアーケードが完成。平成17年(2005年)にブランド力を高め、「錦市場」の安易な利用を防止するため、『錦市場』を登録商標にします。翌平成18年(2006年)にイタリア・フィレンツェ市のサンロレンツォ市場と食文化の交流を目指して友好協定を締結。古都京都の台所から世界的観光地になる予兆のようです。

海から離れた錦市場が魚市場として栄えたのは何故でしょう。大阪も東京も横浜も神戸も海に面していています。京都府そのものは北が日本海と接していますが、中心地の京都市は海から距離があります。その理由は錦市場には地下水があり、一年を通して水温を15〜18℃に保っていました。これは「錦の水」とよばれ、生鮮食材を保存するのに適していました。食材が集まるため京都の食文化を支えてきました。今も料亭が食材を仕入れにくるといいます。京料理に重要な場所。平成30年(2018年)に食文化の発信拠点として『斗米庵』を開設します。サンロレンツォ市場との友好提携を進めたことで、双方でユネスコの無形文化遺産を目指しています。

食文化以外にも祇園祭との関りも強いのです。日本三大祭りの一つに数えられる祇園祭。私が歩いたとおり祇園祭の八坂神社からも近い位置にある錦市場。八坂神社の祭神を奉じた三基の神輿渡御(神幸祭・還幸祭)があります。これらの神輿のうち一基は昭和22年に結成した「錦神輿会」が御奉賛するのです。

雑にいえばアーケード商店街なのですが、その歴史が圧倒的にある錦市場。調べてみると興味深いことがたくさん出てきます。古都が誇る、そして残る、貴重な場所です。

甲野 功

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~厚労省の部位転がし調査~先日紹介した、4月30日に開催された社会保障審議会医療保険部会における配布資料、『いわゆる「部位転がし」に関する調査について』。いわゆる「部位転がし」に関する調査についてhttps://www.mhlw.go.jp...
09/05/2026

~厚労省の部位転がし調査~

先日紹介した、4月30日に開催された社会保障審議会医療保険部会における配布資料、『いわゆる「部位転がし」に関する調査について』。

いわゆる「部位転がし」に関する調査について
https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/001696853.pdf

タイトルに明確に「部位転がし」という文言が出ていることに衝撃を受けました。今回はこの調査資料から厚生労働省がどのような視点を持っているか紐解いてみます。

調査対象としたのは国保連合会、市町村、後期広域連合、協会けんぽ、健保組合とあります。「保険者」というのは保険証を運営しているところと思っていただければ。企業に勤めいてその企業が健康保険をしていれば勤め先の企業が「保険者」になります。「保険者」の区分として挙げた5種類があります。そこも軽く説明しましょう。

国保連合会が国民健康保険団体連合会のこと。各都道府県の国民健康保険事業の運営が共同して目的を達成するために設立された公法人。各都道府県内の市町村や国民健康保険組合(国保の「保険者」)が会員となっています。
市町村というのは都道府県及び市町村(特別区を含む)が「保険者」となる市町村国保を指します。主に自営業、フリーランスなどが対象となります。上記の国民健康保険組合は業種ごとに組織されるから構成に対して、市町村国保は居住地で決まります。
後期広域連合は後期高齢者医療広域連合のこと。75歳以上(または65歳以上の一定の障害者)が加入する後期高齢者医療制度を運営するために、都道府県ごとに設立された特別地方公共団体となります。
協会けんぽは正確には全国健康保険協会といいます。企業独自の健康保険組合を持っていない、主に中小企業の従業員とその家族が加入する団体です。
健保組合は健康保険組合のこと。いわゆる大企業で企業独自で保険を運営できる「保険者」の組織です。

整理すると企業が保険を運営する「保険者」の団体が「健保組合」と「協会けんぽ」で、前者は大規模な企業で単独で保険運営ができ、後者は中小企業。
税金により運営するのが「後期広域連合」、「市町村」、「国保連合会」で、「後期広域連合」は後期高齢者が非保険者、「市町村(国保)」は自営業・フリーランスが非保険者、「国保連合会」は特定の業種・職種ごとに被保険者がまとまっている。
あとこの調査では対象になりませんでしたが、公務員や私立学校教職員が加入する「共済組合」もあります。
大まかにこんな感じです。

「部位転がし」の調査において、ほぼ全ての「被保険者」に向けております。これは各「保険者」で対応が異なる可能性があるかでしょう。私が整骨院勤務時代も協会けんぽ、健保組合は保険請求が厳しいということを耳にしたことがあります。そして各「保険者」のカテゴリーに対して「部位転がし疑い」の審査を行うための抽出条件が主に4類型あるとしています。
①受療期間に着目するもの
②新規の負傷(部位)に着目するもの
③初検料に着目するもの
④その他
後期広域連合だけ④その他がありませんでしたが、残り全て4類型を抽出条件としています。言い換えると、④その他は特例と考えて、①受療期間、②新規の負傷部位、③初検料がポイントになると考えられます。調査方法は調査票をメールで送付しているので。「部位転がし」というのは請求する書類内容から考えないといけません。本当に内容通りの負傷ケースがあるかもしれません。それが偽装しているのかを確認するために注目すべきこと。
まず遅々として治らない。柔道整復受療費は急性外傷が対象です。何か月も何年も治らずずっと接骨院に通うというのは不自然です。これが①受療期間。
新規の負傷部位が多かった場合。大きな転倒をしたとして右肩関節と右手首を同時に捻挫するでしょうか。確かに考えられます。しかし加えて右股関節も捻挫する。これはどうも不自然さがあります。また何故か同じ日に2部位(2ヵ所)捻挫して、翌日また別の部位も捻挫する。できすぎた怪我にみえます。これらのように②新規の負傷部位に関して注目する。
あまりに長期間請求すると怪しまれるので(不自然なので)、意図的に一度治癒にしてしまう。そしてまた別の部位を負傷したことにする。これが「部位転がし」です。その際に改めて負傷した場合は初見料を請求します。よって③初検料に注目すると「部位転がし」なのか否か考察できるわけです。何故か負傷してから3ヵ月目の月末に治癒し、翌月の初めに別の部位を負傷したとして初検料が請求されている。

各「保険者」はレセプト(診療報酬明細書)の内容に不備があったり疑わしいと判断したりした場合は返戻(へんれい)といって、突き返して訂正を求めることがあります。柔道整復師の請求業務に返戻対応が入ります。返戻をするかどうかに「保険者」の姿勢がうかがえます。この調査はひと月程度の短い期間での調査ですから全体がそうとは言えませんが、「部位転がし疑い」を抽出した後の対応として、後期広域連合は返戻の割合が少なく、協会けんぽと健保組合は多い数字になります。また療養費不支給としたケースはほぼありませんが、各カテゴリーでその他(患者調査中、注記文書送付)、その他(患者調査中、国保連へ相談予定、再審査中)、その他(照会・警告文書送付、面接確認委員会で面接、患者照会中)がかなり多い割合になります。疑わしいので調査をするという姿勢が見受けられます。なお健保組合ではその他ではなく患者照会中のみ。被保険者は自社の社員及びその家族になるでしょうから照会するのが容易だと考えられます。直接確認できるわけです。

そして重要だとおもうのが、<「部位転がし疑い」の申請内容の例>の項目。疑いとしているのは確実な不正だと言えないだけでかなり怪しいという請求例でしょう。例は詳細に報告されており、どんな意図で請求しているのか私は分かります。そして「保険者」側もかなり見ているなと分かります。「部位転がし疑い」は3つのケースに分類しています。
1.負傷と治癒を繰り返す
2.一定期間ごとに部位を変更・ローテーション
3.その他
各々具体例を出していて、よく分かっていると感じます。例えば後期広域連合の【1.負傷と治癒を繰り返す】に分類された例。
『・月初負傷月末治癒を1ヶ月毎に繰り返す(負傷名はバラバラローテーション・2部位死守)』
療養費請求はひと月毎にするのが一般的なので月初めに負傷し、月末に治癒することが望ましいのです。後期高齢者のお年寄りが、怪我がずっと治らないなら病院に転院させるべきです。だからひと月で治癒にしてしまう。しかし請求はしたので毎月のように月初に負傷して月末に治ったことにする。同じ場所を負傷するのは変ですから負傷名を変えている。繰り返すので負傷名がローテーションしている。更に負傷ヵ所は2部位であることを死守している。レセプトに死守などと記入するはずがないので、アンケート結果を答えた後期広域連合のコメントでしょう。“死守”などという表現をしているところに請求内容のいびつさを感じているのと、必死に部位数を2にしてたくさん請求したいんだろうねと見透かされている印象を私は受けます。

この調査報告は非常に短い期間のもの。調査方法を確立して今後は大規模な長期間での、いわゆる「部位転がし」に対する調査、を行うのではないでしょうか。

甲野 功

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~「部位転がし」~ゴールデンウイーク中といえる令和8年4月30日に社会保障審議会医療保険部会が開催されました。ここでの配布資料によると柔道整復療養費が上がる方向です。第35回社会保障審議会医療保険部会 柔道整復療養費検討専門委員会配布資料h...
08/05/2026

~「部位転がし」~

ゴールデンウイーク中といえる令和8年4月30日に社会保障審議会医療保険部会が開催されました。ここでの配布資料によると柔道整復療養費が上がる方向です。

第35回社会保障審議会医療保険部会 柔道整復療養費検討専門委員会配布資料
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/newpage_00265.html

これは柔道整復師にとって吉報なのですが、同時に会議で配布された資料には「部位転がし」に関する調査資料がありました。

いわゆる「部位転がし」に関する調査について
https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/001696853.pdf

この資料、というより資料タイトルを目にしたとき、私はとても驚きこんな時代が来たかと思い知りました。

国民皆保険制度の日本では原則として国民全員が何かしらの保険証を持っています。保険を扱う団体を「保険者」といい保険証を持つ者を「被保険者」といいます。病院に行って保険証を提示すれば多くの人が3割負担で済みます。これは実費としてかかった治療費のうち、7割を「保険者」が支払い、残りの3割分を「被保険者」たる患者さんが窓口で支払うというもの。更に私が住む東京都新宿区の場合、中学生までの自己負担3割分も新宿区が支払ってくれます。うちの子ども達は個人の保険証に加えてマル子医療証(義務教育就学児医療費助成)が交付されています。保険証自体はマイナンバーカードに統合されていきますが、今のところマル子医療証は残っています。
柔道整復師の開設する施術所(接骨院)で急性外傷の治療を受けた場合は、療養費を柔道整復師が患者の代わりに「保険者」に請求する(受領委任払い)か、患者さん本人が7割の自己負担額を後で「保険者」に請求して支払ってもらう(償還払い)ことができます。かつては圧倒的に受領委任払いが多く、整骨院に行って保険証を出せば3割、あるいは高齢者は1割で施術してもらえるのが一般的でした。そのため整骨院を病院と同じところだと勘違いしている方も少なくなかったでしょう。

もちろん病院(医療機関:医師による治療を行う施設。病院、クリニック、診療所を指す。)と整骨院(施術所:この場合は柔道整復師が施術を行う施設。接骨院、整骨院、骨接ぎ陰などを指す。)は違います。医療法と柔道整復師法という異なった法律で管理されています。柔道整復師の施術は急性外傷の施術限定で療養費が支給されるというのが本来のこと。柔道整復師が療養費を使えるのではありません。この場合の療養費というのは保険負担分のことで、現役世代だと施術費の7割分です。本来は窓口で患者さんが全額支払って、そのうち7割分の療養費を患者さん自らが入っている「保険者」に請求して、後で返金されるもの。
この支払方法を「償還払い」といいます。例えば1万円の施術費がかかったとして、患者さんは接骨院に1万円支払います。そして患者さんが書類を作成し、自分の保険証を運営する「保険者」に請求をします。請求を受けた「保険者」は審査の上、後日「被保険者」である患者さんに7000円を支払うのです。この「償還払い」は患者さんの負担が大きいわけです。一過性とはいえ満額接骨院に支払わないといけない上に、請求書類を作成して「保険者」(例えば勤めている企業の担当部署)に提出して審査を待ちます。すぐに支給されればいいのですが、だいたい数か月かかると言われています。その間にお金が戻ってこないのです。そもそも怪我をして接骨院に行ったのに。
これは大変だろうということで柔道整復師が患者さんのために代理で療養費を請求できる「受領委任払い」が特例で柔道整復師に認められてきました。前の例でいうと、患者さんは接骨院に自己負担分3割の3000円を接骨院に窓口支払いをするだけ。請求書類を作る必要はありません。代わりに柔道整復師の方が患者さんの「保険者」に7割分の療養費を請求します。請求業務をするのは柔道整復師で、患者さんが支払ううちの7割を肩代わりしているということ。患者さんにとってはとても助かるシステムです。
しかしこの「受領委任払い」制度は柔道整復師の不正請求がとてもしやすいという面を持ちます。患者さんにとっては保険証を提示して、代わりに保険請求をしてもらう旨のサイン(署名)をレセプトと言われる申請書類にします。それから先はどのようなことになっているのか分かりません。ここで柔道整復師が不正な療養費請求をしていたとしても分からないのです。現実に柔道整復師による療養費不正請求は数多く発覚しています。表沙汰になっていないだけで実際には遥かに多くあることでしょう。私は柔道整復専門学校学生時代から言われていたことですから軽く15年前からあります。不正請求に関しても過去に多数事件化したものを紹介してきました。逮捕者もたくさん出ています。そして現在も逮捕されたという報道が各地で出ています。

このような背景を踏まえた上で、本題の厚生労働省が調査資料としてまとめた『いわゆる「部位転がし」に関する調査について』がいかに衝撃的だったかを述べます。まずタイトルの「部位転がし」。この意味が分かる人は柔道整復師に近い位置にいるはずです。一般的にこんな言葉を聞くことはありません。はっきり言えば業界の隠語の類。分かる人には分かるという。柔術をしている人はオモプラッタといえば、はいはいとなります。社交ダンス界隈ならクカラチャと聞いてゴキブリ?とは思いません。「部位転がし」というのはそれくらい業界外には知られていない用語です。これは不正請求のテクニックなのです。
柔道整復師が療養費として請求できるのは急性外傷の処置に限ります。具体的には骨折、脱臼、捻挫、打撲、挫傷。骨折と脱臼に関して応急処置であれば医師の指示なしに行えますが(緊急性を考慮して)、継続的な後療法などの処置は医師の同意が必要です。ちなみ私はあん摩マッサージ指圧師でもありますが、骨折・脱臼の処置(具体的には整復操作)を医師の指示なしに行うと違法行為になります。医師の同意を得なくて療養費を請求でき野は捻挫、打撲、挫傷になります。外傷しか請求できないのでケガをした箇所、すなわち部位名で請求をします。例えば「右肩関節捻挫」というように。「部位転がし」の部位は外傷を負った部位ということ。柔道整復師における療養費不正請求のベースは外傷を捏造することにあります。追っていない怪我を作り出して、その外傷処置をしたましよ、という書類を作成して「保険者」に請求するのです。
そして長期間、何度も療養費の請求をすると。ケガが治らないのは不自然です。捻挫が6ヵ月も治らないでしょうか。確かに酷い捻挫はあります。その場合、整骨院ではなく医療機関に移すことが賢明でしょう。不正請求する場合、ある程度請求を重ねたら、また別の個所(部位)を怪我したということにして、別の負傷部位を捏造するのです。最初の負傷部位に加えることも、一度治癒と報告してからまた別の所を怪我したというようにすることもあります。このような捏造行為を「部位転がし」と裏で呼んでいました。裏で呼んでいたと書いたのは不正請求であるわけですから大ぴらに外部に話すことはありません。ただ共通言語としてやり方を示す用語(隠語)としてありました。それが厚生労働省の調査報告書でタイトルに入るとは。“いわゆる”という修飾がついて断定していないという言い訳を入れつつも「部位転がし」について真正面から調査をしている。私が整骨院で働いていた十数年前には考えられないことです。

この調査から、もちろん以前から知っていた「部位転がし」というやり方を公的な認識に引き上げるという姿勢を感じます。厚生労働省のホームページに掲載されている資料で誰でも閲覧できる状態。柔道整復師のことをよく知らない人にも「部位転がし」というやり方(一種の不正請求方法)があることを周知させることになります。そして今後これは「部位転がし」だと認定しますよ、ということになるでしょう。言葉ができれば概念が定着します。この請求内容は「部位転がし」だ。これは必ずしも「部位転がし」とはいえない。そのようなことになるのです。
私はもちろん不正請求はしていません。療養費の請求自体をしていません。柔道整復師のものだけなくあん摩マッサージ指圧師でも鍼灸師でも。しかし柔道整復師でありますし、整骨院での勤務経験もありますから当事者であります。当事者からみて、今回の堂々と「部位転がし」という用語が出たことは驚異です。ここまで時代が進んだのかと思います。そしてここまで本腰入れて調査するところまで来てしまったのかと。「部位転がし」以外にも「泣き・半泣き」、「スライド」など別の隠語もあります。十分に知っていましたがそれをブログに書くことはしてきませんでした。当事者、すなわち同じ業界の柔道整復師のことで報道されていないことは明かすことは余計なことだと考えていました。これまでも厚生労働省の資料には文中に登場したことはありました。厚生労働省以外の業界関係者がネットで解説したものもありました。それが今回は、調査の本筋として「部位転がし」が登場したのです。本当に驚きました。

次回はこの資料からどのように、いわゆる「部位転がし」を調査したのかを見ていきます。

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~日本語に溶け込む東洋思想~私の持つ国家資格、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師の免許。これらは国家試験に「東洋医学概論」、「東洋医学臨床論」という科目が出ます。国家資格ということはもちろん国が管轄する資格免許。この場合、国とは厚生労...
07/05/2026

~日本語に溶け込む東洋思想~

私の持つ国家資格、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師の免許。これらは国家試験に「東洋医学概論」、「東洋医学臨床論」という科目が出ます。国家資格ということはもちろん国が管轄する資格免許。この場合、国とは厚生労働省をさします。厚生労働大臣が免許として認定するのが上記3資格です。はり師、きゅう師は同時に受験することがほとんどなので両方の資格を持つ者が多く、一般的には鍼灸師と認識されます。あん摩マッサージ指圧師と鍼灸師は国家試験レベルで東洋医学を学びます。
現在、医学部でも漢方薬を学ぶために若干東洋医学を学ぶようですが、もちろん重要視されるのは西洋医学、現代医学です。あん摩マッサージ指圧師、鍼灸師の勉強も7割以上が現代医学になると思いますが、東洋医学を学ぶことは必須で、国家試験で習熟度を試されます。我が国において、国レベルで東洋医学を学ぶのは、かつそれが国家試験という形で理解度をチェックされるのは、あん摩マッサージ指圧師と鍼灸師だけです。

東洋医学は東洋思想を基盤として成り立っています。東洋思想とは何かを定義するのは非常に難しいのですが、伝統的に、古くからある体系的にまとまった考え方で、主に東アジア地域のもの、といったところでしょうか。東洋医学は広義にはインドや中東の伝統医学も入ります。日本人としてはやはり鍼灸、漢方が東洋医学というイメージが強く、地域としては主に中国、韓国(朝鮮半島)、日本ではないでしょうか。世界的に鍼灸が盛んな国は日本・中国・韓国とされています。現状がどうかはさておき、歴史と伝統があるのがこの3国。北朝鮮は国の事情から情報があまり出てこないので何ともいえません。鍼灸、そして按摩(あん摩マッサージ指圧師の按摩)は中国から朝鮮半島を経由して日本に入ってきたのは確かでしょう。中国大陸から直接導入されたものもあるかもしれませんが。そして中国、韓国、日本で各風土・文化によって独自の発展をしてきました。それらの根本にあるのが東洋思想となります。
具体的に何かというと私の考えは“陰陽五行論”(陰陽五行説ともいう)になります。陰陽五行論が東洋医学の基本中の基本で、その理論が東洋思想に基づいていると。

それでは陰陽五行論とはなんでしょうか。これは元々別にあった“陰陽論”と“五行説”が組み合わさったものです。だから陰陽五行論といったり陰陽五行説といったりします。末尾は陰陽論の論をとるか、五行説の説をとるか。
陰陽論は万物を陰と陽に分けられる、分けるという考えです。上と下、男と女、北と南、外と中、などなど。個々に挙げた例はどれも最初が陽で後が陰に分類します。そして陰陽論において陰陽の区分は絶対ではなく相対的なものであり、量が変化し、時に区分が逆転することもあります。これを陰陽消長とか陰陽転化といいます。陰中の陽とか陽中の陰というように陰の中にも陽の要素があり、その逆も、という考えもあります。韓国の国旗になる赤と青の勾玉が組み合わさった丸い図柄が陰陽太極図で、陰陽論を表しています。
五行説は何かというと万物は5つの属性に分けられるという考えです。具体的には木、火、土、金、水の5グループ。色だと青、赤、黄、白、黒。方角だと東、西、中央、南、北。季節だと春、夏、長夏、秋、冬。そしてある属性はある属性を生む関係があり循環する、これを相生関係といいます。ある属性はある属性を抑制する関係があり循環する、これを相克(相剋)関係といいます。あわせて相生相剋関係といいます。

陰陽論と五行説を組み合わせて生まれたのが陰陽五行論なのです。陰陽が2属性、五行説が5属性。陰陽五行論は日本の伝統に根付いています。2×5で陰陽五行論だと10パターンになります。これが十干というもの。甲・乙・丙・丁・戊・己・庚・辛・壬・癸というやつです。数字にも陰陽があり奇数が陽で偶数が陰です。五行説の5は陽で6が陰になります。東洋医学では五臓六腑を使いますがまさに数字の陰陽(奇数と偶数)と臓腑の陰陽(※臓が陰、腑が陽になる)が合わさっています。2×6で12パターンにしたものが十二支です。今年は午年ですね。更に2×5×6で60パターンにしたものが干支です。十干と十二支を組み合わせて干支。甲子から始まり60年で一周するので60歳を還暦といいます。今年は丙午の年で、この年に生まれた女性は男を食い殺すという迷信がありました。
このように東洋思想たる陰陽五行論は日本の日常に溶け込んでいます。更にいえば日本語にも組み込まれているのです。

例えば青春という言葉。なぜ青い春というのか。これはどちらも五行説で木のグループにある言葉です。人生の始めの時期ということで青春。当たり前になっていて疑問を持たないでしょうが春という季節に色がついているのはこういう意味があります。
今回、特に注目してほしいのが『失神』という言葉。意識を失うことを失神といいます。言葉をそのままみると「神を失う」になります。なぜ神が登場するのでしょうか。神様を失う?そんな疑問は持ったことがないでしょうか。この場合の「神」とは何でしょうか。仏教徒ならお釈迦様のことでしょうか。キリスト教ならイエス・キリスト、ユダヤ教ならヤハウェイ、イスラム教ならアーラーになることでしょう。神道の日本なら最高神とされる天照大神のことでしょうか。そうではありません。神様の神ではないのです。
人間の身体や機能について神という文字を使うものが他にもあります。例えば『精神』、『神経』。これらに用いられる神は失神を含めていずれも“いわゆる神様”とは違った意味での「神」が使われているのです。それは東洋思想の概念からなのです。

東洋思想において「神」の概念は中国の鬼神思想が発端とされます。鬼神とは“神(表の世界を支配するもの)”と“鬼(「うら」あるいは「かげ」の世界を支配するもの)”という対立構造。鬼神は「鬼の神様」ということではなく鬼⇔神という陰陽関係にあります。このような概念を人体に導入し、知覚活動や思考、判断などの精神活動をするものを「神」としました。もちろんいわゆる神様のことではなく、“心に蔵されている精気”というように表現されます。ここでいう心(しん)とは臓器の解剖学的な意味での心臓(しんぞう)とは違います。東洋医学の「五臓六腑」と称される、身体の機能システムの意味になります。いわば“心グループ”。東洋医学の五臓六腑は五臓が肝、心、脾、肺、腎のことで六腑が胆、小腸、胃、大腸、膀胱、三焦のことをいいます。各々解剖学的な内臓とは対応しません。三焦にいたっては存在しません。近年の研究で筋膜(ファッシア)が三焦ではないかという説もありますが。
その心にある精神活動を司るエネルギーみたいなもの(精気)が「神」です。細かくいうと五臓それぞれに対応する精神活動を総称して「五神」といいます。具体的には魂、神、意、魄、志で前から順番に五臓(肝・心・脾・肺・腎)に宿ると考えます。肝なら魂、腎なら志というように。「五神」の中に「神」が入るのでややこしいのですが、すなわち五神の中で神が一番上位の存在であり、意識・精神活動の統括・思考などを司ります。五神を詳しく説明すると話が逸れますが面白いです。この「神」はいわば生命現象そのものであり、全ての生体の活動を支配していると考えられているのです。だから心にある「神」が最も大切。その「神」が少なくなると精神不安定な状態、あるいは錯乱し意識不明の状態などになる。「神」が失われた状態、すなわち意識がない状態、それを失神というわけです。

余談ですが経絡治療という伝統的な鍼灸の技術では臓の虚(エネルギーが足りなくなって弱っている状態)に注目します。肝虚、脾虚、肺虚、腎虚。ここで心虚は存在しないと考えます。心が虚しているときは死んでいるので考える必要がないというわけです。心の虚とは「神」が失われている状態で生命活動を維持していない。極端にいえばそういう考え方です。これが近代にできた(近代)中医学だと心虚も考えます。

このように失神の神は東洋医学(東洋思想の陰陽五行論の五行説)における五神の「神」をいいます。同様に「精」は東洋医学において、成長・発育・生殖・老化などを司る、五臓の腎に蓄えられる生命エネルギーの源をいいます。精には両親から引き継ぐ「先天の精」と、食生活で補う「後天の精」があります。「精」と「神」で精神。ここでも神がありますがもちろんいわゆる神様のことではありません。
そして神経。東洋医学では縦の連絡路を「経」、横の連絡路を「絡」といいます。二つ合わせて「経絡」といいます。経絡という言葉は鍼灸師や東洋医学を学んだ人が頻繁に使います。中高年男性だとマンガ『北斗の拳』で経絡秘孔で耳にしたのではないでしょうか。東洋医学では正経十二経といって手足に6本ずつ、合計12本の縦に連なる気の通り道があります。それぞれ六臓六腑の名称がついていて、2×6の陰陽五行論です。(※急に五臓六腑から六臓六腑になったのは何故かの説明は省略します)。つまり神経というのは「神」の通り道という意味で「神経」とされたのです。気の通り道なら経絡です。
そもそも神経という言葉を誰が作ったのか、いつ作ったのか。数千年の歴史がある東洋医学に神経という言葉ありませんでした。神経という言葉を作ったのは江戸時代、杉田玄白だと言われています。『解体新書』で有名な杉田玄白。オランダ語で書かれた解剖学書籍『ターヘルアナトミア』を日本語に翻訳し、『解体新書』として発表した杉田玄白ら。そこに多数登場する白い紐状の機関を機能的な面を考慮して日本語にしたのが神経なのです。感覚や運動を伝達する通路。既存の日本にある言葉で考えてしっくりくるもの。それが「神経」。東洋思想(東洋医学)の観点から作られたのです。

東洋思想を用いて心身を良くする医学が東洋医学。明治時代に医政が発令されて西洋医学が主流になるまで、我が国の医学は東洋医学(あるいは伝統医学)が主流でした。その名残が令和現在の日本語にも根付いています。

甲野 功

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メール  :kouno.teate@gmail.com
電話   :070-6529-3668
ご連絡お待ちしております。

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★都営大江戸線牛込柳町駅南東口から徒歩3分
★都営大江戸線牛込神楽坂駅A1出口から徒歩8分
★東京メトロ東西線神楽坂駅矢来口から徒歩15分
★都営新宿線曙橋駅A3出口から徒歩15分

<営業時間>
平日:10:00~20:00(最終受付19:00)
土曜日:9:00~18:00(最終受付17:00)
日曜、祝日休診

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あじさい鍼灸マッサージ治療院
〒162-0856
東京都新宿区市谷甲良町2-6エクセル市ヶ谷B202
電話:070-6529-3668
HP:https://www.kouno-teate.info/
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~紫陽花の名所 箱根強羅公園~今年2カ所目の紫陽花の名所は、私にとってお馴染み、箱根からです。幼少期から頻繁に箱根に行っていて、毎年1回は箱根方面(小田原含む)に旅に出ます。それがうん十年続いているので何度行ったか分からないくらい。これまで...
06/05/2026

~紫陽花の名所 箱根強羅公園~

今年2カ所目の紫陽花の名所は、私にとってお馴染み、箱根からです。幼少期から頻繁に箱根に行っていて、毎年1回は箱根方面(小田原含む)に旅に出ます。それがうん十年続いているので何度行ったか分からないくらい。これまでも色々な箱根の名所を紹介してきました。
箱根は紫陽花が綺麗なところでもあります。この紫陽花の名所を紹介する取り組みを始めたのは2017年からですが、その初年に紹介した場所が鎌倉の明月院と長谷寺、そして箱根の箱根登山電車と箱根ガラスの森美術館でした。また箱根の紫陽花は7月がピークなので夏場でも楽しめます。特に箱根ガラスの森美術館の紫陽花は見事で子ども達と写真撮影に何度も出かけました。その箱根から箱根強羅公園を紹介します。

箱根強羅公園
https://www.hakonenavi.jp/gorapark/

箱根湯本駅から出発する箱根登山電車(山岳エリア)の終点、強羅駅。そこから箱根ケーブルカーに乗り換えて公園下駅か公園上駅で下車すると強羅公園に行けます。駅名の公園下、公園上は箱根強羅公園の公園です。斜面にあり、高低差がある箱根強羅公園。下から入園して登っていくか、上から入って下っていくか。開園110年を超える国登録記念物の歴史ある公園です。元々は今よりも広かったのですが、上段の日本式庭園は現在の箱根美術館となり、下段のフランス式整型庭園が現在の強羅公園です。

強羅公園の中央に噴水があり、これがランドマークになっています。園内にはバラが咲いていて有名です。本題の紫陽花はというと7月が見頃になるので都心部では枯れてしまった紫陽花を夏でも楽しめます。見所は2カ所あります。一つは下側の入り口から入って噴水を見上げる方向に向いて、左側。そこに白いアナベルという紫陽花の品種が群生している道があります。道の両脇を白いアナベルが彩る様子が見られます。アナベルは固まって咲くので花畑のように見えます。もう一つは噴水の右側。最近からだと思うのですが、あじさい祭りやあじさいフォトスポットを置く場所です。箱根強羅公園にも10回以上訪れているはずですが紫陽花のイベントを昔はしていなかったように記憶しています。ここ数年イベントをやり始めたのではないかと。高低差を活かして階段に紫陽花を並べて写真映えするようにしています。アナベルは地面に生えていますがこちらは人工的に並べたもの。その分自由に展示できる利点があります。

箱根は天下の険と称される山。関所が作られ箱根を越えることが江戸時代まで物理的にも政治的にも困難でした。箱根という土地柄上下に移動することが求められます。電車でもバスでもロープウェイでも。歩き回るのも同様で箱根強羅公園は階段で上り下りが必要な場所です。足腰に負担がかかります。その分鍛える目的を持つと前向きになるでしょう。道路を挟んで上にあるのが箱根美術館でこちらは日本庭園の名所。紫陽花のイメージがなく紅葉と苔庭です。フランス式庭園の箱根強羅公園と対比できるので可能なら両方見るといいかもしれません。紫陽花の季節は7月でもう暑い頃ですが、山の上にある箱根強羅公園は若干涼しいと思います。この時期に箱根観光をするなら候補に入れてみてください。

甲野 功

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~紫陽花の名所 新宿中央公園~5月は開院記念月です。今から12年前にあじさい鍼灸マッサージ治療院を開院しました。個人事業主として独立開業したのはその2年前、2012年の5月のこと。奇しくも税務署に開業届を出しのもあじさい鍼灸マッサージ治療院...
05/05/2026

~紫陽花の名所 新宿中央公園~

5月は開院記念月です。今から12年前にあじさい鍼灸マッサージ治療院を開院しました。個人事業主として独立開業したのはその2年前、2012年の5月のこと。奇しくも税務署に開業届を出しのもあじさい鍼灸マッサージ治療院の正式オープンも5月15日でした。この5月15日は狙ったものではなくたまたま諸事情によってそうなりました。あじさい鍼灸マッサージ治療院の開院日は敢えて5月15日にしましたが、独立開業したのは本当にたまたま。さらに偶然にも例年母の日が近い時期で、花屋に母の日ギフト用の花が多数置かれます。母の日といえばカーネーションでしたが今は様々な花を贈りましょうとなっています。カーネーションに限らず。そこに屋号である紫陽花も入ります。あじさい鍼灸マッサージ治療院を開院した時期は世間に紫陽花が出回る時期と一緒でした。これは本当に狙ったものではなく。

個人的に紫陽花が好きなのでこの屋号にしたわけです。開業した後も紫陽花を観に行くことを毎年して写真に収めてきました。そのうち紫陽花の名所を紹介するようになります。紹介を始めた年は4ヵ所。翌年からは2ヵ所ずつ紹介しています。時期も当初は紫陽花が咲いている6月、7月にしました。箱根にある紫陽花の名所は7月がピークということもあり。そのうち、早めに告知しないともしも気になって行ってみたものの、花が枯れていたら申し訳ないという考えのものと、5月中にするようになりました。鎌倉の明月院、あじさい寺として有名ですが、ある時期になると紫陽花を全て切ってしまいます。過去に知り合いが明月院に紫陽花を観に行ったら全部切られていて残念だったということがありました。そこで早めに紹介するように心がけています。
今年も2ヵ所、紫陽花の名所を紹介します。

まずは当院がある、私の地元新宿区から。新宿中央公園です。

新宿中央公園
https://shinjukuchuo-park.jp/

JR、私鉄、地下鉄各線のとまる新宿駅。世界一の乗降者数を誇る世界屈指のターミナル駅。JR新宿駅の西口を出て真っ直ぐ東京都庁方面に目を向けると広大な緑地が広がります。これが新宿中央公園です。昭和後期まであった淀橋浄水場の跡を公園にしました。
現在の新宿区ができたのが昭和22年のこと。それまでは淀橋区、牛込区、四谷区とありました。この3区が合併して現在の新宿区になります。淀橋(よどばし)は大手量販店のヨドバシカメラの由来になります。今でも新宿西口にヨドバシカメラは本店を構えます。淀橋浄水場は広大でこの跡地に京王プラザホテルをはじめ、新宿副都心の超高層ビル群、そして東京都庁が建ったのです。建物以外も公園になり、それが新宿中央公園になりました。公立、すなわち新宿区立公園では最大面積を誇り、面積は8.8ヘクタールに及びます。地域外の人からすると新宿区は歌舞伎町や都庁のイメージが強いかもしれませんが実は緑地がかなりあります。固まっているともいえますが。新宿区内緑地において新宿中央公園は新宿御苑、明治神宮外苑、戸山公園に次ぐ面積があります。
新宿副都心の中に広々とした公園が広がります。遠くに都庁や京王プラザホテルなどが目に入ります。世界一乗降者数ギネス記録を保持する新宿駅から徒歩数分で着く緑のオアシス、新宿中央公園。駅を挟んで反対側の新宿御苑があまりにも素晴らしいので見落とされがちですが素晴らしい場所です。その新宿中央公園には紫陽花が咲いています。シーズンになると『区民の森 アジサイロード』の看板が出て紫陽花を推します。

あくまで区立公園なので華美な演出はありませんが、6月付近には綺麗な紫陽花が脇を占めた道になります。日本庭園の周回路のようなものではなく、本当に道の脇に紫陽花が咲いているという感じ。ガクアジサイが多いです。見どころは青いテマリアジサイ。これが都庁の超高層ビルをバックにして映えるのです。自然の花と文明の結晶といえる超大型建造物の対比。お寺では木造建築物と紫陽花が見られるものですが、この新宿中央公園ではそれが数十階のコンクリート建築物になります。
駅からも繁華街からも近く、緑と紫陽花が楽しめる新宿中央公園。新宿御苑と違って無料です。園内にもそばにも飲食店があって紫陽花観賞の散歩に最適。あまり知られていない新宿区の穴場だと思います。

甲野 功

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住所

東京都新宿区市谷甲良町2-6エクセル市ヶ谷B202
Shinjuku-ku, Tokyo
162-0856

営業時間

月曜日 10:00 - 20:00
火曜日 10:00 - 20:00
水曜日 10:00 - 20:00
木曜日 10:00 - 20:00
金曜日 10:00 - 20:00
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