11/02/2026
【 コラム 】ベトナムでの鍼灸
2月9日このコラムを書いている場所は、ベトナムはハノイのハドン区にあるハドン総合病院前のカフェである。
ほんの5分前までハドン総合病院の伝統医学科で患者さんの施術にあたっていたのだが、なぜそんなところで鍼灸を?とお思いであろう。
これには深いわけがあり、その深いわけを話し出すと3日ぐらいかかるので、それはいずれお目にかかった時に語らせていただく。
今回はベトナムの鍼灸事情についてほんのさわりを語ってみよう。
ベトナムには、中国の中医師や韓国の韓医師と同じように伝統医師という資格が存在し、湯液や鍼灸などを担っている。
伝統医師は診断権をもち(死亡診断書も書ける)、西洋薬も限定的ながら処方できる。
伝統医師は伝統医科大学で6年間学ぶが、そのうち4年間は西洋医学、2年間を伝統医学というカリキュラムとなっており、称号はMDである。
鍼灸師という資格も存在し、3年間の教育課程で鍼灸師となり、伝統医師の指示管理下で鍼灸を施術できる。
ある程度の判断権はあり、医師の少ない中山間部では特例的に開業権もある。
施術方式は中医学をベースとしているが、ベトナム古来の生薬や処方、鍼灸術も存在する。
いまでも伝統医療が国民に根付いており、受療率は25%(一説には40%)を超える。
ベトナムのほとんどの病院(国公立病院から軍病院、郡市の診療所まで)には伝統医学科があり、病棟や病床も持ち独自の判断で入院施術も行っている。
日本で伝統医療にたずさわる者にとっては考えられない恵まれた環境にありながら、実のところ日本鍼灸の知見や技術へのニーズは非常に高い。
なぜ日本鍼灸のニーズが高いのか、なぜどのような立場で私がベトナムで鍼灸をすることになったのか、ハドン病院での臨床の模様などについては、その何十分の一かを次回に書いてみようと思う。
このコラムで書ききれないだろうが、どこまで伝えられるかやってみることにする。
※この内容の意見や見解は、あくまで書き手個人のものであり、日本鍼灸師会または役員の見解や意見を代表するものではありません。