
12/06/2025
<再掲>「休むと本当に弱くなるのか?」…クライミングと休養の真実②
◯「筋力低下に関する驚きの実験結果」
(前回の続き・・・)
では、具体的にどれくらい休んでも筋力が落ちないのか?
その根拠となる興味深い研究結果を見ていきましょう。
この2001年の研究は、1年以上筋力トレーニングを継続している「経験者」を対象に行われました。
(*この研究は、ウェイトトレーニングを対象としたものです。ですので、そのまま完全にクライマーに当てはまるというつもりはありません。ただ、とても示唆に富ん内容で、私たちクライマーにも必ず役立つでしょう。)
・ケース1:まさかの「寝たきり!」でも筋力低下は最小限
まず、最も筋力低下が懸念される、極端な条件下での実験です。
参加者には、筋力トレーニングはもちろん、日常の軽い運動すら極力控えてもらい、ほとんどをベッドで過ごすような「寝たきり」に近い状態を作ったケースです。
そんな極端なケースでも、驚くべきことに2〜3週間、ほとんど筋力の低下は見られませんでした。
ほぼ寝たきりでですよ!
…これは驚きです。
これは、病気や大きな怪我など、やむを得ず安静を強いられる状況でも、短期間なら筋力への悪影響は極めて少ない、ということを示唆しています。
・ケース2:普段通りの生活なら「約1ヶ月」は大丈夫!
次に、トレーニングはしないものの、普通に仕事したり、買い物したり、といった「軽い運動を伴う日常生活」を送った場合です。
この場合、なんと3週間から5週間、つまり約1ヶ月、筋力がほとんど落ちなかったという結果が出ています。
「1ヶ月くらいなら、普段通り過ごしていればOKなんだ!」
…と、安心した方も多いのでは。
そうなんです。
1ヶ月くらいジムに行けなくても、日常生活を送っていれば、筋力面では大きな心配は必要ない、という心強いデータです。
・ケース3:初心者でも「3週間の休み」なら大丈夫
「でも、ベテランの話でしょ?自分はまだクライミングを始めて間もないし…」
…と思った方もいるかもしれません。
ご安心を。
運動経験が15週間(約3ヶ月)なかった人が、ベンチプレスを15週間行った後、3週間休んだ場合でも、ほとんど筋力低下が見られませんでした。
…つまり、クライミングを始めて間もない方や、まだトレーニング歴が浅い方でも、短期間(目安として3週間程度)の休養なら、せっかくつけた筋力が失われる心配は少ない、ということです。
これは希望が持てます。
・ケース4:半年休んでも筋力の「半分」は残る!
さらに、長期的な視点も見ていきましょう。
4ヶ月間筋トレを行った人が、その後半年間トレーニングを休んだ場合も、なんと筋力アップ分の50%は残っていたという結果が出ました。
「半年休んでも半分は残る!」
…これは、一度しっかりと身体に定着させた筋力は、非常に「落ちにくい」ということを示しています。
これ、クライマー界隈でも「マッスルメモリー」として知られてますね。
クライミングから長期的に離れても、ゼロからのやり直しになるわけではない!
…と自信を持って言えるでしょう。
・・・次回は
「レスト明け登れない感じ」の正体:筋力低下以外の要因
です。
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