27/08/2025
鍼治療を「東洋医学」と呼ぶことがありますが、この「東洋医学」という表現は、現代医学としての「西洋医学」に対しての対立語的に使われたものと思われます。
また、この「東洋医学」は、まことに便利な言葉で、鍼や灸と言う「道具」使っているだけ「東洋医学」と言えたりします。
本来の用語は「伝統医学」であって歴史的に伝承されている「医学理論」に則っているかが問題で…道具だけでは成立しません。
ただ、実際の臨床ては、脈診・舌診・腹診・切経などから経脈経穴を運用しただけでは治療として不十分の効果しか得られない場合があります。
この場合、神経解剖学的側面からのアプローチが必要となります。これは「伝統医学」の理論から離れますが、「東洋医学」の範疇には含まれます。
私の鍼治療では、「伝統医学」的治療を優先し、治り難い患者さんの治癒力を高め…全身的に抹消循環を活発にし上で…、次に「神経解剖学」的見地からの治療を加えます。
この治療方法による効果は抜群です。
とくに…、痛みや筋硬結(凝り)に対して「神経解剖学」的アプローチは欠かせないものです。
たとえば、五十肩…肩関節の周囲に筋萎縮や痛みがあるとき…、肩関節周囲の筋を支配する神経は第4〜6頚神経です。五十肩は加齢に伴い肩周囲の筋が硬くなり起こる症状と…思われがちてすが、頚の加齢的変化に伴って頚神経の根部近くの椎間関節などに小炎症が起きこのため神経〜筋の緊張が持続し、筋疲労、血行不良、筋力低下、筋硬結、委縮となり…、関節周囲に炎症、痛みを生じることになるのです。
これに、私が開発した頚椎の刺鍼「頚椎側刺鍼法」を行うと…、頚の刺鍼で肩関節周囲の筋の緊張が除かれ、血流が回復し…硬かった筋は緩み筋力も増します。
経脈を運用する「伝統医学」的手法のみでもある程度…硬かった筋が緩みますが、神経解剖学的刺鍼でさらに完璧に緩みます。
だからといって…、痛みや凝りには「神経解剖学」的鍼治療だけで済ませられるか…?…と言うと、そうも行きません。
肋間神経痛の鍼治療で…、罹患した肋間の高さで「胸椎側刺鍼法」を行い、罹患肋間の圧痛が消失し痛みはなくなりましたが、動作での突っ張り感が残り「神経解剖学」的治療ではこれ以上改善がみられなかったとき、神経解剖学的に全く無関係の足背部の足の少陽胆経のツボに刺鍼すると、側胸部の突っ張り感が嘘のように消えて無くなりました。