
26/02/2021
【薬】
インスリン分泌
インスリン分泌には写真のように惹起経路と増幅経路が
あります。血中の糖が膵臓のβ細胞に取り込まれると、
ミトコンドリアが糖を分解し、ATPという物質を産生
します。これがきっかけとなりKチャネルが閉じ、続いて
Caチャネルが開きます。細胞にCaが入ってくると、細胞
内のインスリンが細胞膜に移動し、血中に分泌されます。
これを惹起経路と呼び、SU薬やグリニド薬はKチャネルを
閉じることで惹起経路を模倣し、血糖に依存せず、インスリン
分泌を促します。
インクレチン製剤はKチャネルに関与せず、別の受容体を通して
cAMPという物質を増加させインスリン分泌を賦活化します。
これを増幅経路とよびます。「増幅する経路」なので、インスリン
分泌が惹起されていないと効果が十分に発揮できません。そのため
単剤ではインクレチン製剤は低血糖リスクが低く、つかいやすい
薬だといわれています。
SU薬等と併用してインスリン分泌が強制的に惹起されている状態
ですと、インクレチン製剤はそれを増幅してしまいます。結果、
SU薬等とインクレチン製剤を併用する際には、通常より低血糖に
注意する必要があります。一般的には低血糖を避けるため、
インクレチン製剤をSU薬等のインスリン分泌を促す薬と併用する
時には、SU薬等を減量することが推奨されます。経過不良から
SU薬等の追加や増量があった際には、十分に低血糖の発生の
有無を観察することが必要です。
参考:DMアンサンブル 2020.11
#日本糖尿病協会 #薬